「新世紀エヴァンゲリオン」映画3作を紹介! TV版との違いや観る順番は?

今現在「エヴァ」といえば、「序」「破」「Q」に制作中の「シン」を合わせた4部作の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」が先行して連想される人のほうが多いのかもしれません。"新劇"と略されることもありますが、そもそもこれは対義語にあたる"旧劇"、すなわち以前に公開された別の劇場版があってこそ。1997年及び1998年に公開されている「新世紀エヴァンゲリオン」劇場版3作を紹介します。

「新世紀エヴァンゲリオン」見知らぬ、旧劇

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今やその名を知らない人はいないのではないかとも思われるほどの人気を誇るアニメ作品「エヴァンゲリオン」。ただ、「エヴァ」は「エヴァ」でも、実はちゃんと知っているのは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」だけという人も少なからずいることでしょう。ところで、そもそもなぜこれは「”“劇場版」という名前なのでしょうか。
解答は実に単純明快で、これに対する「”“劇場版」が存在するため。1995年から1996年にかけて放送されたTV版「新世紀エヴァンゲリオン」のラストにあたる”旧劇“「新世紀エヴァンゲリオン」には、「シト新生」「Air/まごころを、君に」「DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に」の3作があります。

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「シト新生」は1997年3月、「Air/まごころを、君に」は1997年7月、「DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に」は1998年3月にそれぞれ公開されていますが、まさかこのような短時間で完全新作を立て続けに制作できたわけもなく、これら3作には一部重複している箇所があります。
“新劇”と比較すると格段に難解な”旧劇”ですが、仮にもエヴァファンを名乗ろうとするのであれば、”旧劇”だからこそ如実に表れている「エヴァ」の激しいメッセージ性を一度は感受しておくべきと思います。この記事では、そんな”旧劇”3作それぞれの概要と鑑賞の順番、最も観るべきであろう「Air/まごころを、君に」の詳しい内容を紹介していきます。

劇場版「新世紀エヴァンゲリオン」鑑賞の順番は

TV版から逃げちゃダメだ

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大前提として、TV版「新世紀エヴァンゲリオン」は全て鑑賞済でなければいけません。というのも、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版」はTV版の最終2話である第25・26話のアナザーストーリーとして構成されているため、TV版の内容を把握していなければまるで意味不明な物語だからです。すなわち、最初に観るべきはTV版です。
そもそもなぜアナザーストーリーが必要だったかといえば、TV版第25・26話が全編にわたって心理描写のみだったため。これは制作期間の不足によるものとされる一方、制作陣としては意図的なものでもあったよう。しかしながら、その突飛さと難解さには痛烈な批評がなされ、監督・庵野秀明曰く「スタッフへの謝罪」として、劇場版という形で再制作するに至ったようです。

完全新作、後半抜き

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その公開時期から”春エヴァ“とも呼ばれる「シト新生」は、DEATH編REBIRTH編の2部で構成されています。DEATH編のほうは一応TV版の総集編となっていますが、これは他作品の総集編のようにTV版を分かりやすくまとめたものではなく、あくまでTV版を一通り観た人向けのおさらいのような内容。
一方のREBIRTH編は新作映像になっていますが、制作遅延により未完成のまま公開されました。本来はTV版第25・26話のリメイクとなる予定でしたが、実際に公開されたのは第25話該当分のみ。なお、「エヴァ」楽曲として「残酷な天使のテーゼ」とともに有名な「魂のルフラン」は、この「シト新生」の主題歌です。

REBIRTH編を観なくても代わりはあるもの

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“春エヴァ”に対して”夏エヴァ“とも呼ばれる「Air/まごころを、君に」は、「シト新生」REBIRTH編の完成版。「Air」が第25話分、「まごころを、君に」が第26話分です。一応3作ある”旧劇”ですが、一般的に”旧劇といえばこの作品を指します。英題が”The End of Evangelion”であるため、頭文字をとって”EOE“と呼ばれることも。
TV版とこの「Air/まごころを、君に」のみを観れば「新世紀エヴァンゲリオン」のストーリーとしては全てを網羅したことになりますので、絶対全作品観るという気概まではないけども話は全部追っておきたいという人は、「シト新生を飛ばしてAir/まごころを、君にを観てもいいでしょう。

まとめたな、前の2作をまとめたな!

