『はじめの一歩』の名言TOP8!人生に響く金言をまとめて紹介

1989年から「少年マガジン」で連載しているボクシング漫画が『はじめの一歩』(森川ジョージ)です。ここでは、主人公の幕之内一歩と彼を取り巻くボクサー達の名言を独断でまとめてみました。その言葉のそれぞれに“生き様”が垣間見えて、カッコイイ事この上ないです!

パンチのように重い『はじめの一歩』の名言

一歩だけではない!多数のキャラが放ついくつもの“金言”!!

1989年にスタートしてから、28年間に及ぶ連載(現在も継続中)を続けているボクシング巨編が『はじめの一歩』です。いじめられっ子だった主人公の幕之内一歩(以下、一歩)がボクシングと出会い、数々のライバル達を倒して行く過程がメインストーリーとなっています。

人気が高まってくると、サブ・キャラ達にも人気が集まってきました。スピン・オフ的に同じ鴨川ジムの同僚で先輩の青木、木村の高校時代の話し「80s 熱き時代」鴨川会長が現役だった頃の「戦後編」なども描かれました。

鴨川ジムに限らず、個性的な面々が多く登場するのも、魅力の要因であると思います。そこで今回は、各人が吐いた名文句を独断で八個ほどクローズアップさせて頂きました。どれも“重み”のある言葉ばかりです。そのセリフに、酔いしれてもらえれば幸いです!

金言⑧ 「自分は生涯拳闘と共に生きる」

若き日の鴨川源二の決意と辛い別離

戦後間もない頃、ピークを過ぎた拳闘家の鴨川源二(現・鴨川ジム会長)が誓った言葉です。その頃はボクシングという名称は一般的ではなくて、“拳闘”と呼ばれていました。極端に解釈すれば、策など無く“どちらの拳が強く殴れるか?”という点に重きが置かれ、勝敗が決められていたのです。

そんな時代に鴨川、猫田銀八、浜 団吉らが活躍していたのです。特に鴨川と猫田は薄幸の少女・ユキと同居生活を送りながらも、三人で日々を精一杯生きていました(画像・中)。そうした最中、ボクシング経験のある米兵のアルフレド・ゴンザレスが、東京のリングで暴れまくり出します。

ゴンザレスは本国での経験から、正攻法でも十分に勝利を得られるほどのテクニックがあります。にも関わらずにテンプルへの打撃バッティング等、巧妙に反則技を使い、相手ボクサーを痛めつける事に喜びを感じていました。

その術中にはまり、団吉が敗れました。次は猫田か鴨川しか太刀打ちできないという事をファンは理解しています。しかし、これまでの無理がたたって猫田の体調(パンチドランカーか?)も芳しくありません。不治の病に冒されていたユキの調子も、悪くなっていました。

その猫田も敗れ、最後に立ち上がったのが鴨川です。決死の想いで上がったリングで、鴨川はゴンザレスに勝利しました。けれども、東京にいるよりも空気のいい土地での療養が必要なユキは、引退した猫田とともに信州へ引っ越す事に……。

鴨川も猫田も、二人してユキに惚れていた事は明白です。けれども、鴨川は「拳闘」を極める覚悟をして身を引いたのでしょう。ユリの病気を考えると、猫田の故郷で仲睦ましく余生をまっとうさせるべく……。その二人の門出を見送りに行った時に出た言葉が「自分は生涯拳闘と共に生きる。自分が愛するのは、拳闘以外に無い!!」なのです(画像下・右)。

鴨川は自分の選手生活で早くからボクシング理論に着目して、引退後も後進の指導にも抜きん出た力を見せています。しかし、その根底には理論にプラスした精神力の強さも重要だという持論もあります。宮田父や鷹村、そして一歩とランカー達を育て上げた実績も目を見張るモノがありますよね。

でも、その裏では拳闘と向かい合う並々ならぬ覚悟をもっていたんですね。鴨川源二もまた、“生涯一ボクサー”と言えます!

