【鬼束ちひろの歌詞】鬼束ちひろは名曲メーカー!癖になる歌詞の魅力にせまってみた!

「神」「悪魔」「剣」「弓」と言った独特のフレーズを、情念の篭った低音ヴォイスで歌い上げる鬼束ちひろ。1999年のデビュー以来幾多の波乱を経て、2017年6月に初のライヴアルバム「Tiny Scream」(タイニースクリーム)を発売した彼女のオススメ楽曲を、ファン歴15年の私が、初級、中級、上級に分けて紹介します!!

鬼束ちひろの魅力とは?(導入)

独特の雰囲気を持つ鬼束ちひろの世界

出典:https://www.amazon.co.jp

1980年、宮崎県生まれ。1999年シングル「シャイン」にてデビュー。同年8月に発売された2ndシングル「月光」がドラマ「TRICK」(トリック)の主題歌となり、約60万枚のヒットを記録する。翌2001年発売の「インソムニア」が約105万枚のミリオンセラーとなり、以降売れっ子シンガーソングライターとして数々の楽曲を発表(2017年6月現在、シングル21枚(配信やファンクラブ限定商品を除く)、オジリナルアルバム7枚を発売)。
絶望的な様でいて力強く、生臭い様でファンタジックなその独特の世界観は熱狂的なファンを獲得し続けています。一方、バイク事故を始めとするスキャンダルや度重なるレコード会社の移籍など、その半生には波乱も多いものでした。今回はそんな鬼束ちひろが今まで発表した楽曲の中から、私が独断と偏見でオススメの曲をチョイスしました!

【鬼束ちひろの名曲・初級編】まずは信者に!

ド定番、「月光」!自分は「神の子」だと、10代の鬼束が歌ったあの頃。

出典:https://www.amazon.co.jp

鬼束の代表曲。2016年には、約12年ぶりに気迫溢れるテレビでの歌唱が話題になりました。主題歌になったテレビ朝日系金曜ナイトドラマ「TRICK」は、時にはユーモアを交え、インチキ霊能者を暴いてゆくという内容ながら、神秘的な雰囲気を漂わせていた事もあり、この曲と見事にマッチ!一躍鬼束の名前を全国区にしました。実は初級編で挙げた3曲はどれも「TRICK」シリーズ主題歌です。ここから聴くのが定番です。
鬼束が「月光」を書いたのは、なんと10代の頃。自分が「神の子供」だと言う強烈な自意識、居場所の無さ、そして説得力のある力強い歌声。今でも鬼束の歌の中で一番好きだと挙げるファンも多い曲です。唯一無二の存在感は、この頃から健在でした。

出典:https://www.amazon.co.jp

東芝時代の曲の、ほぼ全ての編曲を手がけた羽毛田丈史が、この曲も担当しています。

バラバラに飛び散った心の破片が降って来た「流星群」

出典:https://www.amazon.co.jp

鬼束の特徴の一つとして、発表した曲と世間で起きる出来事がリンクしてしまう事が挙げられます。例えば、以下に挙げる「infection」(インフェクション)
シングル「infection/LITTLE BEAT RIFLE」の発売から4日後にアメリカ同時多発テロ事件が発生し、「infection」の歌詞がそれを連想させるような内容であったため、プロモーションが自粛された。本人は、「楽曲と世相とがリンクすることは以前からあったのでショックでもないし驚かなかった」と語っている。

出典:https://ja.wikipedia.org

他にも、「A Horse and A Queen」(ア ホース アンド クイーン)を発表した際に、鬼束が尊敬するジュエルが落馬事故を起こすなど、不思議なリンクがあります。「流星群」はそんな奇妙な運命に生きる鬼束が、「infection」のプロモが無くなり、ぽっかり空いた時間の中で製作された楽曲です。
「あなたがいないなら、私もいないのと同じ」という切実さを、美メロディーに乗せて歌い上げるライヴの定番曲の一つです。鬼束の楽曲はどれも歌詞も素晴らしいですが、「流星群」は特に、Aメロの比喩表現が神がかった良さです!鬼束にしか書けない、繊細な絶望を纏った「貴方と私の世界」がそこにあります。

