人と大自然の共存とは?蟲師の名言・名シーンTOP10!

ファン必見!アニメ、実写映画にもなった大人気漫画『蟲師』に学ぶ、人と大自然の共存とは。蟲師の名言・名シーンをランキング形式にてご紹介します。

アニメ・実写映画化までされた名作漫画「蟲師」

1999年に連載を開始し2008年に降幕以降も根強く残る蟲師の人気に迫ります。

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漫画家漆原友紀の作品、蟲師は1999年、アフタヌーンシーズン増刊より連載が開始しました。その後約9年間アフタヌーンシーズン増刊とアフタヌーンにて隔月連載され、2008年に降幕しました。

アニメ、実写映画化、ゲーム化、更には連載終了から5年後の2013年には特別篇が前後編で連載されるほか、連載終了後も人気が高く、また多くのファンに深く愛されて続けている作品です。

・漆原友紀の描く本作の世界観

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本作の時代背景は、作者の漆原曰く「鎖国を続けた日本」または「江戸時代と明治時代の間にある架空の時代」。どこかノスタルジックな日本の原風景ともいえる時代を軸に描かれています。

現代誰もが生きる上で関わっているネットや電話、テレビはおろか、電気も汽車まだ無い時代、人々は村という単位で生き、そしてその村と村の間を商人やワタリ、医者や蟲師といった流れ渡り歩く人たちが居ました。人は自然といつも共にあり、生きるために山や海と今よりも親密に生きていた時代、「みどりのもの」と呼ばれる人よりも命の源に近いモノもまた人のそばに多くありました。

そんな時代に生きる人々の日常や生き様を、主人公である蟲師ギンコが旅から旅に流れながら蟲に纏わる様々な事象に携わり、関わり、生きていくことで生まれた物語を、漫画家漆原友紀が鮮やかに描き上げたのが本作となります。

・多種多様な『蟲』の魅力に迫る

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物語の鍵であり、作内で起こる様々な事象の中心となっている『』。作中では蟲とは『生と死の間、者と物の間にいるもの』『我々とは在り方の異なる命』などと説明しており、人間よりも命の源に近い性質を持っていると紹介されています。

人に害をなすもの、自然現象に近いナガレモノ、畏れながらも人が便利に使えるものと、その種類は作中に書かれているだけでも数多にあり、中にはソレが何の特性を持っているのか、何のために存在しているのかもわからない蟲もあります。

そんな多様な蟲ですが、人に関わると脅威にもなります。ギンコが作中で友人の化野に言った「自分が愛でてるものが異形のものだという事を忘れたか」(三巻「硯に棲む白」より抜粋)というセリフでも分かるように、命の在り方が違うということは、それだけで蟲そのものの生き方や生命としての根本が違い、また必ずしも人に恩恵を授けるものではないことが伺えます。

ただ、蟲には悪意はなく、ただそれが在るように在るだけ。そんな蟲と人を繋ぐ存在が蟲師やワタリといった流れ旅をしながらも蟲とかかわっていく人として描かれています。

蟲師の名言・名シーンTOP10!

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降幕からもかなりの時間が経ったにもかかわらず、読者を魅了し続ける「蟲師」の物語。 中でも一際の魅力は、作中に散りばめられた人と人との触れ合いから生まれる数々の言葉です。

蟲と関わるにあたり紡がれる登場人物たちの様々な言葉は、現代社会に生きている私たちの心をもつかんで離さないものが数多くあります。そんな、数多ある名言名シーンの中からとびきりのものをこの度はご紹介いたします

第10位  五巻 沖つ宮 より

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〜その島で生みなおしはこの先も通常的に行われ続ける事だろう。死にゆく者の慰めに、残される者の空洞の埋め合わせに。それを望まずに死にゆく事は、得難く幸福なことかもしれないから〜

沖つ宮」の舞台になったのは、生みなおしという風習がある島でした。”竜宮と呼ばれる海淵で死んだ者は、もう一度同じ姿で生まれなおしてくる。”蟲の力を借りて繰り返される風習に触れたギンコが島を離れる際に書かれた一人語りです。

作中でギンコは島の在り方について”まさしく楽土だ”と思いをはせていますが、自身がその原因となっている蟲と対峙した際、”ああ そりゃぁ たいそう悪い冗談だ”と述べています。人は生まれると必ず最後にはどのような形であれ死が来ます。もう一度その人に逢う事が出来るなら、その人と日々を過ごす事が出来るなら。そう願う人にとってはこの島は確かに楽土でしょう。

しかしそれを願わない人にとってもまた、その時だけの生を謳歌できる喜びを知る事だ出来る島である。そんな島人の生き死にの在り方に深く寄り添ったセリフです。

第9位 四巻 草を踏む音 より

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〜そうか、ならいい。それでいい〜

このセリフが出てくる「草を踏む音」は里で暮らす人、沢と光脈を追うワタリのイサザの話です。領主の子とワタリといった棲む世界の違う二人の少年の幼い日の交流と、その後大人になり互いの立ち位置、立場を受け入れ、この話の主人公の沢が言ったセリフ。

