2017.04.18.Tue. 6ヶ月前 kazukunn3

アニメ映画作品おすすめランキングTOP10!劇場版アニメはハイクオリティな強豪揃い!

日々様々な作品が公開されているアニメ映画。今回は、アニメ映画作品の中から私の独自の観点からで10作品をセレクトし、ランキング形式で紹介したいと思う。私見が多く混じっているが、鑑賞の参考になれば幸いである。

このエントリーをはてなブックマークに追加
0
コメント 0

アニメ映画に見る、アニメの真髄

アニメというものは、元来は全て映画だった。テレビが完成する以前は、アニメを上映するには映画の形式を取る他なかったからだ。テレビが登場し、テレビアニメが業界を席巻してもなお、様々な作品が銀幕を彩ってきた。テレビアニメ作品をいくつも集め、新作を加えた「まんがまつり」が催されたり、一時期はテレビでは放映不可能な成人向け作品が展開されたりといった具合だ。

アニメ映画には、クオリティを重視しテレビアニメにその差を見せつけんとするようないわゆるA級映画から、「まんがまつり」の1編としてテレビアニメをそのままブローアップ(映画館用フィルムに転写すること)したものまで様々なものがある。近年では深夜アニメが劇場へ進出することも多く、多種多様なアニメ映画が日々上映されている

個人的おすすめアニメ映画を紹介!の前に……選出方法などについて

今回は自分の見たことのあるアニメ映画の中から特にしっかりと紹介できるものを、あえてベストテン形式で紹介するまとめを作ることとした。好きなアニメ映画は文字通り両手では数え切れないほどあるのだが、紹介作品を10本に絞ろうとする過程で、作品をまとめるためのより詳細な比較や検討が行えるのではないかと考え、あえてこの形式を選んだ。

その性質上、独断と私見、思い入れが大きく反映されたランキングとなっていることをご了承頂きたい。また、個人的に評価が可能な状態で視聴できていない作品(一例・1990年再編集版しか視聴経験のない『ファンタジア』)は一律で選外とした。その他、劇場で一挙上映・先行上映されたテレビアニメや、イベント上映の形を取ったOVAもアニメ映画とは別物と捉え、省いた。


10位『空の境界』業界最高の作画が劇場で花開く

交通事故で2年間の昏睡状態に陥っていた少女、両儀式。彼女は精神の中に「識」という別人格を宿していた。目覚めた彼女は、識がいないことに気づく。そして、自らの目がものの「死」を見てしまっていることにも。彼女は欠けた識を求め、一人称を「オレ」に変えた。彼女はお互いに意識し合う黒桐幹也と共に、魔術師・蒼崎橙子の仕事を手伝う。

和服に革ジャンという出で立ちで、異能の者が闊歩する夜の街を徘徊する両儀式は、殺人衝動を抱えながら、異能のものとぶつかり合う。式の周囲では様々な怪奇事件と謎が渦巻き、常識を越える異能バトルが繰り広げられる。式の抱える殺人衝動の正体とは何なのか? そして、全ての事件の影にいる、荒耶宗蓮の思惑とは何なのか?

ufotable躍進の秘密は「濃密なドラマ」

本作は『Fate』シリーズで知られる「TYPE-MOON」のシナリオライター・奈須きのこが同人時代に執筆した同名小説を原作としている。映画は原作小説の章立てに習い全七章+終章が制作され、2013年には原作小説の新作『未来福音』も映画化された他、『第一章 俯瞰風景』が3D化。制作は『テイルズ』シリーズのアニメーションムービーや『Fate』シリーズの新アニメ化で著名な「ufotable」が行った。

本作の肝は、何と言っても作画にある。そのクオリティの高さは、世界的な大作とも十分争えるレベルだ。本作以前のufotableは卓越した技術に対しシナリオ面が弱いと言われていたが、本作では原作を得ることでシナリオ面の弱さを補う事に成功し、その作画・演出技術を存分に発揮するきっかけとなった。現代的な、美麗な作画を求める方におすすめのシリーズだ。

