【マクロスデルタ】新たなる超銀河三角関係6つの魅力!

正式に劇場版製作のアナウンスもあったマクロスデルタ。マクロスF(フロンティア)に続くマクロスシリーズの続編として期待された本作は、いったいどんな作品だったのでしょうか? 今回は、マクロスシリーズ最新作、マクロスデルタの魅力に迫ります。

「さぁ、準備はいいかねっ!?」

マクロスデルタとは

大成功を収めた『マクロスF(フロンティア)』(以下、『F』)に続くテレビシリーズ第4作目として製作された本作、『マクロスデルタ』(以下、『デルタ』)。1982年に放映された『超時空要塞マクロス』以来続くマクロスシリーズの作品です。
バジュラ戦役(『F』で描かれた戦争)終結後、バジュラがこの銀河を去って8年が経過した西暦2067年、人類はフォールド細菌による新たな病魔と戦っていた。感染者が凶暴化、理性を失い暴徒化してしまう奇病=ヴァール症候群(シンドローム)。銀河中で猛威を振うこの病に対抗できるのは、唯一、生体フォールド波を伴う歌声のみ。人々を救う為、ヴァール症候群の沈静化と予防を目的として、星間複合企業体ケイオスが結成した戦術音楽ユニット、それがワルキューレです。

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物語は、ワルキューレが活躍するブリージンガル球状星団を舞台に、ワルキューレに憧れて田舎を飛び出してきたフレイア・ヴィオンと、銀河中を放浪する少年ハヤテ・インメルマンの出逢いに始まり、ワルキューレとそれを守護するデルタ小隊、その活動を妨害するウィンダミア王国の空中騎士団など、様々な人々と国家、集団の思惑が交錯し、やがて銀河全土を巻き込む大事件へと発展していくのです。

魅力①マクロスデルタの特徴は?

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初代マクロスを強くオマージュし、初代劇場版でも成しえなかった「戦わず歌だけで決着を着ける」ことまで成し遂げてしまった『F』。その続編として製作された本作『マクロスデルタ』は、『マクロスプラス』(以下、『プラス』)と『マクロス7』(以下、『7』)のテイストを意識して製作されたといいます。
確かに、『F』と比べると、『デルタ』は物語よりもマクロス世界の解説に傾倒している面があり、『F』でごく自然に描かれたフォールドクォーツと歌の関係も『7』で登場したDr.チバの唱えた「歌エネルギー理論」を髣髴とさせる「生体フォールド波によるフォールドクォーツの共振」等の説明が成されています。
他にも「歌は文化ではなくプロトカルチャーが生み出した兵器である」という仮説(あくまで『デルタ』の登場人物個人の主観的意見)が登場したり、『マクロスゼロ』に登場した「鳥の人」というプロトカルチャーの遺跡が登場するなど、世界観の考察に有益な情報が多数散りばめられています。

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更に、デルタ小隊とワルキューレの設立、運営に関わっているとされる謎の人物「レディ・M」の正体については、初代マクロス以降不明とされてきたある人物の関与が示唆されるなど、全体的にマクロスシリーズの世界観を理解する為には興味深い情報がかなりの密度で内包された作品と言えます。
また、『プラス』のテイストが最も強く出たと思われるのがドッグファイトです。『F』では敵が異星生命体バジュラだった為、戦闘機同士のドッグファイトの様な戦闘は余り描かれませんでした。対して、今回はウィンダミアの空中騎士団というほぼ同等の性能を持つ機体に乗ったライバルチームが登場することで、デルタ小隊と空中騎士団の熱いドッグファイトが展開されるわけです。

