【アウトレイジ】あらすじ&ネタバレ紹介!豪華キャストが全員悪人に!

北野 武(ビートたけし)がメガファンを取った、15本目にあたる作品が『アウトレイジ』です。当初は単独作として完結していますが、興行成績の良さと完成度の高さから今秋公開の『アウトレイジ 最終章』まで計三本を作る事になりました。その原点となった同作品を、改めて鑑賞してみましょう!

R15+指定の映画『アウトレイジ』

北野流「ヤクザ・ノワール」の世界


『アウトレイジ』は2010年に公開され、大ヒットした北野 武監督作品です。この時点では続編の制作は考えられておらず、大友組(たけし演じる大友の組織)のメンバーは裏切った石原(加瀬 亮)しか生き残っていません。

そのため、『アウトレイジ ビヨンド』(2012年)、そして今秋公開予定の『アウトレイジ 最終章』と進むうちに“北野組の常連”と言われる役者達が、出演しているのもファンには嬉しい限りです。皆、生き生きと暴れまわっていますよ(『最終章』は、まだ観ていませんが)。

ストーリー的には、同作品は東の組織についてを描いています。“ヤクザ社会”を北野流に昇華させた、良質のエンターテイメントとしてご覧ください。R15+指定されたバイオレンス・シーンも見ものです。

【アウトレイジ】山王会を頂点とした池元組と村瀬組の位置

池元とは“兄弟”の村瀬は山王会傘下を希望する

この第一作でのストーリーは、山王会を頂点とした傘下、非傘下での悲哀・シノギ合いがひとつの争点になっています。山王会傘下の池元(國村 隼)組・池元は村瀬(石橋蓮司・写真・上)組・村瀬とは兄弟の盃を交わしており、村瀬の商売を黙認する形を取っていました。それが、山王会会長の関内(北村総一朗)には面白くありません。

そこで池元にプレッシャーをかけて、村瀬を引退させようとします。その役まわりが池元組内大友(ビートたけし)組です。大友組は山王会傘下ですが三次団体なために池元の言いつけとあれば聞かなければならない立場にあります。いわば、実働部隊的な役割りをになっています。

大友は、村瀬組に対する嫌がらせを始めます。まずは、村瀬組が経営するボッタクリ・バーに組員を飲みに行かせて、「事務所で払うから」と勘定を取りにいった先が大友組事務所(写真・下)でした。

そこで恫喝されて、100万円(勘定は60万円でした)を持ち帰った村瀬組の組員。ここから、村瀬組潰しがはじまります。詰めさせた指と現金を持って詫びに来た若頭の木村の顔をカッターで切りつける等して、騒ぎを大きくしようとします。

池元は保身のために、知らぬ顔を決め込んで山王会の思うままに村瀬を引退へと追い込みました。ここからが、話しの始まりと見ていいでしょう。池元自信も追い詰められ、次第に抗争は村瀬にも飛び火して行きます。そして、磐石だった山王会までも……。

こういった一連のジェットコースター的な流れは、実は北野監督が得意とする所だという事がわかります。この流れは『龍三と七人の子分たち』(2015年)でも生かされていますよね。ちなみに、木村の顔を切りつけたシーンはラストの重要な伏線になっています。

【アウトレイジ】治外法権を利用したカジノや組織売春等々を仕切る!

躍進する大友組。しかし、池元からは“破門”されたとの通達が!

村瀬を引退に追い込んだ大友組は、それまで村瀬組が仕切っていた利権を引き継ぐ事になります。売春組織、シャブの売り上げ等です。村瀬組のシャブの小売りは独特の方法を取っていて、それは白昼堂々と売人が自転車で現れては、道端で現品を渡すというやり方です。

その売人を大友組が事務所に連れていった時に「いい話しがある」と知らされたのが大使館内でのカジノ経営です。ご存知のように、大使館内は治外法権です。その国際協定を利用して荒稼ぎしようというのです。

そのために大友組の武闘派・水野(椎名桔平)らが、グバナン大使館員を罠にハメてカジノのオープンにこぎつけました。利益の配分については、金庫番の石原が大使館側が20%という事で話しをつけます(この数値については、石原がヌいていそうな雰囲気を表現しています)。

始めは上手くいっていたカジノ経営も、池元がプライベートで入り浸る(写真・上)ようになって客足が遠のいて行きました。引退したはずの村瀬も相変わらずシャブを卸して、カジノの手口を教えた売人と、つるんでいる様子です。

それに怒った大友はみずからサウナに踏み込んで、村瀬と取り巻き(写真・下)を射殺します。そして池元はというと、山王会・関内会長の言われた通りに村瀬を破門します。ヤクザにとって“破門”とは、その世界で行きていけない事を示します。

破門を言い渡した池元がカジノに現れた事で激怒した大友は、連れ去った別室で池元を殺してしまうのでした。その場で破門を取り消した池元に「おめぇの舌は何枚あるんだ!」と迫った大友には狂気さえ見えましたね。筆者は、R15+指定になった事に納得しました。

【アウトレイジ】山王会に振り回される大友の生き方

武闘派で鳴らした大友にも撤退の時が…



関内会長の思惑通りに、「池元は、大友か村瀬のところにヤられる」という結果になりました。しかし、池元は関内と“親子”です。その“子”を殺ったケジメとして、大友は指を詰めて本部に出向きますが、山王会本家若頭の加藤(三浦友和)には相手にされません。

池元組の若頭・小沢(杉本哲太)は、池元死亡時には水野に「伯父貴、今日のところは目をつぶってください」と諭されて見殺しにしましたが、関内からは「親の仇を取れ」と釘を刺されます。加藤からの支援もあり、ここに“大友潰し”のシナリオが出来上がったのです。

組員が消されていく中、大友は自分に仕えてきた水野に「お前は隠れろ…誰か生きてないと結末が分かんねぇじゃねえか」と自嘲気味に笑いました。筆者は、このシーンを観て「たけしの“任侠映画へのオマージュ”なんだなと」と思いました。



山王会での「大友組不要論」以降は、大友組は防戦一方です。かつては、いいように実働部隊として重宝されていた時期もありましたが、使い途がなくなると簡単に切り捨てられてしまします。北野監督は、ここに“現代社会の縮図”を当てはめたのではないでしょうか?