9位『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』「映画化」の持つ意味

巨人族がゼントラーディとメルトランディの2つに別れ、宇宙規模での戦争を繰り広げていた。戦火に巻き込まれた地球から避難民を連れて脱出を図った地球統合軍の宇宙戦艦マクロスは、事故から太陽系外周へワープしてしまい、地球への帰還を試みることとなる。可変戦闘機・バルキリーのパイロット一条輝は、人気歌手リン・ミンメイと知り合う。輝はミンメイとの仲を深めていく。

戦闘中に上官の早瀬未沙と共にゼントラーディに捉えられてしまう輝。脱出に成功した二人を待っていたのは、荒野となり果てた地球だった。寂しさと愛を分かち合った輝と未沙は、宇宙移民船を発見。巨人族の過去や戦争の理由、そして戦争を終らせる切り札を見つける。ゼントラーディ対メルトランディの艦隊決戦を前に、重要な作戦を任されていたミンメイは輝に思いを告げる……。

大胆な再構成を経て、ドラマチックになった『マクロス』

本作の傑出したところは、その大胆な再構成にある。まず、テレビ版における第3クールを丸々省いた。これは放映延長に際して急遽付け足されたもので、トータルバランスを考慮した上での判断だという。設定の整理も行われ、敵である巨人族を2つに分けるという大胆な改変が行われた。戦争に巻き込まれる理由付けもこれに合わせて変更され、テレビ版と違い作中で描かれた。

キャラクター周りも大きく再構成され、テレビでは目立ちきれなかった主人公・輝は活躍の場を得た。輝とミンメイ、未沙が織りなす三角関係もよりはっきりとした構図となった。本作用に書き起こされた楽曲『愛・覚えていますか』を中心に据えて展開されるクライマックスは、これまでに上げた再構成が全て結実した出色の出来だ。映画化が持つ可能性を知りたい方におすすめ。

8位『白蛇伝』日本アニメの金字塔

西湖のほとりに住む少年、許仙。十数年前、彼は大人たちに叱られ、飼っていた白蛇を泣く泣く野原に捨てたことがあった。嵐の夜、白蛇は美しい女性・白娘に変身し、魚の精の少青と共に西湖に現れる。許仙と白娘はたちまち恋に落ちる。このことを知った法海和尚が許仙の身を慮って2人の仲を引き裂こうとするが、2人はこれを苦にせず、どんどん心を通わせていく

ある日、少青が屋敷の飾り龍を落とす。龍は動き出し、彼を宝物殿に連れて行く。少青はそこで宝石を拾い、許仙と白娘にプレゼントしてしまう。盗人の一味として捕まる許仙。彼の元に向かった白娘は法海和尚に破れ、許仙の前でその正体を現してしまう。去ろうとする白娘を追った許仙は、崖から落ちて命を落とした。白娘は龍王に自らの命を捧げ、許仙を助けようとする。

日本アニメ誕生

本作は日本初の本格的な長編カラーアニメ映画であり、戦時体制下で制作された『桃太郎 海の神兵』に続く2本目の長編アニメでもある。戦後日本には、長らく長編アニメを制作できる環境が存在しなかった。香港から中国の著名な民話『白蛇伝』を題材にしたアニメ映画の制作を打診された東映は、これを期に本格的なアニメ映画を作る構想を練り始めることとなる。

東映は東映動画(現・東映アニメーション)を設立し、2年の月日をかけてこの難題に取り掛かった。スタッフを揃え、短編アニメでノウハウを蓄積し、スタジオを整え、ついに完成したのがこの『白蛇伝』。日本アニメを語る上で外せない金字塔であり、同時におとぎ話を元にしたが故のシンプルかつしっかりとした面白さが詰まっている。アニメの歴史を学びたい方におすすめしたい。

