山下達郎の「クリスマス・イブ」が30年以上愛される理由を考察する

日本を代表するシンガーソングライター:山下達郎さん。代表曲である「クリスマス・イブ」を知らない方はいないでしょう。30年たった今も、テレビや映画で流し続けられている理由を考察!クリスマスには欠かせないですよね。

知らぬ人はいない名曲「クリスマス・イブ」

ガチでヤバタツだった #山下達郎

ishiiさん(@ishiishiii)がシェアした投稿 –



厚手のコートを着込み、仕事帰りの街を歩いていると、ふと聞こえてくる“クリスマス・ソング”。「もうそんな季節か…」と、駅までの道のりを速足で通り過ぎる。そんなシーンを想像してください。あなたに聞こえてきた“クリスマス・ソング”は、どんな曲でしたか?

BoA「メリクリ」・桑田佳祐「白い恋人達」・松任谷由実「恋人がサンタクロース」・ワム!「ラスト・クリスマス」・マライヤ・キャリー「恋人たちのクリスマス」…。有名な曲だけでも、キリがありません。恋人達や家族にとって大切な日なので、心に残る名曲が多いのでしょう。

そして、最も多くの人が思い浮かべる名曲は、山下達郎の「クリスマス・イブ」。1983年にリリースされた曲ですが、今でもクリスマス・ソングの定番になっています

「クリスマス・イブ」ギネス記録達成!



2016年春に、めでたいニュースが入ってきます!シンガーソングライター山下達郎さんの「クリスマス・イブ」がギネス認定されました! 1986年~2015年までの30年間、連続でオリコン週間シングルランキングのTOP100にランクインしている曲です。

ギネスには「日本のシングルチャートに連続でランクインした最多年数」として認定されました。クリスマスシーズンになると、必ずと言っていいほど耳にしますよね。「懐かしい」といった感じではなく、「クリスマスに、お馴染みの!」といったイメージが強い名曲です。

「クリスマス・イブ」はなぜここまで愛されるのか?



「クリスマス・イブ」は、「シングルでリリースするには地味」という事で、山下達郎さんのアルバム「MELODIES」に収録された中の1曲。アルバムは順調に売れていました。

そのアルバムを聴いた、ムーン・レコードの社長から「せっかくのクリスマス・ソングなのだから、シングルカットしてみては?」と、提案されたのが運命の一瞬だったといいます。小杉社長、先見の明があるのでは?!

毎年、クリスマスシーズンになると“季節限定”として発売を続けていましたが、1988年に運命の出会いがありました。JR東海のCMソングに起用されることが決まったのです

#オレンジカード #シンデレラエクスプレス#ガラスの靴

Tetsuya Arafukaさん(@tetsuya_arafuka)がシェアした投稿 –



“私たちの足”である鉄道は、「日本国有鉄道(略して国鉄)」という公社だったことを覚えていますか?「まだ生まれていなかった」という方もいるでしょう。その国鉄が1987年に民営化して生まれたのが、鉄道事業者企業体「JR」です。

JR東海では民営化のPRとして、最初の企業広告を打ち出しました。東海道新幹線を主役にした、“エス久プレスシリーズ”の出発進行です!遠距離恋愛を題材にした「シンデレラ・エクスプレス」・「アリスのエクスプレス」・「プレイバック・エクスプレス」と続けて制作されました。

そして1988年に「こんな夜は、一番大切な人のそばにいて安心したい」のメッセージを込めて、「ホームタウン・エクスプレス(X‘mas編)」が作られます。

ホームタウン・エクスプレスX‘mas編



“遠距離恋愛のカップルが、クリスマスに再開を果たす。その幸せを運んできたのは、東海道新幹線だった。”このCMが発表されると、「クリスマスは、恋人同士で過ごす」という新たな日本文化が生まれたといいます。

この「クリスマス・エクスプレス」は、大きなブームになり1992年まで制作が続けられました。そして、流れているのは山下達郎さんの「クリスマス・イブ」CMのストーリーと雰囲気がマッチしていて、とても素敵なCMです

1988年に登場したのは、なんと当時15歳だった深津絵里さん。少し、くすぐったくなる物語ですが、紹介しましょう。いいですか?いきますよ!

X’mas EXPRESS’89

ラヴソング #クリスマスイブ #牧瀬里穂 #このあとすぐ

木羽 孝至さん(@nibilu)がシェアした投稿 –



“新幹線で帰ってくるはずの彼。降りてくる人ごみの中に彼はいない。不安になりながらも待ち続けていると、柱の影からムーンウォークしながらブレイクダンスをして現れる彼。彼女は泣き笑いの笑顔で、2人はじゃれ合うという物語です。

くすぐったいですよね?なんか痒いですよね?(笑) 当時は、このCMが女性陣の中で大ヒット!次々と、違うバージョンが生まれました。1989年の牧瀬里穂さんの物語では、“女性が柱の陰で待ち伏せる“形になっています。

故郷に帰ってくる彼の、到着時間に間に合うように駅の構内を走る。サラリーマンにぶつかるアクシデントもありながら、柱の陰で息を整える。という、こちらもくすぐったいストーリーです。

幸せな曲?

