夏目漱石のこころはBL?漱石作品のユニークすぎる世界観!

夏目漱石と言えば少し前までは千円札でお馴染みの文豪。その名作『こころ』にはBL要素があった?じっくりと読んでみたい夏目漱石の世界をご紹介します。

夏目漱石の作風は?

正岡子規と夏目漱石は同い年生まれ。知らなかった

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夏目漱石の作風は『吾輩は猫である』でデビューした頃、胃潰瘍を患ってから、そして晩年とで変わっています。

初期はユーモアやロマンを含みつつ現実的な小説や青春小説。中期は恋愛をメインにロマンチックなものからドロドロした自己本位な作品。後期は『則天去私(そくてんきょし/自然の摂理のままに生きていくこと)』を目指しありのままの姿を受け入れていこうとする作品。

1人の作家でありながら大きく分けて3つの作風の作品が読める作家です。ロマンと現実的、自己本位と則天去私。相反する作風と完璧主義なところが漱石作品の面白さではないでしょうか。

夏目漱石の代表作をおさらい!

まだ『こころ』しか読んでない? Um dos principais romances de Natsume Soseki

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坊ちゃん

この作品は夏目漱石作品の中で入門編というべきか、学生時代の早い段階で読書感想文の宿題を出される確率が高い作品ではないでしょうか。  『親譲りの無鉄砲な性格で損ばかりしている』でという書き出し文も有名です。

この作品の主人公である『坊ちゃん』も東京で学校を卒業した後、数学教師として四国の中学へ赴任。そこでの人間関係や揉め事を『坊ちゃん』目線で書いた作品で、簡単にまとめると数学教師で赴任した先にいた教頭『赤シャツ』を嫌がらせを受けながらも『坊ちゃん』が成敗するまでのお話。

筆者個人の感想は赤シャツのずる賢さと坊ちゃんの短気で真っ直ぐな性格が合う訳もないし、真っ直ぐすぎる坊ちゃんの性格は生きていくのにはかなり不便だろうなと感じる作品でした。

吾輩は猫である

「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」という書き出しが有名な作品。一度は国語の教科書で読んだことがあるのではないでしょうか。この作品は、夏目漱石のデビュー作でこの時漱石は38歳。

遅咲きの作家人生のスタートを切るきっかけになった猫目線で書かれたユーモアと、どこか余裕を感じるこの作品。でも猫好きとしては結末がなんとも悲しい…。猫本人(?)は「難有い、難有い」なんて言っていますが、家に居ついた猫ならそれでいいのかな?と猫好きには不思議に感じます。

※難有い=有難いを漱石流にアレンジした表現。こういう言葉遊びも漱石作品の魅力ですよね!

三四郎

買ったら読むかなと思って買ってみた 初夏目漱石 #夏目漱石 #三四郎 #ムツカシソウ

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この『三四郎』という作品は、この作品だけで終わらずに『それから』、『門』という作品へ続く最初の作品で、内容は『九州から東京へ出てきた青年、小川三四郎が大学(大学=東京大学って感覚が凄い)で友人たちと交遊を深めている中、1人の女性と出会い惹かれていく…。』と言った青春恋愛小説モノ。

しかし三四郎には地元には婚約者のような女性がいるので、青春恋愛小説モノですが何だかドロドロしてますよね。けれど三四郎が頼りなくどっちつかずの性格でふわふわしている為に初々しいとも読みとれてしまうんです。

『三四郎』から続く『それから』の主人公にはこの初々しさは感じることは難しいですね。

代表作・こころはどんな話?

簡単なあらすじ

この作品は上中下巻の三部構成です。上中巻での「私」は東京の大学生、下巻の「私」のみ上中巻で「先生」と呼ばれていた人物です。

上巻は鎌倉で海水浴をしていた「私」が当時珍しかった外国人と一緒にいた「先生」に興味をもち、「先生」と呼ぶようになり始まった2人の交流の日々。

中巻は「私」が大学卒業し帰郷してからの日々。「先生」に仕事の紹介を頼む手紙を出したものの返事はこず、返事がきたかと思えばそれは分厚い封書。「私」は居ても立っても居られず列車に飛び乗り「先生」に会いに行く。

下巻は全編が遺書です。上中巻の「私」が知りたがっていた「先生」の過去や秘密などが「先生」=「私」として語られています。叔父の裏切り、友人Kの自殺、妻の顔を見るたび罪悪感が襲うなど。この遺書の内容は妻には秘密にしてほしいと「先生」は最後に書いています。

『私』と『先生』の物語

もちろん『私』と『先生』だけではなく、『先生』の親友『K』も登場するけれど、Kは途中で自殺をしてしまうからやはり『私』と『先生』をメインに据えた話になるのではないでしょうか。そして、この2人のやりとりや関係性が濃いから本記事のタイトル「夏目漱石のこころはBL?」になるんだろうなぁ。

と言いますか話を回してる登場人物は全員男性で、親密そうな関係を築いているのも男性陣なのでは?

先生結婚してるじゃん!っていうツッコミを入れたいのですが親友Kから抜け駆けして結婚した妻に対してよそよそしさを感じずにはいられない!遺書まで秘密にしてくれとかないですよ先生…。

そりゃ、BLって言われるよねと頷くしかないです…おかしいな、高校の時に教科書で読んだ時には全くそう思わなかったのに…。

名言連発!こころはここが面白い!