7位『風立ちぬ』ジブリと宮﨑駿が描く「リアル」な航空機

飛行機に憧れる少年・二郎は、夢の中で伝説的な飛行機の設計家・カプローニ伯爵に励まされ、飛行機の設計士になることを決意する。大学で飛行機の設計を学ぶ二郎は、関東大震災の折に少女・菜穂子を助けた。ミツビシに就職した二郎は頭角を現し、海軍の戦闘機開発に抜擢された。上手くいかない開発に挫折を覚え、休養のために避暑地を訪れた二郎は結核を患う菜穂子と再開する。

菜穂子と二郎は結婚するが、菜穂子は病状が悪化死期を悟った菜穂子は、二郎の設計した飛行機の試験飛行が行われる日の朝、密やかに彼の元を去った。虫の知らせを感じた二郎は、試験飛行の成功にもかかわらずどこか浮かない様子を見せた。やがて開戦を迎え、第二次大戦に敗戦する日本。再び夢の中でカプローニ伯爵に出会い、弱気を見せる二郎の前に、菜穂子が現れた……。

飛行機好きとして、外せない一作

宮﨑駿監督作品の傑作は数多いが、今回は極々私的な理由から本作をおすすめしたい。とにかく、本作の飛行機描写は非常に良くできている。作品冒頭、飛行機に憧れる二郎少年が夢に見る飛行機は、航空力学を無視した飛び方をする。対して、設計士となった二郎青年が夢で見る航空機は構想段階のものを除き非常にリアルなのだ。スタジオジブリの作画がこの演出を支えている

私は飛行機好きとして、この描写の数々に感動した。他の作品では、ここまでリアルな描写はなされない。飛行機が飛ぶことそのものよりも、飛んだ後に何をするかのほうが重要なのだ。対して本作は設計士のストーリー。飛行機が飛ぶことそのものがドラマの中心に置かれるため、飛行機の描写は「リアル」なものになる必要があるのだ。飛行機好きの方におすすめの作品である。

6位『機動戦士ガンダム』完成された総集編

人類が増えすぎた人口を宇宙都市・スペースコロニーへ移民させるようになって半世紀以上が過ぎた世界。スペースコロニー・サイド3がジオン公国を名乗り、地球連邦政府へ独立戦争を挑んだ。この戦いが膠着状態に入ってから8ヶ月。コロニー・サイド7に暮らしていた少年アムロは、モビルスーツ・ザクが連邦軍のモビルスーツ工場を狙って起こした戦闘に巻き込まれる。

アムロは混乱の中、連邦軍の新型モビルスーツ・ガンダムに乗り込む。2機のザクを倒したアムロだったが、サイド7は戦闘の影響で崩壊してしまう。正規の軍人がほとんど命を落とした連邦軍の戦艦・ホワイトベースは、新米士官ブライト他、サイド7の民間人を多数臨時登用して脱出を図る。アムロもモビルスーツ操縦の腕を買われ、望まぬまま戦火に巻き込まれていく。

アニメ新世紀宣言!アニメファンを熱狂させた3作

本作は1979年にテレビ放送された『機動戦士ガンダム』を再編集し、新規カットを多数加えて3本の映画にまとめた作品である。同作は今も続編が作られる大人気シリーズとなったが、その礎である本作のテレビ放送は打ち切りと延長に苛まれる苦しい環境だった。劇場版も興行成績次第で続行するかが決まるという中で製作、公開され、アニメファンに支えられて全3作が制作された

当時の熱気は「アニメ新世紀宣言」というイベントが催されたことから推して知るべしなのだが、本作自体の完成度も当然高い。虫プロ時代から再編集を多数手がけ、本作においては監督として指揮をとるとともに多数のコンテを手がけながらノベライズも担当した富野由悠季の手腕により、ストーリーが過不足なく映画3本分に纏められている編集の妙に興味がある方におすすめ。

