【ピンポン】原作好きも唸る、アニメ「ピンポン」の魅力について語りたい!

卓球漫画ピンポンは、「青春」「スポ根」「ヒーローもの」という3つの要素が織り交ざった作品です。20年くらい前の作品ですが、実は2014年にアニメ化されました。今回はアニメピンポンの魅力についてご紹介します。

・松本大洋先生作の「ピンポン」とは

漫画「花男」「鉄コン筋クリート」などで知られる松本大洋先生の6作目長編漫画で、1996年に小学館の「週刊ビッグコミックスピリッツ」にて連載されました。
松本先生の絵柄は独特な線からくる迫力とリアルティがあり、一見見にくいようにも見える絵柄のため読むのを敬遠する人もいます。そう言う意味では荒木先生の作品に通ずるものがあると言えるでしょう。

しかし、読んでいるとこの絵柄が癖になる!

さらには作品に寄って絵柄の特徴も違い、松本先生の作品の未読の方はぜひピンポン鑑賞後に他作品もチェックしてみましょう。

・アニメを見た原作ファンの反応は?

ラノベや漫画のアニメ化が起こると、悲しいかな「○○のアニメはダメだな。やっぱ原作が至高だよ」といった意見が少なからずでるものです。批判の中には「この製作スタッフからは原作への愛を感じない」という声もでることがあります。

では、ピンポンはいかがでしょうか。ネットで検索していただけると分かるのですが、ピンポンのアニメは原作ファンからもかなりの評価を受けているのが分かっていただけるかと思います。

かくいう筆者もピンポンの原作とアニメの両方をチェックしており、アニメ放送当時は最終回を見終わった後に思わず「愛してるぜ、湯浅監督…チュ♡」と原作5巻やアニメ10話のペコの台詞をもじって称賛していました。

そんなアニメピンポンの魅力を、今回はあますことなく紹介したいと思います。

・理由① ピンポンのアニメを手掛けた制作陣がすごい

アニメピンポンはタツノコプロによって制作されました。タツノコプロと言えば、タイムボカンシリーズで有名ですね。

監督・シリーズ構成・脚本・絵コンテは湯浅政明さんが担当しました。湯浅監督と言えば「ちびまる子ちゃん」「クレヨンしんちゃん」などで作画・原画、作画監督などを歴任し、アニメ「ケモノヅメ」でTVアニメ監督デビューを果たしました。ピンポン以外では「四畳半神話大系」でも監督を担当しました。

また作中の音楽は、スタジオジブリ作品も手掛けている木村絵理子さんや、アニメポケモンの音楽プロデューサーもしたことのある佐野弘明さん、電気グルーヴのサポートメンバーでもある牛尾憲輔さんによって手掛けられました。

そして松本先生の絵柄を再現することで見事にピンポンの世界を映像に起こしたのは、2015年東京アニメアワードでアニメーター賞を受賞した伊東伸高さんの功績と言って良いでしょう。

製作スタッフからして、まさに日本アニメ界を代表する方々ばかりなのです。

・理由② 原作愛がビリビリと伝わってくる作画がすごい

先述もしましたが、松本先生のピンポンは独特のタッチを持っています。一見荒くも見える線で描かれる人物や背景からは不思議とリアルティを感じるのです。アニメピンポンではそれを100%再現することに成功したと言えるでしょう。しかも、ヌルヌル動くので非常に見やすい。
それが原作ファンからも支持された理由の一つかもしれません。

それこそ原作の絵柄を忠実に再現したあまり、原作を知らない視聴者からは「作画崩壊」してると言われるくらいです。作画崩壊ちゃう! ピンポンはこれで良いんや!

・理由③ 豪華な声優陣と迫真の演技がすごい



アニメピンポンの声優陣も注目しましょう。主人公のペコはオーディションから選ばれた片山福十郎さん、もう一人の主人公スマイルはアニメ「インフィニット・ストラトス」でも主人公を演じた内山昂輝さんです。

さらに注目したいのはその他のレギュラー陣。作中のラスボスとも言える風間竜一(ドラゴン)には青年座映画放送所属の咲野俊介さん、主人公二人の幼馴染でドラゴンの後輩である佐久間学(アクマ)にはニ代目ジャイアンの木村昴さん、中国からの留学生選手コン・ウェンガ(チャイナ)には日中両国で活躍する文曄星(ぶん・ようせい)さんが演じています。

そして主人公たちを支えるコーチ陣にも豪華な声優陣が出そろっているのです。
ドラゴンの祖父にしてドラゴンとアクマが所属する海王学園の理事長、風間竜には2015年に惜しくも亡くなったロバート・デ・ニーロの吹き替えで有名な小川真司さん。スマイルたちの高校の卓球部顧問でスマイルの師となる小泉丈には、ちびまる子ちゃんのお父さん役やドクタースランプの則巻千兵衛役である屋良有作さん。そしてペコとスマイル、アクマが通っていた卓球道場の経営者でありペコの師であるオババには、ドラゴンボールで孫悟空・悟飯・悟天を演じている野沢雅子さんがたんとうしています。

このようにメインキャラからサブキャラに至るまで、多くの豪華声優陣がピンポンの世界を表現しています。

自分がとくに聞いて欲しいのが、3話でのスマイルvsチャイナ戦でのチャイナの独白。5話スマイルvsアクマでのアクマの葛藤、そして10話ペコvsドラゴンでのドラゴン役咲野俊介さんの名演技です。

