ヴィンランドサガの史実と虚構 トルフィンの妻はあの人!?【ネタバレ注意】

ヴィンランド・サガのキャラクター達には実はモデルが居た!?今回はトルフィンやクヌート王のモデルや幻の台地ヴィンランドの伝説と、今後のストーリーの展開を予想していきます。

ヴィンランド・サガって?

ヴィンランド・サガとは、「プラネテス」の作者 幸村誠による漫画で、11世紀初頭のヴァイキングたちの生き様と、幻の大地”ヴィンランド”を目指し生きる主人公 トルフィンの生涯を描いています。

2005年より週刊少年マガジンで連載を開始し、同年12月より月間アフタヌーンへ移籍、2017年の現在も連載中の大人気アクション・時代漫画です。

2009年には第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を、2012年に第36回講談社漫画賞(一般部門)をそれぞれ受賞しています。

物語の舞台は11世紀北欧、まだ世界がそんなに広いという認識が少なく、海を制したヴァイキング達が最強を誇っていた時代。極寒のアイスランドで一人の赤ん坊が産声をあげます。

彼の名はトルフィン・トルザルソン。ヨームの戦鬼と言われたトールズ・スノーレソンとヘルガの息子で、この少年が後に「侠気(おとこぎ)のトルフォン(トルフィン・カルルセヴー)」と呼ばれることになる、本作ヴィンランド・サガの主人公です。

ヴィンランド・サガは11世紀初頭の北欧に実在にした人物、冒険者 ソルフィン・ソルザルソンを主人公 トルフィンのモデルにしたフィクションで、「赤毛のエイリーク」と「グリーンランド人のサガ」が物語の背景にあります。史実を軸に大幅なフィクションが加えられている時代漫画です。

作品の名前にもなっているヴィンランドとは?

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ヴィンランドとはかつて存在した北アメリカの地名で、ヴィンランド(ブドウの国という意味)という地名はヴァイキングのレイフ・エリクソン(作中では幸運者レイフ、実在した人物)がその名を名付けたと言われています。

大航海時代と言われる16世紀、コロンブスによるアメリカ大陸発見よりも500年前、すでにレイフ・エリクソンはアメリカ大陸を発見、上陸し、ソルフィン・ソルザルソン含め160人ほどノヴァイキングを率いて入植していいます。

その内容は赤毛のエイリークのサガグリーンランド人のサガとして13世紀にまとめられています。サガとはアイスランド語で口頭で伝えられてきた叙事詩のことで古ノルド語で書かれた散文作品群の総称です。ノルウェーやアイスランドで起きた出来事が多く書かれており現代では200点ほどが伝わっています。

サガと実際に発見されている遺跡

サガとして伝わり現在確認されているヴァイキングの北アメリカの入植地は、1960年代に発見されたランス・オ・メドー遺跡のみとされていましたが、ランス・オ・メドーには一時滞在小屋のような遺跡しかなく、長年考古学者たちはヴァイキングの足跡となる遺跡を探してきました。

そして、2016年4月カナダのニューファンドランド島に、新たに”ポイント・ローズ”が発見されました。

そこからは鉄の製造に使われる石の炉床が見つかっており、2017年の現在ではまだヴァイキングが使用したという確かな証拠は出土していませんが、遺跡の年代や当時の他国の入植記録と照らし合わせても石の炉床を鉄の製造に使用する民族は確認されておらず、サガと照らし合わせてもこの遺跡がノース人のヴァイキング達のものだという事が大変有力だとされています。

バイキングの遺跡、カナダ東部の島で発見

1000年前の製鉄の痕跡か、北米で2例目

2016.04.06

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ヴィンランド・サガ 旅立ち編

【ネタバレ注意】あらすじ

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旅立ち編は、最初、ヴァイキング達の城への略奪中、敵指揮官の首を取る戦功をあげた主人公 トルフィン頭目のアシェラッドとの決闘を求めるところから始まり、冒頭の城攻めの10年前、物語はトルフィンの幼少期の頃に遡ります。

