押井守の監督作品おすすめランキングTOP10!

世界中に熱狂的なファンを持つ押井守(おしいまもる)監督。彼はアニメーション業界にとどまらず、広く影響を与え続けている。今回は同監督の作品を、アニメーション・実写を織り交ぜながらランキング形式で紹介していきたいと思う。

押井守監督とは?

1951年(昭和26)8月8日生まれ。現在も活躍する日本の映画監督であるがその活動は映像作品だけでなく、小説家、脚本家、漫画原作者、劇作家、ゲームクリエイター等と幅広い。著名な家族に、姉は舞踏家の最上和子、娘には映画ライターの押井友絵がいる。また、2006年に押井友恵は小説家の乙一と結婚している。
高度なサイバー社会やミリタリーを扱った作品が多い事や、現実と虚構をテーマにすえて難解な内容になりがちなのが押井監督作品の特徴といえるだろう。愛犬家な事もあり作中にはたびたび犬(バセット・ハウンド)が登場する。

おすすめランキング第10位

『天使のたまご』

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「天使のたまご」は1985年に制作されたOVA作品。原案・監督・脚本を押井が務めた。アニメーション制作はスタジオディーン。キャラクターデザインには、ファイナルファンタジーシリーズで知られる天野喜孝が参加している。
旧約聖書をモチーフにしたこの作品。とある荒廃した世界で卵を抱いた少女と少年が出会い、果たして少女の抱える卵には何が入っているのか、二人のいる世界は一体何どこなのか・・・。ストーリーの焦点はそこにある。
特徴として、この作品にはほとんどセリフが無い。表情や仕草によって二人の感情を推し量る事は出来るものの、基本的に映像表現や音声表現のみで語られるのが印象深い作品だ。

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さて、押井を知る人にとってはいきなりこれか……。といった感じだろうか?
なんと言ってもこの天使のたまご。非常に難解な事で有名なのだ。押井作品は分かり辛いものは多いが、天使のたまごは飛び抜けていて、一度観ただけでは大量のハテナマークが頭上に浮かぶ事だろう。
だがしかし、である。ある意味、睡眠導入剤としての効果を持つこの作品。単調な空気に当てられて眠気に誘われるが、むしろこの独特の雰囲気が狙いなのではないかと筆者は考える。
何故ならば、実は二人がいるのは旧約聖書に出てくる方舟(はこぶね)の中なのだ。しかも、陸地を見つける事が出来ずに漂い続けるifの方舟。押井の突出した作中の演出は、その永遠ともいえる時間を表現しようとしたものではないだろうか。

おすすめランキング第9位

『スカイ・クロラThe Sky Crawlers』

「スカイ・クロラThe Sky Crawlers」は2008年に公開されたアニメーション映画。押井にとって、2004年の「イノセンス」以来4年ぶりのアニメ作品となった。アニメーション制作はプロダクション・アイジー。原作は森博嗣の小説である「スカイクロラシリーズ」
第65回ヴェネツィア国際映画祭でフューチャー・フィルム・フェスティバル・デジタル・アワード受賞。他にも第41回シッチェス・カタロニア国際映画祭、第63回毎日映画コンクールアニメーション映画賞などで受賞
声優には菊池凜子、加瀬亮、竹中直人、栗山千明らを迎えて豪華な配役となっている。主題歌は絢香が務めた。

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劇中の舞台は日本とよく似た国、そこで生きる戦闘機乗りの傭兵たちを中心に描く物語。
ある一定の年齢で成長が止まって永遠に生き続けるキルドレ。彼らは戦闘ショーが行われる世界で戦闘機に乗る事を強いられる。何故彼らは永遠に生き、何故彼らはショーに駆り出されるのか。その謎を考察しながら観るが楽しい作品だ。
脚本が書かれた当初、原作は「スカイ・クロラ」と「ナ・バ・テア」の2冊しか刊行されていなかった。そのため、原作小説と映画の設定には若干異なる部分があるものの、合わせて鑑賞して違いを探すのも一興。
戦闘機の戦闘シーンも見どころの一つ。空を駆け巡り、激しいドッグファイトを繰り広げるシーンは必見である。