どこかで先生を見たように思うけれども、どうしても思い出せない。

似た人はたくさんいますし、夏の海水浴場だったら尚更見間違いもありますよね…なんて思ったら、これは『私』が『先生』に近づくためについた嘘でした。

作家の三浦しをんさんがとある本の中でこの言葉について「夏の海岸での男→男のナンパから話が始まるなんて!」と書いているのを読んで再読したらそうとしか思えなくなりましたが、こういう風にして近づくというのは、男女間においては使い古された手段ですよね。

恋の満足を味わっている人はもっと暖かい声を出すものです。しかし…しかし君、恋は罪悪ですよ。わかっていますか。

『私』は恋をしたことがなく男女を冷やかしたことを、『先生』が冷やかした時の声に、恋をしたいが相手がいないという不快の声が聞き取れたよと指摘した時の言葉。

恋が罪悪とは?と思う言葉であると同時に、この言葉も結構色んな意味に捉えれるよねぇとBL読みもできてしまいます。更にここから続くやりとりがまさに「BLかよ!」とツッコミしかいれられません。

しかもわざわざ「わかってますか。」と念を押さなくてもいいと思うんですが…。

私は何千万といる日本人のうちで、ただあなただけに、私の過去を物語りたいのです。

下巻の遺書から『先生』=『私』目線の一文。たとえ以前に時が来たら話すという様なことを言っていたとしても「あなただけに、私の過去を物語りたいのです。」とは凄い殺し文句ではないでしょうか。何故それを赤の他人の『私』(上中巻で『先生』と呼んでいた方の『私』)に書き残して、妻には何も遺さないで逝くのか…。

BL読みではなく読むと甚だ疑問が残るのですよねここ。妻に罪悪感がわくとは言え唯一の家族であるはずなのに妻には何もなく、長々とした遺書を『私』には送るのにと学生時代から思ってはいました。

しかし今読み直してみると『私』と『先生』はそれ相応の感情が読み取れるのですが、妻については読みとる以前に表現が薄いんですよね。漱石は女性の表現が苦手と言われているせいなのかもしれませんが…。

何だこの本!?漱石の迷作がユニークすぎ!

倫敦塔

漱石がイギリス留学中にしたロンドン塔見物をモチーフにして書かれた作品。

迷作…かどうかは個人的主観によるところが大きいのですが、ユニークな作品ではあります。この作品は『吾輩は猫である』の様なユーモアで現実的な作品とは違い、幻想的で少々現実からログアウトしてるんじゃなかろうか?と思う作品です。

倫敦塔の入口で既に主人公である『余』は普通の状態ではなくなっています。行く先の塔に因縁のある人物の幻を見ていき最終的にはそれが現実か幻か解らなくなったという話なのですが、当時漱石自身神経衰弱状態であったため、急遽イギリスから帰国させられています。

#それから#夏目漱石

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それから

『三四郎』から続く三部作の二作目。しかし『三四郎』とは登場人物が異なります。

三四郎』が青春恋愛小説で、失恋してほろ苦いよね!という作品ならこちらは、「親友の妻だけど気に入ったんだから俺が嫁にしたいんだ!」と馬鹿なことを言ったせいで、自由気ままなニート暮らしから一転親子の縁も兄弟の縁も切られてしまったよという自業自得な話です。

これは筆者の中では迷作かなぁ…と思っている作品ですね。主人公の代助の考え方はアホの一言に尽きます。しかし当時の法律の違いによる婚姻のあり方や考え方は今の時代からしてみるとユニークと言えなくもないかなとは思います。

まとめ

#夏目漱石 坊ちゃん 完読 ? やっぱりいい〜

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いかがでしたでしょうか。

今回は夏目漱石の『こころ』はBL?ということでBL要素を探しつつ読んでみましたが、教科書で読んだ当時には気づかなかった部分が浮き彫りになった気がします。もちろん今回は最初からそういう視点で読もうとしたからなのかもしれません。

筆者としては普通に読んでも、BL目線で読んでもあやふやな扱いで終わっている『先生』の妻(静といいます)が気になって仕方ありません。もう少し気を遣ってあげて欲しかったですね。

そしてBL目線で『こころ』を読んだ時に気になる点がもう一つ。『先生』は誰とくっついたら1番幸せだったのでしょう?『K』?『私』?それとも『妻』?

誰とでも結局最後は自殺を選んでしまいそうな気が筆者はしています。考えるだけ無駄だろというお声が聞こえそうなのでこれ以上は差し控えることにいたします(汗)。

月が綺麗ですね

夏目漱石が「I LOVE YOU.」を「月が綺麗ですね。」と訳した話は有名ですよね。この話からも夏目漱石は独特の言葉の感性を持っていたことが解ります。今回この記事作成にあたり『こころ』を始め夏目漱石作品を再読してみて、その感性に触れることが出来て嬉しかったです。

こうして文豪の作品を読み直すこと自体、筆者は最近やっていなかったので良い勉強になりました。BL云々は置いといて、興味を持っていただけた夏目漱石作品がありましたら嬉しいです。

それでは、お読みいただきありがとうございました。

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