2017.09.13.Wed. 2ヶ月前 みる

妖狐×僕SS結末ネタバレ!第3章のストーリーを完全まとめ!

これは、長い長い時間のお話・・・。漫画『妖狐×僕SS』は、人とは少し違った時間を歩む、妖怪の先祖返りの面々の物語。彼らが住まう妖館を舞台に、彼らの時間は進んでいく。妖怪モノ×主従ラブコメディー漫画『妖狐×僕SS』のストーリーをまとめてみた!

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漫画『妖狐×僕SS』ってどんな作品?

『妖狐×僕SS』は、妖怪の先祖返りである凛々蝶が、自らの悪態癖を直そうと自分と同じく先祖返りである者の住まうマンション『妖館』へと越してくるところから物語が始まる。

SS(シークレットサービス)であり何故か凛々蝶を慕う青年・御狐神とのラブストーリーでありながら、妖館の住人たちと大切な絆を培っていく凛々蝶の成長も見所の作品だ。「先祖返り」である登場人物たちの物語は、「時」や「人生」についても深く考えさせられる。そんな『妖狐×僕SS』のストーリーをおさらいしていこう。

漫画『妖狐×僕SS』ストーリー1:凛々蝶と御狐神との出会い

長い長い時間の物語の始まり

妖館へと引っ越してきた凛々蝶は、引越しの荷物を部屋に運ぶ最中に御狐神と出会う。自分の顔を見た途端「お会いできる日を心待ちにしておりました」と涙を零す御狐神にぎょっとする凛々蝶。御狐神は彼女のSSだと名乗った。SSとは妖館の住人の安全をサポートするボディガードのような者だ。

凛々蝶は「契約していないはずだ」と御狐神を拒否する。すると御狐神は刀を差し出し、何と不要ならば自分を処分してほしいと言い出した。行き過ぎた忠誠心にドン引きする凛々蝶だが、翌日からも怯まず世話を焼こうとする御狐神に、凛々蝶の調子は狂わされていく。
その晩、凛々蝶が妖館に侵入した強盗に狙われたときには、自らの身を挺して凛々蝶を守り、犯人への怒りを露わにした。自分が名家の令嬢だからと怪我までするのかと御狐神に憤る凛々蝶に対し、御狐神は足の爪先へとキスを落とす。

「どこの誰であろうと関係ない」「僕を救ってくれた敬愛すべき恩人」が凛々蝶なのだという御狐神。「どうかお側にいさせていただけませんか」と必死に縋る御狐神に、凛々蝶も「好きにすればいいだろう」と折れる。こうして、ふたりの主従ライフがスタートしたのである。

御狐神のことを受け入れる凛々蝶

御狐神のの病的なまでの忠誠心に辟易としつつも、徐々に心を開いていく凛々蝶。そんなある日の学校帰り、凛々蝶は御狐神が女性とキスするところを目撃してしまう。恋情を諦めるからと頼まれてしただけだというその行為に、凛々蝶は、「情もないのに優しくできるのか」「不誠実だ」と彼を軽蔑する。

過去、自分自身への気持ちではなく、名家である実家への媚びで人に優しくされ空しさを味わった凛々蝶は、御狐神の行為がどうしても許せず、SSの契約も解除してしまうのだった

御狐神と離れたまま学校の懇親会に出席する凛々蝶は、心ない男子生徒からやっかみで「偉そうにしているのは虚勢」「あいつに媚びてんのは金とか家柄が目当て」という陰口を叩く。事実だと受け入れつつも傷つく凛々蝶。その陰口を止めたのは、契約を解除したはずの御狐神だった
凛々蝶への言葉を撤回しろと男子生徒たちに水をかけた御狐神は、「ただ不器用なだけ」「真面目で律儀で誠実で、とてもとても繊細な方」と優しげな顔で凛々蝶のことを語る。彼の言葉を聞いて、凛々蝶は「彼は僕のSSだ」と言い、御狐神の行為の責任をとって自らの頭に水をかける。

