シュールの極み!サルバトール・ダリの作品で異世界へGO!\t

シュールレアリズムを代表する画家ダリの作品を、レベル別に分けて紹介します。初級編では有名で一度は見たことのあるようなもの、上級編ではあまり知られていないユニークな作品を紹介します。

この絵を見たことありますか?


時計がとけてる(ダジャレかな?)……。この不気味だけどなぜか気になってしまう作品……小学校の美術の教科書などで一度は見たことある方も多いはず。独特な作風のダリの世界へようこそ!

ダリってどんな作家?

ダリは1904年5月11日、スペインのカタルーニャ地方フィゲーラスで、裕福な公証人サルバドール・ダリ・イ・クシ (Salvador Dalí i Cusí)の息子として生まれた[1]。母親フェリパ(旧姓ドメネク・フェレス)も富裕な商家出身で、一族は自らをユダヤ系の血筋と信じている

出典:https://ja.wikipedia.org

ダリはスペインの裕福な家庭に育ち、わずか6歳の時に油彩風景画を書き始め若くして才能を発揮しました。しかし、ダリが鬼才と呼ばれる所以はそれだけではありません。彼は絵画だけに留まらず、彫刻、版画、舞台装置や衣装のデザイン、映画製作にまで携わり、その多彩な才能をあますところなく生かしました。

ダリをスペインが生んだ20世紀を代表する最も多才な芸術家と評すのも頷けますね。

1930年代はパリを中心としてシュールレアリズム(超現実主義)という芸術運動が盛んでダリもその運動に参加しました。その運動の中で書いた「記憶の固執」はダリの作品の中でも特に有名になりました。一族はダリを含め、ユダヤ人だと信じていたこともあり、作品にも影響を及ぼしています。

また、ダリの芸術家としての成功の陰には妻ガラテアの存在がありました。ダリ自身も「私の全ての絵画はガラの血で書かれた」といった言葉を残すほどに重要な存在だったそうです。
ちなみにガラテアという名前は神話の中の水の精を意味するそうです。

ダリを知るにはこの作品から!

誰もが知っている記憶の固執


ダリの作品と言われて真っ先に思いつくのがこの「記憶の固執」(または記憶の固執)ではないでしょうか?私も中学校の美術の教科書で見かけた記憶があります。溶けるはずのない時計がぐにゃぐにゃになっているのを見て最初は衝撃を受けました。

溶けている時計がとても印象的なこの絵ですが、ダリによると妻のガラがキッチンで食べていたカマンベールチーズの溶けていく状態から着想を得たそうです。

鬼才は日常の何気ない一場面から後世に残る名作を生み出したんですね、

ちなみにこの絵の背景はダリの故郷カタルーニャからインスピレーションを受けているそうです。

この絵ではダリの柔らかいものと硬いものへの執着が表されています。これはダリの芸術哲学の中心であり、その両極への執着が一枚に表された絵になっています。

ダリはこの絵を書く前年に偏執狂的批判的方法というものを確立したそうです。聞きなれない言葉ですが、偏執狂的批判的方法とは「あるものがダブって見える状態を視覚化」した表現だそうです。

つまり、ダリには進行する時間と溶けていくカマンベールが同じに見えたというふうに言われています。また、この絵には複数のバージョンがあるほどダリ本人も気に入っていたようです。

球体のガラテア

ダリは原爆が初めて投下された後に原子物理学に興味を示し始めます。

この絵は物質は原子で構成されており、決して互いにまじわうことはないと知ったダリがその現象を表現しようとした作品です。

妻ガラテアの胸から上が球体によって描かれていて、奥行きを重視した構成になっています。

それにしてもなぜ自分の妻の顔を球体で表現しようとしたのでしょうか。。。

さらにシュールな中級編!

ナルキッソスの変容

この作品はある少年に関するストーリーを表現しています。

ナルキッソスはギリシア神話に登場する美少年のことで言い寄ってくる女性たちにひどい仕打ちをしていたようです。

そんな彼の行動を見かねた神様はナルキッソスを湖に呼び出すことにしました。湖の水面に映る自分自身の顔を見てナルキッソスは一瞬で恋に落ちてしまいますが、もちろん水面に映っているだけなので、触ることは一切できません。最終的にナルキッソスはこのことが原因で欲求不満になり死んでしまいます。

私もこのエピソードを聞いたときはあまりにも非現実すぎて頭に入ってきませんでしたが、まあおとぎ話ですから、、、。

ちなみにこのナルキッソスのエピソードは有名で他の画家の絵の題材になっています。

彼が死んだ後、湖には水仙が咲きました。

絵では左が湖面を覗き込むナルキッソスで、右が手に持った卵から水仙が生えてくるシーンを表しています。

この作品ではナルキッソスが美少年だったとはとても思えませんが、非常に手が美しく描かれているのでダリ的にも美少年のイメージがあったのではないでしょうか……!

