2017.07.31.Mon. 3ヶ月前 RA

「月がきれい」あらすじ紹介! 思春期の中学生を描くオリジナルアニメの魅力とは

2017年春に放送された、中学生の甘酸っぱい恋模様を描いたアニメ「月がきれい」。原作のないオリジナルアニメならではの趣向が凝らされ、ある意味ではアニメらしくないようにも思える展開や演出が魅力です。そんな「月がきれい」を観逃したという人、観たけどよく覚えていないという人、あるいはあの胸の痛みが忘れられないという人のために、あらすじと見どころをまとめました。

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甘酸っぱい青春! アニメ「月がきれい」とは

川越を舞台に中学生の恋模様をリアルに描く

2017年春クールに放送されたアニメには、「終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?」「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア」などの異世界アニメや、「ひなこのーと」「冴えない彼女の育てかた♭」などの美少女萌えアニメといったラインナップが並んでいました。

そんな作品群のなかでひときわ異彩を放っていたのが、今回紹介する「月がきれい」です。埼玉県川越市を舞台にただただ中学生の恋模様を描いていくアニメでしたが、その"ただただ"のリアリティが尋常ではないほど追求されており、視聴者のメンタルを抉り取っていくもどかしい展開が話題となりました。

「たまこラブストーリー」が制作の大きなきっかけに

女性向けの恋愛小説やマンガ、TVドラマとか映画でよくあるような、死人が出たり、奇跡が起こったりするのは、ちょっとご都合主義に見えて好みじゃないんですよ。もちろんフィクションなのでご都合からは逃れられないんですが、もっと普通の、どこにでもある要素から成り立っている恋愛ものをやりたかった。過剰にドラマティックな要素がなくても、作品として、商品として成立することができるんじゃないかと考えていたんです。

出典: otapol.jp
昨今のヒットアニメに多い魔法・SF・能力・ハーレムや、さまざまな物語にありがちな大きな事件説明のつかない奇跡といった要素。これらを敢えて排した恋愛アニメを作りたいと構想を練っていたプロデューサーが観たのは、2014年公開のアニメ映画「たまこラブストーリー」。これが制作の決め手となったそうです。

そんなことを考えていたとき、『たまこラブストーリー』(14年)という映画を観たら、TVシリーズと違って「しゃべる鳥」が出てこなかった!(笑) すごくピュアなラブストーリーをものすごい力技で作っていた映画で、すごく良かったんです。この作品が背中を押してくれましたね。

出典: otapol.jp
前作であるTVシリーズ「たまこまーけっと」に登場していた超常要素「しゃべる鳥」がストーリーから外れ、純粋にリアルな高校生の恋心がありありと描かれた「たまこラブストーリー」。このような、どちらかというと小説や実写ドラマの文脈上にある題材を持ち込むことで、「月がきれい」は誰でも楽しめるアニメに仕上がっています。

feel.と岸誠二が挑戦するリアリティの限界

「月がきれい」のアニメーション制作を担当するのは、「この美術部には問題がある!」や「だがしかし」でお馴染みのfeel.です。「月がきれい」でもブレることのない強力な作画力に裏付けられた徹底されたリアリティ、本作から取り入れられている3Dアニメーションにも注目です。

監督は、「Angel Beats!」や「人類は衰退しました」、2017年夏クールの「ようこそ実力至上主義の教室へ」でも監督を務める岸誠二。「月がきれい」のようなリアルな恋物語を演出するというイメージはあまりなく、恐らくは本人にとっても毛色の違う作品だったと思われます。だからこその面白さがあるとも言えますね。

OP/EDや挿入歌は全て東山奈央が担当

オープニング曲の「イマココ」やエンディング曲の「月がきれい」をはじめ、作中で使用される挿入歌は全て東山奈央が歌い、「月がきれい」の雰囲気に優しく華を添えます。全7曲ある挿入歌はどれも既存曲のカバーで、劇判も担当したピアニスト・伊賀拓郎によるピアノアレンジが切なく響きます。

ちなみに、東山奈央は「月がきれい」に声優としても参加しており、主人公たちの学校の音楽教師・園田涼子を演じています。キャラクター自体はメインストーリーに深く関わることはありませんが、東山奈央の歌う挿入歌はストーリーの重要局面で流され、彼女の歌は「月がきれい」に欠かせない要素となっています。

「月がきれい」登場人物を紹介!

