【ファイブスター物語】歴史的大変革を遂げた伝説の名作漫画を語る

ファイブスター物語は微細に渡る緻密な設定の上に描かれる壮大なる神話。1986年に連載がスタートされ、長い休載期間を終えて帰ってきた本作品は歴史的とも言える大変革を遂げていました。伝説を築き続けるこの名作。一見の価値ありです!

『ファイブスター物語』は壮大なる叙事詩

「ファイブスター物語(The Five Star Stories)」は、1986年に角川書店の「月刊ニュータイプ」で連載を開始した漫画です。作者は知る人ぞ知る「永野護(ながのまもる)」先生。
ロッボットアニメの「重戦機エルガイム」のメカニックデザインでその名を馳せ、その後も「機動戦士Zガンダム」「ブレンパワード」などで斬新かつ洗練された機体を作り出してきた人気のメカニックデザイナーでもあります。

永野先生は重戦機エルガイムにて、それまでのロボットアニメとは一線を画する「ムーバブルフレーム」というロボットの可動骨格を発案して世に広めました。これは後にガンダムの世界にも取り入れられています。
そしてこれは有名な話ですが、一世を風靡した「ガンプラ」。いわゆるガンダムのプラモデル。わたしも小学生の時に夢中で作っていましたが、実はガンプラは骨格的に構造上は背中に収納してるビームサーベルを実際のところ抜くことが不可能なんですよね。それを可能にしたのが永野先生の「ムーバブルフレーム」です。

色気すら感じる美しいモーターヘッド

その永野護先生の漫画作品ということで、本作にも当然ながらロボットが登場します。その名も「モーターヘッド(※略称:MH)」。モーターヘッドはロボットの呼称で、ガンダムで言うところの「モビルスーツ(MS)」という呼び名と同じです。
永野先生独自の実戦的な構造を取り入れた流麗なデザインはとても美しく、ロボットでありながらその姿はセクシーですらあります。このモーターヘッドが本作における重要な存在であり、多くのファンを魅了する要素でもあるのです。
※MHは連載再開時に大変革を遂げます。詳細は下記項目にて。

その衣装も評価が高い可憐なる乙女たちファティマ

ファイブスター物語の二枚看板の一つが「モーターヘッド」であるならば、もう一つの看板をはるのが「ファティマ」という存在です。
簡単に説明すると、ファティマとはモーターヘッドを操縦する騎士(ヘッドライナー)を手助けする人造人間です。モーターヘッドのシステム制御をコントロールする演算能力を備え、騎士と共にモーターヘッドに乗り込み、モーターヘッドの駆動制御を行います。それによってモータヘッドの操縦者である騎士は、その操縦のみに専念することができ、モーターヘッドの高い能力を引き出せるという設定になっています。

ファティマたちは「ファティマスーツ」と呼ばれる服を身に着けています。これは物語上に設定せれている「星団法」(ファティマの行動や服装などを制限する法律)に則って作製されているもので、日本円に換算した場合の費用は数億円もするという代物です。
そしてこのファティマたちが身に着けているファティマファッションがまた美しく、そのデザインの評価も高いんです。
ファティマたちは総じてみな華奢な体型をしており、ムッチリ系が好きな男子(わたしも含め)から見るとあまり魅力的に映りませんが、その衣装のデザインは本心で「綺麗だなあ」と感心します。モーターヘッド好きにな方は男性ファンが多く、ファティマ好きな方には女性ファンが多いというのもこのファッションのデザイン性の高さに要因があると言えるでしょう。

永野護が紡ぎ出すおとぎ話

ファイブスター物語は「ジョーカー太陽星団」と呼ばれる四つの恒星からなる星団を舞台にし、モーターヘッドやファティマたち、そして個性豊かな様々な登場人物たちが織り成す壮大なる叙事詩。それは神話とも呼べる永野先生による「おとぎ話」。それがこの「ファイブスター物語」という漫画です。

美しすぎる『ファイブスター物語』のプラモデル

機動戦士ガンダムにガンプラと呼ばれるプラモデルがあるように、ファイブスター物語のモーターヘッドもプラモデルやガレージキットが販売されています。
そこには永野先生の緻密な描き込みを3Dに再現した造型師の方たちの情熱があります。男子ならひと目で惚れ込んでしまう美しさがあります。中学生の時でガンプラは卒業し、もはや不惑となったわたしでさえも欲しいなあと思ってしまう魅力的なフォルムとその再現力。
ということで、ここではその中から個人的に特に美しいと思うモーターヘッドのプラモデルやガレージキットをご紹介します。