濡れたままの姿で新入生代表として壇上に立とうとする凛々蝶に、責任を感じる御狐神。そんな御狐神に凛々蝶は、「天然で体裁を取り繕わないだけ」の人なのだと理解し、家柄や金目当てではなく、自分自身を解ろうとしてくれる人の存在だと知る。

御狐神に押し切られる形ではなく、今度は自分からSSの契約を依頼する凛々蝶。「今度こそ離れませんよ・・・?」という御狐神に、ともに濡れた手で指切りをするシーンが印象的だ。

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漫画『妖狐×僕SS』ストーリー2:妖館の住人との日々

何でも見通す「百目」の助言

凛々蝶と御狐神が無事主従となってからは、妖館の個性豊かな住人たちとの日々が描かれる。自分も美人なのに女体が大好きな野ばらや、テキトーな生き方をしている反ノ塚、食欲旺盛だが何を考えているのかよくわからないカルタなど、凛々蝶たちに負けずとも劣らない個性的な面々だ。

ある日、凛々蝶は、不良になるための修行から戻ってきた渡狸と、そのSSの残夏と出会う。渡狸は喧嘩をふっかけてきただけだったが、残夏は凛々蝶に意味深なことを言い残して去っていく・・・。
そして迎えた翌日。残夏と渡狸は御狐神と旧知の仲であったらしく、とくに渡狸は御狐神にくだらなくも切実な恨みを持っていた。しかし、御狐神は渡狸に対し懇切丁寧かつドライな対応。そんなふたりに残夏は「妖館ウォークラリー」という勝負方法を提示する。

妖館に居るすべての住人従業員からサインをもらって早く戻ってきた方の勝ちというルールだ。御狐神は凛々蝶との休日を死守するため断ろうとするが、凛々蝶は御狐神のために勝負に参加することにする。

かくして開幕したウォークラリーだが、実はこれは残夏が用意した、渡狸がカルタと話すための口実だった。残夏のパートナーに対する優しさともいえるが、しかしそれだけではない、「君はもっと他人と関わった方がいい」という、残夏の凛々蝶に対するエールでもあったのだ。

凛々蝶、はじめての友達

奇しくも残夏のアドバイス通り、同い年で同じ学校のカルタや渡狸と関わりを持つようになる凛々蝶。とくにカルタは女の子同士ということもあり、凛々蝶をお昼に誘ったり連れ回したりと、凛々蝶のはじめての友人という位置づけとなる。

そんなある日のこと、凛々蝶のもとに不審なメールが届く。ストーカーかとも思われたが、小さい頃からそのようなことに慣れている凛々蝶はとくに気に留めない。むしろ、凛々蝶の頭を占めるのは「御狐神と一緒に食事をしたことがない」「得意のコーヒーを入れて彼とお茶する」ということだけだったのだ。

御狐神の側にいると不整脈が起こったり、御狐神と一緒にお茶したいという凛々蝶の、素直なのに鈍感な様子は見ていて愛らしい。しかし、御狐神に秘密にしたいと思うあまり、凛々蝶は御狐神に黙って夜に外出をしてしまう。

凛々蝶の婚約者の登場

酔っ払いに絡まれた凛々蝶のもとに現れたのは御狐神。彼は危険な時間に自分にも頼らずひとりで外出し、あまつさえメールのことも黙っていた凛々蝶に対し「凛々蝶さまをお護りできないのなら僕に意味はありません」と悲しげに言う。

そんな御狐神に凛々蝶は、ずっと自分のことに気づいてくれた御狐神のことに自分も気づきたいのだと思い、他のパートーナーと同じようにもっと距離を縮めたいと感じていたことを告白する。「そのときは無礼講だ」とコーヒーを淹れる約束を取り付けた凛々蝶。

