狸と人間が織りなす温かな日常!有頂天家族の名シーン22選!

小気味よいリズムが魅力の森見登美彦の小説が原作で、第17回 文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門 優秀賞を受賞した痛快なアニメです。2017年4月に2期が始まる前に1期のおさらいを兼ねて、おススメシーンをご紹介いたします。

目次

京都を舞台にした昔話ファンタジーの続編に期待!

矢三郎以外の目線で見るともっと楽しめるアニメです。


2013年7月から放送された『有頂天家族』の続編『有頂天家族2 二代目の帰朝』が2017年4月より放送されます。成功祈願の『糺(ただす)の森たぬきの集い』では、多くの人が狸に化けて下鴨神社に集まりました。

今回は2期が始まる前に1期のおさらいを兼ねて、ストーリーをなぞりながら、おススメシーンを紹介いたします。本編は矢三郎の一人称なのですが、記事では他のキャストの視線でも書いてみました。

勝手に解釈して好き放題書いたので矛盾があるかもしれません。まぁそこはそれ、あえて化かされてください。では作品紹介を兼ねて矢三郎のシーンからスタートです。

有頂天家族2PV第一弾!

寄り付くのは虫と私くらいだと赤玉先生は嬉しそうに嘆いておられた。

第1話 グっときた自分が許せないだけではないですか?(下鴨矢三郎)


一介の狸である事を潔しとしない私(下鴨矢三郎:cv:櫻井孝宏)は、天狗に憧れて赤玉先生(如意ヶ嶽薬師坊:cv:梅津秀行)に弟子入りした。しかし最近の赤玉先生は毎日毎日ボーっと腐りきっておられる。

そんな先生の一服の清涼剤になればとセーラー服の女学生に化けてみた。胸のふくらみ、腰のくびれ、ピチピチした体つき。芸術的に完成された化け方なのに先生は「お前の艶姿など見たくもないわ」と怒り心頭である。

空を飛べなくなり、弟子の弁天さま(鈴木聡美:cv:能登真美子)が寄り付かなくなったのがよほど堪えておられるのであろう。弟子に恋をして自分を見失うなんていい歳をして本当に情けない。まるで夢見る阿呆高校生ではないか。

はじめて弁天さまに会ったとき、叶うわけのない恋に落ちた。

第1話 孫娘が爺さまを迎えに来たように見えます。(下鴨矢三郎)


先生の恋文を矢文にして納涼床の弁天さまに放ったあと、一目散に朱硝子へ逃げ込んだ。しかし、たちまち弁天さまに捕まってしまった。『喧嘩なら買うわよ』とすごまれて寿命が縮む思いをしたものの、別れ際の接吻で帳消しになってしまった。

四条大橋まで来ると、弁天さまが軽やかに飛ぶのが見えた。南座の屋根にしがみつく赤玉先生に語り掛けてそのまま、西方へ飛び去った。南座の玄関には残された赤玉先生が立てずに座り込んでおられた。

先生を背負ってタクシーを捕まえた。端から見ると祖父想いの孫娘に見える事だろう。車内で虚勢を張る先生が寂しくもあり、申し訳なくもあり、また羨ましくもあった。

ひとたび雷鳴が轟けば、母のもとへ馳せ参じるのが掟である。

第2話 お願いだからあなたたちだけは鍋にならないで。(下鴨母)


私(下鴨母:cv:井上喜久子)は、矢三郎を連れてビリヤード場へ行ったんだよ。なんでも矢三郎がまた弁天さまと会っていたと聞いて心配でならなかったんだ。どうしても鍋にされた総さん(下鴨総一郎:cv:石原凡)を思い出しちゃう。

ビリヤード場では黒服の王子なんて呼ばれててね、憧れの宝塚のように振る舞ってるのさ。「僕に日影の暮しはできそうにない」なんて言うと喜ばれるんだ。そうこうしてると、また挑戦者がやって来た。受けて立たねば。

ビリヤードを続けていると、いきなり雷様が鳴りはじめたんだ。雷は苦手だよ。化けの皮が剥がれたから一目散に逃げ出したのさ。川に落ちそうなところを海星(cv:佐倉綾音)に助けて貰ったよ。夷川でもあの娘だけは特別だね。

