2017.01.05.Thu. 7ヶ月前 Dave.N

元祖歌える役者!薬師丸ひろ子の歌TOP5を勝手に厳選した

主演した映画のテーマ曲等をみずから歌い、ヒットさせてきた薬師丸ひろ子。その航跡をたどると共に、筆者の独断で5曲を選んでみました。

このエントリーをはてなブックマークに追加
0
コメント 0

●第5位『戦士の休息』

38年の時を経て、主演女優の声で蘇った名曲

薬師丸ひろ子が銀幕デビューを飾ったのは1978年公開の『野生の証明』です。同作での彼女は、ヒロインの頼子を「みずみずしく演じ」て、スターの片鱗を覗かせてくれました。その作品のテーマ曲だったのが『戦士の休息』です。彼女を見い出した角川春樹プロデューサーが「あの目にピンときた。未曾有の魅力を秘めている」とヒロインに大抜擢したものの、まだまだ主題歌を任せられる次元ではなかったのでしょう。

しかし初上映から38年、歌手デビューからは35年を記念して、昨2016年に作られたアルバム『Cinema Songs』(ビクターエンタテインメント)において、薬師丸ひろ子は、ナントこの曲をカヴァーしているのです。いやぁー、驚きました!確かに、いい曲である事には間違いないのですが、詞が男目線で書かれた作品なんです。なぜ、この曲なんだろう?

答えは同12月に放送された『SONGS』(NHK/写真・上)にありました。彼女はこの作品で撮影を共にした主演の故・高倉 建に「映画への取り組み方」や「役者について」を多く学ばせてもらったと述べています。筆者が勝手に想うに、「人生」そのものを、学ばせてもらったのではないでしょうか。そうした思い出から、あえてアニバーサリー・アルバムに選曲したんじゃないかと思います。

38年の時を経て、彼女の水晶のように澄んだ声はますます磨きがかけられて、ここに名曲が蘇ったと言っても過言ではありません。



演者ならではの「味」は、オリジナルと肩を並べる上手さ!

この曲のオリジナルを歌ったのは、GS全盛時に「ズーニー・ブー」のボーカルとして名をはせた町田義人です。エンディング直前に味沢役の高倉 建が頼子を背負って敵陣に駈けて行く時に、実に効果的に流れました。絶望と刹那を胸に突入していく姿に、涙した観客も多かったみたいですよ。実は筆者(※薬師丸サンと同い年)も、映画館の中で涙をこらえたクチでした。

実際に脚本を読み込んで、感情移入する事で役に没入していくスタイルを取る女優・薬師丸ひろ子。だからこそ、男唄の色濃い『戦士の休息』も見事なまでに自己に取り込み、歌い上げているんだと思います。「ストーリーを知り尽くした強さ」が表現力を増し、さらなる昇華へと自然に導いた一曲です。オリジナルもいいですが、薬師丸バージョンも別の「味わい」を持った曲に仕上がっています。

時代は移ろい現在、薬師丸ひろ子は演技派の女優として、そして歌手としても第一線で活躍しています。それも、デビュー昨のカヴァーを歌い上げる程の名手として。きっと、天国の高倉サンも目を細めて笑いながら見守っている事でしょう。

薬師丸ひろ子が歌手としてデビューするのは、これから3年後になります。

●第4位『ステキな恋の忘れ方』

大人の女への「背伸び感」がタマラナイ!

角川映画から独立後に主演した『野蛮人のように』(1985年)のテーマ曲。サスペンスでくくられる事の多い作品なんだけど、多少はハードボイルドっぽいスパイスが効いていて、「大人の女」を打ち出そうという意図と意思が伝わってきて好感の持てる一作に仕上がっています。夜の都会をオープンにしたままのジープ(この頃のはウィリス製かな!?)で男と逃げたり、銃撃されたりと、これまでの薬師丸ワールドの殻を突き破ったりと、脚本も担当した川島 透監督の演出も随所で冴えまくっております。共演の柴田恭兵が、彼特有の独特の演技で、大人っぽさと不良っぽさをスクリーンにかもし出しているのも見ものな一作です

テーマ曲の方も同様で、可愛さだけを全面に押し出すのではなく、何というか“憂い”を帯びた曲調で、なかなかのモノです。資料を読むと、作詞・作曲が井上陽水、アレンジが武部 聡との事。このラインナップじゃ、イイに決まってますよね。当時は、童顔の彼女と曲調のギャップを楽しんで聞いていたところもあったんだけど、今では年齢が追いついてきて、ますますイイ感じです。もう、背伸びする必要もないみたいですね。少し淋しいですけど……。

