ハリウッドこそが『シン・ゴジラ』を生み出した!受け継がれる魂を辿る

2016年世間の話題をさらった『シン・ゴジラ』。日本では12年ぶりのゴジラ完全新作が製作されたわけですが、その背景にはハリウッドの存在が不可欠だったのです!これまで、そしてこれからのゴジラの系譜について振り返ってみましょう!

2016年の超大作といえば…

リアルな恐怖が印象的だった『シン・ゴジラ』!

2016年は日本映画史の記録に残る年だったといえるでしょう。圧倒的な興行収入で世界中で話題となっている『君の名は。』や、様々な方面から注目を集めている『この世界の片隅に』など、アニメーション映画の功績が非常に目立ちました。

しかしその中でも異彩を放ったのがリアリティを突き詰めた実写映画の頂点『シン・ゴジラ』です。私も公開からすぐに劇場へ見に行きましたが、かなりの衝撃を受けたことを鮮明に覚えています。みなさんも見に行かれたでしょうか?

次々と移り変わるシーン、ゴジラが生活に迫ってくる恐怖が印象的でした。東京・神奈川で生活している身としてはよりリアルに感じましたね。

数々の映画賞やコラボで注目

この映画はそのクオリティが評価され、第41回報知映画賞、第90回キネマ旬報ベスト・テン第二位、第40回日本アカデミー賞優秀作品賞、第71回毎日映画コンクール日本映画大賞などなど、錚々たる映画賞を数多く受賞しました!

また、総監督・庵野秀明氏が同じく総監督を務める『新世紀エヴァンゲリオン』とのコラボや、ソフトバンクのCM、さらには年末のNHK紅白歌合戦でのまさかのコラボでも大きな注目を集めましたよね!

このように日本に大きな影響を与えた映画『シン・ゴジラ』。この作品は一体どのような経緯で製作されることになったのでしょうか?今作のキャッチコピー「現実<ニッポン>対虚構<ゴジラ>」に秘められた意味とは何なのでしょうか?

そもそも「ゴジラ」とは何者なのか?

人間の愚かさが生んだ怪獣王

ゴジラシリーズは1954年、第二次世界大戦の終わりからたった9年後に製作された映画『ゴジラ』に始まります。この作品では、ゴジラは人間の核実験によって怒りとともに地上に現れた生物と設定されました。それを踏まえ、作品には当時の世相が色濃く反映されています。

組織されたばかりの自衛隊の出動や、「また疎開か」などというセリフから見える、つい9年前まで日本で戦争があったのだという生々しさにハッとさせられます。

当時の映画はもちろん白黒な上、特撮技術もまだまだ開拓中の時代でした。そんな中起用されたのが日本特撮映画の父・円谷英二でした。当時としては革新的な映像のクオリティで大評判を呼び、映画館には大行列ができるほど。そして彼の映像はたちまち世界に名を轟かせたのです!

定番シリーズとなったゴジラ

初代ゴジラにはこのように「反戦・反核・反米」のメッセージが強く刻まれていたのですが、そのヒットを受けて続編が製作され、ついにシリーズ化されていきます。その過程で、段々と子供向け人類の味方という存在に変わり、当初の恐怖の対象というイメージは薄れていきました。

初代から30年目となる『ゴジラ(1984年)』からはまた人々に恐怖を与える存在として活躍する場面も増え、また他の怪獣との対決という流れも好評を博しますが、50周年となる2004年の第28作目『ゴジラFINAL WARS』で一度ゴジラシリーズは幕を閉じることとなりました。

ハリウッドが「日本のゴジラ」を目覚めさせた!

進化した映像が再びゴジラに火をつける


そんな中、米映画製作会社レジェンダリーが、ハリウッド版ゴジラを制作することが発表されました!日本のゴジラシリーズ終了から10年となる2014年、いままでのどのゴジラよりも大きく、フルCGとなった「GODZILLA」が生み出されることとなったのです!

その迫力、映像美は流石のもので、かつストーリーもおもしろい!「災害」のようにふるまう圧倒的な強さを持つ「怪獣王」の復活に、世界中が大注目しました。特に放射熱線を放出するシーンは、劇場で見ていて鳥肌が立ちました…。

実は以前にもハリウッドでゴジラが製作されたことがあるのですが、あまり評判はよくありませんでした。しかし今回のゴジラは日本でも受け入れられ、むしろ近年の東宝版ゴジラよりも多くの観客動員がされました!

まったく新しいゴジラを日本で!



