【昭和元禄落語心中 助六再び篇】ベテラン声優集結で描く落語×人間ドラマ!傑作アニメの魅力を語る!\t

戦前からバブル期までの上方落語の世界を、登場人物たちの人間ドラマも交えて展開する「昭和元禄落語心中 助六再び篇」。上方落語とは何か知らない人でも、話が進んでいくほどどっぷりとはまっていきます。

昭和元禄落語心中 とは?

出典:https://www.amazon.co.jp

講談社「ITAN」で2010年から2016年まで連載されていた、上方落語界に人生を駆けた男たちを取り上げた漫画です。原作は、「昭和元禄落語心中」で、2016年第21回手塚治虫文化賞新生賞に選ばれた、雲田はるこ先生。戦前から始まり、戦時中の上方落語の混乱、戦後からバブルまでの消えてしまいそうになる落語の世界を模索します。

昭和元禄落語心中 助六再び篇のあらすじ

刑務所から出所した足で、八代目有楽亭八雲(以下、八代目八雲)に弟子入りを志願した元チンピラ・強次。「弟子はとらない」と言った八代目八雲に住む家もないといって一生懸命食い下がり弟子入りすることになります。強次は有楽亭与太郎(以下、与太郎)という名前をもらい、落語の世界に入っていきます。
前日に前座に上がるということを知り、眠れずに当日を向かえ、うっかり、八代目八雲の落語の最中に居眠りをして破門を言い渡されます。八代目八雲の家に住んでいる小夏と一緒に、破門の取り消しを懇願すると、三つの約束をします。
八雲と助六の落語を全部覚えること」「助六と八雲二人で落語の生き延びる道を作るという夢を助六の変わりに与太郎がすること」「絶対に、自分(有楽亭八雲)より二人とも先に亡くなってはいけない。」与太郎と小夏に告げます。
亡くなった落語家・二代目有楽亭助六(以下、二代目助六)との話を聞き始めます。二代目助六は、小夏の実の父親でした。

強次は有楽亭与太郎になって何年も経ち、三代目有楽亭助六を襲名します。二代目有楽亭助六と芸者のみよ吉との間に生まれた小夏が、シングルマザーとして生きていくのを見逃せず、求愛をして結婚をします。
小夏の子供・信之助も与太郎を慕い、信之助の本当の父親は小夏からは聞かないまま、3人で家族として生活していきます。第1期の終盤で明かされた二代目助六とみよ吉の死は、八代目八雲の前で転落死したことでした。

昭和元禄落語心中 助六再び篇OP&EDがユニーク!?

OPの「今際の死神」は椎名林檎さんが作詞作曲で、歌うのはみよ吉役を演じた林原めぐみさん。「死神」というワードは、「昭和元禄落語心中」シリーズを通じてのテーマともいえます。
第2期の主役・三代目助六よりも第1期で主役だった八代目八雲を中心に、亡くなったみよ吉や二代目助六が八代目八雲を取り囲む魅惑的な映像に、椎名林檎さんの独特の歌詞と曲がマッチした幻想的なOPになっています。
OPがキャラクターたちが登場したのに対して、ED「ひこばゆる」は、ピアノの落ち着いた曲と、着物などのアイテムが登場するのみ。作曲はピアニストで作曲家の澁江夏奈さん。澁江夏奈さんは、NHKのラジオドラマ「FMシアター」や「青春アドベンチャー」など、「昭和元禄落語心中 助六再び篇」のサントラも手がけています。

昭和元禄落語心中 助六再び篇 声優人が凄かった!

元チンピラで、お調子者、妻・小夏がシングルマザーになるといったら真っ先に求愛したストレートな感情の持ち主。三代目助六を演じているのは、声優の関智一さん。
アニメ「のだめカンタービレ」では天才指揮者・千秋真一役でイケメンを演じきりました。映画「犬夜叉 時代を越える想い」では、敵の瑪瑙丸役、また「ルパン三世」銭形警部で人気声優だった、故・納谷悟朗からショッカー首領役を引き継ぐ実力派声優です。
昭和元禄落語心中では、声優陣が実際に落語をするのがポイントですが、関智一さんは2014年に、落語立川流真打の立川志ら乃師匠に、弟子入りするほど落語好きとして有名。
八代目八雲には石田彰さん。「新世紀エヴァンゲリオン渚カオル役、「名探偵コナン」、「まじっく快斗」ではクールな探偵白馬探役など、落ち着いた声を出す役柄が多く、落語に人生を捧げている孤高の人物・八代目八雲の声もぴったり合っています。

小夏の父親で二代目有楽亭助六には山寺宏一さん。「七色の声を持つ男」と呼ばれるほど様々な声を使い分ける、声優の世界でも芸達者な山寺宏一さんは、ディズニー映画にも数多く出演、ハリウッドスターウィル・スミスやエディー・マーフィーの吹き替えも担当しています。昭和元禄心中では、二代目助六の圧倒的な落語を演じています。
小夏の母みよ吉を演じるのは、林原めぐみさん。「らんま1/2」では女らんま役、「名探偵コナン」では黒の組織から逃げてきた灰原哀役など、明るい役から影のある役まで定評のある声優さんです。

四代目菊比古だった八代目八雲に弟子入りを志願して断られ、しばらくしてから落語の本を書くために、三代目助六に密着取材する売れっ子作家・樋口栄助役を演じているのは関俊彦さん。「YAWARA!」では主人公・猪熊柔を追いかけるスポーツ記者・松田耕作役、「ひぐらしのなく頃に」シリーズなど、数多くのアニメやドラマCD、テレビドラマなどに出演。
八代目八雲には媚を売り、三代目助六は下に見ているお調子者・アマケンには「犬夜叉犬夜叉役、「名探偵コナン」では工藤新一役と、イケメンヒーロー役。「ワンピース」のウソップのようなコミカルな役も得意とする山口勝平さん。「昭和元禄落語心中 助六再び編」で登場する、アマケンのどこかひょうきんな役も出番は少ないですが、注目です。

昭和元禄落語心中 助六再び篇をネタバレ!