聖アントニウスの誘惑

この作品の題材となっている聖アントニウスは修道士の元祖とされる聖人で、3世紀ごろのエジプトで生まれたと考えられています。

アントニウスは20歳になると自身の全財産を捨てて、砂漠にこもって修行に励みます。
アントニウスが修行をしていると、悪魔が彼の目の前に次々と現れ、幻覚を見せアントニウスを誘惑しようと試みます。

そのシーンがこの作品になっていて、左に描かれている裸の男性は砂漠で修行するアントニウスです。悪魔が目の前に現れ誘惑と戦っている状況です。

同じシーンを切り取った作品はいくつかあるのですが、画家によって全く雰囲気が変わっていてそれぞれの世界観がうまく表現されていると思います。

中央に描かれている馬はその強さを、象は欲望を表しているそうです。手前の象の上には裸の女性、2番目の象の上にはオベリスク、3番目の象の上にはベネチアの大枷藍、そして遠方の象の上には雲の上までそびえ立つ塔が描かれています。

2番目の象の上のオベリスクはかの有名な画家、ベルニーニの作品に影響を受けたと言われています。

また、そびえ立つ塔は男根をイメージしているとかなんとか。。。

なんとも不思議な印象を受ける絵ですね。

もはや妖怪!上級編!

大自慰者


題名のインパクトが強いこの作品は記憶の固執と同時期に制作された作品です。

中央に描かれている俯いて目を閉じている顔はダリ自身の横顔です。この横顔はダリの故郷、カタルーニャの海岸の岩をイメージしているとも言われています。

また、この自画像は「記憶の固執」で中央に描かれている白い生物と同じものです。同時期に制作されたため、作品を超えた共通点があるんですね。
さらに、その後に制作された「記憶の固執の崩壊」ではさらに溶けた状態で描かれています。

同年は妻のガラテアと出会った年です。そのため、ガラテアの顔が岩の後ろ側に描かれています。頭がガラテアがくっついているのはダリがガラを思って自慰しているシーンを表現していると言われています。

また、ダリは父親によって梅毒の患者の写真を見せられていたため、幼少期から性に対して不安や緊張があったと言います。そのためか、右上に描かれているダリの太ももから血が流れています。

中央下に描かれているイナゴもダリの緊張を表していると言われています。それはダリがイナゴ恐怖症だったため、パニックに陥った状況を表すためにイナゴを使用していたためです。

燃えるキリン

「燃えるキリン」はダリが1937年に制作した作品です。中心になっている青い女性が特徴的ね絵ですね。

深い青空と夕暮れが同時に描かれたような不思議な雰囲気を持つこの絵ですが、女性の背景にはタイトルの通り、燃えているキリンが歩いています!この燃えるキリンはこの作品に限らず、複数の作品に登場します。

ダリによると、これは宇宙の終末論を表現するモンスターと言います。ダリは当時、戦争を予感していたそうです。

絵の手前には二人の女性が描かれおり、一人の女性は体に埋まった引き出しが開いた状態になっています。体に引き出しのある女性とは見慣れない光景ですが、これもダリの複数の作品に登場します。こちらは女性の潜在意識を表現したものだそう。

描かれている女性二人共に背中から杖のようなものが何本か生え、体を支えており、後ろの女性は肉のような物体を抱えています。

後ろの女性の引き出しは空いてない代わりに、手前の女性の引き出しよりも数が多いですね。。。

ダリの作品はシュールレアリズムの代表として今も語り継がれる!

ここまで誰もが知っているような超有名な作品からかなりマイナーでなかなか理解できない不思議な絵までを何枚かお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?

見慣れていた「記憶の固執」も改めてじっくり見直してみると、ありえない光景ですよね。
学校の授業では軽く紹介されただけでしたが、実際にはダリの概念や人生が大きく反映された一枚なんです。

今回はダリの作品から6作品を選んで紹介しましたが、他にもまだまだ面白い作品がたくさんあるので是非調べてみてください!

まずダリの不思議な世界観を楽しんでからその絵に込められた意味を知ると二度楽しめるのでオススメです。

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