金言⑦ 「高い所に登れば きっと気分のいい景色をが見れるハズだ」

尾張の竜・沢村竜平の前向きなセリフに込められた想い!



自分の働く工事現場の高層階から、名古屋を見渡して言った“尾張の竜”こと沢村竜平の呟きです。見た目のオドロオドロした雰囲気と、対戦相手やスパーリングパートナーを肉に例える凶々しさは、ヒール(悪役)としての貫禄も十分です。

沢村は、その場での景色を見ながら、「それを見るためオレは頑張る」と結んでいます。かって中部の不良の頭を張り、同じく関西の頭だった千堂武士と一戦を交えた頃の「やり場のない怒り」を、リングで見つけたのでしょう。

一歩にデンプシー・ロールでやられてからは特に、ボクシングへの情熱が高まったように見えました。それを現した、貴重な一言だったと思います。作中では不幸な事故で再起不能に陥ってしまい出番もなくなってきたのが残念です。沢村の“バロット”を、また観たいと思っているのは筆者だけではないはずです。

金言⑥ 「たった3センチの根性が…オレには足りなかった」

間柴に善戦するも、散った木村の見たモノは…



鴨川ジムの誇る鷹村組の大番頭的役割りを、青木と共にこなしているのが木村達也です。ボクシング・スタイルは同ジムでは珍しいアウトボクサー・スタイルで、軽回なステップからのヒット・アンド・アウェイを得意としています。

その木村に、日本タイトル戦のチャンスが訪れました。相手は死神の異名を持つ間柴 了です。間柴はラフファイトばかりではなく、フリッカー・ジャブからチョッピング・ライトという高レベルなテクニックも持っている強者です。

他の選手が間柴を敬遠するなか、木村は逃げません。5年間のありったけをぶつけて、闘う覚悟です。そして、“ドラゴンフィッシュ・ブロー”(画像・下)なる新パンチを身につけて、タイトルに臨むのでした。この辺りの描写は、顔つきがキリっと引き締まり、イイ感じだったのを覚えています。



間柴のフリッカーに痛めつけられながら、木村はチャンスを伺っていました。間柴は勝利を確信し、徐々にパンチのフリが大きくなってきています。木村は霞む目でしっかりと、その瞬間をとらえます。そして、渾身のドラゴンフィッシュ・ブローを放ちました。

それが、モロにカウンターで顔面にヒットしたのですから、今度は木村が勝利を確信します。しかし、間柴はしぶといです。カウント9でかろうじて難を逃れました。それからの打ち合いは凄絶を極め、木村が勝利への右ストレートを放ちます。

ところが、間柴はカウンターを合わせ、木村は意識を失いました。そこでの悔いが「たった3センチの~」なのです。筆者が思うに、この一戦は木村のベストバウトだったのではないでしょうか。それ程、凄い試合だったと思います。

金言⑤ 「才能無ぇヤツが あきらめ良くて何が残るってんだよ!!」

泥仕合の名手・青木の意気込もる一撃言!



「カエル跳び」や「よそ見」等、一見ふざけているように映る必殺ブローの持ち主が、青木 勝(鴨川ジム)です。同ジムの木村達也とコンビで「咬ませ犬ハンター」と、自他共に認めていますが、実力は折り紙付きです。

日本ライト級のタイトルマッチでは王者の今江政孝と同等に渡り合いドロー。他にもインドネシア国内王者のパパイヤ・ダチウと二戦して二試合とも引き分ける等、輝かしい戦績も持っています。ただ、持ち技が派手なだけに、それをかわされた後に正確なパンチを打ち込まれる確率も高いのがたまにキズです。

ここで挙げたセリフは一歩にKO負けを喫した、同期デビューの小島が引退表明をした時に発しました。この「才能無えヤツが~」というのは、自分に対しての言葉に思えてならないんですよね。青木の心の叫びと筆者は捉えています。

金言④ 「強いって…一体どんな気持ちですか?」

全てはココから始まった!