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マクロスシリーズで重要な要素として忘れられない歌に関しては、『7』のテイストが強く影響していると考えられます。総監督である河森正治氏曰く、『F』では2人の女性歌手、シェリルとランカを登場させたので、『デルタ』では被らないようにユニットにすると最初から決めていたそうです。
ただし、昨今のアイドルブームに便乗したつもりは無かったそうなので、あえて「戦術音楽ユニット」という呼称を劇中でも名言させたのでしょう。それでもファンとしては、『7』で登場した「ジャミングバーズ」やプレイステーション用ソフト『マクロス デジタルミッション VF-X』(以下、『VF-X』)に登場した「ミルキードールズ」を思い出さずにはいられません。
音楽面で、バンドやユニットによる音楽をメインに据えていた『7』と、その1年後を舞台として音楽ユニットグループが活躍した『VF-X』と同じく、ユニット形式での歌手を起用している点で、『デルタ』の音楽性は『7』のテイストに近いと言えるのです。

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さいごに、『プラス』や『7』のテイストが強く感じられるポイントが、物語の舞台です。
『F』が移民船団の中での物語だったのに対し、『デルタ』は移民が完了し、原生人類と共存を果たした移民惑星群が舞台となっており、これは『プラス』と『7』のOVAシリーズ『マクロス7 ダイナマイト』(以下、『7 ダイナマイト』)以来です。
プロトカルチャーが遺伝子操作で生み出した地球人類に見た目が近い惑星の原住民が登場するのも、『7 ダイナマイト』に登場した惑星ゾラの「ゾラ人」以来で、本作では水中生活に適したエラを持つ「ラグナ人」フォールド波を感じ取る「ルン」という感覚器官を持つ「ウィンダミア人」猫型哺乳類から進化した「ヴォルドール人」など、多種多様な人種が登場し、SF感を強調します。

初代を強くオマージュした『F』に続く『デルタ』が、河森正治が初代に続いて携わった『プラス』、『7』にテイストを寄せたというのは、作品の連続性の面から見ても興味深いものがあります。
世界観に触れる膨大な謎と情報、そして高精細CGで描かれる熱いドッグファイト初代や『F』とは違った方向性の作品である『デルタ』の特徴を踏まえた上で作品を鑑賞すると、また違った見え方をするかも知れませんね。

魅力②シリーズ恒例の三角関係!

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さて、マクロスと言えば三角関係! もう三角関係抜きのマクロスとか、カレーの入ってないカレーライス梅干の入ってない日の丸弁当みたいなモンです!(それ、白ご飯やん)
今回の三角関係は、主人公である最強のフリーター=ハヤテ・インメルマンと、鎖国中のリンゴの国からアイドル夢見て脱藩してきたフレイア・ヴィオン、そして、初代マクロス、マクロス7に登場した伝説級のエースパイロット、ミリア・ファリーナ・ジーナスの孫であるミラージュ・ファリーナ・ジーナスの三人で織り成します。

更に、恋愛以外の三角関係が隠されているのも毎度お馴染み。物語序盤では暴動を起こしたヴァール患者とワルキューレ&デルタ小隊、それにウィンダミアの空中騎士団の3勢力が入り混じる混戦に始まり、ハヤテの父の最期に絡んでケイオス、ウィンダミア、新統合政府それぞれの思惑が入り混じり、物語は混迷を極めていきます。他にも三角関係に相当する関係が隠されているので、そこら辺に注目しながら話を追っていくのも面白いと思いますよ。

魅力③登場人物紹介…あのキャラの孫も!

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非常に魅力的なキャラクターが多数登場するマクロスシリーズ。デルタでも魅力的なキャラクターばかりで、短い紙面で誰を紹介しようか迷ってしまうほどです。今回は、主人公のハヤテを中心に、ワルキューレメンバーとウィンダミア王国サイドの重要人物をピックアップしてご紹介します。

