【鉄血のオルフェンズ 最終回】ファンから非難の嵐の理由とは?問題点を検証する

「機動戦士ガンダム」の名を冠しながら、その異色さから異例の人気を博した『鉄血のオルフェンズ』。最終回を迎えると、賛否両論が起こりました。ファンからは非難の声が多かったほどです。その理由を検証してみます。

任侠ガンダム!?『鉄血のオルフェンズ』とは?

異端の「ガンダム」シリーズ『鉄血のオルフェンズ』基本情報

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』は「ガンダム」シリーズの流れを組むロボットアニメです。第1期が2015年の冬期に、第2期がその1年後の2016年冬期に放送されました。全50話あります。

監督とシリーズ構成に『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』でタッグを組んだ長井龍雪岡田麿里です。この2人は若年層向けの青春群像劇を得意としており、本作でも若者たちの葛藤と人間関係が描かれています。またモビルスーツ同士の泥臭い肉弾戦も話題となりました。まったく新しいジャンルのガンダム作品となっています。

子供たちが泥水を啜りながら生きる『鉄血のオルフェンズ』のあらすじ

火星が地球の統治下にあり、孤児たちがヒューマンデブリとして人身売買される時代三日月オーガスとオルガ・イツカは民間警備会社クリュセ・ガード・セキュリティでヒューマンデブリとして過酷な労働下で働かされていました

しかしその状況はCGSが火星独立運動を指揮する少女クーデリア・藍那・バーンスタインの護衛任務を請け負うことで一変します。地球圏の治安維持部隊であるギャラルホルンが攻めきたのです。

子供たちを囮に敵前逃亡する大人たちを見て、ヒューマンデブリたちは日ごろの鬱憤を爆発させます。ミカヅキとオルガを中心に反乱を起こし、CGSを乗っ取ってしまうのでした。名を鉄華団と改めて活動を始める子供たち。しかしこの先に過酷な運命が待ち受けていると知る由もなかったのです……

『鉄血のオルフェンズ』の人気の秘密を3つのポイントで紹介!

ポイント1:アニメの枠を越えたハードコアなストーリー性

『鉄血のオルフェンズ』の最大の魅力にして、人気の理由となったポインとはそのストーリー性にあります。メインキャラクターたちは子供なのですが、生きることに貪欲です。彼らは大人たちのルールやしがらみに翻弄され、それでも自分たちだけで懸命に生き抜く様が面白いです。

「ガンダム」シリーズということで、今回も子供たちはやはり戦争に巻き込まれます。というよりも、自らの身を戦場に置く形です。ヒューマンデブリと呼ばれ、モビルワーカーを扱うことしか知らない子供たちは戦場でしか生きて行けず、過酷な道を進みます。自分たちが前に進むために、立ちはだかる大人たちを躊躇わずに殺してしまうシーンはハードコアな物語です。

こちらの記事もチェック!

ポイント2:絆と覚悟に見える濃厚な人間関係

鉄華団のメンバーたちは家族より強い絆で結ばれているのも魅力となるポイントです。ヒューマンデブリという境遇や、これまでの過去から、その人間関係は、ともすれば歪に見えてしまいます。

例えばミカヅキとオルガの関係はかなり歪です。幼い頃から生きるか死ぬかの状況を乗り切ってきた2人。1話の冒頭で、初めてオルガの命令でミカヅキが人を殺したときの様子が描かれました。それ以来、ミカヅキはオルガのために命を使うことを決心し、彼のために自らを危険に晒していきます。自分の死さえ平気で捧げてしまうミカヅキとオルガの危うい関係が面白いです。

メインヒロインの2人であるアトラとクーデリアの関係性も面白いです。どちらもミカヅキに好意を寄せていますが、どちらもピュアっぷりがたまりません。そこにアトラは天然が入っています。女として一緒にミカヅキをサポートしようと、クーデリアに提案するのです。ある意味主人公ハーレムの概念を覆したできごとです。

ポイント3:泥臭いメカ戦闘

ガンダムといえばやっぱり、戦闘! ということで、『鉄血のオルフェンズ』の戦闘はすごいんです。何がすごいかというと、まずはビーム兵器を排除したこと。最終章のモビルアーマー(無人機)の登場まではでてきません。人が乗るモビルスーツ同士の戦いは実弾兵器や近接戦で戦います。

これが非常に泥臭い戦いで、話題になりました。鈍器や剣での殴り合いは荒々しいですし、実弾での攻撃も激しいです。子供たちは生きるために必死になり、大人たちは誇りや悪しき野望のために食い下がらない戦いは見ていて面白く、話題になりました。

最終回を語る上で重要なキャラクターは?

ミカヅキ・オーガス

本作の主人公です。語らないわけにはいきません。オルガと固い絆で結ばれており、鉄華団の特攻隊長的存在です。ガンダム・バルバトスを駆り、どんな敵でも一掃してしまいます。また阿頼耶識システムによりロボットと神経接続しており、体に負担をかけながらも、オルガと鉄華団を邪魔する者は徹底的に殺していく恐ろしい主人公です。

こちらの記事もチェック!

