2008年から角川文庫にて連載を開始した大人気青春ミステリー ハルチカ を、徹底解析!青春×吹奏楽にまさかのBL要素も!?映画化もされた大人気タイトルを徹底解析!話題の青春ミステリの全てがここに!
目次
話題の青春ミステリ「ハルチカ」
小説、アニメ、そして実写映画。今最も話題の青春ミステリ ハルチカをこの度ご紹介します!
ハルチカとは、2008年角川書店より刊行されている推理小説で、初野晴によってハルチカシリーズとして著作されています。2008年に刊行された退出ゲームをはじめ、初恋ソムリエや空想オルガン、千年ジュリエットなどの一連のシリーズの事をハルチカシリーズと名付けられており、青春日常ミステリ作品となっています。
2016年3月にはP.A.WORKSによってアニメ化もされ、2017年3月から実写映画が公開されました。
原作者 初野晴
初野晴「ハルチカシリーズ」が意外と骨太!アニメ化の評判は? #初野晴 https://t.co/2Fi9s4V99N pic.twitter.com/hAoYlfgy9F
— 斜め上からこんにちは (@nanameuekarakon) 2017年3月25日
ハルチカの原作者初野晴は2002年、水の時計で第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビューしました。静岡県出身で法政大学工学部を卒業の初野の作風はちょっと不思議系。執筆は大学生からで2012年まで営業職を行いながら執筆活動に励んでいました。
しかし2012年、小説と営業職の2足の草鞋は厳しいと営業職を退職、2017年の現在は小説家として執筆にいそしんでいます。弟が音楽関係の仕事をしていることから、ハルチカシリーズの執筆の際は吹奏楽の専門用語等は書いた後で弟と答え合わせをしていると大野真寿美との対談インタビューでは語っています。
営業職と柔道を長くやっていた初野ですが、作品には自分と距離があるものが書きやすいそうで、自身の体験した現実と離れた話をこれからも書いていきたいと語っています。
吹奏楽、ミステリ・・・そしてまさかのBL要素も!?
ハルチカはただの高校生の青春ものじゃありません。主人公のチカやハルタ、顧問の草壁を初めとする清水南高校吹奏楽部の面々の前にはことあるごとにちょっとした謎が立ち塞がります。
女の子らしくなりたいと望み入部した弱小の吹奏楽部で顧問の草壁信二郎に恋をした穂村千夏でしたが、幼馴染の上条春太も草壁に思いを寄せていることを知りまさかの恋のライバルに。卒業まで抜け駆けしないという協定をつくり、チカの高校生活は始まります。
純粋に吹奏楽の物語かと思いきや、彼らの日常に散りばめられた謎をハルタや吹奏楽部の面々が次々と解決していくというミステリ仕様で、チカやハルタ、吹奏楽部の面々の成長や顧問の草壁の抱えている過去にも触れ解決をしていくという青春ミステリ作品です。
ただの青春モノじゃない!クセモノ揃いの登場人物
ハルチカには、主役のチカとハルタを始め顧問の草壁や部長の片桐、打楽器の檜山など一癖も二癖もある個性的なキャラクターがとても多く登場します。今回はそんな個性豊かなキャラクター達を紹介します!