しかし、少しだけ距離が近づいたふたりのもとに、一閃の刃が降り注ぐ。その正体、ひいては不審なメールの主は、蜻蛉という青年。カルタの現契約主であり、凛々蝶の婚約者、そして御狐神の元契約主でもあった。
翌日、「あれはS」「これはM」と言いながら蜻蛉は凛々蝶を様々な場所へと連れ回す。御狐神との約束があるからと断るが、蜻蛉は勝手に約束をキャンセルをしてしまったという。残念がる読者と憤る凛々蝶を尻目に、蜻蛉は結局彼女を夜まで拘束していた。

帰ってから凛々蝶は御狐神にお詫びのメールを送るが、返信がないことに不安を抱く。結局部屋まで赴いた凛々蝶だが、御狐神の「蜻蛉との仲は満更でもないのか」という言葉に傷つき、逃げるように部屋に帰る途中で涙を零すのだ。そこでようやく彼女は自分の中の恋情に気づく

「これは典型的なすれ違いパターンだ」と頭を抱えるシーンだが、御狐神の様子が普段と違うのも確か。なぜなら彼は凛々蝶にとある秘密があり、蜻蛉はそれを知っている。翌朝、御狐神はその秘密について、蜻蛉に交渉を持ちかける。

御狐神の秘密とは?

御狐神の秘密とは、凛々蝶とかつて長いあいだ手紙のやりとりをしていた相手が、蜻蛉ではなく代筆を頼まれた御狐神であるという事実だ。幼い頃から軟禁されていた環境から、自由への野心しか持っていなかった御狐神は、凛々蝶との手紙のやりとりを通して「興味」や「感情」を知ったのだ

さらに、それまで「蜻蛉」という凛々蝶が好む偶像の男性として書いてきた手紙に、はじめて御狐神自身のことを書いてみたとき、凛々蝶に「初めて本当のあなたが見えた気がする」という言葉を送られる。自分自身のことに気づいてくれたのだという凛々蝶への感謝から、御狐神は凛々蝶のSSとなったのだ。
しかし、代筆を頼まれたとはいえ、凛々蝶を騙していたことになる事実を、御狐神は凛々蝶の耳には入れたくなかったのだ。そんな彼の思いを無視して、蜻蛉は凛々蝶に「あの手紙を書いていたのは私ではない」と告げる。

しかし凛々蝶の反応は「知っているが」という意外なものだった。御狐神はまたも凛々蝶が「自分」の存在に気づいてくれたことに感激する御狐神。一方蜻蛉は、「つまらん」と一言いい、凛々蝶とともにエレベーターに乗り込む。

蜻蛉は字が下手だった故に手紙を御狐神に書かせていたことを告白する。これまで面白くも下衆っぽかった蜻蛉が少し可愛く見えた瞬間だ。凛々蝶はずっと心を砕いてきた手紙の主が、自分にずっと気づいてくれた御狐神だったことを知り、涙する。エレベーターで凛々蝶を抱きしめる御狐神は、作中屈指の名シーンだ。

結ばれた凛々蝶と御狐神

そうしてますますふたりの仲が深まった頃に、残夏は先祖返りの息子の小太郎という少年の悩みをきっかけにタイムカプセルを埋めることを提案する。妖館の住人たちが来世の自分へ手紙を書くことになり、凛々蝶も参加することに。

ちょうどそのとき、御狐神宛ての手紙も用意していたために、凛々蝶は間違えて、御狐神への恋情にも似た想いを赤裸々に綴った来世への手紙を、御狐神に渡してしまう。自分の気持ちを知られてしまった動揺から、電話で必死に弁解する凛々蝶。

しかしそこで自嘲気味な御狐神の反応を聞いて、凛々蝶は「少しでも御狐神の勇気になるなら今度は自分が傷ついてもいい」と言葉拙くも「好き」だと告げる。お互い自分が嫌いでありながらも、お互いを想うことによってようやく結ばれたふたりに思わず涙腺が緩んでしまうシーンだ。
主従関係でありながら恋人関係にもなったふたりは、御狐神の凛々蝶への忠誠っぷりはそのままに、甘い時間を過ごすことも多くなった。そんな日々の中、迫る御狐神の誕生日を祝おうとしている凛々蝶に、御狐神は「子供が欲しいんです」という。

