【戦国自衛隊1549】敵は織田信長!あらすじから衝撃のラストまでネタバレ覚悟で紹介!

「もしも自衛隊が、戦国時代にタイムスリップしたら?」という壮大かつ“コロンブスの卵”的な発想で書かれたのが、SF作家・半村 良の傑作『戦国自衛隊』です。この映画は半村作品を骨格にして、さらに先進化した作品です。ラストまで一気に魅せるストーリー展開と大ドンデン返しに、是非ともハマってみてください!

『戦国自衛隊1549』とは?

戦国時代初期を描いた快作!

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この作品の大もとになった『戦国自衛隊』(半村 良。1971年初出誌)は、いわゆるタイムスリップ物と架空戦記の元祖とも言われている作品です。「自衛隊が最新兵器を所持したまま、戦乱の世に現れたらどうなるか?」という疑問に対して正面から向き合った快作といえるでしょう。

この『戦国自衛隊1549』(2005年)は、技術の進歩にともなった最新武器を備えたままタイムスリップしてしまった部隊のストーリーです。半村版から34年が過ぎ、内容・結末・時代背景に若干の違いもあります。ストーリーは別物と考えてください。また、織田信長についての扱いも異なっているので、歴史ファンも必見の価値アリですよ。

時は1549年、信長が桶狭間で今川軍を破る11年前です。戦国時代はまだまだ始まったばかりという背景も“鍵”になっています。

二組の戦国自衛隊が時空をチェイス!

狂い始めた歴史の修復のため過去へ!



2003年10月、陸上自衛隊に属する第3実験特別中隊は人工磁場シールド発生装置の実験中に忽然と姿を消しました。どうやら、プラズマ量が異常発生したのが原因らしいです。これにより、隊長の的場一佐(鹿賀丈史)以下、同中隊は戦国時代へタイムスリップしてしまったようです。

これは、3日後に“揺り戻し”で過去から演習地にタイムスリップして来た侍・七兵衛(北村一輝)からも分かりました。この侍は美濃の斉藤道山配下で、東富士にいたのも歴史上はおかしいのですが……ともあれ、的場達が過去の世界にいて、歴史を変えているらしいのです。

過去が変わるという事は、現代も変わるという事ですよね。その要因である的場達を救出(という名目で最悪は排除)すべく、同陸自で組まれたチームが「ロメオ隊」です。ストーリーがテンポよく走り出していきました。

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このロメオ隊には以前、的場が率いていた先鋭的部隊「Fユニット」のNo.2だった鹿島元二尉(江口洋介)、プラズマ発生装置の責任者として技師の神崎二尉(鈴木京香)も同行しました。指揮官は森三佐(生瀬勝久)です。

なぜ、派遣に踏み切ったのかというと、日本各地にホールと呼ばれる虚空空間が出現して、その穴が次第に大きくなっていったからです。このホールは的場達が消えた2年前から現れていて、過去の歴史が変えられる事で、現代を飲み込んでしまう危険を孕んでいるのです。

この危機を脱するために、みずから1549年にタイムスリップ(画像・下。イメージ)しようというのが、この作戦の意図です。タイムスリップ物は、たいがい偶然からスタートしますが、この作品は“追う自衛隊”が意図的に過去へ飛び込んで行くという所がミソなんですね。

『戦国自衛隊1549』での織田信長

的場一佐が信長にすり替わっていた!

ロメオ隊のタイムスリップ往路は無事に成功しました。しかし、残された活動時間は74時間27分しかありません。その時間にポイントに戻っていなければ、現在には帰れません。あまりに苛酷なミッションであると言えるでしょう。

それに到着して早々、手痛い歓迎にもあいます。偵察に赴いたヘリが撃ち落とされ、さらには戦国時代の軍に囲まれて人員、車両ともに多くの犠牲を払いました。「なぜだ?」と不思議がる森三佐をはじめとしたロメオ隊。そこに登場したのが、「天導衆」からの使者でした。

「天導衆」とは、信長の一味の事で“妖しげな述”を使って次々と敵対する大名を殲滅させて権力を広げていった集団の事。妖しげな術とは、近代兵器の事で、それを使うのが=第3実験特別中隊(=天導衆)なのです。容易に想像はつきますけどね……。

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そこにやって来たのは、元第3実験特別中隊の与田二尉(的場浩司)でした。与田は、ロメオ隊に対して「武器を放棄して投降」すれば、命までは取らないと叫びます。鹿島は与田とはFユニットの頃の同僚で、顔馴染みの間柄でした。

真意が分からない鹿島達のロメオ隊は、信長に面会するために史実はもちろんの事、地図に城跡もない石垣に守られた天母城へと連行されて行きます(写真・下。イメージ)。そして森、神崎、鹿島のロメオ隊幹部が待つ別室に現れた信長は、ナント的場だったのです(写真・上)。

