新海誠のおすすめ作品TOP3!まず見ておくべき傑作をチェック!

「君の名は。」でブレイクした新海誠監督。だが、それ以前からコアな新海作品ファンは数多くいた。新海監督は、アニメ映画ファン層にとって、特別な存在だったのだ。ここでは、「君の名は。」以外のおすすめ新海作品を紹介したい。

新海誠作品の魅力

CGを積極的に活用した少人数での制作!


新海誠の原点といえば、「彼女と彼女の猫」だろう。わずか、5分にも満たないアニメーションを新海誠は1人で作った。1999年に制作されたこの作品は、自主制作アニメとは思えないクオリティがあった。

その後、「ほしのこえ」を2002年に発表。この頃までの新海監督は、音楽以外のパートをほぼ1人でこなした。最新作、「君の名は。」までの作品は、驚くほどの少人数でアニメを制作していた。

その作業を支えていたのは、3DCGである。一度モデリングをしてしまうと、動きに関する絵を描かなくて済むのだ。新海誠は、Macを使って少人数制作アニメという分野を開拓したのだ。

情感豊かな背景描写

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少数制作といっても、クオリティが伴わないと、目の肥えたアニメファンからは敬遠されてしまう。新海誠の作品には、他のアニメ制作とは違った特徴があった。それは優れた背景描写である。

写真を撮ったことのある人であるならば、光による描写の奥深さを知っているだろう。CGによる光の表現は、透過率を任意に変更できるという利点があった。新海誠背景描写とCGの相性の良さを生かしている。

新海誠監督は、人物の心象を背景で語らせることが多い。モノローグを使うのも、そういった手法の一環である。かつてない背景描写は、他のアニメとは一線を画していたのだ。

「君の名は。」ブレイクより以前の評価

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新海誠監督には、「君の名は。」でブレイクする以前からのファンが大勢いた。他のアニメにはない要素、情感を背景描写で表現するという手法は、斬新なものだったからである。

「ほしのこえ」が、下北沢トリウッドで上映されて以来、新海監督作品のファンは着実に増えていった。最近まで地上波で放送されることはなかったが、CSで放送されたことも認知度を広げた要因である。

「言の葉の庭」(2013)では、劇場公開されてから、12万人もの観客動員数を記録した。同作品は、カナダ、ドイツで賞を受賞し、海外での認知度も高まっていった。国内だけでなく、海外にもファンはいたのだ。

第3位「雲の向こう、約束の場所」

新海監督、初の長編作品!

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「雲の向こう、約束の場所」(2004)は、新海監督初の長編アニメーションである。本編は、91分。「ほしのこえ」のおよそ3倍である。これだけの時間のアニメを制作するのは流石に1人では不可能だった。

そこで新海監督はキャラクターデザイン 、作画監督に田澤潮を起用した。美術に丹治匠も加え制作体制を変更した。これまでの音楽担当天門に加え、アニメーターを数人雇える経済的な地盤が出来たのである。

配給元に、コミックス・ウェーブ・フィルムとある。クレジットに広報がつくということは、制作費用が出るということなのだ。これにより、少人数ではあるが、長編作品を制作できる体制となった。

重厚なSFで魅せるジュブナイル!

「雲の向こう、約束の場所」は、平行世界を題材にしたSF作品である。ユニオンと呼ばれる国家群により、北海道を奪われた日本。その北海道には、平行世界のエネルギーを統括する白い塔があった。

中学生の、藤沢浩紀白川拓也ヴェラシーラという自作の飛行機で、ユニオンの塔に向かう計画をたてていた。2人の同級生、沢渡佐由里ヴェラシーラで塔に連れていってもらう約束をする。

しかし、サユリは塔の平行宇宙と夢を通してリンクしてしまう。高校生になっていたヒロキとタクヤは、3年間眠り続けるサユリを目覚めさせるため、ヴェラシーラを飛ばす決意をする。

SFなのにどこかレトロな作品


「雲の向こう、約束の場所」は、どこかノスタルジックである。青森の廃線になりそうな鉄道といい、さびれた工場といい、失われつつあるものに対する哀愁のようなものが漂っている。

その情感豊かな背景とシンクロするようなヒロキのモノローグが胸を打つ。研究施設に出入りするタクヤの葛藤や、夢でのサユリヒロキへの想い。そういった心象風景を、天門の音楽と共に描写していくのだ。

サユリが目覚めることによって、ヒロキへの想いを忘れてしまうことと、レトロなものが朽ち果てる風景はリンクしている。どちらも、失うことによって浮かび上がるかけがえのないものだからだ。

第2位「秒速5センチメートル」

短編連作という形の作品!

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「秒速5センチメートル」(2007)は、63分の短編連作作品である。第1部「桜花抄」、第2部「コスモナウト」、第3部「秒速5センチメートル」という3部構成だ。前作までのSF色はなく、現実世界をベースにしている。

スタッフは、作画監督に西村貴世が加わったものの少数制作という体制は変わっていない。配給元も同じコミックス・ウェーブである。個人スタジオ体制を継続しながら、成熟した手法で新しい話に挑戦している。

今までの作品には、SFとしての設定が強烈なアクセントとなっていた。だが、「秒速5センチメートル」にはそれがない。そこで、展開を極端に演出する以外の要素が重要だった。

美麗な映像の果てに待つまさかの結末!