ハヤテ・インメルマン

17歳にして絶賛銀河放浪中の最強のフリーター猫アレルギー。父から送られたというフォールドクォーツのペンダントを肌身離さず持っている辺り、マクロスシリーズの主人公要素はバッチリ抑えている。
機械操作に関しては天才的で、後に「インメルマン・ダンス」と呼ばれるような踊るような操縦を天性のリズム感とセンスのみでやってのけてしまう。その操縦センスは歴代の主人公の中でも、『プラス』のイサム・ダイソン、『F』の早乙女アルトに並ぶ最強レベル……かもしれない。あくまで自由に飛べる空を早く取り戻す為に戦いに身を投じたので、敵をなるべく殺さないように攻撃している。
ワルキューレメンバーと同じくヴァール化を抑制するフォールド因子受容体(レセプター)を持つが、フレイアの歌と共鳴し過ぎてしまい、共鳴時の感覚拡張が次第にヴァール化に近い症状へと進行してしまう。これを克服するシーンは本作の見所の一つなので、是非皆さんご自身でクライマックスをご確認下さい。

フレイア・ヴィオン

「ごりこり」とか「だけんね~」とか、変な方言が山盛りの田舎娘。実は新統合政府とは休戦状態のまま鎖国しているはずのウィンダミア王国出身で、幼少期、ウィンダミアが仕掛けた第一次独立戦争時にウィンダミアに訪れていた地球人から貰った音楽プレイヤーで知った地球人の歌に魅了され、ワルキューレに憧れて貨物船に密航した行動力ある元気娘。特徴的な笑顔で、主人公のハヤテにして「気持ち悪い笑顔」と称されるが、色々と複雑な感情を含んだ笑顔なので視聴者には生暖かく見守って欲しい。
フォールドレセプター持ちだった為、オーディションの末、念願叶ってワルキューレの5人目のメンバーに抜擢。キメ台詞は「歌は元気」。デルタ小隊に入隊したハヤテと共に、ヴァール症候群を鎮める為のワクチンライブで活躍する。

気持ちが昂ぶると、「風の歌い手」=ウィンダミアのハインツ王子に匹敵するほどの生体フォールド波を発揮する。ハヤテと共鳴することでその歌声も強くなるが、比例してハヤテのヴァール化を促進すると知り、歌うことを躊躇するようになる。
フレイアが歌うことへの恐怖を克服する流れと、もう一つ、彼女の身に降りかかる事件は、物語の中核を担う要素なので、是非、皆さんご自身の目で確認して下さい。

ミラージュ・ファリーナ・ジーナス

デルタ小隊のパイロットで、ハヤテの先輩になる。マクロス名物のエースパイロット天才夫婦、マックス&ミリア夫妻の孫娘であり、『7』に登場したミレーヌの姪。祖母のミリアがゼントラーディなので、ゼントラーディのクォーターということになる。
パイロットとしての腕は申し分無いが、真面目が高じて融通が利かない。自由奔放なハヤテの教育係を任されてしまい、振り回されながら口喧嘩の絶えない関係だったが、実戦の中で信頼を深め、やがて恋心に発展していく。イカン、紹介記事まで影響されて真面目になってる!

美雲・ギンヌメール

ワルキューレのエースで、最強クラスの生体フォールド波を発する身体能力もずば抜けて高く、ヴァールによる暴動の最中でも、支援ドローンのシグナスを従えて、平気で生身で突っ込んでいく、正に歌う戦女神。キメ台詞は「歌は神秘」
単独行動を好み、潜入作戦だろうとプライベートだろうと個人行動が目立つ。オフでは全裸で海中を漂っていたり、ミステリアスを通り越して「この娘大丈夫だろうか?」と少し心配になるキャラクターである。
彼女の出生の秘密や能力の高さについては、物語が進むに連れて明確になるが、『デルタ』の核心に迫る内容なのでここでは割愛させていただきます。

カナメ・バッカニア

ワルキューレのリーダー。そう、リーダーは美雲じゃなくてカナメさんなんですよ、皆さん。ここ重要、テストに出すから間違えないように! そんな影が薄いリーダーは、過去にソロデビューを果たすも売れずに引退したという挫折を味わった人物。
色々と辛酸舐めて来た分、自分のやるべき仕事を素早く把握する人で、美雲が加入してからはリーダーとして姉の様にワルキューレを見守り、まとめ上げる縁の下の力持ち的ポジションを担っている。デルタ小隊のエースであるメッサーくんの推しメン。キメ台詞は「歌は命」

