ヤマタノオロチの意外な正体とは?闇に葬られし古の怪物!

八つの首、八つの頭、巨大な体。日本神話に登場する怪物の、本当の姿を追っています。隠し子疑惑のスクープも紹介!

そもそもヤマタノオロチの伝説とは?

スサノオノミコト誕生

この物語は、一人の乱暴者の暇つぶしから始まった-

昔々あるところに、不満を言いまくっている若者がいました。「お母さんは死んじゃうし、お父さんは怖い。お姉ちゃんだって冷たいし…。あー、オレって不幸。」この若者を須佐之男命(スサノオノミコト)といいます。(長いので、以下スサ君。)

スサ君の言う、お母さんとお父さんは、母:伊邪那美命(イザナミノミコト)・父:伊邪那岐命(イザナギノミコト)のこと。混沌とした世界から、日本の大地を作った偉大な神です。

お姉ちゃんとは天照大御神(アマテラスオオミカミ)。太陽神や自然の神ともいわれる、日本国民の総氏神。皇室の祖神、つまり天皇家のご先祖様だという説もあります。

嵐の神、自分の力に気付く

出典:https://www.pakutaso.com

ある日、父は三兄弟に使命を下しました。「天照は、太陽を守れ」。「月読は、月を守れ」。「スサノオは、海と大地を守れ」。天照と月読は、それぞれ天へと旅たち、スサ君は大地に留まります。

スサ君は、大地に座り海を見渡していました。つまらんな。暇だ。暇すぎる!」とイライラしていると、海が荒れだしました。雲がわき、暴風が吹き、叩きつけるように雨が降ってきます!

「おお。なんだ?楽しいぞ!」もっとやれ!とはしゃいでいたところに、父の登場。「コラー!!なんてことをしているんだ!」鬼の形相で怒っています。楽しみを奪われたスサ君、今度は「お母さんに会いたい。」と無茶を言い始めます。

「お前の母は、死んで冥界にいるんだ。会える訳がなかろう。」父は、スサ君をたしなめました。

実は、父も妻に会いに一度冥界を訪れています。その時に大変怖い思いをしているので、スサ君に同じ思いを味合わせたくなかったのです実は、優しいお父さんなのでした

お姉ちゃんとの姉弟喧嘩

『天照大御神』 #天照大御神 #天岩戸神社 #天安河原 #宮崎県 #高千穂 #神話

山口 敏彦さん(@toshihiko.yamaguchi)が投稿した写真 –

それでもお母さんに会いたいスサ君は、勝手に旅立ちます。「そうだ。お姉ちゃんに、お母さんに会いに行くことを自慢してやろう。」と天へと向かいました。

その頃、天では… 「なんという乱暴者に育ってしまったのだろう。」と、天照はスサ君のことを恐れていました。そのスサ君が天へと向かってきています。天照は、天を守るため戦闘を決意しました

天へ着いたスサ君、鎧を着ているお姉ちゃんに驚きました。「なにかあったの?」と、スサ君は、お姉さんに問います。予想外の質問に天照もビックリです。

「あんたが、襲ってくるかと思ったから…」とつぶやいた瞬間、スサ君大激怒です。「そんなことしないよ!なんてことを言うんだ。信用してよ!」つばを飛ばしながら、怒っています。

怒っているスサ君を、何とかなだめ「しばらく天で休んでいきなさい。」と、優しい声を天照はかけました。スサ君は、しばらく天界での生活を楽しむことにします

やんちゃが過ぎた殺人事件

#天安河原 #やばかった #天岩戸

天照 シゲナリさん(@amaterasu_s)が投稿した写真 –

ここでも単調な平和に、飽きてきたスサ君。色々ないたずらをして楽しみ始めました。その行動がエスカレートして、大切な侍女が死んでしまいます。天照は怒りました。「信用しなかったことを悪いと思ってかばってきたけれど、これはダメだわ。」

スサ君に暴力は通用しないと思った天照は、天岩戸に引きこもってしまいます。すると、空に輝いていた太陽は消え、周りは真っ暗になってしまいました。

困ったのは、スサ君ではなく周りの神々です。なんとか、苦労して天照を引きずり出しますが、神々の怒りは収まりません。スサ君に、髭と爪と切るという罰を課し、天から追放しました

乱暴者の暇つぶし



天から追放されたスサ君。ぼやき始めます。この記事冒頭に出てきたセリフは、お母さん、お父さん、お姉ちゃんへの不満でした。”自分は悪くない!周りが悪い!全部人のせいだ!“あなたの周りにも、こんな人いませんか?

