【攻殻機動隊SAC】ガチ勢が選ぶ名言&名エピソードTOP10

SFアニメーションの金字塔「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」。今もなお熱狂的なファンを多く擁する不朽の名作から、「かくいう私もファン」である筆者が珠玉の名エピソード&名言をランキング形式で紹介!断腸の思いで選抜した10のエピソードと名言を共感と反感をもって見てもらいたい!!

SF嫌いな人ほどハマる?攻殻機動隊S.A.Cとは

出典:https://www.amazon.co.jp

全身サイボーグの草薙素子(通称:少佐)とその仲間による活躍を描き、日本SF回で不動の地位を築き上げた「攻殻機動隊」シリーズ。士郎正宗の伝説的原作漫画から始まり、日本のアニメーション・クオリティを世界に知らしめた押井守監督の「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」やスカーレット・ヨハンソン主演で実写化したことで大注目の「Ghost in the Shell」など、常に時代とともに進化し続けるのが「攻殻機動隊」シリーズの魅力だ。

そしてファン達が「攻殻機動隊」シリーズを語る時、必ず触れられる名作中の名作、それがTVアニメとして2002年より放送された「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」なのである。

監督は、本作で見せたキレッキレな手腕とアニメ業界へのブチギレ具合で「アニメ界の蜷川幸雄」のような存在となった神山健治。Production IGによる超絶作画はそのままに、菅正太郎、佐藤大に藤咲淳一、中村隆太郎に加え音楽には「カウボーイ・ビバップ」の菅野よう子など、実力派スタッフが結集し「これ、もはやリアル公安9課じゃねーか!」と今もアニオタを戦慄させる布陣で制作されたのが「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」なのだ!

この「攻殻機動隊SAC」、もう一見してガチガチのハイコンテクストなSFアニメといった印象で、SF初心者には敷居が高く思えるが……断じて否だ。はっきり言って「SFが苦手な人こそ観るべきアニメ」それが「攻殻機動隊S.A.C」だと言える。

……かくいう私もSFが苦手でね」な筆者が「攻殻機動隊S.A.C」の名エピソード&名セリフTOP10を(独断と偏見で)紹介!未視聴者にはただのネタバレを、既視聴者には共感&反感を持ってもらえるラインナップを用意したので地獄のはてまで付き合ってほしい……それではスタート!!

第10位……第1話 公安9課 SECTION-9

公安9課、始動!初事件の犯人はロボゲイシャ!?



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第1話「公安9課 SECTION-9」より

記念すべき「攻殻機動隊S.A.C」第一話は外務大臣の救出劇で幕を開ける。国の重要人物を人質にとられ八方手詰まりな状況に、颯爽と現れ事件を解決する草薙素子&公安9課メンバー……と思いきや、ロボゲイシャを殲滅しハッカーを抑えただけでは事件は解決していなかった

事件の背後に見え隠れする極秘文書「一ノ瀬レポート」の存在、そして巧妙に現場から逃げおおせた真犯人を、公安9課は逮捕できるのか……?

電脳化、サイボーグ、ハッカーといったキーワードをちりばめながら、各9課メンバーの見せ場を用意するなど、第一話のセオリーをしっかり守っているのが見どころ。特にトグサの「気づき」で事件の真相が見えてくるあたりは刑事ドラマ好きにはたまらない展開だ。

世の中に不満があるなら自分を変えろ。それが嫌なら、耳と目を閉じ口をつぐんで孤独に暮らせ……それも嫌なら……!(草薙素子)



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第1話「公安9課 SECTION-9」より

「攻殻機動隊S.A.C」のすべてはこのセリフから始まったと言っても過言ではない。「ライ麦畑でつかまえて」からの引用を交えていて、神山健治が「サリンジャー好きすぎおじさん」であることが分かる名セリフ。

「耳と目を閉じ口をつぐんで〜」という言い回しは差別用語の使用を避けたことによるものだが、結果的に「攻殻機動隊S.A.C」特有のニュアンスに昇華されていて素晴らしい。

電脳化によって常に情報の海に潜っている少佐だからこそこのセリフは説得力がある。ある種の諦めとも取れるが、奮起を促しているようにも聞こえる。まだこの段階では意味がわからなかったが、「攻殻機動隊S.A.C」全編を通して非常に重要になってくる、まさに本作を代表する名セリフだろう。