父は”戦鬼トールズ、母はシグヴァルディの娘 ヘルガ、姉のユルヴァと共に、アイスランドの険しい土地で貧しいながらも幸せに暮らしていました。時折訪れる船乗り、幸運者レイフからきくヴィンランドの話にあこがれる普通の少年だったトルフィン、そこへ北の海で最強と言われる戦闘集団のヨーム戦士団のフローキという男が訪ねてきます。

島民を人質に取られイングランドとの戦争に参加することになったトールズにこっそりついて行ったトルフォンは、父が策略にはめられアシェラッド兵団に殺されるのを目撃します。

旅立ち編 史実との比較

11世紀当時のアイスランドは、極寒の地故の寒さと産業のなさからノルド人ケルト人等の移住者たちが羊の養殖材木の伐採を主としておこなっていました。製鉄技術は石の炉床を使用し、泥などから採取した鉄を製錬するノルド人の技術を用していましたが、、他の主だった産業が無く、全体的に貧しく戦による小競り合いが絶えない土地でした。

父トールズが所属したとされるヨーム戦士団とは、10-11世紀にかけて活躍したとされる伝説上のヴァイキングの傭兵団、ヨムスヴァイキングがモデルになっています。サガでは、ヨムスヴァイキングのサガオーラヴ・トリュッグヴァソン王のサガ等がありますが、主要な情報は少なく、伝説か史実かはいまだ議論されています。

ヴンランド・サガ ブリテン編

【ネタバレ注意】あらすじ

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デンマーク王のイングランド征服に伴うロンドン襲撃に、アシェラッド兵団とヨーム戦団は参加するところからブリテン編が始ります。デーン人トルケルを筆頭とするロンドン要塞の兵は強固で、デンマーク王はクヌート王子に4000兵だけ残し本軍を移動させてしまいます。実質、本体の撤退時のおとり役の将となったクヌート王子は敗れ護衛のラグナル神父ヴィリバルドと共にトルケル軍の捕虜となってしまいます。

アシェラッドは自らの野望の為、クヌート王子を奪還、保護しトルケル軍から逃げますが、風雪に阻まれ進路変更した先の村でイングランド軍に見つかってしまいます。この際、ラグナルに頼りきりのクヌート王子を自立させるためにアシェラッドはラグナルを暗殺してしまいます。

トルケル軍の接近を知ったアシェラッド兵団は半数がトルケル軍へ寝返り、アシェラッドは兵団の副官ビョルンとトルフィンを護衛に付けてクヌート王子と神父ヴィリバルドを逃がします。裏切った兵士との交戦中にイングランド軍が到着し、トルケルとアシェラッドの戦闘が始まります。

王子クヌートは神官ヴィリバルドとの対話の中で自らの進むべき道をみつけ、王者の風格を身に付けます。一方アシェラッドの危険を感じだトルフィンは戦場に戻り、トルケルと交戦しますがそこにクヌートが現れ戦闘を中断させます

王者の風格を得たクヌートに対し、トルケル兵団は帰順し、アシェラッドとトルケルという部下を得たクヌートは自身をおとりに使ったデンマーク王と対決するため本拠地に帰還し謁見をします。

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謁見の場で王はアシェラッドの出生に触れ、クヌートを窮地に立たせます。アシェラッドは追い詰められ、王子の今後の為にデンマーク王を暗殺、その直後アシェラッドの意図を汲んだクヌートに処刑されてしまいました。そして、クヌート王子は自らが王の代理を行うことを宣言、実質的なイングランドの覇権を握ることになります。

目の前でアシェラッドを殺されたトルフィンは、父の復讐だけを頼りに今まで敵であるアシェラッドに付き従い、決闘でアシェラッドを倒すために生きていたのですが、その目的自体を亡くし、錯乱しクヌートに切り掛かり顔に傷を負わせます。捉えられたトルフィンは、王子に対する謀反の罪で奴隷の身分に落とされてしまいます

