作り込まれた面白い脚本だけでなく、映画監督や作曲家、評論家、似顔絵イラストレーターなどマルチに活躍している宮藤官九郎監督。主要作品で売れる前から何かと話題な「グループ魂」というバンドでも活躍していたクドカンはまさに才能に恵まれた監督です。今回はそんなクドカン作品のおすすめランキングをご紹介したいと思います。
目次
宮藤官九郎とは?
松尾スズキの大人計画で脚本家としてデビューしたから劇団の脚本をほとんど手がけていたのは20代の前半。その後映画、「GO」や「ピンポン」などで若者の間で話題になり、ドラマ「木更津キャッツアイ」で根強いファンを獲得しました。
NHKの朝ドラ「あまちゃん」でNHKデビューをしましたが2019年には「いだてん」で大河ドラマの脚本も決まっています。まさにデビューからずっと飛ぶ鳥落とす勢いの宮藤官九郎監督。実は脚本家に憧れたのは「たけしのオールナイト日本」がきっかけだったと言います。
実家が文房具店出身のクドカン少年は、ビートたけしの相方で放送作家の高田文夫に憧れ脚本の世界に。どの作品も面白いし、どの世代にも受ける宮藤官九郎作品の魅力を伝えながら、今回はおすすめのランキングをご紹介したいと思います。
おすすめ宮藤官九郎の脚本作品:第15位
中学生円山
朝ドラの監督を務めるほど国民的な脚本家ですが、宮藤官九郎監督はこんなふざけた作品も出しているんですね。全体的にふざけていますが、こういうところがクドカンの面白いところです。「中学生丸山」は妄想が激しい中学生の話。
「あるある」と思わせる共感力の高い脚本術で有名なクドカンですが、主人公の円山克也は自分の股を舐めたいと思い立ち、自主練を始めます。ところが自主練の最中に妄想癖が始まり、自宅アパートに住む草なぎ剛(シングルファーザー)を中心とした人物たちの妄想を始めます。コミカルさと真面目に考えてしまう部分のバランスがとてもいい作品です。
おすすめ宮藤官九郎の脚本作品:第14位
うぬぼれ刑事
14位は長瀬智也主演の「うぬぼれ刑事」。TOKIOの長瀬さんはよくクドカン作品に出ていますよね。劇団の雰囲気があるのでクドカンの作品にはよくこうして同じみの役者さんが出演しています。刑事ドラマ、探偵ドラマは主人公にどのような変わった性格を与えればいいかに決まってきます。
この「うぬぼれ刑事」の主人公は恋愛体質でうぬぼれがきっかけになって事件を解決していくと言う、かなり想像を裏切られる刑事ドラマ。クドカンが7年間も構想を重ねたというだけあってかなり作り込まれています。「惚れた女が犯人だった」はアメリカの刑事ドラマにもよくあるシチュエーションですよね。
おすすめ宮藤官九郎の脚本作品:第13位
ゼブラーマン
白と黒
どっちもな彼はきっと
ゼブラーマンだ pic.twitter.com/f3yUTf6dOE— いりえだよ! (@iririchannel) 2017年7月15日
三池崇史監督の映画は面白いですね。脚本はこの宮藤官九郎。ゼブラーマン役は哀川翔さん。クドカンの作品にもよく哀川翔さんは出てきますよね。若い主人公たちの間でやたら崇拝されている芸能人としてよく出てきますが、その対象として哀川翔さんは出てきますね。
この映画は哀川翔100作品記念として作られた映画で、続編「ゼブラシティの逆襲」という続編も出ています。ヒーローものも書けるんだ、と思ったら主人公はコスプレ好きの小学校教師。もう面白い!しかも30年前に低視聴率で打ち切りになってしまったヒーローのコスプレをするのが好き。もう、これだけで面白いですね。
おすすめ宮藤官九郎の脚本作品:第12位
真夜中の弥次さん喜多さん
実はこの作品が宮藤官九郎初監督作品。ミュージカル風のコミカルな時代劇作品で、原作はしりあがり寿の漫画。もちろんその元になったのは江戸時代の絵師、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」。しかし映画では弥次さんと喜多さんは恋人どうし。