小説家を目指す主人公・安曇小太郎

「月がきれい」の主人公は文芸部部長の中学3年生、安曇小太郎(あずみ こたろう)。一人っ子で、父と母との3人暮らし。勉強より小説を書くことが好きで、そのことで母親とぶつかる場面も。物語のなかで、後述の水野茜と恋人関係になっていきます。

台詞(モノローグ)にたびたび太宰治の言葉が引用されるなど、小説好きな彼の意識は随所に反映されています。そもそも「月がきれい」というタイトルも夏目漱石が"I love you"を訳したとされる「月が綺麗ですね」が元になっています。

声を演じるのは千葉翔也。20台前半と実年齢も若く、中学生という役どころにぴったりハマっています。「ようこそ実力至上主義の教室へ」の主人公・綾小路清隆にも抜擢されるなど、今後の活躍も期待される声優です。

陸上部のヒロイン・水野茜

ヒロイン・水野茜は陸上部。姉と両親の4人家族で、芋のマスコットを御守りのように持ち歩いています。小太郎とはこのマスコットがきっかけで急接近、後に告白され付き合うようになります。

序盤から何となく伏線が敷かれていますが、水野家はストーリー中盤で転勤に伴い引っ越しをすることになります。この問題に関する茜の苦悩と小太郎の行動が、終盤にかけての見どころとなっていきます。

声は小原好美が担当。前述の千葉翔也もそうですが、声優としてのキャリアは浅めで、それ以前は女優をやっていたそう。こうしたアニメとの接点が少ない声優のキャスティングもまた、リアルさの追求の一環なのかもしれません。

人懐っこい性格、茜の友達・西尾千夏

小太郎と茜の恋路に水を差す存在その1、西尾千夏。悪気があるわけではありませんが、その人懐っこい性格で小太郎とも初対面から馴れ馴れしく接し、茜を通して小太郎と知り合うなかで小太郎に好意を寄せるようになってしまいます。

小太郎と茜が付き合っていることを知ってからもその想いは止まることがなく、終盤では自分の気持ちに区切りをつけるべく小太郎に告白。彼に断られることでその恋は終わりました。

そんな悲しい役どころである西尾千夏の声は、村川梨衣が演じています。主役の二人の声優とは逆に声優の経歴豊かな彼女が、「月がきれい」の物語の影の側面の演出に一躍買っています。

陸上部部長のイケメン、比良拓海

小太郎と茜の恋路に水を差す存在その2、比良拓海。茜も所属する陸上部の部長で、茜のことが以前から好きな様子。周囲にはとっくに気付かれており、比良と茜はいつ付き合うのかと、かねてから話題になっていました。

第7話で彼や茜・小太郎たちを含むメンバーで遊園地に行った際に、ふたりが付き合っていることを知ります。川越まつりの日に茜に告白しますが、もちろんこちらもきっぱりと断られます。

実はこの比良を演じる声優が、上述した「たまこラブストーリー」で主人公たまこの恋の相手・大路もち蔵を演じた田丸篤志なのです。果たしてこれは偶然なのでしょうか・・・?

「月がきれい」あらすじ紹介!

第1~3話「春と修羅」「一握の砂」「月に吠える」

中学3年生になった安曇小太郎水野茜は同じクラスに。それまで接点のなかったふたりですが、ファミレスでの遭遇運動会での係活動などで交流、少しずつお互いを意識するようになります。運動会当日、御守りにしている芋のマスコットをなくした茜。小太郎がそれを探し出して届けてあげたことで、ふたりは急接近していきます。

LINEで頻繁に連絡を取るようになったふたり。川越まつりに向けて神社でお囃子の稽古を積む小太郎は、短距離走で自己ベストを出したいという茜にエールを送ります。見事自己ベストを更新した茜は、小太郎に報告するため神社へ。名言「月が綺麗ですね」を思い浮かべながら、小太郎は茜に「つき、あって」とぎこちない告白をします。

第4~5話「通り雨」「こころ」

告白への回答が保留されたまま向かう修学旅行。先生のチェックをかいくぐり、ふたりはスマホを部屋に持ち込みます。その夜小太郎は茜に、翌日の自由行動の際の待ち合わせを提案します。ところが返事が来る前に小太郎はスマホが先生に見つかり没収、それを知らない茜は翌日、雨のなかでひとり小太郎を待ちます。やっと会えた小太郎に、茜は――「もっと、喋りたい、安曇くんと」

