最終回記念!それでも町は廻っている傑作エピソードTOP10!それ町ストが選んだ第一位は…

女子高生でメイドで名(迷)探偵である主人公、嵐山歩鳥。「それでも町は廻っている」(通称「それ町」)は歩鳥とその周辺人物たちが織り成す、ちょっぴり不思議な日常を描いた作品だ。
本稿では、自称『それ町スト(それ町の世界観に魅せられた人)』である筆者が、涙を呑んで選別した珠玉の10エピソードを、名(迷)シーン、セリフを交えて紹介していく!

「それでも町は廻っている」ってどんな作品?


「それでも町は廻っている」は2005年から2016年まで『ヤングキングアワーズ』(少年画報社)にて連載された、石黒正数による漫画作品。女子高生でメイドで名(迷)探偵でもある主人公、嵐山歩鳥とその周辺人物たちが織り成す、騒がしい日常を描くコメディ作品である。
が、しかしただの日常作品と侮るなかれ!話の中にはSF(すこし不思議)チックなストーリーや、感動、ホラーなどの要素もあり、ただの日常漫画ではくくれないエッセンスをふんだんに含んでいるのだ!
2011年には、「さよなら絶望先生」や「化物語」などを手掛けた、アニメーションスタジオSHAFT(シャフト)によってアニメ化されている。シャフト特有の演出や世界観によって、「それ町」のちょっぴり不思議な日常が余すことなく表現されており、原作を読んでない人も楽しめるアニメとなっている!なお、メイド喫茶のおばあちゃんオーナー、ウキの声をイケメン声の代表格である櫻井孝宏さんが担当されており、そうした意外性も個人的にどストライクであった。

「それ町」のストーリーは、時系列順には並んでおらず、過去や未来が交錯した構成になっている。最終巻に向かっていくにつれ、それまでに張り巡らされていた伏線が回収され、読み返せば意外な発見を楽しむことが出来るのも本作の魅力である。まさに何度読み返しても楽しめる「スルメのような」作品と言えるだろう。
それでは、数ある「それ町」のエピソードの中から珠玉のエピソード10選を、個人的なツボポイントとともにランキング形式で紹介しよう!

第10位「タイムカプセル」(コミックス第6巻より)

お仕置きが必要

コミックス第6巻、第46話のエピソード。歩鳥が持ち前の迷探偵ぶりを発揮し、メイド喫茶のオーナー、ウキの亡くなったが隠したタイムカプセルらしきものと、その中からカレーのレシピを発見する。一話完結のストーリーながら、謎の多かったウキやウキの夫の過去の様子や、実は高い歩鳥の探偵能力も垣間見えて、読み応えのあるエピソードである。
ちなみに「お仕置きが必要」というメッセージは、ミステリアスな古道具屋の一人娘、静のいたずらによるもの。最後のコマが「お仕置きが必要」であることから、明日歩鳥がウキからきついお仕置きを受けることは想像に難くない。

第9位「恋の方程式」(コミックス第1巻より)

(男+女)÷モラル=0

第9位は、コミックス第1巻より「恋の方程式」のエピソード。まじめで、やや堅物なところのある数学教師、森秋先生(通称、「モリアーキ―」)が、天真爛漫タイプの歩鳥に、これでもかというほど振り回されるギャップが見どころ。
そんなモリアーキ―だが意外にもモテるようで、過去には女子生徒からラブレターを受け取ったことも。それに対しての返事が表題の「(男+女)÷モラル=0」の方程式なのである。方程式の形をなしているか微妙なとこだが、意味が伝わってくるから不思議だ。ちなみにこの後、歩鳥が「モラル<愛」という新たな方程式を書いて提出するも、あっさり×をつけて返却されている。

第8位「一ぱいのミシンそば」(コミックス第4巻より)

ここへ来て・・・ワナか!!

コミックス第4巻収録の第31話「一ぱいのミシンそば」。いつしか食べた「ミシンそば」がまた食べたいと、歩鳥にひそかに恋する男子高校生、真田は記憶を頼りに蕎麦屋を探す。このエピソードしんみりさせつつ、最後にはきちんとオチで笑いをとっており、どこか心が温かくなる魅力を備えている。歩鳥のガチ泣き(顔は描かれないけど)が見られるのもこの全編通してこのエピソードぐらいで、普段は見られない歩鳥の「脆さ」も描かれている。
見出しの「ここへ来て・・・ワナか!!」というセリフは、真田が発したもの。歩鳥が絡むと平穏無事には終われない、ということをストレートに表現している。

第7位「出張メイドサービス」(コミックス第2巻より)

もう・・・・殺すしかねえ・・・

なにやら物騒なフレーズは、歩鳥の高校の先輩である紺双葉(通称、「紺先輩」)のセリフ。美形でスタイルもよく普段はクールなのだが、実はマザコンだったり、どこか詰めが甘かったりする紺先輩が筆者も大好きである。
ちなみにこのエピソードには真田が登場するのだが、歩鳥にバレないようエロ本やエロ画像を処分するも結局ばれてしまう、という悲惨な役どころ。俵万智の詩のパロディ「エロ本が ふたりの女子にバレたから 今日は サナダ記念日」はこの時発した真田心の叫びである。
初期の「それ町」のオムニバス式に形作られる日常コメディ感が秀逸で、見事7位にランクイン!