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主人公、遠野貴樹は東京の小学生である。お互いに気になっているヒロインの篠原明里とは、栃木への引越しによって離れ離れになるのだ。そして、今度は中学1年の時に貴樹が鹿児島に引越しすることになる。

第2部では種子島に転校した、遠野貴樹に思いを寄せる澄田花苗の視点で描かれる。この時点での貴樹はまだ、明里に対する恋情を引きずったままだった。しかし、第3部での明里には、婚約者がいた。

東京で社会人となった貴樹は、3年間付き合っていた彼女に別れを告げられる。小学生のときの踏み切りで、明里とすれ違うが、振り返れば、誰もいなかった。貴樹は、そのまま追いかけもせずに歩き始める。

一つの恋の区切り


「秒速5センチメートル」で重要なのは、一つの恋の区切りという要素である。第1部で貴樹は、電車も止まるほどの大雪でも明里に会いにいった。強烈な恋の原体験とは、思春期であればこそ、心に残ってしまうものだ。

東京で社会人となった貴樹は、恋人を作るが、うまくいかなかった。そして、最後の踏み切りで明里とすれ違ったにも関わらず、追いかけないのだ。これは、明里に対する呪縛からの開放なのではないだろうか。

極端な展開に頼ることなく、人の心の移り変わりを、連作を通して描いたのが「秒速5センチメートル」である。この作品は、大人になって初恋を振り返ったときに残る苦さと懐かしさを感じさせる傑作である。

第1位「言の葉の庭」

東宝とタッグを組んだ出世作!

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新海監督は、「秒速5センチメートル」以降に「星を追う子ども」(2011)を制作した。ファンタジー色の強い「星を追う子ども」は、従来の新海作品とは一線を画するものであったが、興行的には成功しなかった。

そして、2013年に「言の葉の庭」は公開された。コミックス・ウェーブ・フィルムは制作側にクレジットされ、配給が東宝映画事業部となっている。これにより、広報の予算や規模も拡大した。

「言の葉の庭」で、全国23館で12万人以上の観客動員数を記録した。この成功がきっかけとなって「君の名は。」では上映館が、300館となった。文字通りの出世作となったのだ。

会えるのは雨の日?靴とビールと雨がキーワード

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靴職人を目指す高校生の秋月孝雄は、都心の公園でユキノと出会う。2人が会うのは、決まって雨の日で、ユキノは味覚障害を患っていた。タカオの弁当だけに味を感じられるユキノは、靴の本をタカオにプレゼントする。

タカオは、学校でユキノの姿を見る。ユキノは、雪野百香里といい、タカオの学校の教師だったのだ。タカオは、ユキノが学校で生徒に嫌がらせを受け、職場に復帰できないことを知る。

タカオは、ユキノに嫌がらせをしていたグループと喧嘩するが、返り討ちにあってしまう。再び、公園で会った2人は、ユキノのマンションでお互いの気持ちをぶつけ合った。ユキノは四国で教師に、タカオは東京で靴職人を目指す。

新海映画の新境地!


「言の葉の庭」で、新海監督は新たな試みをしている。光の表現に加えて、を丁寧に描いているのだ。おだやかな気持ちには、静謐な雨。激しい気持ちには、叩きつけるかのような豪雨。

終盤、ユキノのマンションの階段で気持ちをぶつけ合った2人の背景は、雨が上がり晴れていた。これは、お互いの気持ちが晴れたことをあらわしている。結末は、距離と反比例して気持ちが繋がったように見える。

新海作品の中で、エンディング直前にこれだけ晴れやかな顔をしている主人公はタカオくらいではないだろうか。この作品は、ハッピーエンドだったのだ。別離はあったとしても。

新海誠の作品ごとの制作体制の違いとは?

参加スタッフの増加に伴う、クオリティの向上

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「言の葉の庭」で新海監督は、長年相棒にしていた音楽担当を天門から、KASHIWA Daisukeに変える。作画監督、キャラクターデザインに土屋堅一を擁し、前作までの西村貴世は原画のみの参加となっている。

更に、多数のアニメスタジオがクレジットされている。作画の担当を複数のスタジオで行えるようになったのだ。東宝の協力により、より多数のアニメーターを雇えるようになったということである。

本編は46分と短いが、制作側の強化により更に映像のクオリティが上がっているのだ。この流れは、「君の名は。」でも続いていて、元ジブリの作画監督である安藤雅司が参加したことは、記憶に新しい。

1人制作からの脱皮!

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初期の新海作品では、監督が声優を兼任しなければならないような、ほとんど1人の体制だった。キャラクターデザインは、お世辞にも洗練されているとはいえず、細かいところに粗はあった。

だが、作品を発表するにつれ、徐々にスタッフが増え、名のあるプロのアニメーターが参加するようになっていった。新海作品のクオリティは、作れば作るほど、向上していったのである。

そして、作品の認知度が上がるにつれて、単館上映から全国上映へと規模が大きくなっていったのである。上映館がいきなり増えたのではなく、地道な制作作業が「君の名は。」の成功を生んだのだ。

新海誠の映画作品に共通していることとは?

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新海誠の制作体制が、これだけ変わろうとも、共通していることがある。必ずテーマに距離や、別離といった要素が含まれていることだ。それは、ハッピーエンドに終わった作品でも見受けられる。

情感豊かな背景描写や、印象的なモノローグは、どこか郷愁のようなものまで感じられる。だからこそ、この懐かしい感覚にまた触れたくなるのだ。新海作品が人を惹きつけるのは、ある意味必然ともいえる。

新海監督が今でも、監督、脚本を担当しており、一貫して自分のイズムを保っている。新海誠監督の今後の活躍に期待したい。「君の名は。」でのブレイクは、偶然ではなく、積み上げた努力の賜物なのだから。

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