【007 死ぬのは奴らだ】あらすじ&ネタバレ紹介!ロジャー・ムーア初ボンドは奇想天外

3代目ジェームズ・ボンド「ロジャー・ムーア」初の007作品「007死ぬのは奴らだ」は奇想天外な一大スペクタクル・スパイ・コント映画だ!あらすじ&ネタバレ紹介はもちろん、007シリーズにとってどこがターニング・ポイントなのかもわかりやすく解説していく!

「007死ぬのは奴らだ」シリーズの転換作!

ロジャー・ムーア初ボンドはターニング・ポイント!

近年、おそらく多くの人が「007」と聞いてイメージするのは初代ボンド「ショーン・コネリー」の「クールさ」と6代目ボンド「ダニエル・クレイグ」の「シリアスなリアルさ」が前に出たスパイ映画だろう。そんな中、3代目ボンド「ロジャー・ムーア」が出演する007は違う。

膨大な制作費と労力をつぎ込んで本気で作られる一大スペクタクル・スパイ・コント映画なのだ! 細かいことなんて気にしない。面白ければそれでよし。ムーア期はいい意味での大衆娯楽作品となった。

大衆娯楽作品だけあったムーアのボンドは特権である「殺しのライセンス」をなるべく使おうとしない!今作の敵は残忍な麻薬組織だがアクションシーンで人が死ぬ描写が少ないので多くの人が気軽に見られるところも魅力!

今作「007 死ぬのは奴らだ」が公開された1970年代はブラックムービーが流行りだした時期でもあり、今作の敵役はすべて黒人にした。それだけで終わらずさらにブードゥー信仰やタロット占いといったオカルト要素を散りばめられた異色であり賑やかな作品だ。

3代目ボンド「ロジャー・ムーア」とは?

間違いなく歴代ボンド随一の軽薄ボンドだ!ムーア期は作品によって、007のパロディ「オースティン・パワーズ」等と比べても引けをとらないほどのバカっぽさがある。それでいてエレガントでユーモラス。このバランス感覚に驚かされる!

ムーアが演じるボンドには決めるところはきっちりと決める大人の余裕がある。それだけではなく「007死ぬのは奴らだ」に出演する時点で45歳だが「身体のキレがあるので起用された」とも言われている。

 そして低迷していたシリーズの人気を立て直し、ムーア自身も国際的スターの座にのぼることに成功した。ファンはもちろん、スタッフや共演者にも愛されシリーズ7作品に連続で主演した(現在6人のボンド俳優の中で最多出演本数!)。

「007死ぬのは奴らだ」のあらすじとネタバレ!

イギリス諜報部員が相次いで3人殺害された。3人はそれぞれカリブ海の島国サン・モニークの調査をしており、ボンド(ロジャー・ムーア)は手がかりを求めてカリブ海近くのアメリカへ派遣される。

アメリカに到着して早々、ボンドが乗った車が移動中何者かに狙撃される。運転手は死亡しボンドが自ら運転しなんとか助かる。襲撃してきた車のナンバーを記憶していたボンドは持ち主を追跡していき、まじないの店の駐車場にて襲撃した来た車を見つける。

車と関係がありそうな人物がまじない店から出て来たのでボンドは追跡し、ニューヨークのハーレムへ。そこでタロット占い師のソリテールという超絶美女と出逢う。

だが、バラエティ番組のコントと同レベルである愛すべきロー・クオリティーな義手の男ティー・ヒーに拳銃を壊される。さらにMr.ビッグという男も現れ、ボンドを殺すように部下へ指令を出した。 

ちなみにこのMr.ビッグ、実はサン・モニークの大統領大統領が自ら犯罪の現場に行くというバカバカらしさ。ボンドを即殺さないところもマヌケ。ボンドを拘束することなく、わざわざ外へ出し殺そうとところも意味不明(笑) 

案の定、ボンドはビッグの部下を倒し脱出(CIAの助けもあったが)。ビッグはアホなのか?

サン・モニークの大統領Dr.カナンガがあやしいという情報を手に入れたボンドは捜査を続ける。またDr.カナンガにタロットカードを使った予知能力で指示を与える美女ソリテールから情報を得るため、ボンドはカリブ海へ向かう。

そこでCIAと名乗るロージーにカナンガの別荘を案内されるが彼女が二重スパイであり、カナンガの手先だとボンドは見抜く。だが、ボンドに見抜かれてしまい用無しになったロージーは監視するものに殺されてしまう。 ボンドーガールが死ぬというクソ定期

ボンドはカナンガがいない隙を狙って別荘にいるソリテールと会い、タロットカードを使い自分達が結ばれる運命だと口説く。ボンドによって混乱し、ソリテールは、予知能力を失ってしまう。今まで予言でカナンガに役立っていたソリテールは、カナンガから報復を受けることおびえていた。

女には優しいボンドはソリテールを連れて、別荘から脱出する。だが、ボンドとソリテールは捕まってしまう。カナンガのアジトに監禁されるボンド。訊いてもいないのに何故か自ら「自分がMr.ビッグである」と明かすカナンガは、手の込んだ変装マスクを自分で破る、しかも真顔で。かなりシュール。 

カナンガはレストランチェーン「フィレ・オブ・ソウル」を通じて麻薬を無料で配布し、アメリカに麻薬中毒患者を増加させた後市場を独占しようとしていた。わざわざ真相を語るカナンガのまぬけさたるや!