5位『THE IDEON』エゴの果てに待つ「巨大兵器」

外宇宙へ移民を行う地球人は、植民星・ソロ星異星人の遺跡を発見する。地球人はこの遺跡を残した異星人を第6文明人と呼ぶこととした。地球人は無限エネルギー・イデを探す異星人バッフ・クランと接触し、戦闘状態に突入する。発掘された第6文明人の遺跡は合体し、巨大メカ「イデオン」となる。ソロ星の移民たちは同時に発掘された宇宙船ソロシップに乗り、宇宙をさまよう

地球とバッフ・クランは戦争状態になり、イデオンは惑星一つを容易に消し飛ばす驚異的な潜在能力を発揮し始める。無限力「イデ」は地球とバッフ・クラン双方に隕石を落とし壊滅に追いやるが、それによりソロシップとバッフ・クラン宇宙軍の戦争は生存へのエゴをぶつけ合う苛烈なものとなってしまった。そしてバッフ・クランは禁断の超巨大兵器「ガンド・ロワ」を投入する……。

日本アニメ史に残る凄惨な戦いの意味

先の『機動戦士ガンダム』に続く富野由悠季作品。テレビアニメ『伝説巨神イデオン』を改題の上劇場版化したものであり、序盤の総集編にあたる『接触編』と打ち切りによって描くことのできなかった終盤の展開を描く『発動篇』の2部構成となっている。構成上『発動篇』は新作部分が多く、これに時間を割く関係上『接触編』は導入部の説明にとどまる作りとなっている。

本作は映画のみで楽しむのは難しいが、間違いなく富野由悠季の代表作であり、日本アニメ史に残る名作だ。特に『発動篇』は生存という誰もが感じる欲求から知的生命体の持つエゴをえぐり出すストーリーと、命を落とす者たちの凄惨な描写が、日本映画史に残る凄惨なクライマックスへとつながる出色の出来となっている。テレビ版を先に視聴してからの観劇をおすすめする。

個人的な話・映画という媒体の持つ「大きさ」

私は本作を名画座で鑑賞する機会に恵まれた。友人とともに劇場に足を運んだ私は、本作に大いにノックアウトされた。私も友人もイデオンが好きで、すでに劇場版もお互いDVDで見ていた作品だったのだが、劇場で見る迫力はまさに圧巻の一言だった。どこに衝撃を受けたかは、友人が帰り際に呟いた言葉が端的に表していた。「ガンド・ロワがあんなに大きとは思わなかった」

ガンド・ロワは惑星数十個分という文字通りの「超」巨大兵器である。そのスケールは家のテレビで見たときにも十分に感じられていた。しかし、劇場で見たガンド・ロワは家での感覚を大いに上回っていたのだ。大きいスクリーンと暗い空間が、ここまで視覚上の印象を変えるのかと驚いたのを覚えている。元々映画好きだった私は、それ以来率先して劇場に足を運ぶようになった。

4位『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』映画ならではの文学的作品

近未来。人類は義体化(行動に発展した義肢や人工臓器等によるサイボーグ技術)により肉体的拡張性を、電脳化(脳にマイクロマシンを埋め込み、コンピュータネットワークと直接接続する技術)により精神的拡張性を手に入れていた。日本の攻性防諜機関・公安9課は、国際指名手配されているハッカー・人形使いが日本に潜入したという情報を得て、捜査を開始する。

人形使いのハッキングを逆探知し、実行犯を逮捕する公安9課。しかし実行犯は人形使いにゴーストハック(自我や意識を電脳的に乗っ取る行為)を施されていた。若くして全身を義体化した公安9課の実質的リーダー・草薙素子は自身のゴースト(義体化・電脳化により定義された生命体の持つ自我意識)を探しながら、人形使いを追いかけていく。果たして、人形使いとは何なのか?