ブリテン編 史実との比較

https://youtu.be/eWkHKzbLqEQ 動画はノルウェーのヴァイキングフェスティバルの紹介動画です。11世紀ごろのヴァイキングの暮らしぶりを再現し、食事や音楽、戦のデモンストレーションがあります。祭りではイングランドとデンマークの攻防戦の際、出兵していったノルド人たちヴァイキングの様子を模しているものもあり、当時の戦いの衣装、戦法としての槍の使用方法やヴァイキング船の操舵の仕方などの講習を受ける事が出来ます。

イングランドとデンマークの戦争は980年代から始まり、父王のモデルであるデンマーク王スヴェン一世は幾度となく交戦しています。本章でモデルとなったロンドン襲撃1013年イングランドの王エゼルレッドを破った時のもので、これによりスヴェン一世はデンマークの王位でありながらもイングランドの王位を得ます

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1014年、スヴェン一世は急死し、1016年、クヌート王子のモデルであるクヌート一世がイングランドの王位を継承します。その二年後、クヌート一世の兄であるハーラル二世が病死したためにクヌート一世はデンマークの王位も継承します。

クヌート一世はこの後、スウェーデンやノルウェーにも勢力を拡大し、度重なる遠征と戦闘を繰り返したのちに1028年ノルウェーの王位も手にし3国をまとめた北海帝国を築き上げクヌート大王と称されるまでになりました。

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アシェラッドの母の出身とされるウェールズグレートブリテン島の南西に位置しています。ここはローマ時代にブリテン島に定住していたケルト人系の民族の土地でした。作中の中世の時代には小部族国家が群立しており、1258年ウェールズ公国となるまでは統治者は多く変わりますがどれも長続きせず、小競り合いの絶えない土地でした。

ヨムスヴァイキングのサガ、デンマーク人の事績のなかに登場する戦士「のっぽのトルケル」がおり、デーン人のトルケルのモデルとなっています。このサガでは他にもイングランド征服の様子などが描かれており、本作のブリテン編のモデルになっています。

ヴィンランド・サガ 奴隷編

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奴隷に身分を落としたトルフィンは、デンマークのユトランド半島に広大な土地を持つ農場主、ケティルに買われます。そこで同じくケティルに買われたエイナルや、奉公人のパテール、ケティルの父スヴェルケルの手ほどきを受けながら開墾作業と農業に取り組みます

やがてトルフィンは命を育てる事とそれを糧とする喜びを学び、今までの戦士であった自分を悔い始めます。父のトールキルの死に様や、アシュラッドの「本当の戦士になれ」という遺言の意味を理解し、今後二度と暴力を振るわないと自らに固く誓います

ケティルの愛人のアルネイルにも出会い、自由を買える自分たちと違い愛人だから今後の自由のないアルネイルを知り、トルフィンは奴隷制や戦争のない理想の国の絵図を描き始めます。

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イングランドとデンマークの王になったクヌートは、資金の調達の為生産量の高いケティルの農場に目を付け、そこを徴収しようとします。ケティルの次男オルマルの性格を利用し、揉め事を起こさせたクヌートは農場への侵略を開始します。

その頃アルネイズの元に彼女の夫ガルザルが現れ彼女を取り巻く境遇を知ったトルフィンとエイネルは二人を逃がそうとしますが、客人の頭目であるに見つかってしまいます。自らの農園の富をクヌートに奪われるのを恐れたケティルは怯えアルネイズの慰めを求めますが、彼女がケティルを裏切り夫と逃亡しようとしていたことを知って逆上し折檻を加えます

その後ケティルはクヌートの手勢が100人なのを知って侮り、農民や奴隷を連れて戦いますがかなわず、農場はクヌート軍の虐殺の場となっていきます。

惨劇の中、トルフィンを探し続けていたレイフが現れトルフィンに救いの手を差し伸べます。重症のアルネイズを連れ脱出しようとしますが彼女にはもう生きる気力が無く、トルフィン達への感謝を告げながらこと切れます。

脱出直前、完膚なきまでやられ降伏を迫られている農場を見て、トルフィンは特使としてクヌートへの謁見を申し出ます。最初クヌートには無視され、クヌート軍には特使であることを疑われた為、トルフィンは謁見権利を掛けて100発殴られますが耐え、クヌートとの謁見を行います。

