【あしたのジョー】心を燃やす名言TOP10!あしたのためのセリフ集

ボクシング漫画の金字塔として、今でも輝き続ける『あしたのジョー』(作・高森朝雄/画・ちば てつや)。その作品の中には主人公・矢吹 丈をはじめ、主要キャラの名言が詰まっています。ここでは、生き方自体を左右すると言っても過言ではない名セリフを、独断で10選してみました。重く熱い言葉の数々に、痺れてみてください!

魂を揺さぶる一言に心踊らされて

リングで生きる者達の“心の叫び”を聞け!

『あしたのジョー』はボクシング漫画としてだけではなく、各キャラの“生き様そのもの”を描いた作品としての評価も高い作品であると言えます。この作品は主人公・矢吹 丈(以下、「ジョー」と表記)と、彼をとりまく各キャラも、丹念に描かれた秀逸な「人間ドラマ」なのです。

各人から絞り出されるセリフは、重く・熱い一撃となって読者の心に響いているのだと思います。ここでは独断ではありますが、そういった“魂の叫び”にも似た名セリフを10選してみました。1968年~1973年の連載期間の“熱く混沌とした時代”を念頭に置きつつ読めば、もっともっと味わい深いと思います。

ストーリーは、
 【あしたのジョー】今だからこそアニオタたちに知ってもらいたいジョー伝説
https://festy.jp/web/posts/1002330を参照してください。

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TOP⑩「第一ラウンドじゃねえ……一分間よ!」

虚勢を張る力石の裏側に見える“恐れ”



東光特等少年院内のボクシング対抗戦でジョーと力石の特別試合が決まった時の力石のセリフです。右手人差し指を掲げて、高らかにKO予告をしました。ただ、筆者はそれが元プロボクサー・力石の虚勢に見えて仕方がありませんでした。

その前に力石とジョーは豚舎で殴り合っており、その際に放ったジョーの左ジャブに力石は驚いていたからです。「つくづく変わった男だぜ~(中略)~ジャブはプロ並みだが あとのパンチはまるで 子供だましとは」と、ジャブの洗礼を受けていたのです。

“ド素人に負けるわけがない”という元プロのプライドが「一ラウンドじゃねぇ…」という発言になったんだと思います。このジャブは「あしたのために その1 ジャブ」だったわけですが、この時から宿命の対決が始まっていたのかと思うと、感慨深い一言でもありますね。

TOP⑨「人間の尊厳を!男の紋章ってやつを!つらぬき通して死んでいった男を おれは身近に 知っていたんじゃねえかっ!!」

金 竜飛にビビっていた自分を恥じた名言

ジョーに太平洋王者(当時はOPBF発足する前)挑戦のチャンスが訪れます。相手は“闘うコンピュータ”と異名を持つ、金 竜飛(韓国)です。金は“舞々(チョムチョム)”と呼ばれる冷酷無比な攻撃で、相手が倒れる間を与えずに、連打を浴びせ続ける戦法を得意としていました。

打ち合いを身上とするジョーにとっては、試合が“噛み合う”相手だと言えますが、実はジョーには大きな問題だありました。まだ、成長過程にあるためにバンタム級では、きつくなっているんです。その点を段平に指摘され、階級を上げるように指示されます。

ところがジョーは「このバンタムっていうのは あの力石 徹が命を捨ててまで おれとの勝負をするためにフェザーからおりてきた場所なんだ~(中略)~ちょっとくらいつらいからってサヨナラできるかよ~」と取り合いません。



やっとの思いで計量をパスしたジョーは、精気を取り戻そうとレストランでステーキを食していました。そこに金 竜飛が現れて訥々と自分の過去を話し出します(写真・上)。彼の話しを要約すれば、自分は朝鮮戦争時代に猛烈な飢えのために、兵士を殺して食料を奪った。

そしてその相手が自分の父親と知った時から、胃が僅かな量しか受け入れなくなったために、減量苦を経験した事はない、……云々という内容です。この話しを試合前に聞かされたジョーは、思うようなパンチを打てず後退の一途です。

しかし、その試合中に力石を思い浮かべます。そこで出たのが「人間の尊厳を!~」というセリフでした。それからは、堂々とインファイトで打ち合い、勝利を収めます。筆者は、死してなお友情を感じさせる力石に、キャラの強さ・凄さを再確認しました。

TOP⑧「ステップ・インが1センチ深ければ トリプルクロスは食らわなかったんだ」

ボクサーの光と影を現したウルフ金串の「たら・れば」



ジョーがデビューした頃のバンタム級には東日本新人王を獲得し、将来を嘱望されたウルフ金串がいました。そのウルフ金串とジョーは、A級ライセンスの受給を賭けて闘う事になりました。

その試合は、クロスカウンターを研究しぬいたウルフ陣営は、“ダブルクロス”でジョーを苦しめます。しかし、ジョーはダブルクロスにさらにカウンターを重ねた“トリプルクロス”で逆転します。この一撃の衝撃でアゴを砕かれたウルフは引退します。