里の大変な時期を乗り越え、本当に助けが必要な時に”そろそろ薬の必要な時期だろう”とギンコを寄越したイサザ。 領主として里を守りながらもギンコの肩越しにイサザの存在を感じた沢が、少年の日を懐かしみながらもワタリというイサザの生き方、里の領主という沢自身の生き方の違いを受け入れ漏らしたセリフです。

第8位 二巻 露を吸う群れ より

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〜容易なことじゃあないだろう。だが、お前の目の前には、果てしなく膨大な時間が広がっているんだからな〜

露を吸う群れ」は複雑な潮の流れによって隔離された孤島にが舞台で、その島で信仰されている”生き神”とソレに纏わる蟲と人の話です。物語の終りに、今後の生き方についてナギから尋ねられた時にナギに答えたギンコのセリフ。

人が人であるためには自分の時間を生きなければいけない。人が蟲の時間で生きた時、その存在は限りなく蟲に近づくと言います。一度蟲の時間を体験してしまえば、人間の時間に戻った時、果てしない時間に絶望することもある。

一日の終わりが翌日に続き、また延々と続いていく。一瞬は手のないように見えますが、それでも同じ一日はないんです。時間の長さに途方に暮れたナギに対してギンコの言ったセリフです。

第7位 三巻 眇めの魚(すがめのうお) より

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〜畏れや怒りに目を眩まされるな。皆、ただそれぞれがあるようにあるだけ〜

この「眇めの魚」の話は、蟲師ギンコがその容姿になる前、まだヨキとして生きていた時の物語で、ほかの物語とは少々勝手が違うものとなっています。幼少のヨキ(後のギンコ)が蟲のトコヤミに対し危険だと警告した時にぬいが答えたセリフです。

蟲と蟲師の関係は、ただ蟲師が蟲を退治するのではなく、蟲師とは”ただそれぞれがあるようにあるだけ”の蟲に対してどう受け入れ、対処し、危険なものから逃れるかを探求する人々の事。
ただ畏れや怒りに駆られ蟲を殺すのではなく、受け入れ共存していく事で人もまた”生の理”の中で生かされている。

人と蟲といった在り方の違う命同士をそれぞれの””を守りながら対応する、その術を探求するために蟲師という存在がいる。蟲師という立場から蟲を捉えるとき、ただその存在をあるがままにとらえることが最も大切だと教えているセリフです。

第6位 八巻 潮わく谷 より

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〜守らなきゃならないものがあるんだよ。たとえ母さんを殺したものの力を借りても〜

真冬の山で倒れたギンコが担ぎ込まれたのは、厳しい冬でも青々と稲がそよぐ山間の村だった。「潮わく谷」の舞台になっているのはそんな豊かな山間の農村です。その村に棲む青年、豊一が物語の終盤にギンコに言ったセリフ。

冬でも豊かな谷と自身の出生の秘密を知り、それでも蟲と生きる事を選んだ豊一に対し、豊一の父は”あいつも もう うんと立派な 人の親だ”としみじみと称賛します。異形に関わりながらも、それを受け入れ、守るべき大切なものの為に耐え忍びながらも生きていく。そんなこの世界の大人の生き様をとてもよく表したセリフです。

5位 七巻 棘のみち(おどろのみち)(後編) より

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〜たとえ状況は変わらずとも 我々はひとりじゃない ひとりじゃないんだよ〜

この「棘のみち」の物語には、二巻「筆の海」の主人公、淡幽が再び登場します。蟲師の物語には珍しく前後編の作りになっており、また主役を張った登場人物が再度物語の中心に近い位置で出てくるなど、他の話とは一風変わった作りとなっていります。このセリフは淡幽の狩房一族に永く使える薬袋一族の長、クマドへ物語の終わりに淡幽が言ったセリフです。

一匹の”禁忌の蟲”を通じて、方やタマシイの自由を、方や体の自由を奪われている二人。数代に渡って続く蟲の脅威に未だに運命を狂わされながらも抗い続けています。それぞれが別々の場所、方法で抗いながらもお互いを支えあう二人。

たましいを失い、虚無を抱き続けるクマドに、それでも自分たちの戦いは孤独ではないと伝えている淡幽のセリフです。

第4位 二巻 雨がくる虹がたつ より

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そりゃ、たまに休みたくもなる。そういう時、こうやって目的を作る。そうすればこうやって余暇も生まれるだろ ”ただ生きる”ために生きてるぶんには余暇ってもんがないからな(中略)休むのだって生きるためにゃ切実な問題だ

雨がくる虹がたつ」の物語の主人公の虹郎(こうろう)は、虹を捕まえるために五年もの間、当てもない長い旅をしています。これは道中偶然ギンコと行き会い、少しの間一緒に旅をする途中で虹郎に言ったギンコのセリフです。