四文字熟語は、ちゃんと使わないと恥ずかしいね。

第2話 でも兄さん。僕、くたばれって言ったよ。(下鴨矢四郎)


僕(下鴨矢四郎:cv:中原麻衣)は、夷川の偽電気ブラン工場で働いているけど、いつも従兄の金閣(cv:西地修哉)、銀閣(cv:畠山航輔)が変な四文字熟語を使ってイジワルをするんだ。悔しいけどこれも修業だ。

雷が鳴って母上が困っているから工場を出たけど、金閣と銀閣が邪魔をしてきた。だけど矢三郎兄さんと矢一郎兄さん(下鴨矢一郎:cv:諏訪部順一)が助けに来てくれたよ。僕も「くたばれ」って言ってやったんだ。トラに化けた矢一郎兄さんは本当に強かった。

でも母上を探す時は、矢一郎兄さんはダメダメだった。なに言ってるのかよくわからない。矢三郎兄さんの方がずっと落ち着いてて立派に見えたよ。他の狸は矢三郎兄さんの事を阿呆だっていうけど、絶対に違うと思うんだ。

矢三郎で遊べるなら、奥座敷を壊しちゃっても構わないわ

第3話 鯨の尻尾が引っぱってみたくなったの。(弁天)


時計台で鯨を待っていると、風神雷神の扇を台無しにした矢三郎が弟と一緒にやって来たの。昨日、夷川の狸たちが来たから来るだろうと思っていたわ。ただ矢三郎を見ると無性にイジワルをしたくなるのよねぇ。

案の定『奥座敷を貸して頂きたい』と頼まれたんだけど、何をさせようかしら。修理した扇で舞って雲を呼んで雨を降らせてみたわ。思ったよりも綺麗に直ってる。少し気分が良くなったから、ただで貸してあげようかしら。

鯨もやって来たから裸で海に飛び込んで、思いっきり尻尾を引っぱってみたの。結構引っぱれるものなのね。あとは送り火の夜に奥座敷を落としちゃえば、矢三郎でもう少し遊べそう。とても楽しみだわ。

食べちゃいたいほど好きなのだもの。弁天さまの声がする。

第4話 叔父上。では、ごきげんよう。(下鴨矢三郎)


五山の宵を楽しむ為に弁天さまよりお借りした奥座敷を納涼船に仕立てました。しかし兄貴は『七福神に化けろ』と五月蝿いし、間際まで煮え切らない赤玉先生をわざとらしく迎えに行かないといけない。いささか不安な出発である。

案の定、弁天さまが夷川の納涼船に乗っておられるので、赤玉先生がご立腹だ。そのうえ花火を撃ち込んできた。昨年は万福丸を焼かれてしまったが、今年はそうはいかない。大筒を持ち出して撃ち返してやった。

「叔父上。では、ごきげんよう」

そして最後には、風神雷神の扇で吹き飛ばして船ごと落としてやった。勝利を確信したその矢先、赤玉先生が燃料のポートワインを飲み干してしまい、奥座敷も墜落して瓦礫となった。さらには風神雷神の扇も失くしてしまった。

『食べちゃいたいほど好きなのだもの』耳の奥で弁天さまの声がした。

さすが、下鴨総一郎の息子たちだ。これから先が楽しみじゃ。

第4話 いい家族だ父親も喜んでいるだろう。(岩屋山金光坊)


わし(岩屋山金光坊:cv:清川元夢)は、五山の送り火の宵に下鴨家の納涼船に招かれた。納涼船とは名ばかりの茶室ではあったが、薬師坊とのんびりと語れる気持ちのよい宴席じゃった。

やはり下鴨家と薬師坊のとなると、偽如意ヶ嶽事件を思い出す。困っておった薬師坊を助けるために、1週間に渡って下鴨総一郎が鞍馬天狗たちを化かしつづけた事件は実に小気味よかった。

下鴨総一郎の話を聞かせると、しんみりとはさせてしまった。それでも息子たちは父が誇らしいようであった。薬師坊は「大した阿呆ではあったがな」と強がって、懐かしそうに飲んでおったよ。