ヴァイキング達を救う国を作りたいクヌートと、争いのない国を作りたいトルフィン。その意思を聞いたクヌートは農場の押収をやめ、資金難の源である駐英デンマーク軍を解放し、道は違うが共に進む仲間が出来たことに喜びを感じます。

奴隷編 史実との比較

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11世紀ごろの奴隷貿易スラヴ人トルコ人がヴァイキングやムスリムによって多く売買されていました。そして、一部には本作でも書かれている通り戦火に焼け出された者捕虜となった者脱走兵国外追放などの犯罪者やそれに準ずる人間も奴隷として売買されていた記録があります。本作ではトルフィンがその例に当てはまり、奴隷の身分を与えられたのちに国外追放をされました。

奴隷の多くは労働者として生活をしていました。主な働き口は農場鉱山、学がある者(政治犯や貴族からの追放者)なら家庭教師と、中世の経済の根底の殆どに組み入れられるほど数は多く、地方の農場主や多くの裕福な家庭、貴族階級では奴隷の使役が当たり前で、その殆どが解放されることなく死亡するまで働かせられました

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エイナルの村を焼いたエゼルレッド王とは、10歳でイングランド国王に即位した渾名「無思慮王」ともいわれ、悪政を敷いた王として多く記録が残っています。エイナルの言う故郷を焼かれたのは1002年エゼルレッドの出したデーン人を皆殺しにせよと言う命令が元となっております。

これに対しクヌートの父王であるスヴェン王が大軍を率いてオクスフォードを焼き討ちにし、それを恐れたエゼルレッドはヴァイキングに対し巨額の賠償金を支払うことで休戦しました。その後エゼルレッドは妻の実家であるノルマンディに亡命し歴史の表舞台から姿を消します。

エセルレッド王の行ったデーン人虐殺により家屋や守られる家族を失った人々の多くは、作中のエイナルのように奴隷として売買されることが多く存在しました。

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11世紀、デンマークの農業で盛んな農作物は、ライ麦大麦ライスジャガ芋で、それらは現在にも伝統料理として多く国民に親しまれています。11世紀、トルフィン達の時代は特にライ麦が盛んですが、ライ麦を作るには広大な土地が必要なため、デンマークの森林の多くはこの時代に開墾されライ麦や大麦の広大な畑が出来上がります。

また、海に面している地域は土地が痩せており、土地を豊かにするために開墾後、ジャガ芋を数年間生産し土地を肥やしてからビールの原料の大麦の生産に移るなどをしていたため、当時からの郷土料理の多くにはジャガ芋が使用されているのも特徴です。

トルフィン達が買われたケティル農場は沿岸部からは離れているため沿岸部に比べると土壌は豊かで、開墾の後にはライ麦、大麦を主に扱った大農園でした。

ヴィンランド・サガ 繋がれたアジサシ編

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奴隷編の後、アイスランドへ帰り家族と感動の再会(姉には疑われ殴られたけど)を果たしたトルフィン。家族へ家を出てからの16年間の話をし、自身のヴィンランドへの思いと決意を話します。家族の理解を得、ヴィンランド建国の為の出資者をもとめ一同はアイスランドでも有数の富豪、ハーフダンの農園を目指します。

シーンは変わり、金貸しのハーフダンの息子 シグルド花嫁を迎えようとしていました。その花嫁の名前はグズリーズ、女だてらに船乗りになりたいと子供の頃から広い世界にあこがれていた少女で、レイフの亡くなった弟の妻でした。

結婚し家庭に入るのを嫌がるグズリーズですが、女でなければ船乗りになれたという事実を胸に一度は夢をあきらめます。しかし、いざ初夜が始まるとグズリーズはシグルドの足を刺し逃げてきてしまいます



ハーフダンにヴィンランドの計画を話、融資を頼みますがトルフィンは断られてしまいます。代わりにシグルドの結婚式の祝いの礼にイッカクの角を渡しますが、レイフはハーフダンの意図を知りこれは挑戦状だと告げます。イッカクの角はギリシアでは万能薬のユニコーンの角として同じ重さの黄金と同価値と聞かされ、一行はギリシアまでの渡航を決めます。