動揺する凛々蝶だが、「家族が欲しいんです」と穏やかに紡ぐ御狐神に、ひとりぼっちの幼い御狐神が頭に浮かぶ。寂しくて愛しい彼に、凛々蝶は大事なことだからゆっくり考えたいと返事をする。たくさんの日々を経てふたりで考えようと思っていた凛々蝶たち。しかしこのあと、彼らには悲劇が待ち受けていたのだ

漫画『妖狐×僕SS』ストーリー3:百鬼夜行、始まる

突如終わりを迎える日常

ある夜、カルタが襲われ重症を負った。カルタを襲ったのは、犬神命という少年。犬神に噛まれると先祖返りは自我を失い、ただ暴れるだけの妖怪になってしまう。自我を失いそうな状態となったカルタのもとに現れた犬神を迎え撃つのは、御狐神、蜻蛉、野ばらだ。

しかし相手が先祖返りであるが故に戦い方が限られてしまう3人。そこで頭である犬神を御狐神が相手取る。御狐神は分身を使うことで犬神を追い詰めたのだが、分身を噛まれてしまっていたためにじきに自我を失うことが決定づけられる
それを聞いた御狐神は、万が一にでも凛々蝶を襲うことのないよう、自害を選択しようとする。しかし、そこに凛々蝶が現れる。元凶を倒せば呪いも消えるだろうと、犬神を倒そうとする凛々蝶。形勢が不利になった犬神は、倒れて動けない御狐神へと刃を向ける。

それを庇おうとした凛々蝶だったが、御狐神の分身がさらに凛々蝶を庇った。分身の傷は本体の傷となる、御狐神は最期に「貴女に出会えてよかった」と自身の想いを告げ死んでしまう

胴から離れた首を見て呆然と御狐神の名を呼ぶ凛々蝶が印象的で、胸が痛む。カルタは行方不明、野ばらや蜻蛉は深追いするうちに命を落とした。凛々蝶は見ていられないほど憔悴し、やがて死亡。衝撃的な展開を経て、物語は23年後へと移るのである

漫画『妖狐×僕SS』ストーリー4:来世での凛々蝶たち

凛々蝶と御狐神の再会

先祖返りは何度も生まれ変わり、なぜかその都度同じような人生を歩むようになっている。23年後、生まれ変わった凛々蝶は前世と同じように妖館へと越してくる。そこで、同じく生まれ変わった御狐神と出会うのだ

凛々蝶は前世の記憶を持っていないにも関わらず、なぜか御狐神との出会いに涙を溢し、同じく記憶のない御狐神はその涙に困惑する。前世での出会いでは御狐神の方が感激の涙を流し凛々蝶が戸惑っていたのだから、読者としては、嬉しいような悲しいような気持ちにさせられるシーンだ。

「前」と「今」で混乱する凛々蝶

前世と同じようになぜか凛々蝶を慕っている御狐神に、距離を測り兼ねる凛々蝶。やはり前世と似たやりとり、関係性を保っていたふたりだが、その平穏は突如崩れ去る。妖館の前で凛々蝶は、23年前に唯一生き残った反ノ塚と出会ってしまうのだ。

それをきっかけに前世の記憶を断片的に思い出し、凛々蝶はその混乱で倒れてしまう。目を覚ました凛々蝶のそばにいたのは「現在」の御狐神。朧げな記憶の中で失ってしまった大切なものが、目の前にいる彼なのか、それとも既にそれは存在しないのか。

混乱と恐怖に慄く凛々蝶に、御狐神は「僕が貴女の御狐神双熾です」と彼女を抱きしめる。「今」の御狐神を、前世で失ってしまった御狐神だと思い込んでしまえばいい。御狐神の提案に最初は困惑していた凛々蝶だが、限界だった心はこれを受け入れてしまう。