夷川と撃ち合った後は実に清々しかった。最後は薬師坊のわがままで落ちてしまったがね、本当に気持ちのよい家族たちだったよ。

私が姿を見せない理由にいい加減、気づけよ。阿呆狸。

第5話 狸の分際で、あんな半天狗と関わり合いになるから。(海星)


元許嫁の弥三郎が京都へ帰って来てるらしいので、馴染みの古道具屋へ先回りして待っていると、のこのことやって来た。弁天に追われてるからみんなが心配してるのに、呑気に牛丼なんて食いやがって、もう本当に腹が立つ。

箪笥の中から声を掛けると「なんでそんな箪笥に入っている」なんて矢三郎は勝手な事を言いやがる。本当にイライラする。そこへ弁天が来やがった。まずい。矢三郎は達磨に化けたけど、すぐにバレちゃった。まずいなぁ。

弁天は私を見張っていたみたいだった。まずったな。後を付けられていたんだ。矢三郎、絶対に逃げてよ。鍋なんかになるなよ。絶対だよ。心配になって金曜倶楽部の近くまで行ったら、一緒になって美味そうにすき焼きを食ってやがった。あの阿呆め。

狸を愛していて、食べちゃいたいほど狸が好きなんだ。僕は。

第5話 雷が鳴るたびに酷く恐がってねぇ。(淀川長太郎)


祖父と父の後を継いで、布袋(淀川長太郎:cv:樋口武彦)として金曜倶楽部に出席しているんだけど、弁天さんが連れてきた矢三郎君の余興はすごかったよ。まるで狸が化けているみたいだった。彼とは真剣に肉を取り合ったのも楽しかったな。

前に北白川で怪我をした狸を拾って、怪我の手当をした話をしたんだよ。彼はずっと静かに聞いていてくれた。矢三郎君もかなり狸が好きなようだ。ふと考えたけど、もしかしたら彼の芸は狸に教わったのかもしれないなあ

狸を愛してて、狸が好きだから、美味しく食べてみたい。そんなのは詭弁にすぎないな。わかってるよ。だけど僕は、そんな言い訳をしていないと、気持ちの整理がつかないんだねぇ。ただそれだけなんだ。

最後の悪戯に、俺を食う奴と話をしたんだよ。阿呆の血のしからしむところだ。

第6話 せっかくの鍋を台無しにしては申しわけないからな。(下鴨総一郎)


俺(下鴨総一郎:cv:石原凡)は金曜倶楽部に捕まってしまった。どうやら鍋にされてしまうようだ。檻の中でイロイロ思い返していると、痩せた中年男が声を掛けてきた。最期の悪戯のつもりで返事をしてやった。嬉しいことに、期待通り驚いてくれた。

話をするうちに、この男が連れ合いを助けてくれた淀川さんだと知った。命が尽きる前にこの人と会えて良かった。すこしだけ気持ちが軽くなった。せめて淀川さんが、俺を食う事で負い目を感じぬように振る舞う事にした。

やるだけの事はやった。残された日々は天啓だ。儲けものでしかないので悔いはない。ただ、俺が不味くてせっかくの鍋が台無しになっては申しわけない。そう言うと、淀川さんは優しく笑ってくれた。どうやらこの男の重荷にはならなくてすんだようだった。よかった。

食べちゃいたいほど好きなモノを食べたら、好きなモノがなくなっちゃうだもの。

第5話 お月様が欲しいな。ほら、取って来てごらん矢三郎。(弁天)


金曜倶楽部の宴席でやった余興が案外に受けたので、矢三郎を食べるのは先延ばしにできた。残念に思っているのか、喜んでいるのか自分でもよくわからない。どんなに意地悪をしてもこの狸の側にいてくれる。可愛くないわけがない。

宴席を抜け出して、矢三郎を連れて寺町通りのアーケードの上を歩いていると、忘れちゃったはずの、京都に来る前の事を思い出しそうになった。気持ちを誤摩化すために矢三郎に『月を取って来い』なんて言っちゃった。