結婚式が終わり出向をしようとした時、ジグルドを刺してしまったグズリーズに出会います。結婚式の前、自ら船乗りの資質があり、男だったら船に乗れることを証明したグズリーズ。彼女の事情を知りトルフィンは彼女を乗組員に加える事を決意します。

花嫁に逃げられたという屈辱を被ったジグルドは、その名誉を取り戻すためにグズリーズを必ず連れ帰すと誓いトルフィン達を追います

繋がれたアジサシ編 史実との比較

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11世紀中世の北欧の女性の結婚については、女性側の意に反した結婚の強制は法令で禁止されていました。しかし農村部やアイスランドのような険しい土地では結婚は家と家で決めるものとしてその家の家長同士で話し合って決めるなど当人の意思に反する結婚の風習が強く残っていました。

女性は子供を産み育てながら家を守るのが正しいとされ、作中のトルフィンの家のように男手が居ない家では女性が仕事をするのも仕方なしとされていましたが、賃金も男よりも少なく、平均して17-18を過ぎるまでに女性は結婚して家庭に入るのが通常とされていました。

グズリーズのような未亡人の場合、女性は結婚すると嫁ぎ先の家の人間となるので生家に戻ることはなく、未亡人の再婚の場合は嫁ぎ先の家長が決めるのが通常とされていました。

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今回登場したグズリーズはトルフィンと同じくモデルがおり、本名はグズリーズ・ソルビャルナルドッティル。トルフィンのモデルであるソルフィン・ソルザルソンの妻です。彼女はレイフの弟ソルスティンと結婚し、3度共にヴィンランドを目指したうち二度の上陸に成功しましが、ソルスティンは三度目の航海の後病死し、グズリーズは未亡人となります。

赤毛のエイリークのサガではソルフィンは裕福な商人で、未亡人グズリーズに恋をし結婚します。ヴィンランドへの渡航はグズリーズが強く希望したもので、ここが漫画と史実との違う部分ですね。

ヴィンランド・サガ 北海横断編

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シグルド達から逃げながら物語は北海横断編になります。トルフィンたち一行はレイフの友人が住むというシェットランド諸島に訪れますが、そこは数日前にむらが焼き討ちにあったばかりで瀕死の母親と赤ん坊、そして火傷を負った犬が一匹生き残っていただけでした。

瀕死の母親はトルフィンに、赤ん坊の名をカルリとだけ告げて事切れ、トルフィン達一行はカルリと犬を船に乗せて航海をしながらカルリの里親を探します。

スカンジナビア半島に立ち寄った際、クマに襲われているところを女狩人のヒルドに助けられます。しかし、ヒルドは昔「凪の入り江」の領主の娘でしたがアシェラッド団に焼かれ、トルフィンに目の前で父親を殺されました。女に興味のなかったトルフィンに逃がされますが、深い傷とトルフィンへの恨みを持ったまま育ちます。

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自身の過去に向き合うことになったトルフィンに、ヒルドは親の敵を討たせろと迫ります。トルフィンが断ると食事にを入れたといい、解毒薬を入手する為にトルフィンは止む無く一騎打ちの申し入れを受けます

狩人のヒルドの武器はなので、装填に時間がかかると踏んだトルフィンは接近しヒルドを捕獲する作戦を練りますが、故郷の村で画期的な農用機の設計や開発を行っていた彼女の弩は連射力と威力に大変優れた改良型だった為失敗します。

追い詰められたトルフィンは自らの罪を償うためにヴィンランドに平和な国を作るという目標をヒルドに話すと、ヒルドは引き金を引いてもトルフィンに当てる事はできませんでした。トルフィンが二度と暴力にとらわれないかどうかを監視すると告げ、一行にヒルドが加わります。

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ヒルドを加えた一行は補給のために立ち寄ったイェリングの港でかつてイングランド編で戦ったトルフィンの叔父のトルケルの所属するヨーム戦士団と出会います。