記念すべき、連載初回に一歩が鷹村に心情を尋ねた時のセリフです。家業が釣り船屋のために、「魚臭い」とか「ミミズ臭い」などとイジメられてきた一歩。その一歩が初めて“強さ”に目覚めた時に、鷹村に問うたのが「強いって…一体~」です。

多分、鷹村をよく知らないで、ストレートに思った言葉を発したんだと思いますけど、聞くだけでも勇気がいったと思いますよ。あれから四半世紀を過ぎてますが、まだ答えは一歩の中では出ていないようです。

もともと「世界チャンプになりたい」「大金を稼ぎたい」という気持ちも希薄なようです。ただ言えるのは、最初の目標だった「宮田クンと試合がしたい」という意思だけは鉄よりも硬くある様子。筆者も長年この作品を読んできて、世界タイトルマッチよりも“対宮田戦”の方が、楽しみになっています。

金言③ 「ボクシングにだけは…ウソをつきたくねえんだ」

野性と科学の融合・鷹村 守の魂の叫び!



「ボクサーの理想型」「野性と科学の融合」と賞賛されている鷹村も、階級を落としての世界初挑戦を前にして苦しんでいました。ましてや、対戦相手はフリースタイルでどんな位置からもパンチを繰り出してくる天才のブライアン・ホークです。

だからといって、鷹村は泣き言ひとつ並べてなんていません。それは“勝てばいい事”だからです。鷹村は裕福な家庭に生まれ育ちながらも、どこか自分の居場所を見つけられずにいました。それがボクシングと出会う事によってリングの中が「すげえ居心地がいいんだよ」と言える場所となったのです。

その“居心地のいい場所”を失いたくないために、彼は鍛錬し、減量苦にも耐えて闘うのでしょう。その心情を口にした言葉が「ボクシングにだけは~」なのです。

鷹村はブライアン・ホークとの世界戦においても、会長から叩き込まれた基本スタイルを崩さずにオーソドックスに攻めて行きます。そうする事によって、鴨川ジムのやり方が、世界に通用するというのを世間に見せたかったのでしょう。

ところが、その間にもホークの変則パンチの魔手は鷹村を責めて行きました。しかし、それが逆にホークの命取りになったのです。意識が飛んだ鷹村は、本来の“ケンカ・スタイル”に変貌して、ホークに打ち負けるどころか、ボコボコに返り討ちにしてしまいます。

閉じ込めておいた“野性”が、解き放たれたのでした。こうなると、手が付けられません。当然ながら、鷹村は勝利しチャンピオンベルトを手に入れたのです。「ボクシングにウソをつかなかった」鷹村に、筆者は拍手を送りたい気分でしたね。

金言② 「カウンターのコツはな タイミングと勇気(ハート)だぜ」

JOLTカウンターの打ち方をタイで手中に!

東日本新人王決定戦で、間柴に痛恨の敗退を喫した宮田一郎の選んだ道は“海外武者修行”です。まずはタイに飛び立った宮田を待ち受けていたのは、2度のダウンを奪いながらの“引き分け(ドロー)”の判定でした。

敵地ではKOしない限り勝利をつかめない事を身を持って知ったのでした。そんな宮田に、タイに来て2戦目のオファーが届きました。相手は10戦10勝のホープで、タイの英雄のカオサイ・ギャラクシーの再来とまで言われている、ジミー・シスファーです。

ファザー級へのこだわりから減量に苦しみ、パンチの軽さも露呈した宮田。それでも「減量から逃げて!目の前の敵から逃げて!世界になんか たどり着けるものかっ!!」と、試合に応じる決心をします。追いつめられた宮田も、カッコイイです!