悲しい気持ちを、丸いお月様のせいにして、赤い紅葉のある屋上へ飛んでいった。矢三郎と布袋さんも付いてきちゃったみたい。押さえきれない涙を隠して、今夜も六道珍皇寺の井戸へ立ち寄った。戻れなくなった昔を思い出すとまた泣けてきた。

俺が別になにか出来るわけじゃない。だから悩み事を井戸に捨てに来るんだろう。

第6話 実のところ俺はわかったような振りをしているだけだよ(下鴨矢二郎)


夜も更けた頃、井の中の蛙である俺(下鴨矢二郎:cv:吉野裕行)のところへ逃亡中の矢三郎が、蛙に化けて飛び込んで来た。こんな事は珍しい。なにか考え事でもあるのだろう。

矢三郎は最初「悩みなど皆無だ」と虚勢を張ってはいたが、ほっとくと勝手に語りだしたよ。金曜倶楽部ですき焼きを囲んだ事、出会った淀川教授の事が好きになった事、弁天さまに惚れた事。矢三郎がこんなに話すのは珍しい。

そこへ弁天さまがやって来て、いつものようにただ黙って泣いた。悩み多き矢三郎は泣く理由がわからないと、悩みをひとつ増やしたようだった。子どもというものは訳もなく泣くものさ」とだけ嘯いた。

軽く手を振る『さよなら』が、本当の『さよなら』になった日を思い出した。

第7話 俺が見た父上の最期の姿だったからだ。(下鴨矢一郎)


赤玉先生を銭湯に連れて行くので、絡繰り人力車で御一緒した。風呂嫌いの赤玉先生をなんとか湯船に入れて一息ついた。そこへ夷川の金閣と銀閣がやって来て、偽右衛門を諦めろと言いだした。そして、とんでもない事を言った。

トラになって金閣と銀閣を懲らしめはしたものの、矢二郎に話を気かねばなるまい。急いで六道珍皇寺の井戸へ向い、矢二郎に父上が亡くなった日の事を聞いた。一緒に酒を飲んで、酔っぱらった父上をそのままにしたのかと矢二郎に聞いた。

矢二郎は「その通りだよ」と言った。なんで違うと言わないんだ。この大馬鹿ものめ。これでは父上が鍋にされたのは矢二郎の責任になってしまうではないか。俺はただただ涙が溢れてきて、井戸のヘリに捕まって声を上げて泣いた。

毛玉といえどずっと一緒におれば愛着もわく。ただそれだけじゃ。

第8話 総一郎に最期に会ったのは矢二郎ではないぞ(如意ヶ嶽薬師坊)


夷川の狸らが、総一郎が鍋になった夜の事を言ったとたん、下鴨の狸たちが血相を変えて銭湯から出て行きおった。あの毛玉どもらめ、師匠の事を忘れて矢二郎のところへ行ったか。阿呆どもめ。

湯冷めしそうになった頃合いに、やっと矢三郎が帰って来おった。やはり総一郎の事で気を煩わせておるようじゃ。険しい顔でずっと黙り込んでおった。大方、矢二郎の責任だと思っとるんじゃろ。阿呆め。

総一郎が冥土に向う前に『朱硝子』で一緒に飲んだ事を話してやると、少しだけ表情が軽くなりおった。単純な奴じゃ。しかしちょっとだけ安堵したわ。こやつの事は総一郎から頼まれたからの。いや、もうそれだけじゃなくなっとるかもしれんな。

またウチの兄貴たちが悪巧みしてる。天狗になるなよ矢三郎。

第9話 レディーに向って尻の話をするな。このドスケベやろう。(海星)


海に星とかいて海星。総一郎叔父さまが付けてくれたこの名前が好き。元許嫁の矢三郎の事も別に嫌ってるんじゃない。だけど私は矢三郎に姿を見せられない。私はとっても辛いのに、矢三郎はそんな事はお構いなしだ。デリカシーの欠片もない。

今日はゆず湯。矢三郎が銭湯に入ったので私も入った。女湯から声を掛けると簡単にノってきた。こうしてると子どもの頃を思い出しちゃう。だけど矢三郎は今日も弁天の話をしやがる。なんであんな半天狗しか見てないのさ。腹が立つ。