自我をじっくりと問う哲学的ストーリーは映画ならでは


上に纏めたあらすじは導入から中盤までのものだが、非常に複雑で哲学的なテーマを扱っていることが伝わっただろうか? 特にゴーストの概念は端的な説明が難しく、なるべく平易になるよう意識したが、それゆえ本作を見た方は自身の考えとの違いを感じたかもしれない。かくいう私も詳述するのであればまた別の表現をしたくなるが、本作の特性を考え、それは避けることにした。

本作は自我の有り様という非常に哲学的なテーマを、2時間かけて描く思索的な作品である。国際的に評価の高い作品だが、私はこの哲学的な部分がその評価の理由であると考えている。30分きりで1回の放送が終わってしまうテレビアニメでは、本作と同様の手法でこの命題を描くのは難しかっただろう。細切れな印象が生まれてしまうからだ。考えるのが好きな方におすすめの作品だ。

3位『AKIRA』世界が認める制作費10億の超大作

第三次世界大戦により廃墟になった東京は、復興が進みネオ東京となっていた。金田と鉄雄はバイクでツーリングを繰り返す幼馴染だった。鉄雄は超能力に目覚め、軍に攫われてしまう。金田は鉄雄を救うべくゲリラの少女・ケイと協力し軍施設に潜入する。しかし鉄雄は金田を超能力で追い払ってしまう。鉄雄は力が強すぎるために封印されたエスパー・アキラを求めていた。

翌年に迫ったオリンピック会場の建設現場に現れる鉄雄。軍は鉄雄を止めようとするが、アキラに匹敵するレベルのエスパーに成長した鉄雄はこれを苦にしない。鉄雄はアキラの封印を解くが、アキラは脳神経のみの状態になっていた。鉄雄の力は何もかもを飲み込もうかという勢いで暴走し始める。真相を知り鉄雄の前に現れた金田に、鉄雄は助けを求めるが……。

世界的人気作にして、日本のアニメの最先端を行った傑作

本作は漫画家の<b>大友克洋</b>が執筆し、<b>国際的な評価を得たマンガ『AKIRA』</b>を原作とし、<b>大友自らが監督</b>を勤め、<b>制作費は10億円</b>。吹き替えを先に収録し、それに合わせて動画を用意する<b>プレスコ</b>という手法が採用された他、バイクのランプが描く残像など、<b>先進的な表現も多用</b>された。<b>セル画枚数は15万枚</b>。大作揃いの今回紹介する作品の中でも、<b>群を抜く超大作</b>である。<br><br>本作は戦争により荒廃した<b>近未来の東京</b>(<b>2020年にオリンピックが開かれる</b>という驚きのシンクロニシティ!)を舞台にした、<b>大友克洋の映像センスが光る名作</b>だ。跳ねっ返りの少年・金田と鉄雄が繰り広げる<b>ケレン味あふれるやり取り</b>も軽妙で、作品世界の重苦しさを吹き飛ばす勢いがあり、人気である。<b>派手な映像や緻密な作画に興味のある方、台詞回しにこだわる方におすすめ</b>したい。<br><br>

本作は漫画家の大友克洋が執筆し、国際的な評価を得たマンガ『AKIRA』を原作とし、大友自らが監督を勤め、制作費は10億円。吹き替えを先に収録し、それに合わせて動画を用意するプレスコという手法が採用された他、バイクのランプが描く残像など、先進的な表現も多用された。セル画枚数は15万枚。大作揃いの今回紹介する作品の中でも、群を抜く超大作である。

本作は戦争により荒廃した近未来の東京2020年にオリンピックが開かれるという驚きのシンクロニシティ!)を舞台にした、大友克洋の映像センスが光る名作だ。跳ねっ返りの少年・金田と鉄雄が繰り広げるケレン味あふれるやり取りも軽妙で、作品世界の重苦しさを吹き飛ばす勢いがあり、人気である。派手な映像や緻密な作画に興味のある方、台詞回しにこだわる方におすすめしたい。

2位『君の名は。』稀代の芸術家・新海誠が「エンタメ」を掴んだ!