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「シト新生」DEATH編はのちに「DEATH(TRUE)」という名前で修正版が放送されましたが、これをさらに修正した「DEATH(TRUE)2」と「Air/まごころを、君に」を合わせて、劇場版「新世紀エヴァンゲリオン」の真の姿として公開されたのが「DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に」です。
正式タイトルは「REVIVAL OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に」。最終的にはこの一本に”旧劇”の全てが集約されているので、「シト新生Air/まごころを、君にを観ずにこれだけ観てもいいということになります。

「Air/まごころを、君に」だけ観ればいいと思うよ

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以上を簡単にまとめると、「シト新生」はTV版総集編+第25話リメイク、「Air/まごころを、君に」は第25・26話リメイク、「DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に」はTV版総集編+第25・26話リメイクということになります。
もちろんそれぞれが微妙に異なる映像作品ですので、それだけでも全作品をコンプリートする価値はあるのですが、もし短時間・低予算で済ませたければ「Air/まごころを、君にだけ観るのがオススメです。
なお、全作品観る場合はどれからでも構いませんが、強いて言えば定石通り公開順で観るのが妥当でしょう。「DEATH(TRUE)2」「REBIRTH」「Air」「まごころを、君に」を収録したDVDも発売されているので、そちらで一挙に観るのもいいですね。

「Air/まごころを、君に」詳しい、解説

「約束の時は来た」

第25・26話のリメイクである「Air/まごころを、君に」は、心理描写だけで描かれたTV版に対して、現実で起こっていた事態を追う形でストーリーが進行します。とはいえ、終盤は心理描写に立ち返り、明確な回答を提示しないままラストを迎えます。以下で内容を説明していきますが、非常に難解になることをあらかじめご了承ください。
TV版第24話で”最後のシ者”である渚カヲルこと第17使徒・タブリスを倒し、全ての使徒を殲滅したことでその役割を終えたはずの特務機関NERVネルフ)。ところが、ネルフには待機命令が出されており、職員たちは異変を感じます。やがてネルフの上位組織である秘密結社SEELEゼーレ)によるネルフへの攻撃が始まります。

「相手は使徒じゃないのに・・・同じ人間なのに・・・」

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ネルフのスーパーコンピューター・MAGIマギ)のハッキングに始まった攻撃は、赤木リツコの尽力でひとまず食い止められます。これに対しゼーレは日本政府を動かし、戦略自衛隊を出動させてネルフの直接占拠を試みます。ネルフにとっての最後の敵は、使徒ではなく人なのでした。ネルフの最高司令官・碇ゲンドウによって、第一種戦闘配置命令が下されます。
戦自の目的はMAGIとエヴァンゲリオンの占拠、及びエヴァパイロットの殺害。彼らはゼーレから、エヴァを動かされればサードインパクトが発生すると伝えられていました。葛城ミサトはこれを読んで、パイロットをエヴァの中に隠すよう指示。第15使徒による精神汚染のため心神喪失状態で病棟にいた惣流・アスカ・ラングレーエヴァンゲリオン弐号機に乗せ、湖の中に隠します。

「アンタまだ生きてるんでしょう! だったらしっかり生きて、それから死になさい!」

しかし、綾波レイは消息不明、碇シンジは渚カヲルを殺したショックから立ち直れずにネルフ内を彷徨っており、保護に至りません。戦自は着々とネルフ深部へ侵攻、ネルフはベークライトで通路を封鎖して時間を稼ぎます。劣勢の戦局をみて、ゲンドウは指揮を冬月コウゾウに託し、隠していたレイとともにサードインパクト発動のためターミナルドグマへ向かいます。
戦自に発見され殺されそうになったシンジのもとにミサトが駆けつけますが、当のシンジは「死にたい、何もしたくない」と動こうとしません。ミサトはそんなシンジをほとんど引きずりながら、エヴァンゲリオン初号機のもとに向かいます。その途中、人類が18番目の使徒であることを話し、サードインパクトを阻止するようシンジを説得します。

「負けてらんないのよ! アンタたちに!」

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湖に沈む弐号機を発見した戦自は、爆撃を仕掛け破壊を試みます。弐号機の中で目を覚ましたアスカは、爆撃を受けるなかで「死ぬのは嫌」と願った末に、弐号機の中に母親の存在を感じ取り、弐号機とシンクロして反撃を開始します。エヴァに電力を供給するアンビリカルケーブルを切断されながらも戦局は反転、アスカは戦自を圧倒します。
そこに投下されたのは、永久機関・S2機関を搭載したエヴァンゲリオン量産型計9体。アスカはこれらの殲滅に取りかかります。一方、シンジとミサトは戦自の銃撃に遭い、ミサトが撃たれます。死を悟ったミサトは、最期にシンジを改めて説得し、「大人のキス」で彼を送り出します。ところが、向かった先でシンジが見たのは、ベークライトに埋まった初号機でした。