●第3位『探偵物語』

みずみずしい演技と飾り気のない歌唱法。アンバランスなバランスの妙を堪能せよ

原田知世、渡辺典子とともに角川3人娘(笑)が、映画の興行的にもレコードセールス的にもノリノリだった頃の作品が、この『探偵物語』です。もちろん、3人娘(笑笑)の筆頭番頭的存在だったのが薬師丸ひろ子。ショートボブ姿の女子大生役の彼女を見ていると、実生活でも大学へ通っていたので、実にリアルでした。今、見直して見ると時代を感じられて、それはそれでカワイイですけどね。

共演の探偵役・故・松田優作も20代ですから、街中を小走りするシーンや海辺でバイクを2ケツ(2人乗り)するシーンなどは、もうキレッキレです。映画館のスクリーンを観ていると、その2人のみずみずしさにメマイを覚えそうになりましたよ。大袈裟ではなく、それ程弾けていたんです。

そんな若さが溢れる映画だからこそ、淡々と歌い上げるこの曲の良さが逆に際立って聞こえてくるのです。もともと彼女の曲には、振り付けはありません。いや、必要ないんです。まっすぐに前を向き、曲によっては笑微む程度の素振りで充分。「女優・薬師丸ひろ子が歌う」という現実があれば、それだけで“絵”になった時代だったんですね。スターというのは、こういうモノなのか!と実感させられた人は多かったはずです。

切なさと余韻を残したエンディングに、ピタリとハマった名曲

この映画は、女子大生が家庭の事情でアメリカへ旅立つ、その日本での最後の1週間を描いています。事件に巻き込まれながらも、ボディガードの探偵と過ごす1週間を、アクティブながら次第に感傷的になって行く女子大生の姿を根岸吉太郎監督が丹念に追っています。さすがは『遠雷』(1981年)で、邦画界に新風を巻き込んだ気鋭(当時)の監督であります。

その名作『遠雷』でもそうでしたが、ラストが切なくて尾を引いてしまうんですよ。基本的に「ネタばれ」は好きではないので、具体的なシーンの説明は割愛させていただきますが、『探偵物語』も若き日の根岸流の演出がラストシーンに十分反映されています。その「切なくて、なおかつ余韻を残す」シーンは、そこで流れるこの曲で、一段高い位置へと登って行ったのではないでしょうか。

作曲者の故・大瀧詠一は「アレンジの井上 鑑さんのストリングスが、一層(曲を)良くしてくれた」と公開後に語っていました。詞は大瀧氏のかっての盟友・松本 隆ですから、気心も知れています。この3者が、それぞれにプロの仕事をした結果が、テーマ曲『探偵物語』なのです。「歌う舞台は整った」というわけです。

それを切々と歌う薬師丸ひろ子。その歌声は作品の余韻を一層引き立てています。曲だけではなく、映画も観たくなってきましたよ。う~ん、元祖角川「メディア・ミックス」の力、恐るべし!!

●第2位『セーラー服と機関銃』

記念すべき歌手デビュー曲!聞いてて「カ・イ・カ・ン」です!!

『野生の証明』でデビューして以来、『ねらわれた学園』『跳んだカップル』と順調に女優としての道を歩んできた薬師丸ひろ子が、この『セーラー服と機関銃』(1981)でテーマ曲も歌う事に!当時は衝撃を受けたものでしたが、考えてみれば吉永小百合や浅丘ルリ子といった往年の映画スターもレコードを出しており、自然といえば自然な流れでもあったんですね。。ただ、「歌は上手いのか?」という素朴な疑問が渦巻いていたのも、正直な話し、ありました。

ところが、そんな心配は彼女が出演した歌番組(当時は今よりも数多くあり、ほとんどがクチパクなしの生歌だった)を見た瞬間に、吹っ飛びましたよ。これが、上手いんですよ。透きとおったようなハイトーン・ヴォイス、衣装のセーラー服姿(そうでない時も多々ありましたが…)、ハズれるようでいて、ハズれない音程、等など。それらを1セットにした「歌手・薬師丸ひろ子」が、もう出来上がっていたんです。

この時の映画のTV-CMでは、この曲とともに彼女がマシンガンをブッ放つシーンが流れまくりました。「カ・イ・カ・ン」とつぶやく表情に、コロリとやられてしまったのは、言うまでもありません。