神々しいマシンメサイア『オージェ』

マシンメサイアとは、星団歴以前のAD世紀に存在していたモーターヘッドの始祖とも言えるロボットです。その性能はモーターヘッドを遥かに凌駕する凄まじいものですが、星団の文化の後退や純粋な騎士の血の拡散などにより、姿を消しました。
そしてAD世紀からグリーン家に代々受け継がれてきたマシンメサイアが、この「AUG(オージェ)」です。

最強のモーターヘッド『L.E.D.ミラージュ』

「ミラージュ騎士団」の主力となるモーターヘッドが「L.E.D.ミラージュ」です。他のモーターヘッドは、その動力源である「イレーザーエンジン」が胸部に収められているのに対して、このミラージュ・シリーズは、「スーパー・イレーザーエンジン」を両脚に積んでいます。
物語中では最強のモーターヘッドとして位置づけされており、このミラージュ・シリーズには様々なバリエーションが存在します。

黄金に輝くモーターヘッド『ザ・ナイト・オブ・ゴールド』

真紅のシャア専用ザクが、シャア・アズナブル専用機であるならば、この黄金に輝く「ザ・ナイト・オブ・ゴールド」は、本作の主人公(一応の)である「アマテラスのミカド」の専用機となります。
同じく本作のヒロイン(一応の)であるラキシスのセリフに、「黄金のモーターヘッドで迎えに来て」というものがあります。そのセリフを受けてミカドが作ったモーターヘッドが、外装を純金のメッキで仕上げこのナイトオブゴールドです。

星団一の美しさを誇るモーターヘッド『エンゲージSR.1』

「コーラス王朝」のモーターヘッド「エンゲージSR.1」。星団一美しいと言われるモーターヘッドです。
はじめにご紹介したオージェ、そしてエンプレスもまた同様に星団一美しいモーターヘッドと言われており、その通りにどちらも美しいモーターヘッドですが、このエンゲージはそれとはまた違ったシンプルで洗練された美しさがあるモーターヘッドと言えます。

燃える炎の女皇帝『エンプレス』

前述した星団一美しいと言われるもう一つのモーターヘッド「エンプレス」が、この「ジ・エンプレス・オブ・ディスターヴ」です。
「炎の女皇帝」とも呼ばれるこのモーターヘッドは、他のモーターヘッドと比較するとツルリとしたどことなく人形を思わせるような装甲になっていますが、これはボルトなどを隠し、関節部なども見えなくするように設計されていることによります。またモーターヘッドの前身となるマシンメサイアのエンジンが使われており、その出力は3兆馬力。正に美しさと強さを兼ね備えたモーターヘッドです。

星団三大モーターヘッド破烈の人形『バング』

「破烈の人形」との呼び名も持つのが、クバルカン法国のモーターヘッド「バング」。正式名称は「S.S.I.クバルカン」。このバングを駆る騎士は「人形遣い」とも呼ばれます。
バングは星団3大モーターヘッドの一つとしてその強さを誇っており、実はわたしが一番大好きなモーターヘッドもこの「破烈の人形」です。破烈の人形という呼び名がまたカッコいいですよね。

重厚なる黒騎士「バッシュ・ザ・ブラックナイト」

ファンの方たちに人気が高いモーターヘッドの一つがこの「バッシュ・ザ・ブラックナイト」。コミックの第1巻の冒頭で登場し、L.E.D.ミラージュと65時間にも及ぶ戦いを繰り広げていたモーターヘッドで、またの名を「黒騎士」。その操縦者たる騎士も代々黒騎士と呼ばれています。
重厚感ある装甲でありながらも、セクシーなフォルムを保っている美しきモーターヘッドです。

そして『ファイブスター物語』のMHはGTMへと変わった

さあ、ここまで本記事を読んで頂いた方なら、「お!これもモーターヘッドだな」と思われるでしょう。しかし実はこれはモーターヘッドではないのです。
こちらはアニメ映画「花の詩女ゴティックメード」という作品に出てきた「ゴティックメード」と呼ばれるロボット兵器です。しかしその独特のフォルムからお分かりの通り、原作・監督・脚本などは全て永野先生です。そしてこのゴティックメードは「氷の女皇帝」とも呼ばれます。
ファイブスター物語は、2004年の月刊ニュータイプ12月号を最期に長い休載期間に入りました。そしてその間に永野先生が何をしていたかと言うと、この作品に取り組んでいたのです。

炎の女皇帝から氷の女皇帝へ

「花の詩女ゴティックメード」は、ファイブスター物語とは関係の無い全く別の作品であるとの公式アナウンスがあり、永野先生自らもそう仰っていたのですが、フタを開けてみるとそれはファイブスター物語と密接に関わる物語だったのです。これはきっとサプライズ好きな永野先生のリップサービス的な意味合いもあったと思います。
そしてこの「氷の女皇帝」は、上の項目でご紹介した「炎の女皇帝」であったのです。つまりモーターヘッド「炎の女皇帝エンプレス」がゴティックメード「氷の女皇帝カイゼリン」へと変貌を遂げていたのです。