このハリウッド版ゴジラの盛り上がりを見た東宝は、まだまだゴジラが求められていることを再確認し、あるいはアメリカに負けていられないと思ったのでしょうか、完全新作となる「日本のゴジラ」の制作に取り掛かります!

今度のゴジラはハリウッドのゴジラよりもさらにデカい!そしてフルCGを採用しました!さらに、再びゴジラを徹底的に恐怖の対象とすることになりました。こうして製作されたのが『シン・ゴジラ』だったのです。まさに、ハリウッドによって日本のゴジラに火がつけられ、あの大作が生まれたのだと言えますね。

『シン・ゴジラ』がヒットしたわけ

リアルと恐怖の追求



そのような経緯で作られた『シン・ゴジラ』。そのヒットのわけは、徹底的なリアリティにあるのではないでしょうか。登場人物の動きや描かれる世界は、もし本当にゴジラが現れたらどうなるのかを綿密に考察して描かれたように思われます。政府がどのように動き、どのように判断するのか、少し情けない役所仕事など、見てて興味深いシーンばかりです。

また、ゴジラが形態変化するということを事前に知らされないまま、不気味な第二形態の登場でギョッとさせられます。このような演出で、観客が映画内の人々にリンクして衝撃を受け、引き込まれていく効果もあるのだと思いました。

何よりも怖かったのが中盤でゴジラが都心を破壊しつくすシーンですよね。1954年の第1作に原点回帰した絶望の描写が、むしろ新鮮な驚きを与えてくれたのではないでしょうか?

今の日本だから描ける作品

1954年の第1作『ゴジラ』は、戦後間もない被爆国・日本の核実験に対するアンチテーゼという側面もあることは既にお話ししました。ゴジラは核の化身なのです。そんなゴジラを通して我々が避けて通ることができないものがあります。

2016年のゴジラは、2011年の東日本大震災・原子力発電所事故を経た日本が作った最初のゴジラです。そのため、映画の特に最終局面では原発に対峙する人々をほうふつとさせるシーンがいくつもありました。

今の日本がゴジラを通じ伝えるべきこと、ゴジラから受け取るべきことを考えた中で、この映画はある種の評価を得たのではないでしょうか。災害や紛争に巻き込まれたら…という現代社会の不安に真っ向から向き合うのが、「現実<ニッポン>対虚構<ゴジラ>」という意味なのだと思います。

さらに新たなゴジラが製作中!

今度はゴジラがアニメで?!



『シン・ゴジラ』の考察に浸っているばかりではいられません!実は今年2017年、ゴジラがアニメーション映画として公開されます!公式に発表されているのは未だコンセプトアートと一部のキャストのみですね。

『GODZILLA』は豪華声優陣をキャストにそろえ、脚本は『魔法少女まどかマギカ」などで有名な虚淵玄氏を起用。鬱展開が得意と言われる脚本家さんですが、果たしてどんなゴジラになるのでしょうか?今後公開されていく情報も要チェックですね!

一度は停滞していたゴジラの物語も、次々と新たな試みがされてきてとても楽しみですね!

ハリウッドでも続編を計画中!

そして日本にも大きな影響を与えたあの2014年のハリウッド版ゴジラですが、こちらにも続編が作られるという情報が出ています!しかも、2020年までに三部作として公開されるとみられています!

二作目は2019年公開予定で『Godzilla: king of monsters』という題がつけられています。おそらく日本でもなじみのある他の怪獣との対決ものになるのではないかと思われます!

そして三作目は、今年2017年公開予定の『キングコング』に登場するキングコングとの夢の対決を描く『Godzilla vs. Kong』が2020年に公開されるようです!日本のゴジラももちろんですが、あのハリウッドの大迫力なゴジラがさらに進歩した映像はとても気になりますね!

「ニッポン対ゴジラ」はつづく

新たな時代を作ったハリウッド&シン・ゴジラ

以上のように、ゴジラシリーズは今新たな局面を迎えています!『シン・ゴジラ』は非常に魅力的な作品でしたが、他にもたくさんのゴジラシリーズがあるので、興味があったら皆さんも是非チェックしてみてください!

今まで人知の及ばない完全生物であったり、人類を守るヒーローであったり、アメリカに上陸したりと様々なゴジラが生まれてきましたが、このように1体の生物についてたくさんの作品が作られることって他にはないんじゃないでしょうか?それだけゴジラというキャラクターが愛されているということですね!

今後の作品にも注目必至!途切れつつもせっかくここまで続いたシリーズですから、今後10年20年はもちろん、100周年(2054年)までその活躍が見られたらと思うと、今からワクワクしてしまいます!

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