第6位「学校迷宮案内」(コミックス第5巻より)

第6位は、歩鳥の弟タケルが活躍する、コミックス第5巻収録の第42話「学校迷宮案内」。小学生のタケルはクラスメイト達と学校新聞を作ることになり、小学校の七不思議の一つである謎の生物「メダカ池のメッシー」の真相を調べることにする。調査をするうちにタケルは意外な真相に近づくことになり…!
このエピソードの結末は、残念ながらその後のどの話でも語られることはなかった。そうしたモヤモヤ感の残るエピソードが「それ町」にはいくつか存在するが、中でもこのエピソードが一番モヤモヤしたため第6位に据えた。

第5位「答砲悋気」(コミックス第9巻より)

アッチヘ行ケ~~

タケルのクラスメイト、エビちゃんの女の本心が炸裂した、コミックス第9巻収録の「答砲悋気」。小学生ながらに、好きな人との時間を邪魔させない女の本心を発するエビちゃんと、それを感じ取る嵐山家の末っ子ユキコ。そのバチバチぶりがまさかスタ●ドで表現されようとは…!ちなみにこのス●ンド、名前は「アイアン・メイデン」とのこと。

第4位「暗黒卓球少女」(コミックス第13巻より)

私が一番行きたかった場所にいるんだから

コミックス第13巻に収録された「暗黒卓球少女」。このエピソードの筋書きは歩鳥と、歩鳥の友達でクラスメイトの針原さんが、中学時代の紺先輩の様子を語る、というもの。一見ふざけたタイトルだがその実、内容はこれまでの紺先輩の境遇を考えるとかなりグッとくるものがある。また、紺先輩にとっては因縁の人物である「座成先輩」も登場し、紺先輩フリーカーにとっては見逃せないエピソードである。
個人的には最後のコマで、歩鳥にしっかりとナイフが刺さっているのがイイ。

第3位「Detective Girls final」(コミックス第16巻より)

私の視力は0.1以下だが見逃さなかったぞ

第3位は、歩鳥の親友(?)辰野トシ子(通称「たっつん」)がメインとなる、Detective Girls final」のエピソード。これまでも「Detective Girls」のエピソードをはじめ、歩鳥とたっつんの交流を描くエピソードはあったが、”final” に象徴されるようにこのエピソードは、二人の作中での最後のぶつかりあいを描いたエピソードとなる。
これまで作中で描かれていたたっつんのイメージといえば、真田関連のことには異様な執着を見せるが、基本的には人に対してそれほど関心を抱かない印象であった。このエピソードはそのイメージを脱するかのように、歩鳥に対して自身の思いをぶつけ、歩鳥との関係に一歩踏み込むたっつんの様子が描かれる。ちなみに公式設定集「それでも町は廻っている 公式設定集 廻覧板」によれば「歩鳥とたっつんは親友になれる」とのこと。

第2位「ミラクルスーパーラッキー指輪」(コミックス第11巻より)

ギョ!?嵐山!!

指輪のおかげで怪我をしなかった奇跡の話、「ミラクルスーパーラッキー指輪」。この話、非常に「それ町」っぽい。冒頭の小道具が意外な形でストーリーに絡み、調子にのった歩鳥(今回に限っては紺先輩が)が最後はその小道具のせいで被害を受ける、というオチ。
一見するとオーソドックスなストーリーなのだが、実はこの話、モリアーキ―が天真爛漫な歩鳥を見直すきっかけになっていたり、歩鳥とモリアーキ―が並んで歩くのを「ある人物」が見ていたり、とその後の展開に非常に大きく絡んでいる。何気ない日常の中に、今後の展開を指し示すカギが隠されている、そういった意味でも「それ町らしいエピソード」ということで第2位に据えた。

第1位「悪」(コミックス第16巻より)

あのときの涼ちんの――

第16巻より「悪」。正直このエピソード、かなり人を選ぶのではないだろうか。というのも数ある「それ町」のストーリーライン(複数のエピソードがつながって、ひとつのストーリーとなっているもの)の中で唯一、「バッドエンド」のように思われるからだ。ただ私は、日常の中の「良いこと」も「悪いこと」もすべて兼ね備えて描き出すのが、「それ町」の魅力だと考えている。そうした思いもあり、この「悪」というエピソードを第一位とした。
このエピソードはモリアーキ―の祖父、森秋耕三郎の残した不気味な絵、その絵の謎を解き明かしていくストーリーの完結編である。コミックス第1巻から構築されていた耕三郎のストーリーラインだが、耕三郎による最後の「遺産」といったところだろうか。歩鳥の先輩で、画家の卵である室伏涼(通称、涼ちん)にえもいわれぬ感情を残していく。
見出しの「あの時の涼ちんは――」という歩鳥のモノローグは、このストーリーラインの最初のエピソード「」というタイトルにつながっている。そうした仕掛けからも耕三郎のまいた種が、室伏涼の心に(毒の)花を芽生えさせた、と考えることが出来る。

読めば読むほど味が出る、それが「それ町」!

いかがだっただろうか。今回紹介したエピソードだけでなく、「それ町」には読み応えのあるエピソードがたくさんある!また公式設定資料集の「廻覧板」には、作者の石黒正数による各エピソードごとのコメントや、それぞれのエピソードを時系列順に並べたタイムテーブル等が掲載されている。合わせて読めばますます「それ町」を楽しめるのでおススメだ!
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