虹を捕まえる、そんな誰もがホラか冗談かと思う話を信じて、短い期間の間旅をすると決めたギンコと、訝しく思いながらも旅を続ける虹郎。目的もなく旅から旅へ流れ歩くギンコと、虹を追うことを言い訳にしながら旅をしている虹郎。似ているようで全く違う二人の本質に深くくぎを打つようなギンコのセリフです。

第3位 四巻 春と嘯く(はるとうそぶく)より

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〜そう。ヤツらは決して友人じゃない。ただの奇妙な隣人だ。気を許すもんじゃない……でも、好きでいるのは自由だがな〜

春と嘯く」(はるとうそぶく)は、蟲師10巻の中でも唯一ギンコが弟子を取ったお話です。まだ年端もいかない蟲を視る体質のミハルを危ぶみ、危険なものとそうじゃないものを教え、その結果として言ったセリフ。

蟲が見え、生き物が好きで、活発で、まだまだ幼い少年、ミハルは姉のすずと二人暮らしをしています。蟲が見えないすずはいつもミハルを心配していますが、ギンコと出会い蟲の存在を知り理解しようとします。この話ではギンコが珍しく人恋しさのあまり気を許してしまう場面が多く見受けられます。

弟子を取らないギンコが、蟲師の物語の中で唯一きちんと少年に向き合い蟲を教えるお話でもあります。 やがて、作中で蟲に関わっていくうちに少年は少し大人になり、蟲との正しい距離を告げるものとして言ったギンコのセリフです。

第2位 9巻 草の茵(くさのしとね) より

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〜俺は お前を許すわけにはいかない もう二度とお前には会わん。だが 忘れるな この世に居てはならない場所など誰にもない お前もだ。理に戻ることを許されたんだ。この世の全てが お前の居るべき場所なんだ〜

この”草の茵”(くさのしとね)という物語は、ギンコが一人前の蟲師になる前の話。蟲を寄せる体質を持つ少年のギンコを利用する蟲師が多い中、ギンコと向き合った蟲師のスグロがギンコに言ったセリフ。

この物語の登場人物であるスグロは、ギンコが幼少期に出会ったまともな大人の蟲師です。蟲を寄せるという体質を利用され、異形という扱いを受けてきたたギンコに、生きる術として蟲から身を守る方法を教え、”弟子みたいなもんだ”と人にも紹介しています。

詐欺まがいの片棒を担がされていたギンコに、初めてまともな蟲師としての生き方と”世の理”を教えようとした人でもあり、作中でスグロは、ギンコの抱えている孤独と自分の存在に対する罪悪感に気付き、受け入れようとします。

例えそれが自分のしたことを許せない人だとしても、世の中の誰か一人に存在を認められていると知ることは、自分の中に巣食う孤独や命の危険にさらされた時、それは強い力になる。このセリフは物語の終わり、別れの際にギンコの持つ孤独と罪悪感に抗う術として伝えたスグロのセリフです。

第1位 一巻 緑の座 より

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〜感覚を分かち合うのは難しい。相手の振れたことのない手触りを相手にそのまま伝えることは出来ないように見たことのないものとその世界を分かち合うのは難しいさ〜

蟲師の記念すべき第一巻、第一話となった「緑の座」は、蟲師の物語の根底となる蟲と人、普通の人と”妖気”が見える人との違いを描くこの世界を知るのにとてもいい作品です。作中で五百蔵(いおろい)しんらが幼少期、亡き祖母、廉子(れんず)と蟲について分かり合えなかった事を話をした時に答えたギンコのセリフ。

蟲は全ての人に見えるわけではない。見えない人にとっては””と変わりがない。そんな幻ばかりを見るしんらを哀れむ祖母。そして、祖母のそんな言葉を悲しく思いながらも蟲の存在を”嬉しくてたまらない”と感じているしんらに、ただ慰めるではなく、視える者と視えない物の在り様は”そういうものだ”と説くギンコのセリフです。

「蟲師」名言・名シーンの数々に人生を学ぶ

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名言・名シーンランキングを最後までご覧いただきありがとうございました。

様々なシーン、様々なセリフの内、どれか一つでも心に響くものがありましたか?蟲師で描かれているのは架空の世界ですが、描かれている時代よりも遥かに文明が進み、スマホ、ネットを介して人と繋がりやすくなった現在に生きる私たちでもハッとさせられるセリフが多く存在します。

本作は””を中心にした人と人の交わりを描いた架空の物ですが、実際の現実世界でも当てはめられる言葉はとても多く、文明が進んだからこそ希薄になっていく人との繋がりそこから生まれてくる言葉を今一度考えさせられる物語でもあります。物語の中の世界なのにどこか懐かしい、古き良き時代を舞台にした物語。人と自然、人と人、様々なシーンで繰り広げられる”蟲師”の世界を、今一度ギンコと共に訪れてみてはいかがですか?

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