兵団のキャンプ地でトルケルからフローキを紹介され、ヨーム戦士団が現在跡目の相続争いが起こっておりフローキの孫ハロルド派野心家のヴァグン派に二分している話を聞かされます。トルケルはフローキに二代目団長シグヴァルディとトールズの息子で、実戦経験もあり実力もある侠気のトルフィンが正当な後継者だと主張しますが、トルフィンは興味がない事と関わりたくないことを告げキャンプを後にします。

しかしフローキから追手がかかり、仲間を巻き込まないためにトルフィンとヒルドはフェン島のオーゼンセという港で落ち合う約束をし船を降ります。

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フローキの手下がトルフィン達の逃走経路を経つ為に船乗りの達を襲っているのを見てトルフィンは止める為に戦闘になります。ヒルドの援護もあり戦闘に勝利しますがその一団にはヴァグンの使者が紛れておりトルフィン達はキャンプへと連れていかれます。

ヴァグンからトールズ殺しの黒幕はフローキだと聞かされますが、敵を取らないと告げたトルフィン。キャンプ内で付近の民娘達が慰安婦として働かされていた事を知りトルケル軍が攻めてきた事もあり彼女達をつれて脱出します。

イェリング港でトルケル軍に奴隷として買われたシグルド達はトルケルに気に入られ装備を与えられますが、フローキの刺客ガルムヴァグンを殺され戦闘になりませんでした。ガルムはトルフィンを追い森の中で戦闘になりますが逃げられ、オーゼンセにいるエイナル達を人質にとります

北海横断編 史実との比較

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北海横断編の物語の主軸になっているのは復讐。カルリ、トルフィンの話では殺された親の仇を取らなければならないというノルド人の掟、ヒルドの話ではトルフィンが属したアシェラッド団に殺された家族や領民の仇撃ちとなっています。

作中にも描かれている通り当時のノルド人の間では血族が殺された場合の復讐をしなければならないという掟があり、現在のように法律というものが無いため血で血を拭うことが正当だとされていました。

当時の中世北欧の社会では、一族が固まって住む傾向があり〇〇の子□□と名乗る事自体が出生を語る事に繋がっており、一族の系譜や血統を誇りとしていたのが伺えます。それによって、仇を討つ事は一族の名誉や誇りを守る手段として、それを行わないノルド人は汚名を被ったまま生きていく事になります。

史実から考察する今後の展開予想



今後の展開予想では、ヨムスボルグでトルフィン一行を巻き込んだフローキ対トルケルの戦闘ヨーム戦士団の解散、又は事実上の戦力の無力化がまず予測しやすいところで、チラホラと姿を見せている漫画史上類を見ない最も不憫なキャラクターのシグルドとの衝突もあるのかなと思います。

また、史実や絵の描写で考察すると、シグルドとのことが解決した後にトルフィンとグズリーズの結婚や、元のサガではソルフィンが裕福な商人となっていることからギリシアでの商売の成功が予想できます。

その後、サガではソルフィン一行はヴィンランドへの上陸を果たしますが地元民と上手くいかず10年程度で引き上げている為、そのエピソードなどが予想されます。まだまだ長く続いてくれそうですね。

おまけ:ヴィンランド・サガのアニメ化の可能性は?

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ここまで読んで下さりありがとうございました。ヴィンランド・サガの漫画と史実の比較はいかがだったでしょうか?史実といっても中世ノルド人は文字を基本的には持たない民族だったため、叙事詩として口伝で伝わっていたものなので様々な解釈や付随する伝承があるそうです。

出来る限りサガに残る伝承クヌート大王に関する史実、そして11世紀の当時の人々の暮らしからヴィンランド・サガの世界観を読み解いてみましたが、ヴィンランド・サガを読むにあたっての楽しみの一面として11世紀の北欧の事を調べてみるのも面白いですよ。

今後、ヴィンランド・サガのアニメ化の可能性ですが、発行部数やその人気からアニメ化の可能性は十分にあり得ると考えています。前作プラネテスのように語り継がれるような素晴らしいアニメになるといいですね。

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