だけど私は夷川の娘として、謝らないといけない事がある。だけど言えないんだ。ゴメンな。わたしは名前を呼ばれるたびに、総一郎叔父さんの事を思い出す。そして下鴨家のみんなに申しわけないと思いつづけていくのかもしれない。

僕は父上と兄さんを信頼してるよ。いつも言う通りにやれば大丈夫さ。

第10話 兄さんはこのところ、さえにさえてるねぇ(銀閣)


父上が偽右衛門になる日の朝がきたよ。そのために阿呆な下鴨家の奴らを閉じ込めるのが僕と金閣兄さんの役目だね。まずは矢四郎を騙して倉庫へ閉じ込めたんだよ。なにも出来ない井戸の中の蛙はほっとくけど、矢三郎はちょっと厄介だね。

でもね、父上と兄さんに任せれば大丈夫だよ。僕は信じてるからね。あとは海星なんだけど、あいつは生意気になって困るよ。小さいときはとても可愛かったのに最近はとても乱暴になって、兄を尊敬しない狸に育っちゃった。

きっと矢三郎が海星につきまとっているからに違いない。そう思うと矢三郎がますます許せないよ。絶対に懲らしめてやる。でもその前に、伯母さんを捕まえるために風神雷神の扇で雷様を呼ばないと。

何も言えないのは辛かった。こんな事なら知らなければ良かった。

第10話 叔父さまをお鍋にしたのは私の父なの(海星)


なんとか下鴨神社へ行った。やっと矢三郎が帰って来たから、伯母さんも矢四郎君も矢一郎さんも捕まった事を教えたの。そして、ずっと隠してきた事を矢三郎に言う時が来たんだと覚悟した。雨で冷えた体が少し震えてる。

父が叔父さまをお鍋にした時の事を話した。父は根付けに化けた私に気づかずに、叔父さまに会いに行った。仲直りの立ち会い人だと言って弁天がやってくると、叔父さまの化けの皮が剥がれたんだ。そのまま檻に入れられちゃったんだよ。

誰かの姿を見て、化けの皮が剥がれるのはよくある。知ってる狸にもそんなのがいる。私は全部を見ちゃったから下鴨家に申し訳なくて仕方なかった。ごめん矢三郎。黙ってて悪かった矢三郎。

本当に欲しいモノなんて何1つ手に入らないわ。

第11話 でも殴り込んできたり、しないでちょうだいねぇ(弁天)


様子を見に下鴨神社へ行ったら、矢三郎が夷川親衛隊に囲まれて困っていたわ。放っておいてもよかったけど、お気に入りだから助けてあげたの。でも矢三郎は不貞腐れて全然喋ってくれないの。イヤになっちゃう。

お父さんがお鍋になった時の事を、私が黙っていたのを怒っていたみたい。でもね、人と天狗と狸の間の事だものなにがあっても不思議じゃないでしょ。狸は人を化かすし、人は狸を食べちゃう。天狗は人だって攫うのよ。

でも矢三郎はお気に入りだから、ヒントを教えてあげたわ。矢三郎にはそれで十分でしょう。自分でなんとか出来る狸だもの。教えてあげたのだから、ちゃんと楽しませてちょうだいね。

父上に従っているのは狸界の為だ。少々の犠牲は止むなしだ。

第11話 ゆくゆくは僕が偽右衛門を継ぐのだ(金閣)


去年から明晰な頭脳を使って慎重に組み立てていた計画で、矢三郎を偽竹林亭に誘い込んだんだ。そして一服盛って檻に閉じ込めてやったんだ。これで下鴨家はバラバラだ。尻尾は出ても、手も足も出まい。

部屋に閉じ込めた海星を、なだめようとして電話を掛けたんだけど罵倒されてしまった。兄ちゃんは傷つくよ。それもこれも下鴨家とりわけ矢三郎のせいだ。だから檻に閉じ込めてやって、積年の恨みを晴らしてやるよ。そして、これからの狸界は夷川が仕切っていくんだよ。