赤川原作とのマッチングもヒットの要因

映画と共に、テーマ曲も大ヒットしたわけですが、そこには原作である赤川次郎と薬師丸ひろ子とのマッチングの良さにも要因が挙げられると思います。すでに大ベストセラー作家として不動の地位を築いていた赤川先生ですが、その作風の特徴は爽やかで、ドロドロとした愛憎劇の要素はナシ、という点が挙げられます。「爽やかな殺人」と形容する人もいる程です。

ヤクザのドンパチを描いていながら、爽快感さえ出してしまう赤川作品だからこそ、セーラー服のまま、マシンガンを打ちかます星 泉(薬師丸ひろ子の今回の役名ですよ)の姿が凛々しく、かつ颯爽と写ったのではないでしょうか。

それを現役の女子高生の女優が初々しく歌い上げる。それこそが、この曲の良さ「そのもの」だったような気がします。詞の持つポジティブ志向も、よく出ていた名曲だと思います。

●第1位『あなたを・もっと・知りたくて』

新生「NTT」のキャンペーンソング

今回、勝手に厳選させていただいたTOP5の中で唯一、映画とリンクしていないのが、この『あなたを・もっと・知りたくて』(1985年)です。

それまでの電電公社が民営の「NTT」へと生まれ変わったので、大々的にキャンペーンを張った、そのキャンペーン・ガールが薬師丸ひろ子でありました。加えて、TV-CMのキャラクターを務めただけではなく、彼女自身が歌うCMソング(正確にはイメージ・ソング)は、CMのバックに流れたのは当然の事として、歌番組にも積極的に出演していたのを覚えています。ーテレフォン・カードでも薬師丸バージョンが現れたりして、大変なフィバー(死語なので、ググってみてくださいw)ぶりでした。スマホ全盛の現在では、考えられない事ですね。

当然、大きなキャンペーンなので曲も良くないわけがありません。作詞に現代の吟遊詩人・松本 隆、作曲はポップス職人であり巨匠・筒美京平、編曲をFNS歌謡祭の立役者・武部 聡と磐石の体制を敷き、歌うのが人気絶頂の薬師丸ひろ子なのですから、この大ヒットは、制作側の作戦勝ちでもあるといえます。

天使のささやきが、聴こえる

薬師丸ひろ子は、昨2016年は歌手デビュー35周年を迎えました。『セーラー服と機関銃』から35年、月日の経つのは早いモノです。それを記念したイベントのひとつとして、彼女は大きなチャレンジをしました。それが、9月に行われた「世界遺産 春日大社コンサート」です。野外コンサート自体が初だというのに、舞台がナント世界遺産の春日大社(奈良県)とは、やる事がスターは違いますね。

そこでは、途中に衣装替えを挟んで全19曲を高らかに歌い上げたのでした。『あなたを・もっと・知りたくて』は、前半の赤いドレスの時に歌われており、ちゃーんとセリフ部分もささやいておられましたよ。20代の頃と「はにかみ具合」は変わりませんでしたが、大人の色香もチラホラと感じさせるウィスパーに、ドキンとさせられた人も多かったんじゃないかな?でも、大女優になっても可愛らしさは相変わらずです。

●まとめ

声質、表情、情感……。どれも深い味わい

薬師丸ひろ子は「まず、映画(演ずるという点で、含TVドラマ)ありき」であり、そのスタンスは今でも変わってはいません。では、歌に関してはどうなのでしょうか?確かに、映画のプロモーションの一環として始めた事は周知の事実です。

しかし、「時代」が彼女を歌手へと導いていったような気がしてなりません。クリスタル・ヴォイスと言うべき高音域の声だけではなく、近年では歌に情感が込められてきたように思います。2016年末に放送された『SONGS』(NHK)では、トレンチ・コート姿でも歌っていて、「カッコイイ大人の女」感が、いっぱいでした。

そして、直立不動で歌っていた少女は、体をスィングさせたり腕を動かし手をかざしたりしながら自然な“振り付け”で歌うようにもなりました。表情も豊で素敵です。どうやら、演技力だけではなく歌でも「大人の女性」への変貌を成し得たようです(注:「可愛らしさ」は不変ですけど)。

薬師丸ひろ子 ユニバーサルミュージック合同会社 売り上げランキング: 2,355
薬師丸ひろ子 ユニバーサルミュージック (2002-11-20)売り上げランキング: 2,097

ログインするとポストをお気に入り登録できるようになります

Twbird twitterで登録•ログイン

登録すると、 利用規約 および プライバシーポリシー に同意したことになります。

閉じる

このポストに関連するタグ

コメントを投稿する Fessan rotated

1000833
1
Fessan white 上に戻る