・理由④ 漫画版では無かったオリジナルストーリーがすごい

原作の漫画版ピンポンはわずか5巻、全55話しかありません。アニメ版ピンポンではそれを全12話にして放送していますが、アニメ1話1話の内容を濃くするために様々なオリジナルエピソードや漫画では語られなかった設定が盛り込まれているのです。この項目ではアニメ4話までの、主だったそれらを紹介していきたいと思います。

・アニメ1話(原作1~4話)

漫画版では1話の冒頭は小学生時代のペコが同級生と喧嘩し、スマイルがそれを見守っているというシーンから始まります。「ピンチの時には必ずヒーローが現われる」「僕の血は鉄の味がする」という作中でも需要な意味をもつキーワードを書いているのが印象的です。
アニメでは「ピンチの時には必ずヒーローが現われる」のメッセージが別バージョンで流れ、仮面を被ったヒーロー(小学生の頃のペコを彷彿させるキャラ)が翼を生やして「飛ぶ」という演出から始まります。この「飛ぶ」というイメージが、第10話でのペコvsドラゴン戦の結末で重要な意味を持つようなってくるのです。

アニメ2話(原作5~11話)

チャイナに負けたペコの落胆と、闘えなかったスマイルを探して苛立つチャイナ、そして小学生時代にイジメられたスマイルの回想シーンから始まります。スマイルを助けたペコがアニメ1話のヒーローの姿で登場し、ロボットを自称するスマイルに「お前の体には熱い血が流れている」と諭すのです。
これがアニメ終盤のスマイルvs小泉戦にて追い詰められたスマイルの心理描写において、自分を助けるのがロボットへと変わります。これをきっかけに、スマイルはロボットのような冷徹さをもった強いプレーヤーへと変化していくのです。その変貌に、原作を知っているものは思わず固唾を飲んで見入ってしまったことでしょう。

アニメ3話(アニメ12~19話)

アニメオリジナルキャラクターとして、ドラゴンとアクマが所属する海王学園の理事長、風間竜が登場します。風間竜はドラゴンの祖父として、そして小泉やオババの現役時代のライバルにして小泉を試合で破った存在として描かれています。また、勝利至上主義を頑なに信じ、ドラゴンに大きな影響を与えている人物として登場するのです。

アニメ4話(原作20~22話)

アニメ4話では一回目のインターハイにおけるペコvsアクマ、チャイナvsドラゴンが描かれていました。まず注目したいのがペコとアクマの試合です。試合内容は勿論のこと、いままでにアクマがペコに対して非常に深い憧憬と嫉妬をもっていたことが丁寧に描かれています。敵側に現れた努力で才能を凌駕するキャラクターに思わず多くの人が感情移入したことでしょう。このように、サブキャラクターも原作以上に掘り下げてくれるのがアニメピンポンの魅力です。

次に注目したいのが、チャイナvsドラゴン戦です。こちらの試合ではドラゴンの圧倒的強さが、ほとばしる紫電や空を舞う竜などで比喩的に表現され、ところどころ描かれるドラゴンの表情は影が深く卓球プレーヤーというか殺し屋のように見えます。冷静に考えると物凄いシリアスを装ったシュールなギャグなのですが、その迫力に有無なく見守ってしまうのがアニメピンポンの凄いところです。また、負ける側のチャイナの焦りや過去の回想は見る者を上手くチャイナに感情移入させて、チャイナと一緒にドラゴンの恐ろしさを味わえるようになっているのです。

アニメ4話で、インターハイ予選は終了して原作2巻までを消化しています。この後は、インターハイで挫折を味わったペコの堕落と復帰、強さにストイックになっていき周囲との溝を深めるスマイルとドラゴン、ドラゴンに認められるため単身スマイルに挑む、そして4人とは対照的にチームでの居場所を見つけたチャイナが色濃く描かれていきます。

毎話毎話が必見のアニメ、それがピンポンなのです。

・実写映画版ピンポンもチェックしよう

じつは、ピンポンは2002年に実写映画化もされているのです。主演はなんと窪塚洋介さんとARATAさん。さらにはドラゴン役に中村獅童さんが抜擢されているなど、俳優陣はアニメの声優陣に負けず劣らず豪華だったりします。

監督はこの映画ピンポンがデビュー作となった曽利文彦さんで、今年公開予定の実写版「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」でも監督をされています。さらに、脚本はNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」でも脚本を担当した宮藤官九郎さんが担当しているのです。

映画を見たファンからの評価も高く、こちらもぜひアニメピンポンを観賞したのちにチェックしてみましょう。

・「ピンポン」アニメの出来は原作を超えた!

以上がアニメ「ピンポン」の魅力です。いかがだったでしょうか。アニメなどのメディア作品の流行は、多分に時代的な要素が影響しています。一時期は世間を一世風靡するものの、しばらくして忘れ去られ、しまいには後に「この作品の何がそんなに面白かったんだ?」と言われるような作品も少なくありません。

だが私は、「ピンポンはちゃう!」と声を大にして主張したい。

ピンポンは「青春マンガ」であり、「スポ根マンガ」であり、そして「ヒーロー漫画」でもある、と湯浅監督は当時のインタビューで答えていました。これらの題材を組み合わせることで生まれた様々なメッセージ、そして多くの人の心に響いたキャラたちの栄光と挫折、ジャンプ三原則なんて言われている「友情」「努力」「勝利」もごく当たり前に入っていて、10年後20年後に見ても人の心を打つ作品だと言えるでしょう。