レイナ・プラウラー

無口、無表情、たまに吐く言葉が即死レベルの猛毒っぷりという、美雲以上に謎の多い少女超敏腕ハッカーで、ワルキューレの電子戦担当でもある。もともとアイドルにも歌にもまったく興味が無かったが、ケイオスのネットワークをハッキングして捕まり、才能を認められて諜報部サイバー部門に採用、フォールドレセプター適性を認められてワルキューレに抜擢されている。キメ台詞は「歌は愛」
マキナとベッタリで百合感ドバドバだが、ワルキューレ初期メンバーの中では仲が悪く、喧嘩も絶えなかった。後に加入した美雲の歌声に感動し、和解。いつの間にやら姉妹の様に仲良くなり、同棲までしているという……うん、やっぱりよくワカンナイ、このコ。

マキナ・中島

おっぱい。ピンクのふわふわツインテールの髪にふわふわ巨乳という暴力的ルックスでファンを魅了するワルキューレの反応弾。溢れ出すふわふわ感に反してメカニック担当という、柔と剛を兼ね備えた才色兼備。祖父の代からメカニックという家に生まれたので、メカニックの腕は超一流。ケイオスラグナ支部所属のメカニック達には「姐さん」呼ばわりされている。
レイナとは反対に、もともとアイドルに興味があり、メカニックもアイドルも両立できるとワルキューレに志願した。芯が強く、仲間思いで、狙撃されたフレイアをかばって重傷を負ったことも。キメ台詞は「歌は希望」

メッサー・イーレフェルト

デルタ小隊のエースパイロット。そう、隊長よりも腕の立つエースなのです。機体の背中に死神のパーソナルマークを背負い、一兵士としてシビアで的確な判断を着実にこなし、立ち塞がる敵を討つことに一切の躊躇いを見せない。ハヤテとは全く逆なリアリスト。戦場ではウィンダミアのエース=白騎士とのドッグファイトを引き受け、唯一対等に渡り合って見せる
過去に新統合軍に所属していたが、その頃ヴァール症候群を発症。当時ワルキューレのエースボーカルを担当していたカナメさんの「AXIA」を聞いて病魔を克服した為、その曲が入ったプレイヤーを大事にしていた。以来、カナメさんが推しメンだった。

キース・エアロ・ウィンダミア

ウィンダミア王国の王子だが、側室の子として王位継承の道を自ら断ち、「ダーウェントの白騎士」という称号を持つまでになった空中騎士団のエースパイロット。戦場では唯一まともに渡り合ったメッサーを好敵手と認め、執拗に狙う
王位継承権を持つ、弟であり正室の子であるハインツを護る騎士として距離を置いているが、兄として心配する一面も見せる。

ハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミア(ハインツ2世)

ウィンダミア側の歌神子。ヴァール患者をコントロールできる「風の歌」を歌える「風の歌い手」。わずか9歳ながら、父王の死で王位を継承、国王に即位する。聡明な子で、戦争を早く終結させることを第一に考えている
身体が弱く、「風の歌」を歌うことで不調を来たすことが多く、正に命を削って歌っている印象が強い。そりゃお兄さんのキースだって心配しますわさ。側近のロイドに全幅の信頼を寄せちゃっている。

ロイド・ブレーム

眼鏡市場ウィンダミア王国宰相にして空中騎士団聖騎士長。本体である眼鏡を大量に持ち眼鏡屋のディスプレイの如くショーケースに陳列している。プロトカルチャーの遺跡を管理する神官の家系の生まれで、プロトカルチャー研究でも功績が認められている。
キースたち空中騎士団が新統合政府に対して真っ向勝負を挑もうとしているのに対し、ロイドは権謀術数めぐらせて対抗しようという考えで、ハインツの「風の歌」によるヴァール患者のコントロールもロイド発案による作戦。隠れワルキューレファンみたいに見えるところもあるが、それもちゃんと策謀に繋がっている。まあ、つまり、悪いメガネってことです。

魅力④戦術音楽ユニット・ワルキューレとは?