そしてヤクザの用心棒になっていたウルフを偶然、ジョーは見かけたのです。その時に「ステップ・インが1センチ深ければ…」と仲間に吹聴しています。過去を長々と自慢気に話すウルフ。そのウルフも敵対する組織の用心棒・ごろまき権藤(画像・左)にボコボコにされてしまいます。筆者はここに、ボクサーの栄光と影を見た気がしました。

TOP⑦「まいったぜ力石 あそこでとどめをアッパーでくるとはな…。さすが力石だ…まいったぜ」

ライバルを賞賛するジョー。しかし、それが永遠の別れの言葉に…



少年院に入る前までは、ウェルター級だった力石。フェザー級で復帰し、さらにジョーとの対戦とのために、バンタム級で闘うことを決心します。そこには、苛酷な減量が待ち受けていますが、そこを意地とプライドで乗り切ります。

対するジョー陣営も、力石の必殺ブローのアッパー・カット対策にボロボロになりながらの秘密特訓を続けていきます。

そうして迎えた後楽園ホール8回戦。力石が軽快に飛ばしますが、スタミナ切れなのかジョーが盛り返してきました。そんな中、5R後半から力石がノー・ガード戦法に切り替えます。この戦法はジョーが得意とするカウンター誘いです。

ジョーは瞬時の判断で、みずからものノー・ガード戦法をとりました。ここから、緊迫した我慢比べが行われていきます。この辺り、筆者は“間”を読む楽しみに浸っていました。



この膠着状態は最終ラウンドまで続き、遂にはジョーが左を放ちます。そこにクロスカウンターを仕掛けてきた力石に、トリプルクロスを打ち込む作戦です。ウルフ金串戦では、逆のポジションだったのですが、「おれの方がウルフのパンチよりは速い」という計算があっての攻撃です。

しかし、力石はジョーの予想外の攻撃に転じました。返しの右ストレートを躱し、左アッパーをジョーのアゴに打ち込んだのです。この渾身の一撃にジョーは立ち上がる事はできずに、宿命の対決に終止符が打たれました。

ようやく起き上がったジョーは、何か“憑き物が落ちた”ような顔だったのを覚えています。「まいったぜ力石…あそこでとどめのアッパーで…」というのは、勝者を称えたジョーの本心だったのでしょう。これが戦友への、最後の言葉でした。切ない一言でしたね……。

TOP⑥「すでに半分ポンコツで勝ち目がないとしたって そういうことじゃないのさ」

パンチドランカーの自覚症状があっても、戻れない道

統一王者のホセ・メンドーサ(メキシコ)戦を前にした、ジョーの控え室での白木葉子(以下、葉子)との会話の中での一言です。それまで、面会をことごとく断り、または避けてきたジョーにやっとの事で会えた(会わざる得なかった)葉子。

「ここなら逃げる事はできないと思って」と、やっとの思いでジョーがパンチドランカーの可能性が高いという医学的根拠をもって現れました。しかし、ジョーには分かっています。“自分がパンチドランカー”という事が。そうかといって、ジョーには逃げる道など最初からなかったのでしょうね。

「力石もカーロスも」とジョーは言い放っています。筆者がこのページを初見した時から、このセリフにはタイトルマッチという以上に、ジョーの「生き様」や「覚悟」を賭けた一戦(もしかしたら、最後の試合)であると感じていました。

TOP⑤「葉子はいるかい……あんたに…もらってほしいんだ…」

ジョーの気持ちが詰まったグローブを葉子へ



ジョーは“キング・オブ・キングス”ホセ・メンドーサとの死闘を15R戦い抜いた試合用グローブを、「葉子はいるかい…」と差し出します。この時は試合の結果は集計中で、まだ勝者がどちらか分からずにいます。どちらが勝つにせよ、ひとつの区切りを終えた事に対する、色々な意が込められての行動だったと思います。

「心配してくれてありがとう」「最後まで付き合ってくれてありがとう」「女のお前にあんな(好きと言わせた)事言わせちまって、すまねえ」等々、様々な想いが交差していたと思います。

そんな中で、で何か“ふっきれた”気持ちが込み上げてきて「あんたに…もらってほしいんだ」とストレートに口から出たのでしょう。ジョーの想いは探りようはありませんが、“あのグローブだけが知っている”という事でいいのではないでしょうか?

TOP④「ジョーのやろうがボクシングというものに燃えはじめたんだ なあ!なあ すばらしいことじゃねえか」

理由はともかく、ボクシングに目覚めたジョーに歓喜!