「殺してやる、殺してやる、殺してやる・・・」

量産型を相手に奮戦し全機を破壊するアスカですが、ロンギヌスの槍のコピーA.T.フィールドごと貫かれた上に内蔵電源が尽き、弐号機は活動を停止。さらに倒したはずの量産型が復活し、弐号機を食らい尽くします。
暴走によってなおも動こうとする弐号機とアスカを、9本の槍が貫きます。時を同じくして初号機が動き出し、シンジを乗せて地上に出ますが、そこで彼が見たのはバラバラになった弐号機でした。
ここまでが「Air」、ここからは「まごころを、君に」。初号機のもとに、第15使徒戦で使用し月に刺さっていたロンギヌスの槍のオリジナルが飛来し、ゼーレのシナリオにあるサードインパクトの準備は整いました。

「駄目。碇くんが呼んでる」

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量産型はアンチA.T.フィールドを展開しながら初号機とともに空高く上昇し、やがてS2機関が臨界を迎えて大爆発、第2使徒・リリスの卵でありネルフ本部が置かれている黒き月が剥き出しになります。
ゲンドウも自身が描いたサードインパクトを発動させようとしますが、直前でレイが裏切りリリスに還元。巨大化しレイの姿をとったリリスが初号機の前に現れ、シンジは発狂、ついにサードインパクトが始まります。
人類の存亡は、生命の樹へと還元し今や神にも等しい存在となった初号機とシンジに委ねられました。他人を怖がって心を閉ざすシンジは人類の同化を願い、それはそのままリリスによって叶えられます。

「でも、アナタとだけは、絶対に死んでも嫌!」

人に見捨てられることを怖がりながらも、誰も分かってくれないと嘆くシンジ。心の中で縋りついたアスカに「嫌」と否定され、彼女の首を絞めます。それに呼応するようにリリスがアンチA.T.フィールドを拡大、個体生命の形を保っていたA.T.フィールドが打ち消され、人々がLCLに還元されていきます。ここに人類補完計画は完遂しました。
初号機ごとシンジもリリスに取り込まれますが、そこで聞こえたのは拒絶の言葉の数々。A.T.フィールドを失ってどこまでが自分か分からなくなった世界で、シンジは「これは違う」とその世界を否定します。人は他人と分かり合えるなどというのは見せかけ、それでもシンジは「もう一度会いたいと思った」のです。リリスから初号機が出てきます。

「気持ち悪い」

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真っ赤に染まった海のほとりに横たわるシンジとアスカ。シンジは一瞬レイの姿を捉えますが、すぐに消えてしまいます。横にいるアスカを見て、シンジは彼女に馬乗りになり、首を絞めます。アスカの手が動き、シンジの頬を撫でます。首を絞めていた手を緩めて泣き出すシンジを見て、ぽつりとアスカが「気持ち悪い」と呟いたところで、終劇
以上を読んでも、特に後半はさっぱり意味不明でしょう。実際に「Air/まごころを、君に」は、1度や2度観た程度では到底理解できない作品なのです。そのことだけでも伝わっていれば、今はそれでいいと思います。多様な解釈が出来る作品なので、是非ご自身の目で「Air/まごころを、君に」を観て、ご自身なりの感想を持ってください。

旧劇「エヴァ」のかたち、新劇「ヱヴァ」のかたち

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抽象度の高い作品である「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズですが、2007年から順次公開されている「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」は専門用語や難解な描写がかなり削られ、多少は分かりやすい作品になっているように思われます。3作目「Q」で難易度がかなり上がりましたが、それでも”旧劇”と比較すればだいぶポップで取っつきやすいほうです。
ただ、そうしなければいけないとまでは言いませんが、やはり「ヱヴァ」から入ったエヴァファンの皆様には「エヴァ」にも触れていただき、それぞれのかたちを理解しようと努めてほしいと思います。そうしてこそ、新劇場版も含めた「エヴァンゲリオン」シリーズが名作と賞賛される理由も分かるものではないでしょうか。