第9位……第8話 恵まれし者たち MISSING HEARTS

臓器移植に事件の影!見え隠れする素子の過去、そして人情……。


画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第8話 「恵まれし者たち MISSING HEARTS」より

看護師をしているレズ友達から呼び出された素子。曰く、提供者の許諾なしに臓器提供が行われたという奇妙な事案が発生したらしい。移植先はまだ6歳の少女。事件の匂いを感じ取った素子は、裏で暗躍する意外な黒幕と相まみえる……。

「攻殻機動隊S.A.C」の作中年2030年では義体化技術が進み、臓器提供などの価値観も変化している。素子たちが出会うメディテック社のイワサキ社長は義体化もせず無機質な箱型ロボットと化しているし、今回の犯人たちは臓器をただの金づるとしか見ていない。人間にとって、唯一無二の部分とはなんなんのか。「攻殻機動隊S.A.C」永遠のテーマを提示するエピソードだ。

今のうちに心を入れ替えろ。お前らには金も学もある。その上五体満足なんだろ?(草薙素子)



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第8話「恵まれし者たち MISSING HEARTS」より

今回の犯人は臓器売買で小遣いを稼いでいた医学研修生。医療に関わる人間としてあるまじき体たらくだが、それだけ生身の部分が「代替可能なもの」と認識されていることのあらわれだろう。そんなバカな犯人に全力でおしおきを食らわせた後に素子が言い放ったのがこのセリフ。いつもは鬼のような少佐の優しさが垣間見えて最高なんだよなあ……。

「今日の少佐、なんだかいつもと違う」とトグサが言うように、本エピソードの素子はかなり感傷的だ。肉体へのドライな価値観が産んだ事件。そしてある意味被害者でもある6歳の少女が見せたいたいけな感謝の笑顔。「あの娘、いくつ?」と訊いた際の素子の表情と声色にははっとさせられる。

画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第8話 「恵まれし者たち MISSING HEARTS」より

生身であったころの性別を意識し、あえて女性型の義体を選んでいる素子。給料を筋トレグッズにつぎ込む(全身義体なので筋トレの意味はない)バトーなど9課メンバーもまた、替えのきかない部分への捨てきれない想いを抱えているのだろう。ラストシーンで流れる菅野よう子の「be Human」も素晴らしい。

第8位……第10話 密林航路にうってつけの日 JUNGLE CRUISE

狂気の作戦「サンセット計画」の亡霊。バトーの叫びがこだまする……。


画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第10話「密林航路にうってつけの日 JUNGLE CRUISE」より
「攻殻機動隊S.A.C」史上トラウマ最多保持者のバトーさんがメインのエピソード。その残酷描写でシリーズぶっちぎりの恐怖回となった第10話はファンにも絶大なトラウマを植え付け、さらにTV放送禁止にまでなってしまった。ある意味妥協しない本作スタッフのスタンスをこれでもかと感じられる回なのだが……。

新浜市で発生した猟奇殺人事件。若い女性の生皮をTシャツの形に剥ぎ取るという常軌を逸した犯行に、バトーは心当たりがある模様。それもそのはず、犯人はバトーと面識のある元海兵のマルコだったのだ。
画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第10話「密林航路にうってつけの日 JUNGLE CRUISE」より

米帝(本作におけるアメリカ)の極秘作戦サンセット計画で発狂したマルコと、その確保のために送り込まれたCIAエージェント、スズキ・サトウ&ワタナベ・タナカに翻弄されるバトーたち9課メンバー。陰惨な過去に決着をつけるべく、バトーはマルコとの戦いに身を投じる……。

俺は分かる。やつの戦争はまだ終わっちゃいないんだ。そして、この俺もな……。(バトー)



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第10話「密林航路にうってつけの日 JUNGLE CRUISE」より

敵国の村に潜入し、その住民と仲良くなった後、これ以上ないほどの残虐な方法を以て殺害し敵国の戦意を削ぐ。それがCIA主導の極秘作戦「サンセット計画」。義体化や電脳化の技術を手に入れても、人はその残虐性を捨てることができなかったのだ。そしてマルコやバトーもまた、戦争の被害者なのであった。

普段は屈強な義体の内に隠されているバトーのナイーブな部分が非常に印象的だ。無残にもサンセット計画の犠牲になった少女の手をにぎるシーンなどでちらつくバトーの優しさとやるせなさが、視聴者の胸を強く締め付ける。