鬼束らしい「貴方」との悲哀に満ちた距離感、「私とワルツを」

出典:https://www.amazon.co.jp

喉元に切りつける様な低音から始まる歌です。「私とワルツ」が発売された2003年前後は、「抽象画から写実画へ」と路線の転換が計られ、発表される楽曲の雰囲気もそれまでとは随分変わっていました。それに違和感を感じていた初期のファンもいた中、発表されたのがこの「私とワルツを」です。
永遠には続かない貴方との日々、べっとりと重くのしかかる絶望感、鬼束王道の路線が「忘れたわけじゃないわよ」と復活したのがこの曲でした。
しかし。「私とワルツを」の発売前に鬼束は声帯結節にかかり休養。東芝EMIとの契約は解消され、羽毛田とはその後10年以上コンビを組む事はなくなったのです。

【鬼束ちひろの名曲・中級編】さらに上の領域へ!

なんとピアノレス!ノリノリのギターと歌う鬼束もカッコイイ!!「Beautiful Fighter」(ビューティフルファイター)

出典:https://www.amazon.co.jp

「私とワルツを」よりも3ヶ月前に発売された楽曲。鬼束というとピアノというイメージを持たれる方も多いかと思いますが、今作はなんとピアノレス。ジャケ写からしてロックな、ノリノリのギターに乗せてアイロニーに満ちた歌詞をゴキゲンで歌う一曲です。成長ではなく大循環、全ては通過してゆくだけという虚しくもあるイメージは、鬼束の他の歌にも通じています。
因みにCDのカップリングに収録されている「嵐が丘」が、元はA面だったという裏話があります。この歌では鬼束が「神の子」ではなく「怪獣」になるという、これまた哀しく独特な言い回しになっています。

もう明日は来ないかもと思う夜に効く「Cage」(ケージ)

出典:https://www.amazon.co.jp

代表曲「月光」の後に発売されたシングル曲です。武道館で行われたライヴでは、ピアノ2台の連弾で「Cage」を歌い上げ、凄まじい気迫を見せ付けています(DVD「ULTIMATE CRASH’02 LIVE AT BUDOKAN」(アルティメット クラッシュ’02 ライブ アット ブドウカン)に収録)
孤独にしないで欲しい、夜明けまでにここから連れ去って欲しい、けれど現実も一緒に連れて行って欲しい・・・。そんな矛盾した想いをアップテンポで歌い上げる一曲です。自傷さえ思わせる様な衝撃的な歌詞が逆に、心が疲れた時には、不思議な癒しになるのです。

かつての鬼束が好きだった貴方にも、新しい鬼束が好きな貴方にも。「夏の罪」

花岡なつみに提供した楽曲のセルフカバー。儚く切く美しい恋の物語は、一時鬼束から離れていたリスナーを呼び戻すにも充分な、強い求心力を持っています。「久々に鬼束ちひろを聴こうかな」と思ったそこの貴方!まずはこの歌を聴いて見て下さい。
高音部は若々しく、低音部は円熟味を増して歌っていて、鬼束の声の魅力の多面性も堪能出来る歌です。メロディーもアレンジどこか懐かしい王道の作り。様々な経験を経た末の到達点であり、今までの鬼束も、これからの鬼束も感じられる歌です。そして、この歌は長年の断絶を経て13年ぶりに羽毛田と再タッグを組んだ歌でもあり、私はその長すぎる物語にもまた号泣したのでした。

【鬼束ちひろの名曲・上級編】神になる気はないか?