出典:https://www.pakutaso.com

このCMたちが起爆剤となりました。毎年のようにクリスマスシーズンになると、テレビからCMと共に流れる「クリスマス・イブ」。飲食店やデパートなどでも“クリスマスですよ”と教えてくれるように、BGMで使われるようになりましたね。

男性よりも、女性の間で親しまれてきた曲ですが、歌詞を読むととても切ないストーリーなのにお気づきでしょうか?CMの影響で、幸せな歌だと思っている人も多いはず。歌詞を見ながら、考察してみましょう!

考察してみた「歌詞編」



歌詞の出だしは美しい描写から始まります。“暗く冷たい空、降り続く雨は夜が深くなってから雪に変わって行くだろう。”ホワイトクリスマスになる予感を表します。~静かな夜。聖なる夜~

“きっと君は来ないだろう。今夜は一人きりのクリスマスイブだな”と、あきらめた1人の男が浮かびます。しかし、このフレーズからは、かすかな期待も感じられます。“来て欲しいけれど、たぶん来ない。”という思いが…。

誰を心待ちにしているのだろう?その答えは次の歌詞に。“今まで押し殺していた感情を、今夜ならやっと言えそうな気がした”友達の彼女に恋をしていたのでしょうか?「心深く秘めた思い」を告白しようとしているのですね。大切な夜です

出典:https://www.pakutaso.com

“来ない彼女を待ち続ける。もしかすると、今、あの角を曲がってくるかもしれない。”と、期待と不安が混じります。“君への想いは消えない。街に点いたクリスマスツリーの灯りように燃えている。

”彼女は、彼の元へ現れないことで意思表示をしているのでしょう。でも、あきらめられない心はどうしようもありません。街角にきらめいているクリスマスツリーを眺めながら、彼は待っています。~Silent night.Holoy night.~

一人静かに失恋を経験した夜を歌った、せつない曲ですね。CMの幸せなカップルとは違いすぎます。このような“誰にでもありそうな実体験”を歌った曲というのも、女性の心をつかんだ一因でしょう。共感を生んだんですね。

考察してみた「メロディ編」

早朝卒業式setからのoff こんないい天気の日は#rideontime #山下達郎 よし、ノースフェイスいこ?

shuohkuboさん(@shu0725)がシェアした投稿 –

冒頭はギターメロディーから始まり、ポップな曲調が楽しい歌を想像させます。「雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう」という歌いだしも、これから過ごす楽しいホワイトクリスマスを連想させます。

そして、重くなりがちの歌詞を明るく歌い飛ばすかのように、軽くテンポのいい仕上がりにしています。途中で、「パッヘルベルのカノン」をベースにしたコーラスが流れているのも、興味深いですね。

ドイツの作曲家ヨハン・パッヘルベルが作った「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグニ長調」という曲は、日本で卒業式などのBGMで使われることが多い曲です。

出典:https://www.pakutaso.com

通称「パッヘルベルのカノン」を曲間に挿入することで、“辛い恋心からの卒業”を、示唆しているのではないでしょうか。そう思って聞いてみると、ますますせつなく悲しい気分が、盛り上がってきます

秘めた恋心は、誰にも知られずに忘れなければいけない。相手には、悟られているかもしれないけれど、口に出せないもどかしい想い。この深い心を、軽く明るい曲で卒業させよう!“ふっ切れた”というより“投げやり”な印象を受けます

このポップな曲から連想するのは、CMのような幸せカップルでしょうか?それとも歌詞を拾って、影を感じるでしょうか? いろいろな想いが交差するクリスマスに、ピッタリな曲かもしれません

広瀬すずちゃんが主演で登場!

山下達郎さんの「クリスマス・イブ(30th Anniversary Edition)」が、2013年にリリースされました。その時のミュージックビデオに、広瀬すずちゃんが出演したことをご存知ですか?

こんなに有名な曲なのに、今までミュージックビデオを作られたことが無かったなんてビックリですが、記念すべき初MVは感動モノでした!24分間のロングバージョンもあるので、時間がある方はじっくりどうぞ!

彼氏(?)のバイト終わりを待つ女子高生。サプライズで、待っていたのかは分かりませんが、彼氏は来ないし連絡も来ません。彼氏を探しに街中へ出たものの、どこにいるのか分からないのでウロウロとします

そこで、道行く人にぶつかってしまいます。そのぶつかった人が牧瀬里穂さん!1989年に、「クリスマス・イブ」が流れる中、サラリーマンにぶつかってしまった少女です!この瞬間、アラサー、アラフォーは沸きました!「ぶつかり、再び!」

このミュージックビデオは「恋人に会いたい気持ちは、いつの時代も変わらない」という事を表現した名場面でしょう。牧瀬里穂さんが“サリーマンとぶつかったシーンのオマージュ“ということで作られたそうです。

ぶつかった後の、牧瀬さんの表情が「あの時の私と同じ…」と言いたげで、懐かしく見ていられました。 ここまで長い間流されている曲「クリスマス・イブ」は、いつまでも愛し続けられることでしょう