画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第10話「密林航路にうってつけの日 JUNGLE CRUISE」より

バトーに追い詰められ「俺を殺してくれ」と懇願するマルコ。バトーの脳裡に凄惨な記憶がフラッシュバックし、憤激とともに過去と現在の両方で銃をぶっ放すシーンは彼の決別の象徴だろう。「俺の戦争は、もう終わってるんだよ」の一言まで含めて本エピソードの名セリフと言えよう……。

ラストで、「今度は一人救ったじゃない」とバトーの身を案じてくれる素子に対して「ここはヤツのジャングルじゃない。俺達の町だ……そして俺は、警察官だからな」と言って去るバトー……本当に大好きだ……。

第7位……第16話 心の隙間 Ag2O

傷心のバトー。かつての傑物の錆びついた拳に何を想う?



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第16話 「心の隙間 Ag2O」より

これもバトーには辛いエピソード。攻殻S.A.Cスタッフはバトーをいじめるのが板についてきたのだろうか。タチコマとの別れでひどく落ち込むバトー。そんな彼に下されたのは海上自衛隊に潜入し、スパイ容疑がかけられているかつてのボクシング銀メダリスト、ザイツェフを内偵するという任務だった。

かつてザイツェフにあこがれていたバトーだったが、すっかり落ちぶれて三流スパイに成り下がったその姿に落胆を隠せない。義体の隙をつくほどの技巧と心優しい妻を持ちながらもその身を錆びつかせるザイツェフに、バトーの憤りは限界を迎える。

わざとかどうかもわからねえほど錆びちまったのか……(バトー)



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第16話 「心の隙間 Ag2O」より

本エピソードでのバトーの落胆がひしひしと感じられるセリフ。サブタイトルにもあるAg2Oとは銀の化学式。銀は光の反射率が高いので非常に美しく見えるそうだが、化学変化を起こしやすいためすぐに黒ずんでしまうという。自身の価値に気づけなかった男の末路にふさわしいサブタイトルと言える。

任務の都合とはいえ素子を妻だと言ったり、憧れの相手との手合わせでわくわくしたり、ハチミツで作られた酒を飲んで「甘えっ」と表情を緩ませたりとバトー好きにはたまらん回だが、それだけにラストが本当に苦く、切ない。

第6位……第17話 未完成ラブロマンスの真相 ANGELS; SHARE

英国の地で繰り広げられる荒巻の脱出劇!起死回生のヒントはワインにあり?


画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第17話「未完成ラブロマンスの真相 ANGELS’ SHARE」より攻殻機動隊S.A.Cは「笑い男事件」という大筋のストーリーをしっかり進めつつ、途中途中で9課メンバーの魅力を存分に引き出すエピソードを入れてくるところが本当にニクい。この第17話は公安9課課長・荒巻大輔が大活躍する屈指の名エピソードだ。

国際テロ対策協議でイギリスを訪れる草薙素子と荒巻大輔コンビ。荒巻は銀行でワインを資産として運用する「ワインファンド」を担当する昔なじみの女性、シーモアを訪ねる(ここでもサリンジャーネタを入れてくるあたり嬉しくなってしまう)。

彼女は荒巻に、自分の銀行のワイン・ファンドがマフィアのマネーロンダリングに使われていることを相談するが、時を同じくして、2人の強盗が荒巻とシーモアを急襲する!素子のいない状態で事件に巻き込まれた荒巻の運命は!?

真実はワインにあり。たしかイギリスのことわざでしたな?(荒巻大輔)


画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第17話「未完成ラブロマンスの真相 ANGELS’ SHARE」より

なんと、強盗を差し向け、銀行とマフィアのマネーロンダリングに協力していたのはイギリス警察だった。さらに悪い事に、荒巻たちを巻き込んで不正取引の証拠全てを抹消しようとしているのだった……。これはもう素子なしでは万事休すか!?と言うとそうではない。

強盗を味方につけ鮮やかに危機を脱した上、黒幕まで逮捕させ「英国は管轄外」と嘯きながら大活躍した課長はキメゼリフまで完璧だ。徹頭徹尾「荒巻課長カッコイイっす!」なエピソード……そんな中でもシーモアと再会した時に結婚指輪を確認しちゃったりするあたりなんか人間臭くてたまらん!

