【蒼天航路】呂布や関羽など猛将たちの生き様に人生を学ぶ!

曹操を主人公に据え三国志を描いた漫画「蒼天航路」。登場人物の誰しもが熱く激しく生きた男たち。その代表的な登場人物である「呂布」や「関羽」などの猛将たちの生き様に、今の現代社会に生きるヒントを読み解きます。

三国時代を生き抜いたアツい漢たち

その生き様から人生のヒントを学ぶ

「蒼天航路(そうてんこうろ)」は、講談社の「モーニング」にて1994年から2005年まで連載されていた三国志を題材にした漫画です。原作は李學仁(イ・ハギン)氏、作画は王欣太(きんぐごんた)氏。一般的には劉備を主人公とした三国志の物語が多い中で、「乱世の奸雄」とも呼ばれる曹操を主役に据えた斬新な切り口で、「衝撃のネオ三国志」として連載が開始されました。
その蒼天航路の登場人物たちは、誰もが己の信念のもとに熱く激しく生き、輝きを放っている正にアツき漢(おとこ)たちでした。そんな彼らの熱く激しい生き様には、現代に生きる我々にとっても人生の参考となるヒントが隠されています。キャラクターの魅力とともにそのヒントを読み解いていきましょう。
※李學仁先生は、連載中の1998年に肝臓がんでお亡くなりになりました。

蒼天航路のあらすじ

魅力あふれるキャラクターが躍動するネオ三国志

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蒼天航路は、広く親しまれている三国志演義(劉備を主役とし曹操は悪役である時代小説)ではなく、三国志(魏を正統とする正史)に基づいたストーリーがメインとなっています。主役たるは後に魏王となる曹操。その曹操の少年時代から物語は幕を開けます。
曹操の苛烈で鮮烈な生き様と共に、劉備や孫堅・孫策・孫権の孫家三代。呂布や関羽など、今でも多くの人がその名を知る猛将、知将、英傑たちが群雄割拠の乱世で、「武」や「知」に生きる様が描かれています。
そして最終話では、曹操その人の死を衝撃的且つ感動的に描き切り、そのスケールは正に一大叙事詩とも言える壮大な物語。それがこの蒼天航路です。

【呂布】強くも儚い孤高の戦士

蒼天航路随一の戦闘力を誇る呂布

まずご紹介するのは天下無双の飛将軍「呂布(りょふ)」です。王欣太氏が描く三国志のキャラクターはどれもが素晴らしく斬新で、従来の三国ファンを驚かせましたが、この呂布はその最たる例の一人と言えるでしょう。
3mはあろうかという巨躯に髪型は何とまさかのドレッドヘアー。様々な三国志ゲームでの呂布の戦闘力を見ればお分かりになるように、蒼天航路のキャラクターの中でも随一の強さを誇ります。
そして愛馬の「赤兎馬(せきとば)」は、馬単体でも凄まじい破壊力を持ち、漫画界ではラオウの黒王号に並ぶ怪物馬。この呂布と赤兎馬のコンビは、個の武力としては三国志史上で比肩するもののない強さなのです。

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己の強さを追求する純一戦士のようなストイックさ

「龍」になることを目指し、己の強さを追求し続けた呂布は、その破格の強さ故に自軍の多くの兵にも理解されず、最後には兵たちの裏切りによってただ一人で曹操軍と戦い、最期を迎えます。
呂布のこのストイックなまでの強さの追求。周りには理解されずとも、ただひたすらに強さを求め続けた生き様は、現代社会で将来の夢に悩む人々に対して、夢へと突き進む勇気を与えてくれるのではないでしょうか。

【董卓】残虐なる最凶の魔王

曹操をも越える蒼天航路のダークヒーロー

蒼天航路において、残虐なる巨悪の権化として描かれたのがこの「董卓(とうたく)」です。先程は赤兎馬と黒王号を比較しましたが、この董卓こそ正に北斗の長兄であるラオウそのもの。純粋な武人としての戦闘力で言えば、呂布の強さの方がラオウに近いと言えますが、やはりこの恐怖による圧倒的存在感で言えば董卓の方がラオウに近いでしょう。
また世紀末覇者拳王でもあるラオウは、恐怖による統治を目指していました。そして一方で董卓もまた悪逆の限りを尽くし、魔王と恐れられるほどの恐怖によって兵たちを統率していました。その点からもラオウと董卓の姿とを重ねることができます。

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何ものをも顧みないブレることのない信念

最終的には呂布の手にかかり、董卓のその覇道は潰えますが、始終一貫してブレない暴君としてのその態度。それはカリスマ性すら感じるダークヒーローであったと言えます。悪人になれというわけではありませんが、周囲の批判や非難をも恐れることなく己の信念を貫き通す姿というのは、現代社会を生きる上においても重要なことだと思います。

【劉備】大器晩成の悩める苦労人

聖人君子どころか蒼天航路で最も庶民的な憎めない男

従来の劉備像というのは、分かりやすく言えば正義の人。つまりヒーロー。正に聖人君子たり得る人物でした。ところがこの蒼天航路に登場する劉備はどんな男かというと、とにかく「情けない」の一言に尽きます。大風呂敷を広げるだけ広げておいて、あっちで敗けてこっちで敗けて、威勢良く元気になったと思えばションボリと落ち込んで拗ねてと、とてもヒーロー像ではあり得ない人物設定になっています。
しかし涙もろく人情味あふれるところなんかは、善人として従来の劉備像に近い部分を垣間見ることもできます。ところが曹操軍から逃げる時には我を忘れ、馬車から我が子を投げ捨ててしまうという暴挙に出てしまいます。もう全くダメ人間に思えますが、それこそが実際の人間と言えるのではないでしょうか。蒼天航路における劉備は、苦悩や後悔を繰り返す正に人間らしい人間とも言えるのです。