こうしてふたりは、みんなには秘密のまま付き合うことになりました。しかし、付き合うと言っても一体何をすればいいのか分かりません。検索してみたり、姉に尋ねてみたり、知恵袋に投稿してみたり、相手にLINEしてみたり。そんなある時、茜の友達である西尾千夏が、茜に連絡してきたのです。『私、安曇くんのこと、好きになっちゃったみたい』と。

第6~8話「走れメロス」「惜しみなく愛は奪う」「ヰタ・セクスアリス」

以前から小説を送っていた出版社から、小太郎に呼び出しが。それと同じ日に茜も部活の大会を控えており、ふたりは図書室で一緒に頑張ろうと約束。ところが小太郎は出版社で、純文学には向いていないと言われます。

一方、茜は千夏に、小太郎と付き合っていることを話しますが、返ってきたのは「知ってる」の一言。調子が出ず大会は散々な結果に。さらに、千夏は「わたし、告白していい?」などと言ってきます。

やがて期末試験が終わった小太郎たちは、千夏や陸上部部長の比良拓海を含む9人で遊園地へ。小太郎と茜が付き合っていることをまだ知らない茜の友達たちは、比良と茜をくっつけようとします。

そんななか比良と茜がはぐれ、探しに行く小太郎。やがて二人を見つけた小太郎は、比良にきっぱりと「付き合ってんだ、俺たち」と宣言します。それから小太郎と茜はふたりきりで遊園地を楽しみます。一方、千夏と比良は複雑な心境。

夏休み中の登校日、小太郎と茜が付き合ってるという話はクラス中に知れ渡っていました。その日、茜は小太郎のお囃子の練習についていきます。神社の人から氷川神社風鈴回廊をやっていることを聞き、ふたりも見に行くことに。

そこで小太郎の誕生日が過ぎていることを知った茜は、誕生日プレゼントとして茜のと同じ芋のマスコットをあげます。名前で呼び合い、キスもし、仲を深めるふたり。風鈴の短冊に書いた願いはふたりとも同じ、『ずっと一緒にいられますように』でした。

第9~10話「風立ちぬ」「斜陽」

父親の転勤で、春に千葉へ引っ越す可能性が出てきた茜。小太郎のほうは、進路のことで親と揉める日々が続きます。茜の中学最後の大会の日、茜に断られながらもこっそり見に行った小太郎の前で、茜は13.70秒という自己ベストを出します。その夜、茜は小太郎に引っ越しの可能性を伝えますが、小太郎は茜が受ける千葉の高校を自分も受けようと考えるのでした。

部の最後の思い出にと、川越まつりに部員を誘う比良。しかし、本当はまだ茜のことを諦めていなかったのでした。当日、比良は茜に「好きだった、ずっと」と告白。茜はこれを断りますが、比良と二人でいるところを小太郎に見られてしまいます。喧嘩してしまったふたりですが、茜は小太郎が同じ高校を受けようとしていることを知り、小太郎のもとに走ります。

第11~12話「学問のすすめ」「それから」

千葉の高校を受けることについて、母親と対立する小太郎。しかし、小太郎の本気の頑張りを見た母親は、影で応援するようになります。一方、推薦で受けた茜は見事合格。クリスマスにはプレゼントも交換し合い、いよいよ受験当日。

ところが、小太郎は頑張り虚しく不合格、千夏と同じ公立の高校に行くことに。合格発表の帰り、千夏は小太郎に「ずっと好きでした!」と告白し玉砕。茜は千夏からその報告を受けますが、それを報告してくれなかった小太郎に腹を立て、当たってしまいます。

そのまま迎えた引っ越しの日。友達の勧めで、小太郎は茜との日々を小説に書き、小説投稿サイトに投稿します。タイトルは「13.70」。それを読んだ茜は、「この先はどうなるんですか?」とコメント。小太郎は茜の乗る電車を追いかけて叫びます。「大好きだー!!」

「月がきれい」で追求された描写のリアル

"中学生あるある"を徹底的に描き出す

「月がきれい」でとにかく徹底的に追求されているのが、中学生という微妙で多感な時期の"あるある"。ファミレスで家族と一緒のところを見られたら恥ずかしい、連絡先を交換するのが一大イベント、修学旅行に携帯電話を持ち込む、誰と誰が付き合ってるといちいち騒ぐなどなど、視聴者の思春期を思い出させては心を串刺しにしていきます。