転生した妖館の住人たち

御狐神との優しくも歪な関係を続けていく凛々蝶は、前世とは少し変わった妖館のメンバーと親交を深めていく。転生後の蜻蛉、残夏や渡狸、カルタは妖館に居るものの、渡狸は記憶がなく、カルタも凛々蝶とは年が離れてしまったため、前世のような関係を築くことはできずにいた野ばらや反ノ塚は妖館にすら居ないのだ。

読者としては前世との違いが新鮮で面白くもあるが、やはりどこか寂しさを感じる。記憶のあるカルタと記憶のない渡狸とのすれ違いや、記憶のある残夏の気遣いに記憶のない渡狸が疑問符を浮かべながらも感謝するシーンは、胸にクるものがある。

元婚約者、友人としての蜻蛉の想い

「今」の妖館のメンバーも「前」と同じように仲がいい。皆で海に来て海水浴を楽しんだり、花火をしたり、肝試しをしたりと夏を謳歌する一同。そんな中凛々蝶は、あらゆる物事について「ただあまり関心がないだけ」という御狐神に、凛々蝶は「なぜ彼が自分に優しくしてくれるのか」という根本的なことを疑問に思い始める

そこへ現れたのが蜻蛉だ。「前」のことを知る面々は凛々蝶のことをそっとしておけというが、蜻蛉にそのつもりはない。凛々蝶に、彼女が愛した御狐神は死んだのだとはっきりと告げる

普段はふざけている蜻蛉。しかし凛々蝶の元婚約者として、御狐神の友人として、やるときはやる男なのだ。初めて明かされた素顔の、セリフ通り御狐神を悼み、そして凛々蝶のことをも想った表情が印象的だ。

現実を受け止めた凛々蝶

蜻蛉に真実を突きつけられふたたび倒れてしまった凛々蝶は、「あの頃に帰りたい」という強い思いから、駆けつけた反ノ塚とともに「袖引き貉」という妖怪の異空間へと引きずり込まれてしまう

現実に帰るには、帰りたいと願う過去と決別しなければならない。躊躇する凛々蝶のもとに現れたのは、「今」のカルタと野ばらだった。友人であるカルタの「淋しかった」という言葉に、凛々蝶は、今はまだ前向きに生きることができなくても、「前」の御狐神や皆のことを思いながらも、昔も今も大事に抱えていくことを決心するのだ。

「今」の御狐神

心を決めた凛々蝶は、「今」の御狐神に「前」の御狐神と約束したコーヒーを淹れて、今までの不誠実を詫びて御狐神との契約を解消した。「今の御狐神」をちゃんと「今の御狐神」として見るために、大切な人たちを今度こそ守るために、凛々蝶は百鬼夜行の意味を解明することを決意する。

一方、契約を解消された御狐神の反応は淡々としたものだったが、本心は誰にもわからない。しかし、彼の本心は実は前世から何も変わっていなかった。今世の御狐神は前世以上に厳重に軟禁されていた。それを救ったのが、前世の凛々蝶の意志を汲んだ蜻蛉の母・菖蒲であった。
前世の凛々蝶は生まれ変わった御狐神のことを菖蒲に託していたのだ。それを聞いて、他人に関心もなく、外に出たいとすら思ったことのなかった御狐神は、「彼女にお礼が言いたい」という気持ちを持つ。これが彼にとっては革命だった。

その気持ちをはじめとして、彼は凛々蝶と過ごしていくうちに、様々な感情を知っていく。経緯こそ違うとはいえ、やはり御狐神は御狐神だった。恨んですらいた前世の自分に成り代わることで凛々蝶にその礼を返せるならそれでもいいと思ってしまうほど、「今」の御狐神も凛々蝶のことを愛していたのだ

前世の御狐神と違って「今」の御狐神が不憫なのは、「今」の凛々蝶が見ているのが前世の御狐神ということである。凛々蝶のためとはいえ、やりきれない淋しさに涙を流す御狐神には胸が痛む。