ドヤ街で腕っ節を見込んで以来、段平はことあるごとにジョーをボクシングの道へと誘ってきました。鑑別所へは「あしたのために その1(ジャブ)」と題して、ジャブの打ち方をハガキで伝授。そして、少年院へは「あしたのために その2(右ストレート)」をしたためています。

初対面の力石が“プロ並み”と評したジャブの威力を知ったジョーは、次の右ストレートもマスターしました。はやるジョーは、次のパンチを催促したハガキを出しました。それを読んだ段平の発した言葉が「ジョーのやろうが…~」だったのです。

そして「いますぐ特訓をさずけに おめえにあいにいってやるぜっ」と続けています。その後は院内でクロスカウンターやディフェンスを教え込んだわけですが、この時にジョーは、“ボクサー”としての自分のスタイルを確立していったんですね。段平の情熱には頭が下がります。

TOP③「好きなのよ矢吹くん あなたが!!」

命ぎりぎりの状態で葉子の口から出た“心の叫び”

#パンチドランカー #boxing #あしたのジョー #iloveyou #告白

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気づいてはいたものの、決して口に出してはいけない言葉。葉子にとっては、それがジョーに対する「愛の告白」だったのでしょう。力石を止められなかった自責の念。(これは筆者の想像に過ぎませんが)加えて、カーロスを表舞台に引き上げてしまったからこそ起こった悲劇。

それらを過剰に受け止めてしまった“お嬢さん”(力石は葉子を最後まで、こう呼んだ)だったからこそ、「ジョーをリングに向かわせてはならない!」と切に思ったのでしょう。そして、真の想いが口から出てしまったのです。「好きなのよ矢吹くん~」は、そうした女心を書いた梶原一騎(高森朝雄)の名セリフだと思います。

氏に“メロドラマは似合わない”という意見も多いでしょうが、この後に連載された『愛と誠』(画・ながやす巧)で“純愛路線もいける”という事を実証しています。

TOP②「おわった…なにもかも…」

死闘の末の勝利。本物同士の「死闘」で力石は…



宿命のジョーとのプロ8回戦での対戦に、力石は勝利します(TOP⑦参照)。ただし、自分からバンタム級に階級を合わせた試合には最初から無理がありました。そこには、凄絶な減量との闘いも待っていたのです。

しかし、その行為を正面から受け止めて、最後は必殺ブローのアッパーでジョーに勝ちました(画像・右上)。その勝利を確信した時にボソリと言ったのが「おわった…なにもかも…」でした。葉子は力石に「これであなたには かがやけるあしたが待っているのよ」と声をかけます。

力石は誰に言うでもなく、またボソリと「かがやける…あした…ですか?」と呟いています。この“輝ける明日”は、「おわった」男には必要のない言葉だったのでしょうか?全話読み終えた後、カーロスやホセ、そしてジョーを思っても、筆者にはその答えがまだ出ていません。

TOP①「燃えたよ…まっ白に…燃えつきた…まっ白な灰に…」

ホセ戦に燃えつきたのか?それとも、全てに燃えつきたのか!?



ホセとの世界戦を15R闘い切ってジョーが発したセリフです。当初、梶原一騎は「お前は勝負には負けたが、ケンカには勝ったんだ」という意の原稿を書き上げたといいます。

それを作画のちば てつやが“待った”をかけて、梶原の了承のもと違うセリフを模索したと回願しています。そこで生まれたのが現在まで語り継がれる名言、「燃えたよ…まっ白に…燃えつきた…~」だったのです。ヒントは以前、ジョーが紀子(林家商店の娘)に言ったセリフでした。

筆者は、この言葉がきっかけで、紀子の気持ちはジョーから離れて行ったのだと思っています。この後に独り言で、「ついていけない」と呟いていますが、それは紀子の決心(西と結婚して、店を盛り立てながら幸せな家庭を作る事)の現れだったのでしょう。

その埠頭でジョーは紀子に「そこいらのれんちゅうみたいに ブスブスとくすぶりながら不完全燃焼しているんじゃない…(中略)…燃えかすなんかのこりやしない まっ白な灰だけだ…~」と言っていました。そして「拳闘が好きなんだ 死にものぐるいで噛みあいっこする充実感が わりと おれ 好きなんだ」とも、言っていました。

望み通りにジョーは世界一の男と“死にものぐるいで噛みあい”をして、まっ白な灰になりました。何度読んでも、余韻の残るラスト・シーンだと思います。

明日は、どっちだ!

世界チャンピオンよりも“生き方の充足度”を!

ドサまわりから帰ってからのジョーの試合を見ていると、筆者(だけか!?)は、勝利するためだけではなく「自分を燃やす・燃やし尽くす」ために闘っているように思えてなりませんでした。それが良く分かるのが、ホセ・メンドーサとの一戦だったと言えるでしょう。

もちろん、負けるよりは勝った方がいいに決まっています。かといって、「半分ポンコツで勝ち目がない」状態であっても、リングに上がらないわけには行かなかったのです。ジョーにとっての“明日”は、「今日を精一杯、燃やした者だけに見える“道”」だったのではないでしょうか?

それが、何であるかはジョー本人にも見えないままだったのかも知れません。