東京に暮らす男子高校生・瀧が目を覚ますと、岐阜県飛騨地方の糸守町にすむ女子高生・三葉になっていた。対する三葉は瀧になっていた。奇妙な夢だと思いながら1日を過ごした2人は、同じ現象の繰り返しを経て自分たちが入れ替わりを起こしていることに気づくノートやスマートフォンのメモを駆使してやり取りを交わした2人は、入れ替わっている間のルールを決める。

入れ替わりを楽しみつつ打ち解ける2人。しかし、入れ替わりは突然途絶えてしまう。瀧は三葉に対し特別な感情を抱いていることに気づき、忘れないように残した風景のスケッチを頼りに飛騨に向かう。しかし、糸森町は3年前に隕石の破片が直撃したことで消滅していた。被災地にを見た瀧は、入れ替わりの証拠が全て消えてしまっていることに気づき、呆然とするのだが……。

日本一のアニメ監督、その強烈な作家性

本作の監督は新海誠。自主制作アニメ『ほしのこえ』で注目を集めた新海は、作品を作る毎に成長を続け、賞賛を受けてきた。特筆すべきは背景のみの映像でも雄弁に「語る」脅威の演出力。特に本作で注目すべきは美しく描かれた東京都心の風景だろう。都会に憧れる三葉の気持ちを代弁するようなこの風景だけでも十分に本作を見る価値があるのだが、糸守町の景色もまた素晴らしい

新海のもう1つの特徴が強い作家性だ。ヨーロッパでは「世界で最高」とまで言われた腕前を持ち、激賞を受けながらも大ヒットに結びつかなかったのは、この作家性に理由がある。原作と脚本も一手に手がける彼は、青春と成長をテーマに据える。青春の美しさを切り取り、大人になる切なさを描き過ぎた今までの作品は、いつもあまりにもせつなすぎるラストを迎えていた

「エンタメ」を利用し、作家性をプラスに転換させる成長

本作でもこの青春との別れがテーマに据えられているが、そこから一歩先へ進んだストーリーが多くの視聴者をひきつけ、大ヒットに結びついた。彼は代表作『秒速5センチメートル』のラストが想定以上にバッドエンドと評価されたことに戸惑いを覚えたといい、本作の製作に際しては自身の作劇能力が上がってきたという実感もあり、楽しいエンタメ作品を目指したと語っている。

本作は今までの彼の作品にエンタメがプラスされたストーリーとなっている。私は本作を見て、『ほしのこえ』との強い近似性を感じた。まれに新海の作家性が薄まったとも言われる本作。しかし、私は逆に、彼の作家性が強まったことで、より素晴らしい作品を産める懐の深さを手にしたのだと思っている。多くの方におすすめできる作品だが、特に青春を経験した方におすすめしたい。

1位『ガールズ&パンツァー 劇場版』これが「映画」だ!

戦車に女子が乗る武道・戦車道が存在する世界。西住みほは大洗女子学園の廃校撤回を賭けた高校戦車道全国大会で優勝を果たした。優勝を記念したエキシビジョンマッチを終えた大洗女子学園に、廃校が決定したと伝えられる廃校撤回はあくまでも検討するという意味でしかなかったという文部科学省の役人。生徒たちは転校先が決まるまでの間、内陸の廃校跡での生活を送る。

生徒会長・杏は戦車道連盟の協力を受け、文部科学省から正式に廃校撤回の条件を取り付ける事に成功する。その条件は大学選抜チームに勝利するというものだった。対戦ルールは相手車両を全て撃破する殲滅戦とされ、大学選抜チームはルール上限の30輌の戦車を投入してくる。対して大洗女子学園は所有する車両数自体が僅か8輌。大洗女子は圧倒的不利な戦いを強いられる……。