おすすめランキング第8位

『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』

「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」は、1984年に公開されたアニメーション映画。監督、脚本を押井が務める。アニメーション制作はスタジオぴえろ、制作協力としてスタジオディーンが参加している。
原作は言わずと知れた高橋留美子の漫画『うる星やつら』。ビューティフル・ドリーマーは、うる星やつら劇場映画第2作目となっており、第1作「うる星やつら オンリー・ユー」から引き続き押井が監督を務めた。

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筆者は原作やテレビアニメシリーズを観た事が無い。だからこそ、押井作品として楽しめた部分はあるのだが、これを原作ファンが観たらどう思うかと想像したら・・・。非常に色濃く押井の作家性が前面に出てしまった作品だ。
冒頭からいきなり荒廃した町が出てくるし、ラムたちは池となった運動場でウォーターバイクを乗り回している。主人公の諸星あたるはそれを眺めてぼんやりしている。一体全体、友引町に何があったのか?
未視聴の原作ファンもミステリー作品として一度観てみるのも良いのかもしれない。

おすすめランキング第7位

『東京無国籍少女』

「東京無国籍少女」は2015年に公開された実写映画R15+作品。山岸謙太郎監督の同名自主制作映画を、押井が監督を務めてリメイクしたもの。主演はモデル・女優の清野菜名、他には金子ノブアキ、本田博太郎などが出演している。
映画の舞台は芸術系の女子高。そこに通う藍は以前天才と呼ばれていたが、ある事故をきっかけとして心身ともに傷を負ってしまう。満足に眠る事も出来ないまま授業もドロップアウトし、同級生から嫉妬によるイジメを受けてどんどん孤立していき・・・。

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PVや公式サイトにもあるように、ラスト15分は息もつかせぬ超展開の連続である。清野菜名がくりだすガンアクション、近接格闘、ナイフさばきなどのアクションシーンは見どころだ。
学園ものだから押井作品らしさは薄れるかと思いきや、全くそんな事はない。原案となったオリジナル版も合わせて観ると更に楽しめるだろう。

おすすめランキング第6位

『人狼 JIN-ROH』

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「人狼 JIN-ROH」は2000年に公開されたアニメーション映画。公開時、残酷描写によって映倫のPG-12指定されている。押井は原作・脚本として参加。監督を沖浦啓之が務めた。アニメーション制作はプロダクション・アイジー。
第54回毎日映画コンクールアニメーション映画賞ファンタスポルト1999最優秀アニメーション賞・審査員特別大賞などを受賞
押井の監督作品でないためランキングにいれようか迷ったが、やはり外せない作品であるのでランクイン。押井守原作の「ケルベロス・サーガ」の内の1作品。シリーズ共通で、架空の歴史をたどった日本が舞台だ。

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本作は反体制の「アカ」と帝国主義体制の「狼」を、童話「赤ずきん」の赤ずきんと狼になぞらえた寓話的な物語。「狼」側の主人公と「アカ」の少女が出会う事で、2つの勢力の膠着状態(こうちゃくじょうたい)は崩れ次第に内戦状態と突入していく・・・。
無骨なプロテクトギア、唸るMG42(汎用機関銃)、繰り広げられる闘争。この作品の魅力はいくつもあるが、キャラクターや兵器が動くだけで目が釘付けになってしまうし、呼吸をするのも忘れるくらいの緊張感を生み出している。
若い頃に学生運動へ傾倒したという押井の経験も落とし込まれ、本作では監督ではないものの、彼を語る上で重要な一作だ。

おすすめランキング第5位

『機動警察パトレイバー the Movie』

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「機動警察パトレイバー the Movie」は、1989年に公開されたアニメーション映画。監督、絵コンテを押井が務めた。アニメーション制作はスタジオディーン、制作協力にI.Gタツノコ(現プロダクション・アイジー)。
メディアミックスとして展開されたパトレイバーシリーズ。原作はこのシリーズのために作られたヘッドギア。押井も大きく関わっているシリーズであり、現在まで続く人気を集めている。本作は劇場公開作品の第1作目である。