しばらくすると、偽竹林亭が大きく揺れた。何ごとだと思ったら、店ごと走り出してる。マズイぞ。なんかマズイ。銀閣の化けの皮が剥がれたと思ったら偽叡山電車の中だった。マズイよ。どうやら矢二郎にやられたらしいよ。

お父さんも好きだった偽叡山電車。矢二郎兄ちゃん。僕も楽しかった。

第12話 こっちに向って口を開けて(矢四郎)


海星姉ちゃんが倉庫から助けてくれた。海星姉ちゃんは竹林亭に行って矢三郎兄ちゃんを助けろって言うけど無理だ。金閣と銀閣にやられちゃう。グズグズしてたら「尻尾をしまって、はやく走れ」と、海星姉ちゃんに投げ飛ばされちゃった。

矢二郎兄ちゃんのとこへ行って、無理に偽電気ブランを1瓶飲ませちゃった。蛙だった兄ちゃんは偽叡山電車に化けたよ。やった。そのまま竹林亭に突っ込んで矢三郎兄ちゃんを助けて、金閣と銀閣を捕まえてやったんだ。次は矢一郎兄ちゃんだ。

茶釜エンジンを使って偽叡山電車で鴨川の上を飛んだら、みんな驚いてて面白かった。そして金曜倶楽部に突っ込んでメチャクチャにしてやったんだ。楽しかったよ。僕もやっと阿呆になれたみたい。

毛玉に呼ばれて、待たされて、弁天の気移りを見せられた。散々じゃ。

第13話 わしはお前らを軽蔑しておるのだ(如意ヶ嶽薬師坊)


毛玉どもに泣きつかれて立ち会いとして仙酔楼までやって来たが、全く話が進んでおらん。そのうち、夷川が騙したの、総一郎が鍋にされたとか、金曜倶楽部がどうの、何やら騒がしくなってきおった。もう我慢の限界じゃ

襖を開けると、弁天が男に抱きついておる。人の分際で弁天に恋慕するとは度し難い。えぇい一切合切吹き飛ばしてくれるわ。金曜倶楽部の奴らも散り散りじゃ。おぉ毛玉がタンポポの綿毛のように飛んでいくわい。

ずっと吹き飛ばして歩き回ったが、いささか飽きて来た。そろそろ辞めたいのじゃがどうしたもんか。そんな時に弁天が「お家へかえりましょ」と言うので、顔を立ててタクシーに乗ってやったわ。

ただ生きて、ただ楽しく過ごすことができればそれでいいではないか。

第13話 取り立てて願う事もないですな(矢三郎)


正月ともなると、下鴨神社は初詣で大賑わいだ。鞍馬天狗も来てるし、赤玉先生も弁天さまと連れ立って来てる。夷川の連中も来てる。この中には人だけでなくどれほどの天狗や狸がいるんだろう?

背後から感じる海星の気配と少しだけ話をした。父上が鍋になった日の事を泣きながら話してくれたあの日から、海星の姿を見たくてたまらなくなっただけど「あんたには見つからないよ」と言い残して海星の気配が消えた。

賽銭を転がして手を合わせていると、右隣に弁天さまが立っていた。「何を願うの?」と聞かれたが思い浮かばない。狸である俺はすでに満足しているのかもしれないと思った。では人は一体何を願うのであろうか?

狸が好きというよりも、狸の生き方に憧れてしまいます。

モニタの向こうの毛玉たちに化かされてしまってください。


鍋になって食われる危険があっても、楽しく暮らす狸たちの生き方に憧れる人は結構多いと思います。弁天の様な力を羨ましく思う人もいることでしょう。本当に魅力的なキャラクターばかりです。もちろん悪役である夷川も含めて。

そう感じた瞬間に、モニタの向こうから心の隙間に入り込まれて、すでに化かされているかもしれないと思いました。たとえば海星は姿を現さない理由を続編で明らかにするのですが、かなり健気過ぎです。惚れちゃいそうです。

弁天も続編を読むとアニメだけの印象とは少し変わります。今回の記事はネタバレにならない程度に、続編を踏まえて書かせていただきました。気になった方は是非アニメをご覧ください。結構なボリュームですけど原作もおススメです。

今回も最後まで読んでいただいて本当にありがとうございました。

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