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苦労して懊悩した人間こそが辿り着ける器の大きさ

こんな情けないとも言える劉備ですが、流浪を続ける中で孔明と出会い、その孔明が唱えた「天下三分の計」を得て、生来の器の大きさを発揮してやがては蜀の初代皇帝に即位するに至りました。もちろん元々の器の大きさがあったとは言え、それは苦労して懊悩した日々があったからこそ至った道なのではないでしょうか。
私達も同じ様に、自分の人生に悩み迷うことが多々あります。しかしそれは決して無駄なことではなく、全ての事象には意味があり、それらは将来の糧となり自分の血肉となる貴重な経験であるのです。

【孔明】異界に住まう人外の探求者

蒼天航路における何でもありのジョーカー

蒼天航路で呂布に匹敵する驚愕のキャラ設定と言えば、この「孔明(こうめい)」を置いて他にありません。むしろ呂布をも凌駕していると言えます。私の周りの三国志好きな方からは、気持ち悪すぎて嫌だという意見がありましたが、それもさもありなん。その姿はマッチョで常に胸をはだけた格好をしているバイセクシャルなお兄さん。完全にアブノーマルな人です。
その蒼天航路孔明の真骨頂とも言うべきは、曹操への興味が愛情へと変わり、執着へと変わり、やがては憎悪になった時の姿。ケンシロウが本気モードになって上着を破く時の比ではないくらいにゴリマッチョになり、顔はもはや宇宙人グレイのような面相へと変化し、孔明最終形態(そんな名称ではありません)へと変態します。その後は曹操陣営に孔明メテオ(そんな技の名前ではありません)を降らせまくります。

常に情熱をたぎらせてこそ輝くもの

この孔明の生き様は、物を表現する人にこそふさわしいのではないかと思います。孔明は曹操に見限られた後に、まるで毒気を抜かれたかのように比較的まともな軍師へと様変わりします。しかしそれではつまらない。曹操に情熱をたぎらせていた頃の不可解極まりない存在の孔明こそが、蒼天航路での輝いていた孔明。
一風変わった人や、変人(良い意味で)と呼ばれる人は芸術家肌の人が多いというのは事実だと思います。何かを表現する仕事をしている方、またはそれを目指している方は、孔明が曹操へ情熱をたぎらせていた時のように、常にその心に何かに対する情熱を燃やしていてこそ、その人自体も輝きを発し、良いモノが作れるのではないでしょうか。

【関羽】義侠に生き神となった武人

武と知を兼ね備えた曹操も惚れ込んだ名将

天下無双の呂布の戦闘力に勝るとも劣らない武力を誇る猛将がこの「関羽(かんう)」です。張飛とともに劉備三兄弟としてその知名度も高く、また人気も高い武将なので、みなさんも当然ご存知のことでしょう。蒼天航路でもその魅力は十二分に発揮され、男でも惚れ惚れとする偉丈夫として描かれました。
劉備とは義兄弟の契りを結んでおり、劉備が長兄という立場ではありましたが、時には劉備や張飛を叱咤激励し、その心の拠り所として頼れる兄貴的存在でもありました。そんな関羽は神格化され、現代では神として広く信仰されており、日本では横浜中華街の「関帝廟」などでそのお姿を拝むことができます。

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義を重んじる心は人との絆を深くする

関羽は一時、その身を曹操軍に預けていたことがあります。その際に曹操が関羽に惚れ込み厚遇するも、曹操への義理を果たした関羽は劉備の下へと戻ります。曹操への義理、劉備への忠義。これこそが現代社会での人付き合いにおけるもっとも重要なファクターではないでしょうか。ネット社会でもある現代は、人と人との付き合いが希薄になっていると言えます。そんな時にこそ相手へ対する義の心が、その絆を深く強固にしていくのです。

蒼天航路のアニメは原作を大胆アレンジ!?

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蒼天航路は実は日本テレビ系列などでアニメ放映もされていました。原作ファンからは否定的な意見も多かった作品ですが、呂布のシーンは良かったという意見や、アニメとしては悪くないという意見などもありますので、ご興味がある方は一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。DVDとブルーレイがそれぞれ全9巻でVAPより発売されています。

蒼天航路に学んで今の時代を生きる

蒼天航路の人気キャラクターの生き様から、現代社会に生きるヒントを読み解いてきましたが、みなさんの心に響くものはありましたでしょうか?
今回は曹操を省いてのセレクトとなりましたが、もちろん主人公である曹操も熱く激しく三国時代を生き抜いた漢です。まだ蒼天航路を未読の方は、是非この機会にその手にとって目を通してみてください。王欣太先生の圧倒的画力に魅了され、その世界に入り込んだ暁には、そこに生きる三国時代の漢たちの生き様にきっと惚れ込んでいるはずです。
そして現在、人生に悩みを抱えている方にも蒼天航路はおすすめです。アツい漢たちの生き様に、その打開策となり得るヒントを見つけることができると思います。