画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第17話「未完成ラブロマンスの真相 ANGELS’ SHARE」より

荒巻課長のスタンドアローンなカッコ良さも素晴らしいが、素子との絶妙な信頼関係を描いているのもポイント。分断されてしまったからこそ発揮される二人の「連携プレー」を視聴者ははっきりと見ることができるのだ。

「私が気づかなかったらどうするつもりだったの」と言う素子に対して「お前なら気づくさ」と返したり、シーモアとの別れを見られてバツが悪そうな顔をしたりと、とにかく荒巻課長と素子の掛け合いに萌える!ワインオープナーをしっかりと買っている少佐への「さすがだな」は最高の褒め言葉です、課長!!!

第5位……第18話 暗殺の二重奏 LOST HERITAGE

「戦友を二度も喪いたくはない……」暗殺者として蘇った友に荒巻は……。



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第18話 「暗殺の二重奏 LOST HERITAGE」より

続けて荒巻課長のフィーチャー回。来日中である中国外務次官の暗殺予告で緊張が走る9課だったが、荒巻は親友である辻崎の7回忌を前に複雑な心境だ。しかもそこで、辻崎の息子・ユウがまるで父が乗り移ったようにおかしな言動を繰り返しているという相談を辻先の娘から受ける。

それもそのはず、なんとユウの電脳には軍人であった辻崎の知識が上書きされており、その影響でユウは「優秀な諜報員に育成された暗殺部隊」に匹敵する戦術スキルの持ち主となっていた。その目的は、他ならぬ中国外務次官の暗殺……。

親友とその息子の凶行を止めるべく、荒巻は素子、バトーら9課を雨に濡れる現場へ急行させる……!

この歳で親友を二度喪うのは……応えるよ(荒巻大輔)



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第18話 「暗殺の二重奏 LOST HERITAGE」より

辻崎ユウに「暗殺を成就させたという偽りの記憶」を植え付けることで事件を未遂にとどめた9課だったが、後遺症によりユウは意識不明に。多忙な荒巻が7回忌にしっかり向かうなど、辻崎との篤い友情が伺えただけに結末が悲痛すぎる。

ラストシーンで素子に言ったこのセリフは、本作では珍しい荒巻課長の弱音だ。おそらく素子にしか漏らさないであろう荒巻の弱音に「戦友、じゃなかったの?」と静かに返す素子。辻崎が息子に託したかった「沖縄の真実」の詳細はもはやわからないが、悪意によって引き起こされた事件ではないだけに静かな悲しみが胸をうつ……。

第4位……第12話 タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM

タチコマが家出ぇ!?少佐の涙ぁ??シリーズ屈指の衝撃エピソードは必見!



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第12話「タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM」より

攻殻機動隊S.A.Cの大人気マスコット(?)キャラであるタチコマをフィーチャーしたエピソード。ひょんなことから脱走してしまうタチコマは、飼い犬を探している少女ミキと出会う。超シュールな絵面だが、タチコマとミキとの奇妙な犬探しは殺伐とした展開の多い本作において貴重な清涼剤だ。

後半は、タチコマが拾ってきた謎の機械にまつわる物語。その機械にアクセスした9課の鑑識が取り込まれ、さらには素子までも未帰還者に!……その箱の正体はなんと無名の映画監督の脳だった!身体と脳を切り離し、自分を一つの映画館のようにしてしまった執念の映画監督と、その脳に取り込まれた素子。奇妙な邂逅の結末は?

でも本当に観たい映画は一人で観にいくことにしてるから(草薙素子)



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第12話「タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM」より

タチコマの家出と映画監督の夢、一見、共通点のないエピソードに思えるが「現実を受け入れるか、現実から逃避するか」という主題において両エピソードは密接に関係している。飼い犬の死という現実を受け入れたミキと、現実から自分を切り離した映画監督・神無月との対比。その間でタチコマは重大な変化を迎えることになる。

もうひとつ印象的なのは「普段絶対に泣かないキャラクターの涙」を見ることができる点だろう。ミキの飼い犬の死に触れたタチコマはオイルの涙を流し、神無月の映画を鑑賞した素子もまた涙を流す……いやあ、少佐の泣き顔とか綾波の涙くらいの衝撃でしたわ……!