その大友組の面々の「やられ方」につては、ひとつひとつに見せ場を用意してありました。ここでも監督のこだわりやキャスト愛が感じられて、、「バイオレンスをウリにしているけども、作品愛も感じられる」作品に仕上がっているのが見て取れます。

なお、この後半になって山王会ナンバー2の加藤の動きがチラホラと見え隠れするようになります。クライマックスへ向けての、下克上が山王会でも起ころうとしているのが分かります。

【アウトレイジ】追い詰められた大友組と金庫番・石原の処世術

大友は出頭、石原は山王会へ



小沢による、大友組狩りは執拗+残忍を極めました。若頭の水野は大友に「隠れてろ」と言われ、情婦の元に身を潜めて、現金と拳銃を入手して逃亡しようとしたところを小沢の配下に拉致されます。その後は、海岸線まで連れていかれて、首にロープを巻かれたままクルマが走り即死しました。

安倍は大友に拳銃を渡されて「これ持って、逃げろ」と言われクルマで逃走します。しかし、またしても小沢配下に囲まれて、降車したところを撃たれます。江本に至っては、公衆便所の個室で自害しようとしていた所を、射殺されてしまいました。

残った大友組員が喫茶店にいる所へは、加藤が表から部下に「使い方、分かるか?」と手榴弾を渡して一挙にケリをつけようとします。この時の大友は偶然、手を洗っていて難を逃れていますが、観念した様子でした。

大友は自分の組が崩壊して行くのを目の当たりにして、警察に出頭する事を覚悟します。懇意にしている組織犯罪担当刑事の片岡(大友の大学時代のボクシング部の後輩・写真・中、イメージ)に電話をして、落ち合う事にしました。

ここで気になるのは、石原の動向です。彼は山王会に舎弟分一人を連れて「カチコミに」行ったとされていましたが、この行為自体が手榴弾を逃れるための芝居だったのです。石原はカジノを仕切っていた時分に、小沢を通して加藤に紹介されていて、それを機に加藤に目をかけられていたのです。

大友組の情報も、ここから漏れて水野らの居場所もバレていた節があります。もちろん、口封じのためにカチコミに同行させた舎弟分の始末もしています。こうして、石原は完全に加藤配下になりました(山王会というよりも“加藤の子分”色が強いですが)。

そして、ある晴れた日の刑務所のグランドではソフトボールの試合が行われています。それを、ベンチに座って穏やかな目で見つめる大友がいました。

その隣に腰掛けた男が「アニキ、待ってたぜ!」(写真・下)と、鋭利なモノ(多分、手製!?)で二回刺します。「木村か…」、そうです、大友に顔面をカッターで斬られた村瀬組の木村も同じ刑務所にいたのです。

場面は変わって山王会会長の別荘、その大友の獄中での“死”を会長の後藤に片岡が報告に来ました。山王会は、関内前会長と小沢の撃ち合いに見せかけた後藤が新会長になっていました!ここでも下克上が行われていたのです!!筆者はここでやっと「全員悪人」「下克上、生き残りゲーム」というキャッチ・コピーの意味が分かったような気がしました。

【アウトレイジ】北野 武監督ならではの撮影裏話

黙っていても気を配る演出

北野監督と言えば、スタッフへの気配りも有名です。水野のカラミのシーンは予定されていなかったにもかかわらず「せっかく素晴らしい刺青を書いてくれたんだから」と、シーンを増やしたとか。それも、良く見えるるようにスローで回す程の念の入れようです。

自身の出番に関しても「少ねぇかなぁ?」と、サウナへ出向くシーン(写真・上)をみずから演じています。これは、「ビートたけし」を観に来る人のために撮ったサービスの意も含まれているんじゃないかと思います。

山王会がBBQをしていた建物は、盟友・所 ジョージ氏の別荘らしいですが、それを快く貸してくれたのも監督の人柄なのでしょうね。

続編が決まった時に「実は死んでいなかったという事にして、出してもらえないかなぁ」と椎名桔平が半分本気で言ったというのも分かるような気がします。

抗争は新たな抗争を生む!【ネタバレ注意】

山王会までもが下克上に!



『アウトレイジ』を観ていると、筆者はいつも“戦国時代モノ”を観ているような錯覚に捕われます。“キーワード”のひとつの「下克上」がそう見せているのかもしれませんね。その下克上が山王会に及んだラスト・シーンには意表を突かれました。

筆者がこの作品を好んで観るのは、北野監督が役者・ビートたけしとして出演しているからです。演者としてのビートたけしもイケると思うのですが、いかがでしょうか?

さて、このシリーズですが『ビヨンド』そして、『最終章』とストーリーはスケール・アップしていって面白味も増えて行きます。下克上も、さらに……といった感じです。しかし、この第一作目の『アウトレイジ』も、原点らしくシンプルさがイッパイ詰まっていて面白いです。『最終章』公開に先立って、初見・再見してみる事をオススメします。