モーターヘッドの面影がないゴティックメード

永野先生のサプライズはそれだけに留まりませんでした。更には「花の詩女ゴティックメード」のゴティックメードの設定が、そのままファイブスター物語へと移植されたのです。
花の詩女の制作によって休載していたファイブスター物語の連載が再開されたのは、実に9年ぶりとなる2013年。そして9年ぶりにファンの前に現れた機体が、この細くモニュモニュっとした感じのゴティックメード「ダッカス・ザ・ブラックナイト」

そうなんです。モーターヘッド「バッシュ・ザ・ブラックナイト」は、ゴティックメード「ダッカス・ザ・ブラックナイト」となって、ファンの前に姿を現したのです。
馴染みのない方には、どういうことなのか理解できないですよね。つまり連載中の漫画の設定やキャラクターがごっそりと入れ替わり、そのまま連載が再開されたのです。「ドラえもん」で例えるならばで、のび太やしずかちゃん達はそのままで、「ドラえもんというキャラクター」が突如として「喪黒福造」に置き換わっていたという感じでしょうか。
これはアニメ史上、漫画史上、全く例を見ない歴史的大改革とも言える偉業です。

人気のL.E.D.ミラージュもゴティックメードへ

永野先生はファイブスター物語の連載再開前に、「多くのファンを失うかもしれない」という内容の発言をしていました。それがつまり、こういうことだったわけです。
そしてファンの方からも人気が高いモーターヘッドである「L.E.D.ミラージュ」。このL.E.D.ミラージュも驚くべき変貌を遂げていました。

こうなりました。なにやらヒョロヒョロっとした異形なるものへと置き換わっていたのです。そしてその名称にも変化が伴っていました。
「炎の女皇帝エンプレス」が「氷の女皇帝カイゼリン」、「バッシュ・ザ・ブラックナイト」が「ダッカス・ザ・ブラックナイト」、これなどはまだ分かる感じですが、何と「L.E.D.ミラージュ」は「ツァラトウストラ・アプターブリンガー」という名称に。
その他の設定も諸々変更され、星団歴も新しい設定になぞって改変されたものに切り替えられました。

永野護が成し遂げた偉業

我々ファンにとっては、正に驚天動地の大事件となったわけですが、永野先生が描き出したこの新しいラインのゴティックメードも、これはこれでとてもカッコよく美しいものです。
この事件によってファイブスター物語から離脱した方も確かにいらっしゃいます。しかしそれすらも顧みずに、己が築き上げ一時代を築いたともいうべきモーターヘッドを破棄し、ゴティックメードという新たなる己の信ずる道を突き進む永野先生。わたしはカッコいいと思います。

アニメ化もされている『ファイブスター物語』

ファイブスター物語は1989年にアニメ化もされています。これは第1話となるストーリーをアニメ化したものとなっていますので、これから単行本を揃えたいけど、その前に内容を知りたいなんて方も一度鑑賞してみると良いと思いますよ。

ファイブスター物語リブートは買うべきか?

ファイブスター物語の最新巻は2015年の8月に発売された13巻です(’17年8月現在)。そしてこのファイブスター物語には、設定集となる「F.S.S.DESIGNS」や、雑誌掲載時のサイズで読める「テールズ・オブ・ジョーカー」をはじめ、様々な関連書籍が発売されています。

出典:https://www.amazon.co.jp

その中に「リブート」というシリーズがあります。ファイブスター物語は単行本化される際に加筆修正やストーリーのカットなどもあり、読者にとって読みやすい形にされているのですが、連載時のままに書籍化されているのがこの「リブート」です。単行本の1~2巻分の内容が収録されています。
また、リブートは単行本に未収録となっている設定画なども収録されていますので、ファン的にはお得感があります。したがって、それらの点を重要視するかしないかで、単行本にするか、リブートにするか、または両方を揃えるかを決めると良いでしょう。

ファイブスター物語を読んで歴史の生き証人となる

永野護先生のライフワークとも言うべき大作「ファイブスター物語」。歴史的大変革を遂げ、なおも躍進を続けるこの作品を読んで、あなたも歴史の生き証人となってみてはいかがでしょう。単行本14巻が発売されるまでに、まだもう少し時間がありそうなので、今から一気に追いつけますよ。
ということで、わたしのイチ推しの漫画「ファイブスター物語」。必見の価値ありです!