スサ君は、お母さんに会いに行くという目的も忘れ、文句を言いながらブラブラ歩いていました。すると、老夫婦が抱き合って泣いています。暇を持て余していたスサ君「どうしたの?」と声をかけます。老夫婦は泣きながら話すので、時間がかかりましたが、なんとか事情は分かりました。

要約すると、“夫婦には、八人の美しい娘がいたが、年に一度、恐ろしい怪物が娘を食べにくる。今年もその時期がやってきたので、とうとう最後の娘まで餌食にされてしまうのが悔しくて泣いていた。”という。

力自慢のスサ君は、いい暇つぶしになると思ったのでしょうか?怪物退治を提案します。「退治してあげるから、娘を嫁にちょうだい。」老夫婦は、喜びました。怪物を退治してくれる上に、娘がヒーローの妻になる!大感激です。

八岐大蛇へインタビュー

その頃、別の場所では轟音が鳴り響いていました。ん?いびきのようです。寝ているようですね。ちょっと見てみましょう。

山のような体が、轟音に合わせて揺れています。その巨体には、草木が生い茂り、そこから八つに分かれて首が生えています。その一つの首にインタビューしてみましょう。

「すいません。自己紹介をお願いします。」首の中の一頭が起きました。目は鬼火のように真っ赤に光っています。ここでひるんではいけません。もう一度自己紹介をお願いしました。

「突然起こすな!」と怒りながらも答えてくれます。「私たちは、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)と呼ばれている。八つに分かれた首に、八つの頭脳。それぞれ考え方も性格も違う。だが、体が一つなので、一体だと思われているらしいな。失礼な話だ。」

それだけ言い終わると、また眠りについてしまいました…。

酔わせて寝込みを襲っちゃえ!

スサ君と老夫婦は、ヤマタノオロチ退治の準備に取り掛かっていました。「オレは、力には自身があるが、怪物退治に時間をかけたくない。酔わせて寝首をかこう。」「強い酒を造って、八つの樽に分けてスタンバイしておいて。」面倒なことは、自分でしたくないスサ君は、相手が老人でも関係なく命じます。

強い酒をそれぞれ八つの場所に用意して、ヤマタノオロチを待っていました。その間に娘の姿を櫛に変え、スサ君は自分の髪にさしました。これで娘は見つかりません。

間もなくヤマタノオロチはやってきました。巨体の上に生えていた木々たちが揺れ、地響きを立てながら山が襲ってくるようです。スサ君たちは隠れてスタンバイ中です。

首の一つが気付きました。「酒じゃないか?この匂いは酒だ!」違う首も気づきます。「こっちにもあるぞ!」八つの首はそれぞれ分かれて、美酒を堪能しました

三種の神器、一つを発見

八つの首は酔いつぶれ、轟音を立てていびきをかき始めました。スサ君は、素早く八つの首を切り落とします。ヤマタノオロチは、あまりの素早さに、自分が斬られたことを感じなかったかもしれません。

その時、スサ君は自分の剣が欠けているのに気付きました。怪物の体を調べてみると、尾の部分に一振りの剣が入っています。その剣を草薙の剣(くさなぎのつるぎ)又は、天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)といい、三種の神器の一つに数えられています

無事に怪物退治を成し遂げたスサ君は、老夫婦の娘:櫛名田比売(クシナダヒメ)と結婚した。私としては、こんな乱暴者で、わがまま・自分勝手なスサ君と結婚した、クシナダヒメが心配です。

UMA?ヤマタノオロチは実在した?