「神の子」から「神の奴隷」へ。背筋も凍る怨念が巡る「BORDERLINE」(ボーダーライン)

出典:https://www.amazon.co.jp

3作目のアルバム「Sugaer High」(シュガー ハイ)のトリを飾る曲。2作目のアルバム「This Armor」(ディス アーマー)収録の「シャドウ」も負のパワーに満ちていましたが、それをサクッと超えた、ピアノと弦楽器で彩られたダークな鬼束ワールド全開の曲です。世界の終わりの様な感覚を味わえます。
「神の子」ではなく「神の奴隷」を思わせる歌詞、壊れてゆく絆、歪んでゆく世界・・・。「境界線を越えろ」と鬼束が叫び、アルバムは幕を閉じる。「鬼束の歌はみんな暗い」と思っている貴方!とんでもないです、「This Armor」のトリの「CROW」(クロウ)も名曲ですが、こちらは愛に溢れた温かな歌。でも「BORDERLINE」は聴き終わるとトラウマになりそうな怖さです。でも何だか聴き続けると癖になるし全能感を覚える、不思議な曲です。

世の無常と儚さを背負って歩き続ける「茨の海」

出典:https://www.amazon.co.jp

映画「群青の夜の羽毛布」主題歌。シングルカットされていないのが惜しい位の名曲です。ケルトっぽさもありながら、和風でもある曲。前奏のピアノの美メロディーも冴え渡っています。
貴方の祈りを頼りに、正しくなくても、強くなんかなくても、茨の海を歩いてゆく私の物語。なんて壮大で美しい悲劇なんだろうと。シングルでしか鬼束を聴いた事のない方にゼヒオススメしたい、鬼束の崩れそうな脆さを感じる、それでいてどこか力強い曲です。

これぞ鬼束ちひろ!壊れそうな2人を美しい言葉で歌い上げる「琥珀の雪」

出典:https://www.amazon.co.jp

初期のピアノメインのアレンジで、とっ散らかった自らの感情を整理せずに歌い上げていた鬼束は、「Sign」(サイン)という曲を転機に自分と楽曲の間に適度な距離を作る事も覚え、音楽の方向性も広がってゆきます。何度もの活動休止を経て、小林武史をプロデューサーに迎えたり、ビジュアルが激変したり様々な紆余曲折を経た後に、2011年アルバム「剣と楓」を発表します。
「琥珀の雪」はこのアルバムの最後に収録された歌です。2017年にはコンサートツアーを行うなど、再び活動を活発にしている鬼束が、一体どこから本格的に「復活」したのか。私が鬼束が「新しくなって、帰って来た」と思えたのが、この「琥珀の雪」からなのです。
「インソムニア」の様な「青春の若さ」ではなく、味わいのある擦れ違う大人の恋の物語として。けれどピアノとストリングスを中心としたアレンジの、紛れもなく鬼束による痛みと苦しみとその先にある希望の物語として、新しい代表曲が生まれたと思った歌でした。

鬼束ちひろの現在と今後に注目

復活した鬼束ちひろの活動に注目したい!

出典:https://www.amazon.co.jp

鬼束ちひろのオススメ楽曲、いかがでしたでしょうか。本当は全部の曲をオススメしたい位、他にも良い曲が一杯あります。
鬼束の楽曲が好きなリスナーが、同じく好きだと良く挙げるアーティストに、尾崎豊中島みゆき、そしてCocco(コッコ)がいます。皆自分なりの言葉で、自分にしかない、むき出しの自分の人生を歌ったアーティストです。鬼束ちひろも同じで、どの楽曲にも、彼女にしか書けない世界が溢れています。光と影、陰と陽を背負い、希望と絶望の振り子の中で歌を歌ってゆくのです。

一番難しいのは歌い続ける事だと思うけれど、時に立ち止まりながらも鬼束は歌う事を辞めませんでした。数奇な運命を辿った、この神ががったアーティストはこれからも快進撃を続けてゆくでしょう。私も生きている限り、鬼束を応援し続けます。