【たまこラブストーリー】あらすじ&見どころ紹介!少年少女の成長は少し苦く…

TVアニメ「たまこまーけっと」の続編として制作された2014年公開の劇場版アニメ「たまこラブストーリー」。「変わらない日常」をテーマにしたコメディ作品のTVアニメ版とは大きく異なり、「恋愛」と「将来への不安」をテーマにした「子供から大人へ」の成長を描いたストーリーで話題となりました。TVアニメは見たけど劇場版は見てない・・・という人にぜひともオススメしたい『たまこラブストーリー』を紹介!

コメディ作品だった「たまこまーけっと」と別モノ!?『たまこラブストーリー』の評価は?

出典:https://images-na.ssl-images-amazon.com

2013年にTVアニメが放送され、好評を博した「たまこまーけっと」。主人公・たまこを中心に、同じ商店街に暮らす住人と、たまこの友達たちとが繰り広げる変わり映えのない日常のほっこり感が人気となった「コメディアニメ」でした。
しかし、今回紹介する「たまこラブストーリー」は、前作の設定をそのまま引き継ぎつつも、高校3年生になって変わってしまう人間関係、将来への不安、そしてたまこの恋愛を描いた、前作とは真逆とも言えるテーマで作られた「恋愛アニメ」です。
前作から思いもよらないような、高校生の「王道ラブストーリー」を展開する作品で、劇場へ見に行って驚いた方も多かったはず。しかし、恋愛と同時に大人への成長を描く緻密な感情表現が大好評を博し、TVアニメ版を超える「名作」として語られる作品となっております。

みんな大人になってしまう『たまこラブストーリー』のあらすじ

もち屋の娘として、毎日変わらずおもちと商店街、友達を愛する日常を送っている主人公「北白川たまこ」。しかし、高校3年生となり、周りの友達はみんな将来について考えるようになり、その関係は少しずつ変わり始めようとしていました
たまこの家の向かい隣に暮らしていて、たまこに想いを寄せる幼馴染「大路もち蔵」は、自身が興味を持つ映像撮影、編集の技術をより詳しく勉強したいと思い、東京の大学への進学を考え始めます。そして、東京に行くことと、たまこを好きなことを、どうやって伝えようか悩みます。
マイペースすぎるたまこと会話のタイミングが合わず、空回りし続けるもち蔵に対し、その気持ちに気づいているたまこの親友「常盤みどり」はもち蔵を挑発し、その日に告白するように強引にセッティングさせます。

下校途中に夕暮れの河原に立ち寄って話しますが、たまこのマイペースすぎる行動に告白する決意が揺らぎ、このままでいいと思い始めたもち蔵ですが、たまこが「おもちみたいに柔らかくて優しくて、あったかい人になれるかな?」と話をしたことがきっかけで、もち蔵は決意します
足を滑らせて河原に落ちそうになるたまこの手を握り、もち蔵は東京に進学することを伝えると同時に「俺、めちゃくちゃたまこが好きだ!」と堰を切ったように強く告白します。
告白を受け、取り乱して川に落水するたまこ。もち蔵に助けられるものの、突然の出来事に返事もできず挙動不審になり「かたじけねえ」と言い残し、そのまま家までダッシュして逃げ帰ってしまいます。それ以来、きちんともち蔵と向かい合えなくなり、何事にも身が入らなくなってしまいます

そしてたまこはもち蔵の告白がきっかけで、友達がみんな将来に向かって大人へ変わっていくことに気づき、自分たちの親や商店街の人たちも同じように青春時代を過ごし、悩んできたのか、自分はどうすればいいか考えはじめます。
告白のタイミングを間違えたと思いこみ激しく後悔しながらも、たまこの負担にならないようにいつも通りにふるまうもち蔵。もち蔵の告白を受け止めきれず取り乱すたまこに対し、自分がけしかけた事に自己嫌悪しながらも、告白が成功しなかったことにどこか安心した様子のみどり
ぎこちなくなったしまったたまこたちの関係は果たしてどうなってしまうのでしょうか。

【※ネタバレあり】たまこともち蔵をつなげる親友「常盤みどり」の心の葛藤

幼馴染のたまこに対しては親友として接しながら進んで身の回りの世話をするみどりですが、同じく幼馴染のもち蔵に対してはそっけない態度をとります。前作「たまこまーけっと」ではもち蔵のたまこへの告白をブロックするなど、たまこともち蔵が接近することを拒否していました
しかし「たまこラブストーリー」では、逆にもち蔵に告白を促したり、たまこの恋愛相談に乗ったり、最終的にはたまこが気付いたもち蔵への恋心を後押しして二人の気持ちを前に進めようと一役買って出ます。