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2脚歩行で人間が乗り込めるロボット―汎用多足歩行型作業機械「レイバー」が普及した近未来。レイバーを使った犯罪を取り締まるパトロールレイバー、通称「パトレイバー」隊員たちの活躍や人間ドラマがシリーズ通しての見どころ。
「機動警察パトレイバー the Movie」では、多発するレイバー暴走事件とその事件の真相を追っていく様子が描かれる。
公開当時、まだまだインターネットが浸透していない中で、コンピューターウイルスという題材を扱っている点が本作の特徴の1つ。利権争いとそれに立ち向かう人々の人間模様も観ていて引き込まれる。もちろん、他の押井作品と同じようにキャラクターやメカが動くだけで面白いという動画的魅力も満載だ。

おすすめランキング第4位

『イノセンス』

「イノセンス」は、2004年に公開されたアニメーション映画。監督、脚本、絵コンテを押井が務める。アニメーション制作はプロダクション・アイジー。原作は士郎正宗の漫画「攻殻機動隊」。
第25回日本SF大賞受賞、第57回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門にて上映された。
押井が監督を務めた「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」の続編にあたり、ベースは原作漫画「攻殻機動隊」の第6話「ROBOT RONDO」である。前作の様に草薙素子が主役として活躍する事はなく、また素子のその後もほのめかすにとどまっている。

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前作「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」のラストで草薙素子(少佐)が失踪してから数年。公安9課のバトーはトグサと共に、少女型の愛玩用ガイノイドが起こす原因不明の暴走について捜査していた・・・。
本作の見どころは愛玩用ガイノイドの暴走に潜む闇や、バトーを始めとした渋い魅力を放つ公安9課メンバーの活躍。川井憲次が作曲した挿入歌「傀儡謡」も、攻殻機動隊の世界観にマッチして聞き入ってしまう。
作中では多数のアフォリズムの引用がなされ、登場人物たちの会話の中に登場するのも特徴的だ。意味深なセリフが発せられる度に、作品へのピリリとしたスパイスとなって一層その味を引き立たせている。
一応、続き物ではあるが「イノセンス」は独立したお話として鑑賞可能なので、押井作品をまだ見た事がないという人も、この作品から観ても大丈夫だ。

おすすめランキング第3位

『立喰師列伝』

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「立喰師列伝」は、2006年に公開されたアニメーション映画。脚本、監督を押井が務める。原作は押井の執筆した同名小説。作品内の役者は全員押井の知人が演じている。
スーパーライヴメーションという表現手法で制作されているのが特徴。役者をデジタルカメラで撮影し、3DCGの人形に貼り付けて動かすというもの。このことによって、アニメーションとも実写ともつかない新たな映像作品となっている。
物語はナレーションによって語り進められるのだが、そのナレーションを務める山寺宏一が時間いっぱい喋り続けるのには驚愕してしまう。収録はシーンごとなのだろうが、それでも凄いの一言だ。観終わった後は山寺の流暢な語りが耳に残っている事間違いなし。

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舞台は日本の屋台や立ち食いそば屋、ファーストフード店。戦後から現代に至るまで存在する「立喰師」に関する資料や伝承を研究し、その実態に迫ろうとする研究書及び研究映像であるという設定のお話だ。
案の定、全編にわたってまどろっこしい押井節全開。趣味で作っているのではないかと思えるほど、ひたすらウンチクが並べ立てられ情報が洪水を起こしている。押井版戦後日本精神史というように捉えれば興味深くあるが、とにかく人を選ぶだろう。
ファンであっても、話の起伏が無いから初見はだんだんと眠くなってくる。だが、本作が影響しだすのは立ち食いそば屋や牛丼屋に行った時だ。ふと立喰師の事が頭をよぎって観かえしたくなる。ジワジワと心の隙間に入り込んでくる一品だ。