オルガ・イツカ

鉄華団の団長で、ヒューマンデブリたちを導く存在です。家族である鉄華団のことだけを一番に考えていますいつも前に進むしかいないと思っていながらも、本当に正しい道を進んでいるのか悩でいました。後戻りできなくなるような状態でも、自らが率先して前に進み、鉄華団のメンバーたちにとってなくてはならない存在です。

クーデリアとアトラも最終回を語るのに重要なキャラクターです。クーデリアは火星を地球圏の支配から解放するために独自に動きながらも、鉄華団のことを気にかけています。アトラはミカヅキの幼馴染として、彼に好意を抱きながらも、同時にクーデリアともうまくいってほしいと思っています。

こちらの記事もチェック!

賛否両論だった最終回を検証する【ネタバレ注意】

最終回に向けての鉄華団の流れ

まず鉄華団は警備会社だったクリュセ・ガード・セキュリティの仕事を受け継ぎ、護衛や運送などの仕事を始めました。自分たちだけでは無名のままでは仕事も得られないという現実を突きつけられた彼らは、テイワーズという巨大グループの傘下に入ることを決意します。

そして目まぐるしい活躍を受けた鉄華団はある男に目をつけられます。貴族制度を憎み、腐敗したギャラルホルンに反旗を翻そうとするマクギリス・ファリドです。彼は鉄華団に火星の自治権を約束し、打倒ギャラルホルンに手を貸すよう要求します。

自分たちの進むべき先はこの火星の自治権の獲得にあると考えたオルガたちはその話に乗ってしまいます。しかし自分たちのメンツを取り戻したいギャラルホルンも反撃に出てくるのでした。

問題の最終回を検証する

結論から言うと、最終話で鉄華団はギャラルホルンに壊滅させられてしまいます。生き延びるメンバーもいますが、戦闘で活躍するメインキャラクターたちは仲間を逃がすために矢面にたち、ことごとく殺されてしまうのです。その中に主人公のミカヅキも含まれますオルガも銃撃され、命を落としてしまいました。

最終的にギャラルホルンのひとり勝ちという結末になりました。それでもギャラルホルンは民主的な組織となり、クーデリアが火星の代表になりヒューマンデブリの扱いがましになっています。グッドエンドかバッドエンドか曖昧になってしまっていることが、ファンの不満を招く結果になってしまいました。中には鉄華団が最大の危機を切り抜ける道を見つけられなかった脚本家の怠慢だという声もあるほどです。

最終話を飾るファン待望の展開!

多くのファンから非難を受けた『鉄血のオルフェンズ』ですが、ファン全員が望んだ展開もありました。それはイオク・クジャンの死です。名門家の出身で、部下のために手柄を立てようとひとりで暴走します。天然に状況を悪化させてしまうのです。それだけでなく、鉄華団たちの兄貴分である名瀬を卑怯な手で死に追いやったりと、ファンからのヘイトを稼ぐタンクの鏡のような存在でした。しかも悪運の強さから何度も死の危機を脱しては、そのたびにファンから向けられる憎悪の念が増していくのです。

そんな卑劣な手であれこれと鉄華団やファンから怒りを買い続けたイオク様ですが、終わりの時がやってきます。自分で名乗ったばかりに、名瀬殺害に対する昭弘の怒りが爆発し殺されてしまうのです。その死にざまは巨大ペンチでモビルスーツごと圧死というものでした。

鉄華団、興亡の歴史!おまえらどこで間違えた…?

鉄華団の始まりはヒューマンデブリと呼ばれ奴隷のように働かされる少年たちが反乱を起こして、自分たちの会社と部隊を手に入れることから始まります。自分たちで仕事を始め、大人の世界の厳しさを知りながらも、テイワーズ参加での大仕事を手に入れます

それが蒔苗を代表選挙で返り咲かせるため、エドモントンへと護送する任務でした。このあたりで鉄華団は自分たちの進むべき道がこれでいいのか悩みます。家族と呼べる団員たちを栄光へと導きたいオルガは盲目的に前に進むことを決意。このことに意見の対立をみたビスケットがカルタによって殺されてしまったため、あともどりできなくなりました

そして蒔苗の依頼を成功させてしまったことも、鉄華団の運命を方向づける要因となっています。このとき、蒔苗の復活を阻止しようとしていたギャラルホルンと鉄華団は対立しており、鉄華団が仕事を成功させることで、ギャラルホルンは信用を世界から失ってしまったのです。

この功績で鉄華団が大きくなったのも問題でした。急激な成長にすべてをコントロールできなくなったオルガたち。鉄華団が大人たちの独断で戦争に加担させられるなど、決して思い通りではありません。そんなときに舞い込んできたマクギリスからの提案に活路を見出したオルガは、なんとしても安寧をつかみ取るため、その提案に乗ってしまいます。思えばこの時から鉄華団の破滅への秒読みが始まっていたのです。

それでもやっぱり面白い『鉄血のオルフェンズ』

出典:https://www.amazon.co.jp

ファンの思い通りの終わりを迎えなかった『鉄血のオルフェンズ』。最終回の結末は賛否両論ありましたが、それでもやっぱり面白いです。虐げられる子供たちが生きようと必死に戦い、世界のしがらみや権力抗争、絆や愛情などの人間ドラマなど、面白い要素であふれています。「ガンダム」シリーズの枠を越えた『鉄血のオルフェンズ』はたとえラストに不満があっても最高のできです。