穂村 千夏
通称チカ、この物語の主な語り部で、アニメ版ではチカが主人公として描かれています。中学ではバレー部に所属しており、大変好成績だった為高校でもバレー部に誘われますが、女の子らしくなりたいという理由で誘いを断り廃部寸前の吹奏楽部に入部。部員集めをしている間に顧問の草壁に片思いするようになります。
上条春太とは幼馴染なので遠慮のないやり取りをしていますが、ハルタも草壁に思いを寄せており、卒業式まで抜け駆けしないという約束をしています。楽器はフルートにはそれまで一度も触れたことはなくまったくの初心者ですが、度胸と根性で日々努力を続けています。
アニメ版の声はブリドガット・セーラ・恵美が演じており、まっすぐに人と向き合えて、頑張りさんなところがチカの魅力だと語っています。
上条 春太
通称ハルタ チカの小学生の時の幼馴染で、高校で9年ぶりにチカと再会します。年の離れた3人の姉達からのモフハラ(可愛がられ過ぎる)から逃れる為に一人暮らしをしており、いつもお腹を空かせています。チカと同じく草壁に思いを寄せていますが、男が好きというわけではないようです。
中性的な顔立ちの美形で頭脳明晰。ハルチカシリーズの探偵役のキャラクターですが、草壁の事になるとタガが外れ暴走てしまう事もしばしばあります。
アニメ版では声を斉藤壮馬が演じており、高校生だけど大人顔負けの推理をし、またドライな一面もあるハルタというキャラクターを原作通りに演じています。斎藤は原作ファンで絶対に出演したいという意気込みでオーディションに挑んだそうです。
草壁 信二郎
草壁信二郎は千夏たちの所属する高校の新任の音楽教師で吹奏楽部の顧問。とても穏やかで生徒を大切にする人物で、チカやハルタが謎を前に迷った時にはそっと背中を押したり、時には厳しく接したりする信頼されている教師です。
かつては国際音楽コンクールで2位と言う輝かしい功績を持つ将来を有望視された指揮者のタマゴでしたが、なぜか教職に就きその謎を調べる為にチカ達に演奏会当日に音楽雑誌記者が近づくと言うエピソードもありました。
アニメ版の声は花江夏樹が演じており、草壁のキャラクターに対して誰に対しても平等で、自分をあまり見せない所が魅力でもあり気になる部分だとコメントしています。
吹奏楽部員たち
部長の片桐啓介は、一見普通の男子学生に見えますが吹奏楽部の個性豊かな面々をまとめ上げているだけあって少数しかいない部員の数に悩みながらもどっしりと構えている部分もあり、時折暴走する部員たちのまとめ役です。 声役の山下誠一郎は表情が豊かでさりげなく部員たちに寄り添う部分が魅力的だと語っています。
右耳に難聴を持つクラリネット奏者の芹沢直子は檜山と幼馴染で名家の出身です。自身の耳の為にプロ奏者を諦めますがクラリネットを捨てきれず、後に吹奏楽部のメンバーになります。声役の瀬戸麻沙美は芹沢に対し強い子だと感じていると語っています。
檜山界雄は引きこもりの打楽器奏者です。芹沢と幼馴染で7人の老人たちとローカルFMのパーソナリティをしています。声役の岡本信彦は物静かで優しいキャラクターと語っています。
アニメで描かれた名エピソードを紹介!
https://youtu.be/Kno2qiMupdY
ハルチカ~ハルタとチカは青春する~というタイトルで2016年1月~P.A.WORKS制作アニメとして放送されました。小説のハルチカシリーズとは時系列が入れ替わっている部分やアニメオリジナルストーリー、小説では表現が難しかった部分のアニメ化等、ハルチカの世界観をよりリアルで鮮明に映像化されたアニメとなっています。
キラキラとした印象的な目と滑らかかつ活発に動き回るキャラクター達が話題になったアニメ版の監督を務めたのはTARI・TARIやクレヨンしんちゃん襲来!!宇宙人シリリで注目を浴びている橋本昌和です。
アニメには原作に無い部員たちの掛け合いや日常の風景を描くことで吹奏楽部内の雰囲気や空気を演出することでより原作の世界観や空気感をリアルで視聴者に親しみやすい作品に仕上げています。
【ネタバレ注意】アニメ 第1話 メロディアスな暗号
アニメハルチカの第1話はアニメ版オリジナルストーリーとなっています。ハルチカのシリーズが高校1年の秋の文化祭前から始まるストーリーの結晶泥棒が一番最初の物語なのに比べ、アニメではチカが清水南高校に入学し吹奏楽部に入部するという高校生活1年目の春から始まっています。