渡狸と犬神の友情

他方、ついに犬神がふたたび動き出す。記憶を持たない渡狸は偶然にも彼と友だちのような関係になっており、犬神は渡狸を完全に下に見ているものの、ズバズバとものを言い合うふたりは親友同士のように見える。犬神の渡狸に対する言葉も乱暴ではあるものの、百鬼夜行のときのような鋭さは感じられなかった。

しかし、犬神は結局渡狸に別れの手紙を残して消えてしまう。手紙には「もしかしたらこんな人生もあったのかもな」「会えて良かったよ」とあったのだが、彼の意志が覆ることはないようだ。意味深な犬神の手紙に注目だ。

犬神は、先祖返りたちを束ね、凛々蝶との面識もある悟ヶ原思紋のところへと足を運んだようで、渡狸の記憶から犬神の動きを視た残夏に連れられ、凛々蝶たちもそこへ向かう。

御狐神の業

悟ヶ原家に到着した凛々蝶たちを待ち受けていたのは、思紋の側近であるクロエ。犬神に噛まれたアザが出ており、自我を失った状態の彼女の相手を凛々蝶が買って出る。苦戦する凛々蝶のもとに現れたのは、契約を解消して以来会っていなかった御狐神だった。

色々な感情が綯交ぜになって泣きそうになる凛々蝶だが、「泣くなんて勝手すぎる」と御狐神の手を振り払い彼を遠ざけようとする。頑なに前世の御狐神のことを想う凛々蝶に、御狐神は「どうして僕を見てくれないんですか」と崩れ落ちる。

それを聞いて凛々蝶は、自分のことを乏しいといった前世の御狐神と同じものが、今の御狐神の中にも在るのだと初めて気づくのだ。前世とまったく同じ気持ちではないけど、自分を支えてくれた御狐神を守りたい。そんな思いで凛々蝶は、クロエの凶刃から御狐神を庇う

過去へのタイムカプセル

一方、思紋のもとにたどり着いた残夏、反ノ塚、野ばら、渡狸、蜻蛉。思紋は、悟ヶ原家が代々管理している「千年桜」を使って、犬神が23年前に戻ったと話す。千年桜とは、老いず死なない肉体となる代わりに、未練ある過去に実際に帰ることのできる妖怪だ。

犬神が23年前に戻り、ふたたび百鬼夜行を繰り返すことを知った面々。蜻蛉が自らを犠牲に23年前に戻って百鬼夜行を止めようとするが、カルタは「今度はみんなでおじいちゃんおばあちゃんになる」のだと、泣きながら蜻蛉を止める。蜻蛉とカルタの絆の深いやりとりに注目だ。

そんなカルタを見て、事情を知らない渡狸は、過去に手紙を送って過去の自分たちにこの危機を伝えるのはどうだろうかと提案する。今度は来世ではなく、前世にタイムカプセルを送るのだ。
前世の自分たちに手紙が届こうが届くまいが、「今」の自分たちは消えてしまう。しかし残夏は「ボクらはきっとまた生まれる」「ほんの少しだけ眠るだけ」だから、怖がる必要はどこにもないのだと笑う。

一方、怪我をした凛々蝶はベッドの上で意識を取り戻す。付き添っていた御狐神は、「どうして僕を庇ったりしたのですか」と涙を流しながら、凛々蝶に愛しているのだと必死に告げる。そんな彼に凛々蝶は、あの頃の御狐神を愛しているとはっきり告げながらも、「今」の御狐神は自分にとって特別な人だと彼を抱きしめる。

前世の御狐神の忘れ形見のような存在の彼に、「生まれてきてくれてありがとう」と微笑む凛々蝶。その言葉に「もう充分だ」という御狐神は、凛々蝶の前世への手紙を代筆する。ようやく報われた御狐神が胸に残る。

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漫画『妖狐×僕SS』ストーリー5:繰り返される悲劇の終止符

未来から届いた手紙

そして、物語の舞台はふたたび23年前へ。タイムカプセルを埋めようと土を掘る妖館の住人たちは、そこで手紙を見つける。みんなは自分の名が書かれた正体不明の手紙を読み、それが未来からのSOSだということを知る。来世のことを視た残夏から来世のことを聞く者も居れば、聞かない者も居た。