おすすめランキング第2位

『アヴァロン』

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「アヴァロン」は、2001年に公開された実写映画。監督を押井が務めた。押井の劇場用実写映画作品としては4作目。製作が日本の映画会社ではあるが、全編ポーランドで撮影され出演者もポーランド人。
この後に押井は「スカイ・クロラ」の監督を務める事になるが、オファーが来た理由は原作者の森博嗣が好きな映画に「アヴァロン」を上げたから、という逸話が残っている。
本作は実写映画であるが、ゲームやアニメーション的な表現を多く取り込んだ意欲作になっている。ゲーム内の仮想空間と現実世界の境界を、一気に取り払ってしまうような描写が素晴らしい作品

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物語の舞台は若者を中心として熱狂的な人気を集める体感型オンラインゲーム「アヴァロン」。プレイヤーはミッションをこなす事によって、現実世界で使用可能な報酬を得る事が出来た。しかし、時には仮想空間からの未帰還者が発生するために非合法な物となっていたのだった。
主人公は「アヴァロン」の凄腕プレイヤーであるアッシュ。ソロプレイヤーとして参加し続けていたアッシュであったが、「アヴァロン」の隠しステージの存在を知り、更に未帰還者と上位ステージの関係も明らかになって行き・・・。
上にも記したように、この作品の良さは現実世界と仮想空間が混ざり合うような映像表現だ。リアルと虚構のせめぎ合いは他の作家も扱うテーマだろうが、この「アヴァロン」はそのテーマに対する押井が提示した1つの答えとなっている。

おすすめランキング第1位

『GHOST IN THE SHELL /攻殻機動隊』

「GHOST IN THE SHELL(ゴースト イン ザ シェル)/攻殻機動隊」は、1995年に公開されたアニメーション映画。監督、絵コンテを押井が務めた。アニメーション制作はプロダクション・アイジー。原作は士郎正宗の漫画「攻殻機動隊」。
第5回東京スポーツ映画大賞、第1回アニメーション神戸賞などで受賞
本作で押井は世界的な映画監督へと一気に駆け上がって行った。他の作品へ与えた影響も非常に大きく、その1つの「マトリックスシリーズ」は有名だろう。2017年にはスカーレット・ヨハンソン主演で実写映画化もされ、未だに人気の高い作品。
続編は既に記したように2004年公開の「イノセンス」。他にも新作カットや3DCGを追加した「攻殻機動隊2.0」が2008年に上映。「2.0」では全体的な色調が「イノセンス」と同じようにオレンジ系となっているのが特徴。

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企業のネットが星を被い電子や光が駆け巡っても国家や民族が消えてなくなるほど情報化されていない近未来――。
「GHOST IN THE SHELL」では草薙素子を中心とした公安9課のメンバーが、謎のハッカー「人形遣い」の起こす事件を追っていく。人形遣いの正体、高度に発達した科学の行き着く果て、自己とは何なのか・・・。
本作は深いテーマが数多く盛り込まれ、視聴した前と後では意識をガラリと変えられてしまうような傑作だ。原作を合わせて読む事で、「攻殻機動隊」の世界をより深めるのも楽しい。
ランキング1位にこの作品を持ってくるのはありきたりだが、やっぱり何度も観て毎回唸らされる「GHOST IN THE SHELL」がふさわしいだろう。これを観ると「イノセンス」や「アヴァロン」も観たくなってしまうのは、私だけではないはずだ。

何度観ても飽きが来ない押井ワールド!

一部のネット界隈では、「宮崎駿の映画は100人が1回は観る。押井守の映画は1人が100回は観る」などと言われているが、実際にその通りだと感じる。決して万人受けする作風ではないが、何度も観て何度も味わうのが押井作品だ。
時折、ファンであってもそのアクの強さにやられてしまう。けれども、しばらく経つとまた観たくなってしまう。某カルト的ラーメン屋の感想のようだが、1度はまってしまうと抜け出せない。押井守とはそんな創作者である。
この記事を書いている間にも観たくてウズウズしていたところだ。
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