またまたワイルドな長瀬智也さんが弥次さん役で、美くしい歌舞伎俳優の中村七之助さんが喜多さん。しかし喜多さんは実はヤク中でリアルを実感することができない。ある日、弥次さんはかけがえのない奥さんを失ったのをきっかけに喜多さんを誘って自分探しのためにお伊勢参りに出かけるんですね。アメリカ映画みたいですね。
おすすめ宮藤官九郎の脚本作品:第11位
ぼくの魔法使い
井川遥で思い出したけど僕の魔法使いってドラマおもしろかったな pic.twitter.com/P12ShKJU4g
— アサノ (@asano_san) 2015年2月8日
この作品が一番好き!って方も多いかもしれません。少なくとももっと評価されても良かったのに!と思った方も多いでしょう。私も同じです。伊藤英明と篠原涼子演じるバカ夫婦が描くドタバタコメディ。宮藤官九郎はキャストの選択が非常にうまいですよね。
ある日自転車で走ってきた古田新太にぶつかり記憶喪失になった篠原涼子。何か思い出そうとすると古田新太に変身していまいます。もう設定が意味わかりません。このストーリー設定もいいですが、西村雅彦や阿部サダヲが出ているのでさらに会話のテンポがいいです。話しているだけで話が進んでいく感じ、好きです。
おすすめ宮藤官九郎の脚本作品:第10位
あまちゃん
あまちゃん役の能年玲奈、可愛かったですよね。そして面白かったのが目指しているアイドルが完全にA○Bであったこと。プロデューサー役の古田新太さんも完全に秋元康さんでしたね。しかもこれを朝ドラでやってしまうところが宮藤官九郎さんの脚本の面白さ。
放送をきっかけに岩手県の経済効果が32億円になるほど観光客が増えたらしいです。アイドルを目指していたあまちゃん率いるGMTというアイドルグループも紅白に出ましたよね。クドカンの作品は作品を作るとアニメなどのように関連しているものも有名になったり人気が出ることが多いですよね。
おすすめ宮藤官九郎の脚本作品:第9位
流星の絆
この作品はドラマの中でもかなり好きな映画です。宮藤官九郎の脚本はやっぱいり事件系や刑事ドラマが得意のようです。話が前後したり、タイムパラドクスのように話が動いていくところが面白いんですよね。あんなにプロットを並べられるなんて天才ですよね。
もちろん原作は東野圭吾さんでが、クドカンもこうした迷宮ドラマが好きなようです。あらすじは若い3兄弟の営む洋食店アリアケのオムライスを巡って、小さい頃父と母を殺された犯人が大人になってから浮かび上がってくると言うものでしたね。ニノ主演映画でも一位だったようです。素晴らしかったですからね。
おすすめ宮藤官九郎の脚本作品:第8位
タイガー&ドラゴン
『タイガー&ドラゴン』はね、最高傑作(心の中では太字)です。めったに日本のドラマを褒めない私がこれだけ言うのです、見なさい、見るのだ、なぜ見ない!!!「タイガータイガーじれっタイガー!」 pic.twitter.com/uuyg3SdUSx
— パプリカ (@papurika_dreams) 2017年7月1日
またまた長瀬智也さん主演の映画。そして長瀬さんの相方役に岡田准一さんも出ていますね。二人は池袋ウウェストゲートパークと木更津キャッツアイと言うクドカンの2大作品の主演をつとめていたので、ゴールデンコンビになりました。
当時じわじわ流行り始めていた「落語」をモチーフにしたドラマです。話の展開は「木更津」のように事件を遡っていき、落語家でヤクザの小虎が自分のエピソードをオリジナルの落語にしていくという設定。脚本賞の名誉、ギャラクシー賞も獲得しています。
おすすめ宮藤官九郎の脚本作品:第7位
マンハッタンラブストーリー
やっぱり宮藤官九郎作品にはなぜかジャニーズが多いのは気のせいでしょうか?この作品は磯山晶さんという女性敏腕プロデューサーと一緒に作った作品です。実は「木更津キャッツアイ」も同じタッグだったんですね。この人の影響でしょうか?