凛々蝶は、来世の自分の気持ちや願いを汲みたいと、事情を聞くことを選択した。感受性の高く繊細な凛々蝶だからこその選択が見所だ。他の住人たちも、絶対に百鬼夜行を止めるという意志をもって、IF世界でカルタが襲われた日を迎える。

しかし犬神は現れなかった。少しだけ気を緩め、穏やかな年末を過ごした凛々蝶たちだが、そこに凛々蝶の父が訪れる。父によると、各地に存在する妖館が襲われているという。百鬼夜行は既に始まっていたのだ

家族との確執を断ち切る凛々蝶

凛々蝶を始め、強制的に実家に連れ戻される妖館のメンバーたち。凛々蝶は実家で両親と妹との会食の場を設けられる。先祖返りである凛々蝶は家族との関係が希薄だ。とくに父については、高圧的な態度と、妹と自分への愛情の温度差から苦手意識を持っていた。

凛々蝶を妖館に戻すつもりはないと言うばかりか、御狐神への非難も述べる父に、凛々蝶は、沢山の人との繋がりの中から色々なことを学んだのだ、だから自分は妖館に帰るのだと宣言する。

家を出た凛々蝶を追ってきたのは凛々蝶の母だった。母曰く、父は「どう接していいか解らなくて素直になれないだけ」「いつも悪態をついては後悔している」のだという。それは凛々蝶にも身に覚えのあることだった。その話を聞いて凛々蝶は、いつかちゃんと話そうと心に決めながら、妖館へと戻るのである。

監禁されてしまう御狐神

渡狸や残夏、カルタ、野ばら、反ノ塚も、実家の制止を振り切って妖館へと戻ってきた。一方、皆が実家に帰っている間ひとり妖館に残っていた御狐神は、以前自由を得る際に利用した、一族でもっとも権力を持つ女性に呼び出されていた。

彼女から妖館襲撃事件、ひいては百鬼夜行の黒幕が悟ヶ原思紋であることを聞いた御狐神は、他の先祖返りの家同様、無理やり実家に連れ戻される。以前にも軟禁されていた御狐神は監禁状態に置かれてしまったのだ。

御狐神を受け止める、凛々蝶の覚悟

御狐神が実家に監禁されていることを悟った凛々蝶たちは、御狐神の救出に向かう。「御狐神くんを救ってあげて」というIF世界の自分からの手紙に、御狐神がしてくれたように自分も彼をちゃんと知って、解放しなければならないと決意する。

知ったら自分のことを軽蔑するだろうと拒む御狐神に、凛々蝶は、かつて御狐神が凛々蝶に放った言葉でもって彼のことを受け入れる。今まで御狐神を知ることに対して遠慮がちだった凛々蝶は、御狐神のことをちゃんと知って向き合うことを決めたのだ。言わずもがなここが見所である。

「もうお互い虚勢はなしだ」という凛々蝶に、御狐神は凛々蝶の悪態癖はもうほとんど治っているのだと教える。凛々蝶も無意識のその変化は、彼女が妖館の皆と、悪態をついて虚勢を張らなくてもいいほどの信頼関係を築いたという証だ。

蜻蛉の死

御狐神は妖館に到着して早速、百鬼夜行の黒幕について情報を共有する。人の思考や感情を悟ることができる思紋は、屋敷から出ることができない。だからこそ、思紋は多くの先祖返りに多くの経験をしてもらい、それを悟ることでその追体験をしたいのだ。

死体からは何の抵抗もなく、その先祖返りの人生を悟ることができる。犬神の目的は、百鬼夜行を起こすことで大量の死体を思紋のもとに運ばせ、その人生を思紋に届けてやることだったのだ。