みどりがたまこに対して「特別な感情」を抱いていることは「たまこまーけっと」「たまこラブストーリー」内のちょっとしたしぐさやもち蔵への接し方などから察することができます。またそれに加え、もしかしたら密かにもち蔵に好意を寄せている、という可能性も全くないとも言い切れないと思います。
ただしどちらにせよ、みどりの心中は劇中ではハッキリと言葉で表現されないので、すべて見た人の想像でしか判断することができないようになっています。

みどりは自分が「叶うことのない想い」を抱いている事を自覚していて、「たまこラブストーリー」内では、おそらくですが、その想いに決着をつけて、自分自身が将来に向かって進むために、たまこともち蔵の関係を強引に後押ししているように描かれています
もち蔵に告白をけしかけたことを自己嫌悪したり、たまこの相談にも気持ちに踏ん切りがつかず、しっかりした答えを返せなかったりしている場面がみられます。しかし最終的にはたまこに告白させるため、「もち蔵が東京に引っ越しする」と嘘をついてまで、大学のオープンキャンパスに行こうとするもち蔵の元へ向かわせます

「たまこラブストーリー」は高校生の恋愛をテーマにした作品ですが、それは「子供から大人になる」という大事な時期をテーマにしているということでもあります。「常盤みどり」は作品内で辛い役回りを演じながら「子供から大人への成長」を一番表現しているキャラクターと言えるのではないでしょうか。
「常盤みどり」は「たまこラブストーリー」の「もうひとりの主役」と言っていい存在かもしれません。

キャラの心情とリンクするテーマソング「KOI NO UTA」「こいのうた」「プリンシプル」

映画でのオープニングテーマ曲「KOI NO UTA」は前作「たまこまーけっと」において発覚した、たまこの父「北白川豆大」がたまこの母「北白川ひなこ」に告白の言葉のかわりに送ったラブソング「恋の歌」と同じもので、たまこまーけっとファンの人にとっては驚きの選曲だったのではないでしょうか。
「たまこラブストーリー」においては、カセットテープに録音された父・豆大が歌う「恋の歌」と、同じテープの裏面に録音されていた母・ひなこのアンサーソング(かなり音痴・・・)を聞く事で、たまこに告白するきっかけと勇気を与える大事な役割があります。


エンディングテーマのひとつ「こいのうた」「恋の歌」をたまこ自身がカバーして歌っているもので、母親と父親がたどった道を、たまこも同じ気持ちでもち蔵と歩いていくんだろうな、と見た人に思わせる心温まるものです。タイトルがひらがな表記である理由は、まだ未熟なたまこの恋心の演出だと思います。
もうひとつのエンディングテーマ「プリンシプル」「こいのうた」と同じく、たまこ役の声優・洲崎綾さんが歌っているのですが、歌手欄は「こいのうた:北白川たまこ(CV:洲崎綾)」と「プリンシプル:洲崎綾」と意図的に変えて明記されています。
内容は「変わらないと思っていた毎日が突然愛おしくなる、変わりはじめた未来に駆け出した私を誇れるように」といった、映画の内容とリンクするもの。たまこの心情だけでなくもち蔵や友達みんな、特にみどりにピッタリ当てはまる内容です。
歌手表記を北白川たまこと分けた理由は、たまこだけではなく「常盤みどり」を強くイメージしているためだと思います。
劇中エンディングの演出「たんぽぽの綿毛が飛ぶ映像」は、大人になって旅立っていく登場人物のイメージなのでしょう。

甘酸っぱい青春を思い起こさせる、繊細な描写と演出が魅力的な王道ラブストーリー

出典:https://images-na.ssl-images-amazon.com

前作「たまこまーけっと」では、言葉をしゃべる鳥「デラ」の南国のお妃探しなど、ファンタジー要素がやや強めの世界観でしたが、「たまこラブストーリー」では、冒頭のオマケ映像程度にしか登場しません。
前作の世界観を引き継ぎつつも、テーマを恋愛へ路線変更した「たまこラブストーリー」は、誰もが抱く青春時代の甘酸っぱい思い出や夢、将来への不安など、揺れ動く心を繊細に、キャラの心情を反映させるような美しい背景描写とともに見事に描き切った作品です。
「たまこまーけっと」を知らなくても楽しめる内容となっておりますので、気になった方はぜひともご覧下さいませ!