圧倒的迫力が日本記録に結びついた「怪物」

本作は2012年にテレビ放送されたアニメ『ガールズ&パンツァー』の続編となる劇場版である。ストーリーこそテレビ版から直接つながるものとなっているが、決して「一見さんお断り」な作りにはなっていない。最低限必要な知識は上映前に3分間で纏められており、他に必要な事はさり気なく作中で補足されたり、そもそも理解する必要が無いようになっている。

そして、予備知識や気構えは全てスクリーンの前で消し飛ぶ。本作は作品の殆どが戦車同士の戦闘シーンで占められており、これらは細かな知識を必要としない。息つく暇もない戦闘と、それを利用して描かれる個性豊かなキャラクター。何も知らずとも終われば必要な事を感じ取れてしまうのだ。多くの人に評価され、本作は日本アニメ最長記録となる一年以上のロングランを記録した。

怪物を支える迫力

この史上初の快進撃を支えたのは迫力満点の戦車描写、そしてそれを支える迫力の音響にある。スラップスティック・コメディから丁寧な人間ドラマまで手掛ける監督・水島努の才気あふれる演出と、ベテラン音響監督・岩浪美和非常識なまでに派手さを全面に出した音響が高次元でマッチングし、前例のない怪物映画が完成したのだ。

そして、映画館もこの迫力に応えるため、様々な上映方法を模索した。本作の公表を受け急遽制作された4DX版は様々な特殊効果を加えた上映方式で、上映期間中にリテイクが行われるほどの力の入れようだった。立川シネマシティは旧来より行っている「極上爆音上映」の調整を岩浪の協力を得て行い、多数のリピーターを産む聖地となった。ロングランは同映画館での記録となっている。

映画館に最適化された「映画」

本作の特徴は、映画館で見たいという人が非常に多かった事にある。セルソフトの発売はロングラン記録のほぼ真ん中に位置するのだが、本作は発売に前後して全国でリバイバル公開された。新規上映館も多数現れ、この週の週間興行動員数のランキングに登場することになったのだが、これは全くもって前例のない異常事態である。それだけ多くの人がブルーレイで満足しなかったのだ。

私もまたハマった1人だ。そして、映画館で見た時、生まれて初めて「これが映画だ」と思った名画のリバイバル上映をいくつも回ってきたが、本作ほどの迫力は感じた事がなかった。映画は「映画館で上映するための映像」であるが、本作はまさにこの「映画館で上映するための映像」そのものである。このページに来た全ての方に一番強く、映画館で鑑賞することをおすすめする。

まだ見ぬ名作を求めて

以上が私のおすすめのアニメ映画作品TOP10である。最初に断ったとおり、私見の強いチョイスとなった。特に、ジブリ作品から『風立ちぬ』だけを紹介した理由が「飛行機好きだから」というところはまさに私見が覗けるところだろう。しかし、私はこの10作品を胸を張って見ていただきたいと断言できる。好きな作品から本当に絞り込んだ、本当に素晴らしい映画ばかりだ。

今も劇場で多数のアニメ映画作品が上映されている。イベント的なリバイバル上映も根強く残っている。映画館にこだわらなければソフトのリリース状況も年々良くなっている。私も全体から見れば見ていない作品のほうが圧倒的に多く、まだまだ勉強中の身。まだ見ぬ名作を求め続けている。願わくば、どうかこのまとめが皆様と名作の新たな出会いの一助となりますように。

ガールズ&パンツァー 劇場版
(2016-07-22)
売り上げランキング: 405
劇場版 「空の境界」Blu-ray Disc BOX(通常版)
アニプレックス (2013-07-10)
売り上げランキング: 4,091

ログインするとポストをお気に入り登録できるようになります

Twbird twitterで登録•ログイン

登録すると、 利用規約 および プライバシーポリシー に同意したことになります。

閉じる

このポストに関連するタグ

コメントを投稿する Fessan rotated

1002260
1
Fessan white 上に戻る