連絡が取れずにいた蜻蛉はその真実にたどり着いたものの、犬神との戦いに破れ死んだという知らせがきた。いつもぼうっとしているカルタが蜻蛉の死に泣きじゃくるところが見所だ。様々な想いに沈む面々だったが、蜻蛉の死体が運び込まれる隙に、悟ヶ原家に潜入し思紋が黒幕である証拠を掴むことに決める

苦戦する凛々蝶たちを助けたのは・・・

悟ヶ原家に潜入した凛々蝶たちが見たものは、蜻蛉の死体に向かっていく犬神だった。犬神と思紋との繋がりが判明しつつも心のどこかで思紋のことを信じていた面々は、しかし思紋の狂気的な人の人生への執着に言葉を失う。

自我を失った先祖返りを相手取るも、数の不利に苦戦する凛々蝶たち。一方、カルタはクロエとの戦闘中、蜻蛉の棺桶を見て変化を解いてしまう。そのカルタを助けたのは、何と死んだはずの蜻蛉だった。しかも蜻蛉は、全国の妖館の住人たちを引き連れ、数の差をイーブンにまで上げる作中屈指の蜻蛉のかっこいいシーンが見所だ。

犬神の過去

他方、御狐神と凛々蝶は思紋と犬神を追っていた。しかし凛々蝶は思紋に押さえられ身動きがとれず、犬神の凶刃が御狐神を襲う。そこで犬神を止めたのは、渡狸の渾身の叫びだった。一時とはいえ友人だった渡狸の言葉に一瞬気を取られた犬神を、御狐神が貫く。

犬神が思紋に献身するようになったのは、数十年前のことだった。ある日、ふたりは千年桜で軽率にも過去にタイムスリップしようとしまう。結果、犬神だけが千年桜の呪いにかかってしまったのだ。

永遠を生きる犬神に、彼女は犬神の「未練ある時間」となることを決意する。もっとたくさんの物語が見たいという思紋に、犬神は百鬼夜行を起こすようになったのだ。幼いふたりの穏やかな日常が、だんだんと狂っていってしまう切なさが見所だ。

百鬼夜行の終焉

思紋が死ぬたびにその前に戻って百鬼夜行を繰り返してきた犬神。昔とは違う思紋の狂気を含んだ笑顔に、犬神は疲れていたのだろう。気まぐれで思紋の死後の世界に留まり、渡狸と友だちとして過ごしているときに、何もかも忘れて笑っている自分に気づいてしまった

「今」の渡狸が犬神の手をとると、犬神は「消えたんだすべてはifとして」と吐き出す。そんな犬神に渡狸は、「消えてないものもある」とIF世界の自分が犬神から受け取った手紙を掲げる。救いに来たという渡狸に、涙を流す犬神。また生まれる、また会える。そんな言葉を胸に、犬神は息を引き取る。

犬神の死体に触れた思紋は、ずっと思紋のことを愛してくれていた犬神の想いにようやく気づけた。犬神の死に呆然と涙を流す思紋、渡狸と犬神の友情、犬神の献身的な想い、それぞれが見所だ。

百鬼夜行を乗り越えた凛々蝶たちの未来

各々は未来に向けて歩みを進める。カルタと渡狸は遠い未来に想いを馳せ、反ノ塚は何と野ばらに告白。蜻蛉は短命という運命を背負ったクロエと残夏とともに、彼らの運命を変える方法を探しに行く旅に出る。凛々蝶は御狐神とちゃんとした恋仲になった。

IF世界の御狐神を気にかける凛々蝶に、残夏はIF世界の彼らが笑っている姿が視えると安心した顔で言う。さらに、御狐神にそっくりでメガネをかけた、凛々蝶のことが大好きな息子が生まれると予知する。それは、違う形で生まれてくるIF世界の御狐神。彼らはやはり何度でも生まれ、出会うのだ。

生や死を扱いながらも、決して悲観的な捉え方ではない『妖狐×僕SS』。その繊細で、切なくも温かいストーリーは読者の胸にいつまでも残る魅力を内包している。是非とも多くの人に読んでもらいたい作品だ
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