昭和元禄落語心中 助六再び篇」では、二代目助六とみよ吉の隠されていた死の真相が明らかにされます。八代目八雲に会いに行ったみよ吉は、その場に現れた二代目助六をカッとなり包丁で刺してしまいます。
手当てをしようとしていた二代目助六の前に、付き人の松田が現れ、その時に幼い小夏がやってきてパニックになり、謝るみよ吉を突き飛ばしてしまいます。それを助けようとした二代目助六は、みよ吉と共にベランダから転落死をしてしまいました。その場にいた八代目八雲の付き人をしていた松田からついに真相が明かされます。
幼い小夏に真実を伝えないように秘密にし、夫婦の事故死という筋書きにしました。二代目助六とみよ吉を追い詰めていった自分自身を攻め、二代目助六との約束だった上方落語を守り、小夏を育てていく決意をしたのでした。

八代目八雲は、親子会の最中に倒れてしまいます。自分の人生が後もう少しということを悟り、あまり落語をしなくなります。若い頃からしていた「死神」をすると、みよ吉が降りてきた感覚になり、意識が薄れていきます。
雨竹亭が不審火にあい、八代目八雲はそれに巻き込まれ目に大やけどを負っててしまいました。それからというもの八代目八雲は、家で休養することが多くなります。
三代目助六と小夏は落語を通して、本当の夫婦として生活していく中妊娠が判明。八代目八雲の住んでいる家で、もう一度暮らすことになり穏やかな生活をしていきます。三代目助六のラジオを聴きながら、桜を眺め、八代目八雲と小夏は、自分たちの人生を振り返り、小夏は育ててくれた感謝を言葉にします。薄れゆく記憶の中、八代目八雲は暗闇の世界へと…。


そこには亡くなった二代目助六が現れ、八代目八雲は家族みんなに看取られて、亡くなったと本人に告げます。まだ成仏していなかった二代目助六は、三途の川に来た八代目八雲と共に歩きます。
出会った頃の年齢から、落語界の重鎮としての八代目八雲の落語を堪能しながら、黄泉の国で最後の時間を楽しみます。途中ではみよ吉とも再会をし、みよ吉の八代目八雲への想い、娘・小夏への母としての想いを聞き、三人の関係が浄化したことを感じます。
黄泉の国へ行くのに身銭がない二代目助六は、黄泉の国行きの船には乗れず、見送りだけやってきます。次の再会の約束をお互いにした後、八代目八雲は旅立ちますが、その船には神様の計らいで付き人の松田が乗っていました

八代目八雲が旅立ち17年、九代目有楽亭八雲に襲名することになった三代目助六は、息子の信之助に有楽亭菊比古を襲名させます。初代助六から二代目助六が受け継いでいた扇子を渡し寄席に挑みます。
やくざ「吉切組」の親分城戸績が父親だと三代目助六は考えていました。人気作家・樋口栄助は、小夏に本当は八代目八雲が実の父親なのではと問いかけます。小夏は肯定とも否定ともとれる返答をし、真相は胸にしまっておくということで話は終わります。
八代目八雲の時に消失した雨竹亭を忠実に再現した雨竹亭が完成し、お披露目となります。九代目有楽亭八雲、四代目有楽亭助六、女性として初の落語家・有楽亭小助六を揃え、これからの上方落語を背負っていくところで物語は終わります。

昭和元禄落語心中 助六再び篇の考察…

八代目有楽亭八雲は、人生を上方落語に捧げました。最後の瞬間は詳しく描かれませんでしたが、三途の川で二代目有楽亭助六が話した中で、「家族に看取られて亡くなった」というのは、自分の落語を作り上げ、落語に人生を捧げた「ご褒美」ともいえます。
二代目有楽亭助六・みよ吉夫妻の死の真相、二人の娘・小夏の子供・信之助の父親は誰か?などは、一回答えが出たと見せかけて、終盤にひっくり返ります。思わず視聴者が「あ!そういうことか!」と思ってしまう展開は、物語に深みをもたせ、どんどんはまっていく一つの魅力になっています。
八代目八雲が生涯を駆けて演じた「死神」。八代目八雲と二代目助六が最後に競演した「野ざらし」。小夏が落語家として進むきっかけの「寿限無」など、物語全体に登場し、様々な話としていることが落語の世界の面白さを伝えています。

昭和元禄落語心中 は落語の魅力満載!

八代目有楽亭八雲や、二代目有楽亭助六、芸者のみよ吉、与太郎、小夏や信之助など、個性的なキャラクターが多く登場してきます。人気作家の樋口栄助が、実は昔八代目有楽亭八雲に弟子入りを断られた青年だったり、付き人松田は、黄泉の国へと向かう八代目有楽亭八雲を見送るという意外性もありました。
キャラクターの感情に合わせ、絶妙に落語を取り入れたことで、落語漫画として最高の傑作アニメになった「昭和元禄落語心中」。何度見ても飽きないアニメといえますね。