半村版では、自分が信長の役目をしていた事を知った、主人公の伊庭三等陸尉は気づいた本能寺で殺されます。それがここでは、あらかじめ的場が信長になっていようとは。これでは歴史が歪み、現代にホールが生まれるわけです。筆者は、観ていて納得しました。

『戦国自衛隊1549』を支える石油精製プラント

タイムスリップの原因や燃料問題についても触れる

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前作の映画『戦国自衛隊』では“地震”と“星の回り”くらいにしか、解明されていなかったタイムスリップの原因について今作品では「異常なプラズマの発生」と明言しています。そのための、「陸自研究本部の神崎二尉」役が存在したと言っても過言ではないでしょう。

また、皆無に等しかった(燃料がなくなった戦車を、湖に沈めるシーンはありましたが)近代兵器の燃料の問題も、天母城横に石油精製の施設(写真。イメージ)を作る事で理論上は解決しています。精製された燃料を運ぶのが柴田勝家軍というのも、なんとなく笑えるシーンです。

この作品でもそうですが、映画の中での精油プラントは“世紀末感”が漂っていて筆者の好みです。あの画を観ていたら、『マッドマックス2』(1981年)を思い出しましたよ。

天母城での決戦!そして、現代への帰還

迫るタイムリミット、爆発の恐怖も!

信長が駿河の地に城を構えたのは、何もタイムスリップしてきた地だっただけではありません。そこには、歴史を塗り替えるどころではない、もっと壮大な計画がありました。

それは、プラズマ観測用のソーラーマキシム・システムを改造して作った(核爆弾程度の破壊力を持つ)MHD爆弾を富士山の地下に打ち込む事です。これにより、関東一円を“無の状態”にして、新しい世界を創造するという恐ろしい構想のためです。その野望を打ち砕くためにも、まずは幽閉から脱しないとならないのです。

残された時間は、あと一日です。と、その時、桟敷で沙汰を待つロメオ隊の後ろから塀を打ち破って戦車が助けに突入して来ました。操縦しているのは、前日に虫の息の所を助けた現地の少年・藤助(中尾明憲)です。彼のこの端っこさはストーリー上、この上ない伏線となって生きてきます。



この天母城から脱出するに当たっては、様々な想いが錯綜しています。七兵衛は、信長と政略結婚させられた幼馴染の濃姫(綾瀬はるか)と再会した際に、馬上で身の振り方の迷いを悟られました。その濃は、城に忍び込んで来た藤介に頼まれて七兵衛に「自分の信じる道を生きよ」と一筆したためます。

そうした策の上で、ロメオ隊は藤介の戦車、七兵衛の武術の助けを借りて脱出に成功しました。ただし、その時に森は討ち死に(写真・上左)し、神崎は腕を矢で射抜かれ捕われてしまうのでした。残ったロメオ隊は当初の半数以下です。

この最後の夜、指揮を引き継いだ三國陸曹長(嶋 大輔。写真・上中)が明日の行動について希望を言うと、全員一致で天導衆の殲滅と神崎の救出に賛成したのでした。この辺り、展開にスピード感が増して来て、グイグイと物語に引き込まれていきます。

この最終決戦で天母城へ突入するのですが、ここでも藤介は大活躍します。養父の蜂須賀小六を動かして手下を集めて、帝の勅令(真偽は不明)を持ってヘリで城へと降り立つのです。その内容は「信長は朝敵ゆえ討伐せよ」という意です。これを見た信長は、慌てて兵を京都に向かわせました。

そこで手薄になった城へ、作戦通りに突入です。鹿島は天守閣へ急ぎます。そこでは、負けを悟った信長がMHD爆弾のタイマーをセットしつつ、鹿島と刀対刀で勝負をつけようとしています。しかし、最後は神崎が放った銃弾で信長(的場)は力尽きました。

この少し前、ロメオ隊が最後の突入を試みた時に「敵は天母城にあり!」と叫んだ信長。筆者は「ここで本能寺の変か!?」とも思いましたが、史実よりも33年も早いので「?」です。その謎を含めて、事態は集結へと向かって行きます。

歴史上の信長と秀吉の誕生へ!【ネタバレ注意】

大団円

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ただし、これで終わったわけではありません。MHD爆弾のタイマーを止めないと、未来が消滅してしまいます。それに、現代への帰路の時間も迫っています。そこで鹿島は、思い出しました。タイムスリップの時にはデジタル機器が使用不可になる事を……。爆弾ごと現代へ帰る方法を取ったのです。

天守閣には、藤助がヘリで迎えに来ました。ヘリはそのまま生存した隊員と鹿島、神崎を乗せてポイントへ。ここで、藤助とはお別れです。ロメオ隊は犠牲も多く出しましたが、無事に現代に帰還しました。

最後に歴史の修正の件ですが、七兵衛を織田信長(画像)に、目先の効く藤助を木下藤吉郎(後の秀吉)とする事で歪みも解消です。信長が二転して七兵衛とは、ヒネりが効いていて面白いですね。戦記物というよりも「人間ドラマ」としてオススメです。

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