第1話では顧問の草壁に宛てられた謎の手紙と赤い絵の具で描かれた黒板の音符という若干不気味さの漂う謎でしたが、ハルタによって無事暗号が説かれます。
【ネタバレ注意】アニメ第9話 アスモデウスの視線
https://youtu.be/qDbOxEnIRfM
アニメ第9話、アスモデウスの視線では、過労で倒れた草壁の事情を探るため、チカ達吹奏楽部の面々は藤が咲高校の吹奏楽部へ乗り込み、そこで顧問の堺が謹慎をしていることを知ります。
この第9話はハルチカシリーズ2巻目、初恋ソムリエに収録された書き下ろし作品、アスモデウスの視線のアニメ版ですが、小説版ではその細部まで表現することが難しかったアスモデウス対堺の対決の席替えの様子や、赤外線カメラの特徴や視点などが見事に映像で再現されている作品です。
【ネタバレ注意】第12話 共鳴トライアングル
https://youtu.be/fuXxCaOsmaM
最終話の第12話 共鳴トライアングルはアニメオリジナルストーリーです。
ここでは他のミステリ作品には見られない趣向がいくつか描かれており、そのうちの1つは探偵役であるハルタが謎を解く事に躊躇するようになります。1年半と言う時間を経て、真実を明るみにする事で人の心に痛みを伴う事を知ったハルタは、謎を秘めておくと言う選択肢も選べるようになるという元来のミステリ作品の探偵役としてはダメですが人間的成長を果たします。
草壁の謎にあえて踏み込まないことで、ハルタは第1話で草壁が示した答えにアニメ12話分の時間をかけてたどり着く事が出来たというオリジナルの演出をしており、ハルタは青春し、憧れに一歩近づくという姿を描き上げました。
ハルチカ、実写映画化!
https://youtu.be/jm6dYP3SgJY 2017年3月に実写映画版ハルチカは公開されました。監督は無防備や箱入り息子の恋を手掛けた市井昌秀で、ミステリ色の濃い原作とはテイストの違う吹奏楽を軸とした青春映画となっています。
原作者初野と市井の初顔合わせの際には、初野から「ハルタとチカと草壁先生が出ていれば何をやってもいいです。その代わり、原作者と原作のファンに映画の尺に合った完全新作を観せてください。」と改変を望んでいたとパンフレットにも書かれている通り、小説やアニメとは全く違う設定の映画となっています。
主演はWキャストでハルタ役にSexyZoneの佐藤勝利、チカ役に橋本環奈を配役しており、顧問の草壁に小出恵介と青春映画を演出するのに最適な配役となっています。
🍀私がハルチカに心酔した理由⑥🍀
私にオスカーを授与する資格があるなら、監督賞も作品賞も総なめにして贈りたいくらい!久しぶりに大好きだ!!と叫んだ映画です。
何としても映画館で観て欲しいです。#映画ハルチカ #ハルチカ #佐藤勝利 #橋本環奈 #市井昌秀 #市井監督 pic.twitter.com/pSk9VcHJoJ— ハルチカ応援部🎶 (@haruchika34) 2017年3月9日
【ネタバレありの感想】原作との相違点
まず、原作で鍵になっている草壁先生へのハルタの恋心ですが、映画ではそれが全く描かれておらず一部のファンに期待されていたようなBL要素は一切ありません。
そして、原作ではミステリ小説のジャンルなのですが、映画では前半部分の仲間集めのシーンくらいしか残っておらず(スプリングラフィ、周波数は77.4MHzの芹沢と檜山のエピソード)原作通りの謎解きと展開を期待した人にはやや物足りないのかなと言う感想です。
しかし、上でも書いたとおり、全く違うハルチカなので、吹奏楽を主軸とした王道の青春アイドル映画を楽しみたい方にはお勧めです。
ハルチカで日常の謎を解きたくなる!?
ここまで読んでいただきありがとうございます。今回は小説、アニメ、実写映画のハルチカを個人的な感想も含め紹介させていただきました。
今回原作、アニメ、映画の3種類のハルチカを見て、映画は上の項目に書いた通り王道の青春映画を楽しみたい方に、そして原作とアニメはミステリ作品を今まであまり読んだ事が無い方、これからちょっとミステリ作品を読んでみようかなと言う方、そして少年少女の成長する青春を題材にした作品が好きな方に強くお勧めしたいと思う作品です。
チカやハルタたち、吹奏楽部員と一緒に初野作品の描く日常に散りばめられた謎を解き明かしてみませんか?
角川書店 (2010-07-24)
売り上げランキング: 72,458
KADOKAWA/角川書店 (2015-12-22)
売り上げランキング: 107,102