マーティン・スコセッシ「沈黙」のすべて!巨匠が28年温めた傑作に迫る

ハリウッドの巨匠マーティン・スコセッシが遠藤周作の「沈黙」を映画化!「沈黙」のみどころ、監督の「沈黙」への思いを徹底的に解説。

カトリックの司祭を目指す程の熱い信仰家

マーティン・スコセッシ監督は、シチリア系イタリア移民の家に生まれ、ニューヨークのリトル・イタリーで育ちました。正直に言うと、それを聞いた時は、ちょっと悪そうなイメージがわきました。

”ゴッドファーザー”っぽい感じがありますよね。しかし、実際は全くの正反対で司祭になろうとした程の敬虔なカトリックなのです。映画に関しては、ニューヨーク大学で映画を専攻していたというから、正統派の映画人なのです(勝手にイメージして申し訳ありませんでした)。

スコセッシ監督が有名になったのは「タクシードライバー」という作品です。この作品によって、主演のロバート・デニーロも一躍人気俳優になりました。その監督の2017年に公開された映画が「沈黙~サイレンス」です。

遠藤周作の原作が映画化されるまでをNHKで特集!?

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your text …スコセッシ監督は、28年前に遠藤周作の「沈黙」を読んですっかり感動したようで、直ぐに映画化権を手に入れました。その後、映画撮影が行われるのかと思いましたが、「ギャング・オブ・ニューヨーク」や「シャッター・アイランド」など、巨額の費用をかけて違う映画を撮影しました。

なので、「沈黙」を撮るつもりはないのかと思われましたが、その間映画化権だけは手放さなかったようです。他の人に譲るという気持ちは全くなく、自分で映画にしたいという意思は強かったようですね。

映画化権を手に入れてから25年の歳月がかかって、やっと映画の撮影に踏み切ったのでした。思い入れが強かった分、どうやって作ろうかかなり悩んでいたようです。

2017年新春早々NHKで特集が放送される

映画の公開にさきがけて、NHKのBSで「沈黙」のドキュメンタリーが放送されました。舞台は17世紀初頭の長崎、キリシタン弾圧に関してですから、本来だったらこれほどの内容は日本人の監督がメガホンをとってもよさそうですよね。

それをハリウッド映画として撮るというのですから、NHKとしてもほっておけないところでしょう。メイキング映像や監督のインタビュー、そして出演者のインタビューもたくさん登場しました。

スタッフはそもそも、日本でキリシタン弾圧があったことなど知らなかったようで、この現実を知って驚いたようです。長崎を訪れて、「長崎26聖人の銅像」を実際に見ることで、日本の歴史を実感したようでした。

日本人俳優が多数起用され、ハリウッドデビュー

舞台は日本なので、日本人俳優が多数起用されました。中でも注目すべきは”窪塚洋介”さんでしょうね。確かマンションから飛び降りて、一命はとりとめたものの大けがしましたよね。

その後、地味に活動しているという話は聞きましたが、こんな大作映画に主演しているとは思いませんでした。物語のキーマンといっても過言ではありません。若い頃かなり人気がありましたが、アイドル的な感じではなく、演技力のある俳優だったので期待を裏切ることはないでしょう(映画の中では裏切り者の役でしたが・・・)

その他、浅野忠信さん、小松奈々さんなどが出演していて、中でもイッセー尾形さんの演技はとても高く評価されたようです。第二の渡辺謙さんですかね?

”宗教映画”の枷から逃れられたのか…?

遠藤周作さんの原作は宗教文学として位置づける人もいるでしょう。となると、映画化するにあたっては宗教映画になる可能性も出てきます。特にスコセッシ監督は、原作に忠実に映像化することを望んでいたようなので、宗教が色濃く出てしまう可能性もありました。

宗教映画でものすごく反響があったのは”パッション”。メル・ギブソンが監督で、キリストが磔にされるまでの12時間を描いたものです。ユダヤ人がキリストを捕らえ殺しているので、反ユダヤ主義だといわれたり、ローマ法王ヨハネパウロ2世が「新約聖書で伝えられている通りだ」とコメントしたりと、映画を超えていろいろありました。

スコセッシ監督はそういった宗教的なことを描きたかったのではありません。人間の強さと弱さを表したかったんです。

宗教映画にならないためにとった方法

「パッション」と「沈黙」の大きな違いは、拷問シーンではないのでしょうか?パッションでは暴力シーンを盛り上げあるような感じがあり、そこが印象に残りましたが、沈黙ではたんたんと悲惨なシーンがあり、確かに衝撃はうけるもの盛り上げリる感じではありません。

人間の心の動きの方が印象的でした。遠藤周作さんも「偶然見た踏み絵だった。銅版の木枠に足跡が残っていた。彼らはどんな気持ちだったのだろう・・・」というのが、作品を書くキッカケだったようで、心の中が書きたかったようです。

日本来日で「沈黙」への思いを語る


ジャパンプレミアのために来日したスコセッシ監督。映画にかける思いを存分に語っていました。「沈黙」の根底にあるテーマは、キチジローが言った「弱い者の生きる場所はどこにあるのか?」であり、弱きものを排除することで文明を維持することはできない、ということを伝えたいとのことでした。

さすがに重いテーマです。現代社会でも弱い者が生きていくことは大変であるといえます。日本は弱い者に対しての援助など、諸外国に比べて手厚いとは思いますが、力のある強いものの方が住みやすいことは確かです。

この映画を見て、キリシタン弾圧の暴力もインパクトがありますが、宗教にすがった弱き人の気持ちも強く心に残りました

マーティン・スコセッシのその他の代表作



イタリア系移民の家に生まれたスコセッシ監督は、同じくイタリア系の俳優を起用しています。初期の頃にはロバート・デニーロを主演に映画をつくっていましたが、ここ近年ではレオナルド・ディカプリオを起用することが多かったです。

ディカプリオは「タイタニック」のアイドルっぽいイメージがありましたが、スコセッシ監督の映画に出演することでアカデミー賞にノミネートされワンランク上の俳優になりましたね。中でも「シャッターアイランド」は印象が強かったですね。

どこからどこまでが現実なのか、もしくはディカプリオの想像なのかしっかりみていないと分からなくなってしまいました。大物監督に気に入られると、俳優は大きなチャンスが得られるのは日本もアメリカも同じようですね。

巨匠が向き合った日本文学

スコセッシ監督は現在74歳。黒沢明監督がなくなったのが88歳ですから、まだまだ沢山の映画をとることができます。日本の優れた文学はたくさんあるので、もっと映画化してくれたらいいのにと思います。

でも、ディカプリオ主演のギャング映画は文句なく面白いです。その路線の新作もみたいです。

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