大人の隠れ家「マンハッタン」と言う喫茶店のマスター(松岡昌宏)は刑事コロンボの大ファン(こういう設定って意外と多いですよね)。実は近くにテレビ局があってプロデューサー(及川光博)などが常連。そこで小泉今日子を取り巻いて片思いの恋愛がどんどん連鎖して行き、ついにマスターの松岡昌宏にまで巡ってくると言うもの。根強いファンが多い作品です。
おすすめ宮藤官九郎の脚本作品:第6位
GO
ヤンチャなEDMが流れるクラブでサブカル系が気分よく過ごす方法、イヤフォンで落語を聴きながら読書(『GO』、窪塚洋介)。
一目惚れ度1000%。 pic.twitter.com/NfVF8KYcqQ— げっ歯類 (@lovegessirui) 2017年3月25日
クラブで一人で落語を聞きながら小説を読んでいる主人公が窪塚洋介でしたね。窪塚ファンを作ったのもこの作品がきっかけだったような気がします。これを気に窪塚主演の映画がたくさん作られました。原作の金城一紀も有名になりましたよね。
実はその前に窪塚さんは宮藤官九郎の脚本、池袋ウェストゲートパークにも出演してかなり人気になっていました。その後も映画「ピンポン」でさらなる人気を得ました。「GO」自体もアカデミー脚本賞、読売文学賞もとったくらい作品として素晴らしかったんですね。
おすすめ宮藤官九郎の脚本作品:第5位
ピンポン
#クソ暑い日に見たくなる映画
ピンポン
完成度の高い原作漫画をクドカンが脚色。
窪塚がラムネ飲んだり中村獅童がうんこしないのにトイレに籠る映画。
あたくしの青春時代と完全に符合する。
見終わったあとの爽快感と切なさが半端ない。
ユメギワラストボーイ。
アニメもオススメ。 pic.twitter.com/cQTbP38uVe— よう (@youyo1986) 2017年7月11日
若者を描くのがうまい!それが宮藤官九郎の脚本の凄さでうよね。ランキング5位は映画「ピンポン」。「アイキャンフライ」と言って端から飛び降りる主人公ペコは小さい頃はみんなの憧れ、ヒーローのような存在でした。しかし大人になるにつれてそれが嘘だと気づき始めます。
しかし卓球の才能は素晴らしく、うぬぼれて練習に参加しない。ある日チャイナとあだ名する中国人留学生に破れた悔しさから猛特訓を開始し、インターハイへ出場する。若者の心理や男っぽさをうまく描いたクドカンの脚本術はやはり素晴らしいですよね。
おすすめ宮藤官九郎の脚本作品:第4位
アイデン&ティティ
こちらも懐かしき青春映画。みうらじゅん原作の漫画で、田口トモロヲ初監督作品でした。脚本はもちろん宮藤官九郎。80年、90年代のバンドブームを生きる主人公(峯田和伸)の奮闘を描いたみうらじゅんの半自伝的先品。
映画に度々出て行くるボブ・ディランはアメリカの国民的歌手でノーベル文学賞の候補にもなった人ですが、実はこの脚本を英訳して本人に見せ、なんと承諾を受けているのです。とにかく感動しすぎて涙必死です。ヒロインの麻生久美子がまたいい雰囲気を出しているんですね。
おすすめ宮藤官九郎の脚本作品:第3位
69 sixty nine
妻夫木聡が語る、映画と写真の醍醐味、そしてその奥深さとは?https://t.co/heOpZ2lshy pic.twitter.com/UsOE9RGA11
— Pen Magazine (@Pen_magazine) 2017年4月28日
宮藤官九郎が手がけた作品で妻夫木聡が主演をつとめた珍しい映画。確かに池袋や木更津などにちょいちょい出てきているんですが、主演はこの作品だけでイメージはあんまりありませんよね。今作では学生運動に忙しい69年の佐世保の学生たちが高校をバリケード封鎖する話。