画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第12話「タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM」より

神無月との会話で「夢は現実の中で戦ってこそ意味がある。他人の夢に自分を投影しているだけでは、死んだも同然だ」と少佐が言い放つシーンでは、シネフィル(受け手)であると同時にアニメ監督(作り手)でもある神山健治監督のポリシーが伺える。

ちなみにバトーさんが涙するシーンは無いのだが、「映画でも観に行かないか?」と少佐を誘った際「本当に観たい映画は一人で観にいくことにしてるから」と絶妙に断られるシーンでは心中で涙を流していたと思う(少佐を映画に誘うなど元レンジャーでも勇気の要る行為だろう)。はたしてバトーさんは現実を受け入れられたのだろうか?

第3位……第21話 置き去りの軌跡 ERASER

公安9課vsマトリ強制介入班vs笑い男!三つ巴の戦いの行方は……。



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX「第21話 置き去りの軌跡 ERASER」より

「攻殻機動隊S.A.C」最大の事件である「笑い男」事件。電脳硬化症という不治の病とその特効薬「村井ワクチン」をめぐる利権問題など、実際の事件に取材したテーマを扱う神山健治作品の特徴が本作「攻殻機動隊S.A.C」では全面に押し出されている。

第21話では「笑い男」事件も佳境を迎え、重要参考人である今来栖尚を巡って公安9課と厚生労働省・麻薬取締局強制介入班(マトリ)との熾烈な電子戦・攻防戦が繰り広げられる。

マトリによって重症を負わされたトグサのためにも「笑い男」に保護されている今来栖を発見し、なんとしても確保しなければならないのだが……。

サイトオオオオオ!そいつをよこせえええええ!!(草薙素子)



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX「第21話 置き去りの軌跡 ERASER」より

やっぱりこれは外せない!もはや攻殻機動隊S.A.Cファンの間ではおなじみの名セリフ。「お前ホントに厚生省所属なのかよ!?」とツッコんでしまうほどのイカレポンチ、安岡ゲイルの駆るアーマースーツによって押井守の「Ghost in the Shell 攻殻機動隊」のラストの如くボコボコにされる素子。

万事休すかと思われたその時、紙一重で間に合ったサイトーとパズによって対戦車ライフルの援護射撃が!復活した素子はサイトーからライフルを奪い、怒りのゼロ距離射撃をゲイルに叩き込む!

しかし素子たちの奮戦むなしく、今来栖はマトリの残党によって射殺されてしまう。黒幕と9課による一進一退の攻防はこのまま最終決戦までもつれ込むのだった……。

第2位……第25話 硝煙弾雨 BARRAGE

倒れゆく仲間たち……公安9課の終焉を目前に素子とバトーが取った行動は……。



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第25話 「硝煙弾雨 BARRAGE」より

最大の黒幕、薬島幹事長によって無慈悲に実行される9課壊滅作戦。マトリ以上の難敵である海上自衛隊の秘密組織「海坊主」によってついにイシカワ、サイトーも倒されてしまう。

バトーは素子と合流するため行動を開始するも、海坊主によって追い詰められてしまう。絶体絶命の危機からバトーを救ったのは、ラボ送りにされたのち民間に降ろされていたタチコマたちだった!

自身を犧牲にして海坊主のパワードスーツを破壊するタチコマ。バトーはタチコマの自己犠牲によってついに素子と合流するのだが……。

さよなら。バトーさん……(タチコマ)



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第25話 「硝煙弾雨 BARRAGE」より

「攻殻機動隊S.A.C」のクライマックスは名シーン&名セリフの連続だ。特にこの第25話はイシカワの孤軍奮闘、バトーvs海坊主、9課メンバーを救うために奔走する荒巻課長など胸を熱くする「スタンドプレーによる戦い」が詰め込まれている。

その中でも特に印象的な「戦い」はタチコマたちによるバトー救出劇だろう。解体を免れ、民間に降ろされた3機のタチコマたちはニュースで9課の窮状を知る。それぞれ別の場所にいたタチコマンズが全員集結するシーンでうるうる来てしまうが、さらにそこで解体された仲間の末路を聞き「みんな、死を体験できたんだなあ」とこぼすシーンでは流石に涙腺が耐えられない

画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第25話 「硝煙弾雨 BARRAGE」より

さらに刑事ドラマのお約束である「殉職」までやってしまうタチコマは「攻殻機動隊S.A.C」のMVPだ。バトー救出に向かうタチコマに弾薬を渡す老人ホームの「戦況悪化おじいちゃん」の声がバトーと同じ大塚明夫と言うのも良い演出だ。