真相を掴んだボンドはカナンガの手下にワニ池へと連れていかれ、ワニの餌食にされそうなるがワニの頭を走り何とか脱出! さらにカナンガのヘロイン工場に火を放ち、ボートで逃亡する。

一方、ブードゥー教の儀式をおこなう陽気な変態ふんどしスタイルのサメディ男爵は、裏切り者のソリテールを儀式の生贄にしようとていた。蛇(本物は危ないのでおもちゃ)でソリテールを殺そうとするサミディ。間一髪のところでボンドがソリテールを助け出し、サメディ男爵を倒す。

しかし再び、ボンドは捕まる。(何度捕まるんだ! 何度も逃がすカナンガもカナンガだが、ボンドも大概!)今度はサメの餌食にされそうになるがカッターのギミックがある時計で縄を切り脱出する。

格闘の末、ボンドはカナンガの口に何かを入れる。するとカナンガの体は風船のように膨らみ、宙に浮き爆発!(血など一切飛び散らないチープな演出!) 

ボンドとソリテールは島から脱出し列車に乗り、これで終わりと思いきや、そこへ義手の男ティー・ヒーが再び現れるが、ボンドがたまたま近くにあった100均レベルの小さなペンチで義手のワイヤーを切って返り討ちにする。そしてソリテールと共に旅を楽しんだ。

しかしこれで終わらない。何故か不死身のサミディが再登場して大笑いして物語が終わる。

「007死ぬのは奴らだ」のキャストに注目!

007シリーズ初の黒人悪役たち

◆サメディ男爵(ジェフリー・ホールダー)

白いハット、白ジャケット、白いふんどしを身に纏った変態ファッションの人。不死身らしい。土から登場するシーンはかなり強烈でシュール。ボンドに頭部を打たれるもののゾンビのように復活して大笑い。見てるこっちまでもが釣られて笑ってしまう。

◆カナンガ博士=Mr.ビッグ(ヤフェット・コットー)

カリブ海の島国サン・モニークの大統領。その裏の顔は麻薬組織のボスというトンデモ設定。自ら正体を明かすシーンがあまりにもシュール。そして映画史に残るであろうグロくないもののインパクト大な爆死シーンは必見。

今作のボンドガールは2人いる?

◆ソリテール(ジェーン・シモンズ)
予知能力を持ったタロット占い師。可憐なお姫様系ボンドガール。無茶苦茶なストーリーである今作のオアシス。だが、物語終盤、寝台列車にてティー・ヒーに閉じ込められるシーンでコント要員へ。 

◆ロージー・カヴァー(グロリア・ヘンドリー)
もう一人がシリーズ初の黒人ボンドガールのロージーだ。ブラックムービー全盛期にだったのもあっての起用だと推測される。CIA役だが、その正体はボンドを裏切る二重スパイ!

「007死ぬのは奴らだ」の主題歌はポール・マッカートニー!

インパクト大なポールの曲は必聴!

ポール・マッカートニー&ウィングスによる主題歌「リヴ・アンド・レット・ダイ」(死ぬのは奴らだ)にもじっくり耳を傾けて欲しい。しっとりとしたピアノのイントロから朗々と歌い上げるポール。そしてタイトルになっている歌詞を繰り返して歌うと……。

バラエティ番組でもたまに流れるダサカッコイイ強烈なフレーズ!! ゴージャスだけど、どこかコミカルでカッコイイ! ドタバタ・スラップスティックコメディのBGMと言われてもしっくりきてしまうこのメロディーがいい!

まさに3代目ジェームズ・ボンド「ロジャー・ムーア」期の幕開けに相応しい楽曲だ。 

この曲が007の主題歌になったのは、007の転換期を象徴することでもある! なぜなら初代ボンドはロックが嫌いだったからだ。

「ショーン・コネリー」期の初代ボンドはシリーズ第3作目「ゴールドフィンガー」で「ビートルズは耳栓をして聴くべし」と言ったほどのロック嫌い。それが時を経てビートルズのメンバーのポールが主題歌を歌うとは! 

往年のボンドファンからすればこの起用はかなりインパクトが強かったのではないだろうか?主題歌から世界観を再構築していこうとするスタンスに拍手!

「007 死ぬのは奴らだ」はシリーズ屈指の奇想天外さに注目!

今作の見所はやはり緊張感ないぶっ飛んだアクションシーン!

アクションというよりもむしろ身体を張ったコントだ! どうしても段取りに見えてしまう殺陣。真顔によるシリアスな笑いが随所に散りばめられている。ワニ池に置いて行かれた絶体絶命のボンドが、ワニの頭を飛んで脱出するというやっつけシーンなんてなくてもいい無駄なシーンだ。

緊張感もなくただ時が経っていく。緊張感がない映画だが、正確には違う。変態ファッションのサミディのシーンではけしてお茶を口に含んではならない。サミディによる一発芸の応酬は予想の斜め上を行く。

これは鑑賞時の注意点だ。どこで笑いを仕掛けてくるかわからないのがこの映画のある種の緊張感だ。お茶を吹き、パソコンや床が汚れてしまう恐れがあるのだ!


終盤、ボンドとカナンガがプールに落ちるシーンなんてダチョウ倶楽部の熱湯風呂を彷彿させる! 安全第一、ゆったりとドボン! 水中での顔芸はリアクション芸人も顔負けだ!

パジャマ姿という緊張感がまるでないボンドによるハシゴを使ったアクションシーンのしょぼさも必見! くれぐれもジャッキー・チェンのそれと比べてはいけない。そしてペンチの使い方に刮目せよ!

ストーリーの中身を気にしてはいけない。登場人物達による壮大なコントを見よ!