ブルーリボン賞、映画ベスト10など数々の賞も獲得してます。実は星野源さんも出演していたんですね。最近話題になっていました。隠れた名作という感じですが、クドカンのタイムラグ的な脚本術がかなりいい感じで現れている作品なのでピックアップ。ケミストリーの音楽も素晴らしいです。
おすすめ宮藤官九郎の脚本作品:第2位
木更津キャッツアイシリーズ
クドカンは木更津では、トレインスポッティングをやろうとしたのかなと思ってます。
しかも、ドラッグなんて当然ない木更津という田舎にはビールとタバコと野球しかないっていう、ダサさも込みで。
映画版は嫌いだけど、ドラマ版のユルユルなダメ人間ライフは大好きだったなあ。
夜だよ〜〜? pic.twitter.com/YUVPdodbd8— ピカチュウのパパ (@tsunosafuzz) 2017年7月6日
このドラマはもっとも宮藤官九郎脚本作品の中で有名になりましたよね。やはりこれは上位にランキングしなくてはいけない作品です。ドラマの続編や映画などいろいろ出ました。余命半年と言い渡された主人公ぶっさんと、それを取り巻く高校時代の同級生で野球仲間の5人で怪盗団を結成する話です。
弟が天才エース選手と言うタッチ的設定や、主人公が余命半年や、そもそもタイトルにキャッツアイと入っちゃっているところなど、クドカンのオマージュがたくさん。事件が最初に起きてその真相がタイムパラドクス的にあばかれていく作風も脚本の珍しさを感じさせました。
東京湾アクアラインや田舎暮らしの憂鬱など舞台木更津を一躍町おこしに成功させ、聖地巡礼者を増やしたことや、ドラマ内でバンドを結成し、氣志團と絡ませて音楽としても売り出すプロデュース能力の凄さもうかがわれる作品です。
おすすめ宮藤官九郎の脚本作品:第1位
池袋ウエストゲートパーク
よく深夜ドラマで再放送がやっていて寝不足になった人も多いのではないでしょうか?このドラマこそ宮藤官九郎脚本のもっとも素晴らしい作品ですよね。この作品を20代で作り上げたってことがまずすばさらしいです。
原作は石田衣良、演出は堤幸彦監督、主演は長瀬智也や加藤あい、窪塚洋介、それだけでなく刑事役に渡辺謙、きたろうなど豪華すぎる顔ぶれも話題になりました。それまで一部のストリートファッションに過ぎなかったB-BOYファッションが日本でも流行しました。
不良のアイコンみたいな作品ですが、脚本の珍しさが一番衝撃だったのではないでしょうか。いわゆる時間軸を使ったクドカン節ですが、今までこうしたドラマは見たことはありませんでした。海外の映画みたいに時間がどんどん遡っていく、この珍しさは新時代の始まりだ!と思わせました。
宮藤官九郎はここが面白い!
宮藤官九郎脚本のランキングはいかがでしたでしょうか。なんでこれがこの順位なんだ!と思う方もいるかもしれません。やはりクドカンの作品は中毒性が高いので、とても思い入れがでてしまいます。なので自分の思い入れを基準に順位をつけてしまったところもあります。
やっぱり宮藤官九郎さんは人をプロデュースしたり、持ち上げたり、盛り上げたりするのがうまいですよね。作品に出てくるものがどんどん興味が出てくる。これがクドカン作品が有名になるマジックの秘密なのではないでしょうか?
そしてキャラクターを作るのがうまいですよね。漫画で見たような懐かしいキャラ、主人公はやっぱりこうでなくちゃというのが的確に表されている。感情移入してしまうキャラを作れるのがこの宮藤官九郎と言う人物の魅力なのではないかと思います。どうもありがとうございました。