対シスファー戦にあたって宮田の出した答えは、“究極のカウンター”です。全体重を拳に乗せて打ち込む「JOLT」を、カウンターに応用するというブローです。このカウンターは、成功すれば並外れた威力を持ちますが、失敗した時は自分がカウンターを喰らう事になるので危険も“大”です。

しかし、この難題に取り組んだ宮田は、強敵相手にJOLTカウンターを打つことに成功して勝利を收めます。そして、タイを去る日に世話になったパヤオの弟・チャナに残したのが「カウンターのコツはな~」の言葉でした。蛇足ですが、この言葉は宮田が試合中に父から言われた事の“ウケウリ”だったんです。

筆者は随分と価値のあるウケウリだったと、読み直して改めて感じた次第です。

金言① 「オレがオレであるために!」

失くした時間を取り戻すために再びリングへ!

出典:https://www.amazon.co.jp

日本ファザー級チャンピオン・伊達英二は、一歩に初黒星を付けた選手です。しかし、その6年前には現チャンピオンでもあるリカルド・マルチネス(メキシコ)に挑戦して敗れています。2RでKOされて、一度は引退しました。

妻の実家の会社に就職して、平穏な生活を送っているように見えましたが、その心中は空洞化されていたようです。「本当のあなたはメキシコに行ったまま帰ってきていない」と愛子夫人に言われて、伊達は腹を決めたのでした。

3年間のブランクは重いですが、伊達は復帰2戦目で日本王者へ。そして、リカルド・マルチネスを倒すために虎視眈々とチャンスを伺っていきます。その想いは全て「オレがオレであるため」の戦いだったのでしょう。そのストイックさには、脱帽モノです。



伊達の言ったのは正確には、「今度の戦いは相手を倒すための戦いではない 自分への挑戦だ オレがオレであるために!」です。当初、伊達は“自分を取り戻すため”の戦いだと考えていましたが、試合中に本当の意味を知る事になります。

それは、“惚れた女にカッコイイ所を見せたい!”と、単純にして明快な気持ちのために闘うという事でした。そのためなら、「骨ならいくらでもくれてやる…そのかわりキサマの魂をオレにくれ!」という想いを乗せて、ハートブレイク・ショットをリカルド・マルチネスに打ち込んだのです。

結果は、骨折した拳では力が込められずにチャンピオンの心臓までは届きませんでした。ただ、十分にカッコイイ姿は夫人と子供には見せられたんじゃないかと思います。あんなに狼狽した表情のマルチネスは、滅多に見られませんから。

金言特別編 「成功した者は皆すべからく努力しておる!!」

ブライアン・ホーク戦を前にして発した鴨川会長の激!



連載期間が長いため、「TOP8」は現役選手に絞ってみたのですが、やはり名伯楽となった鴨川会長の「お言葉」を省くわけにはいかないので、こちらでひとつだけ紹介しておきます(現役時代の金言は⑧で)。

これは、鷹村がブライアン・ホークとの世界戦を前にして放ったセリフです。全文は画像の通りですが、要は“いかに天賊の才があろうと、精進・努力を怠ってはいけない”という意を、全てのボクサーに対して言いたかったのではないかと思われます。

ボクシング理論と精神論を併せ持つ鴨川会長は、「四六時中ボクサーだと自覚せい!」とも言っていましたね。メンタル面での強さが、最後にはモノを言うという事を、暗に示したかったのかも知れません。「生涯拳闘と共に」歩んできたからこそ言える、実に重い言葉だと言えるのではないでしょうか。

遥かなる頂きを目指して!

ボクサーの言葉はズシリと重い!



ボクサーと呼ばれる人達は、身を削り、神経をすり減らして生きているだけあり、その一言に重みがある事を改めて感じられた企画だったと筆者は今、猛烈に思っております。惜しむらくは、スペースの都合上とはいえ、ヴォルグや間柴、千堂といった面々の金言を割愛せざる得なかった事をあらかじめ記してお詫びいたします。

筆者がリアルで後楽園ホールに足を運んだり、漫画やアニメでも特にボクシング物を好むのは、そこにドラマが見え隠れするからです。各人が各人の目標のために、突き進む姿は感動に値します。この『はじめの一歩』は連載途中ですので、まだまだ金言は生まれてくるでしょう。

今後の展開もさる事ながら、そういったセリフの数々が胸を突き刺してくれる事を期待しています。

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