そして激闘の末、いまわの際にバトーを見上げ、タチコマが呟いた別れのセリフは声優・玉川砂記子の演技力も相まって号泣必至の出来に仕上がっている。

時計に筋トレ、か……お互い、しょうもない記憶の欠片にしがみ付いてきたものね(草薙素子)



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第25話 「硝煙弾雨 BARRAGE」より

第25話は涙を堪えるのに精一杯なシーンが満載だが、攻殻機動隊S.A.Cでは珍しいバトーと素子のロマンチックなシーンも用意されている。

還るべき組織を失い、仲間も失った全身義体のサイボーグに残されたのは「自分という個を特定してくれる外部記憶=思い出の品」だった。

過去に思いを馳せるように、バトーから渡された時計を指でなぞる素子の仕草が美しく切ない……。このあと少佐は海坊主によって射殺されてしまうのだが、その際バトーが思わず「モトコおおおおおおおおおお!」と「恒例のモトコ呼び」してしまうシーンなどでは「ああ、攻殻機動隊SACもここで終わるんだな……」と強く意識させられる。

第1位……第2話 暴走の証明 TESTATION

哀しき暴走戦車vs全身義体。鋼鉄の肉体同士がすれちがう刹那にちらつくのは……。



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 「第2話 暴走の証明 TESTATION」より

筆者が独断と偏見で選ぶ「攻殻機動隊S.A.Cの名シーン&名セリフ」第1位、それが第2話「暴走の証明」だ。播磨研究学園都市で暴走事故を起こした高性能多脚戦車HAW206を止めることになった9課。

あらゆる障害をその規格外の性能で突破するHAW206だが、ただ闇雲に破壊を行うのではなく、ある目的をもって進んでいる様子。その目的はなんと「両親への復讐」!?

そう、HAW206には病死した天才兵器開発者、加護タケシの脳が接続されているのだった!病弱だったにも関わらず宗教的理由から両親に義体化を止められていた加護は、ついに鋼鉄の身体を手に入れて両親の元へ進む。果たして9課は加護の暴走を阻止できるのか?

加護の脳を焼いたとき、一瞬だけど感じた……。どうだい母さん、鋼鉄の身体になった俺の姿……そんな、自慢とも、復讐ともつかない奇妙な感覚……(草薙素子)



画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 「第2話 暴走の証明 TESTATION」より

攻殻機動隊S.A.Cだけでなく全シリーズ通して筆者が最も好きなエピソードがこの「暴走の証明 TESTATION」だ。怪獣映画を思わせる多脚戦車vs9課の構図は単純に興奮するし、ストーリーも非常にわかりやすいのでとても見やすい。

だがそれだけがこのエピソードの魅力ではない。この話はとにかく、とにかく哀しいのだ。HAW206の力をもって加護が叶えたかった想い。それは親に「鋼鉄の身体になった自分を見てもらいたい」というもの。

画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 「第2話 暴走の証明 TESTATION」より

9課をも退ける鋼鉄の多脚戦車を動かしていたのはそんな、あまりにも人間的な感情。走馬灯のようにちらつく加護の記憶には、人間の思い出が持つたしかな温かみがあるのだ。そしてそれを唯一人感じ取ることができたのは、同じ鋼鉄の肉体をもつ素子だけだった。

はたして加護の脳を焼き切った瞬間、流れ込んできた感情は錯覚だったのだろうか。それを確かめる術はしかし、もうどこにも残されていないのだった。

攻殻機動隊 S.A.Cを観直せと囁くのよ。私の、ゴーストが。


画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第26話「公安9課、再び Public Security Section 9, Once Again – STAND ALONE COMPLEX」より

いかがだっただろうか?はっきり言って10選にまとめるのが相当難しかった。このアニメ名言多すぎる……。この流れで「攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX 2nd GIG」でも同じことがしたいのだが、話数を絞り込む苦悩で電脳が焼ききれそうなので少し怖い……。

画像…攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第26話「公安9課、再び Public Security Section 9, Once Again – STAND ALONE COMPLEX」より

「攻殻機動隊S.A.C」26話を振り返ってみると、その全編で「人間」を描ききろうとしていることが分かる。人が人の形から離れていく2030年の物語を舞台にすることで、逆説的に「人間の本当の姿」を描き出そうとする試みこそが「攻殻機動隊S.A.C」だったのではないだろうか……。

とりあえず!気持ち悪いオタクの能書きはここで終わるのでぜひDVDで、見てほしい!SFが苦手な人は特に!

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