いろいろ調べたのですが、ものの本によると高校時代が「青春」で中学時代は「思春期」なんだそうです。青春時代は、バイトができたり、知恵がついたりと、けっこう選択肢が多くて、行動の自由がある。思春期は、自分に能力がなかったり、学校や家といった枷があったり、そもそも自分が何をしたいのかボンヤリとしかわかっていなかったりする。そうやって悶々と悩んでいる子を描く方が楽しそうだと思って、中学生に決めました。

出典: otapol.jp
既に多くのアニメで描かれている高校生とは違い、さまざまな局面で制約が多いのが中学生。そんな難しい時期の生活を見事に描いたアニメである「月がきれい」は視聴者の心にクリティカルヒットし、作中でたびたび小太郎がやっているように部屋の電灯の紐を殴りたくなる、懐かしくむずがゆい気持ちを湧き立たせます。

キャラクターデザインは「THE 美少女アニメ」を避けて

ある程度企画がまとまってきたところで、今回はアニメーターではなくイラストレーターが描く原案をもとに作ろう、と岸監督と意見が一致しました。いわゆる「THE 美少女アニメ」のような絵柄はちょっと合わないよね、と。

出典: otapol.jp
通常キャラクターデザインはアニメーターが担当しますが、「月がきれい」ではイラストレーターloundrawが担当しています。アニメらしくないアニメを目指す制作陣としては、キャラクターの造形も既存のアニメの文脈とは異なるものにしたいという思いがあったようで、敢えてアニメに関わりが薄いイラストレーターが起用されています。

実際、キャラクターのビジュアルもいわゆる"萌え"系とは趣向の異なるものでしたし、制服や髪色も(一部を除けば)他のアニメと比較してかなり地味な、言い方を変えれば現実にあってもおかしくないようなデザインになっています。そんなところもまた、「月がきれい」のアニメらしくないリアルな要素のひとつであると言えるでしょう。

プレスコアリング方式でリアルな会話を表現

ほとんどのアニメは、完成した動画に後から声優が声を当てるアフターレコーディング(アフレコ)方式で音声が収録されていますが、「月がきれい」はそれとは逆に、収録した音声をもとに動画を作っていくプレスコアリング(プレスコ)方式を採用しています。これにより会話のテンポが自然になり、リアルさを引き立たせることができます。

登場人物の項で少し触れたように、主役のキャストにもベテラン声優ではなく若手の新人声優が起用されています。これは筆者の一考察に過ぎませんが、アフレコに慣れているベテランよりも、敢えてアニメ経験が少ない声優を選んだのではないでしょうか。こうした工夫が、中学生らしいぎこちない会話にリアリティを与えています。

舞台となった川越の街並みを細かく再現

「月がきれい」作中に登場する風景のほとんどは、現実の川越市を忠実に再現したもの。その描き込みようは凄まじく、思わず実写かと見間違うほど。それどころか、オープニングアニメーションには本当に実写画像を加工したものまで使用されています。川越だけでなく、第4話の京都の街並みも高い再現性で描かれています。

なお、作中に登場する風鈴回廊や川越まつりは実在する催しで、氷川神社の風鈴回廊のほうは2017年度は7月1日~9月10日の開催、川越まつりについては2017年度は10月14・15日の開催となっています。もし「月がきれい」の聖地巡礼をするのであれば、これらの開催に合わせて行くといいかもしれませんね。

心の準備ができたら「月がきれい」本編をチェック!

このように魅力たっぷりな「月がきれい」ですが、たびたび書いてきたように、本編にはかなり心に刺さるシーンが多くみられます。制作陣でさえ「皆さんのコンディション次第で感想が変わりやすいアニメかもしれない」と言っているのが、その確かな証です。

これも珍しいことなのですが、実はYouTubeで公式に「月がきれい」第1話が配信されています。その動画を貼り付けておきましたので、心の準備ができた方は、ぜひ一度観てみてください。

・・・いやいや、ここまで読んでおいて観ないなんて言わないでくださいよ。太宰も言ってますよ。「何もしないさきから、僕は駄目だときめてしまうのは、それあ怠惰だ」と。

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