世界各地で発見!多頭の蛇

#hydra

STELLIKERKさん(@stellikerk)が投稿した写真 –

ギリシャ神話ヒュドラー。頭の数は諸説あるが、九つの頭を持つという説が多いようです。水蛇の怪物として描かれて、英雄:ヘラクレスによって退治されました。

旧約聖書リヴァイアサン。海中に住む多頭の怪物。蛇だったとも、竜ともいわれています。嫉妬を司る悪魔として描かれています。

ペルシア神話アジ・ダハーカ。三頭を持つ蛇、又は竜。英雄:スラエータオナによって退治されている。

インド神話アナンタ。千の頭を持つといわれている。蛇神の王。蛇の化身としては、珍しく神の使いとされています。

日本でも発見九頭竜。九つの頭と竜の尾を持つ怪物。後に善神に転じて、水神として人々を助けました。戸隠に九頭竜大神として祀られています。

世界中で見られる多頭の蛇。水との関係が多いことから、“山から見下ろした時の、川の流れ”と、考えていいでしょう。一本の流れが、支流に分かれ、海へたどり着く。そのことから、海に住んでいると言われることが多いですね。

ヤマタノオロチは川だった?

出雲地方を流れる“斐伊川”がヤマタノオロチの正体では!と言われています。島根県から、鳥取へ向かう一級水系で、今では洪水予報河川に指定されているきれいな川です。

古くからたびたび洪水が起こり、その威力がすさまじいため洪水→怪物→ヤマタノオロチ伝説になったのではないか?と言われています。洪水は、その都度川の進路を変え、住民を苦しめてきました。住宅は流され、田畑を破壊し、その後の生活を脅かす怪物だったのです。

昔の水害対策の一つに、“人柱”があります。川が氾濫しないよう、人を生き埋めや水に沈めて、捧げものにする。といった呪術的な行いです。そして、人柱に選ばれた人には、櫛名田比売という名前が付けられました。櫛名田比売=奇稲田姫ともいわれ、“稲”の文字から分かるように、水田を意味します

この斐伊川には「斐伊川に流るるクシナダ姫の涙」という曲もあります。きれいな曲なのが、余計に悲しさを誘いますね。

ヤマタノオロチと鉄の関係

斐伊川では、砂鉄が産出されてきました。古来から、たたら製鉄が盛んにおこなわれてきた場所でもあります。“もののけ姫”で描かれたように、純度の高い鉄を生産する製法です。

たたら製鉄に欠かせないのが火です。その火を燃やし続ける燃料は、山から伐採してきた木材。山から木を切ることで、山に水を貯える力がなくなり、洪水が起こりやすくなった。洪水=ヤマタノオロチといった考え方もあるようです。

また、ヤマタノオロチの燃えるような目、真っ赤な腹は、砂鉄の象徴。草薙の剣は、製鉄業を表しているともいわれています。

神話は歴史を紐解くヒント!

出典:https://www.pakutaso.com

世界各国でそれぞれの宗教、地域性から物語が作られてきました。その物語に共通点が見られるのを知っていますか?例えば、「大洪水が起こり善良な人だけが助かるお話」聞いたことがありますよね?

聞きなじみがあるのは、旧約聖書の「ノアの箱舟」ではないでしょうか?その他にもインドの神話では、人間の始祖マヌをヴィシュヌが船で助けた。メキシコでは、コスコストリ夫妻が神の啓示を受け、巨大な船を造った。ギリシャでは、プロメテウスの忠告により木の箱を作り助かった。など…。

世界各国で同じような話が残っています。これは、「一人の人間が作ったお話が広まった」と考えるより、「世界各地で、洪水が起こった話を、後に神話として統合されていった。」と考えるのが妥当でしょう。

そして、まったくのフィクションではなく、神話や伝承は起こったことを、物語として伝えるために、ドラマチックになっていったのではないでしょうか。

日本一有名な蛇、ヤマタノオロチ



怪物・妖怪として描かれていますが、実際には“洪水の化身だったようですね。老夫婦の八人の子供は、毎年“人柱”にされてきた巫女たちのことでしょう。

八という数字が随所に見られますが、これも様々な意味があります。日本古来から聖数とされてきた数字。といったところが大きいのはないでしょうか。さて、いろいろ見てきましたが、最後に一つニュースが入っています。

実は、ヤマタノオロチはスサ君から何とか逃げ延びて、人間の娘との間に子供を作っていた。というスクープがあります。その子の名前は“酒呑童子”。その酒呑童子も、酒に酔って退治されていますが…。学習しない親子のようですね(笑)

早速、ヤマタノオロチさんに突撃してみましょう!「隠し子がいるって本当ですか?…あ、逃げられてしまいました。」あの逃げ足の速さは、スサ君でも追いつけなかったのでは…?

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