マクロスシリーズの3大要素の一つ、「歌」を本作で担当するワルキューレ戦術音楽ユニットと称される彼女達は、銀河中で猛威を振うヴァール症候群に対抗できる唯一の力。生体フォールド波を伴う歌でヴァールを鎮静化する先駆けであり、一番の成功例。銀河ヒットチャートでも常時ランクインするまでになった、この時代の女の子の憧れの存在なのです。
『7』や『F』の際は、キャラクターの声を演じる声優さんと、歌を担当する歌手と分かれていましたが、今回は美雲が声を小清水亜美、歌をJUNNAが分担した以外、フレイアの鈴木みのり、カナメの安野希世乃、レイナの東山奈央、マキナの西田望見と、声優さんがそのまま歌も担当する方式が採られています。
その分、物語終盤の戦場で声を震わせながら歌うシーンや、フレイアが歌うことに躊躇いを見せたシーンなどで、違和感の無い演出になったと感じられます。

現実におけるワルキューレは番組終了後も声優アイドルグループとして活動中。デビューシングルとなった「一度だけの恋なら / ルンがピカッと光ったら」でオリコンデイリーチャート2位、ウィークリーチャート3位獲得に始まり、1stアルバム『Walkure Attack!』、2ndアルバム『Walkure Trap!』はゴールドディスク認定を受け、特に『Walkure Attack!』は第31回日本ゴールドディスク大賞で「アニメーション・アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞。横浜アリーナでのライブや「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017」に出演を果たすなど、現在も精力的に活動を続けています。

前作『F』では、音楽全般を菅野よう子が担当し、近未来感のある王道から少し逸れた特徴を持つ不思議な中毒性を持った楽曲が多かったのですが、『デルタ』ではマクロスシリーズの代表曲「愛・おぼえていますか」の様な世代を超えて愛される耐久性と中毒性を目標として掲げ、J-POP以前の昭和の歌謡曲のテイストを取り込みました。
なるほど、確かに言われてみると、ワルキューレの楽曲は全般的に曲調が古いけど耳に心地好い楽曲が多い気がします。「不確定性☆COSMIC MOVEMENT」「AXIA~ダイスキでダイキライ~」「涙目爆発音」なんかは特に顕著に曲調が懐かしいですね(イカン、歳がバレる)。

当初、ワルキューレではメインボーカル2人(美雲、フレイア)と、バックボーカル3人(カナメ、レイナ、マキナ)で明確な序列をつけることで、一般的な全員がユニゾンで歌うアイドルとのコンセプトの違いを見せる予定だったそうですが、バックコーラス3人の歌唱力が予想以上だった為、予定よりも5人の関係は平等になり、その分コーラスワークが複雑化したそうです。結果的にはボーカルに厚みが出て、一般的なアイドルユニットでは味わえない味に仕上がっていると思います。
『デルタ』を音楽面で支えるワルキューレの楽曲。物語内での彼女たちの活躍だけでなく、『F』よりもハイペースで発表される新曲の数々にも要注目なのです。

魅力⑤可変戦闘機での戦いも一味違う?

ロボットに変形する戦闘機のドッグファイトがマクロスというシリーズの大きな魅力の一つ。初代ではゼントラーディという巨人型異星人との、プラスではテストパイロット同士と無人機との、7では洗脳された人類との、ゼロでは統合前の地球人類同士の……と、戦闘機同士のドッグファイトが印象的に描かれてきました
しかし、前作『F』では作品自体の評価は高かったものの、敵対勢力が人類とは別の生命体=バジュラであった為、これまでの作品で見られた激しいドッグファイトの様な戦闘はほぼ描かれませんでした。
本作では、『F』で物足りなかったドッグファイト成分を補うが如く、劇中の戦闘シーンの大半が可変戦闘機同士の熱いドッグファイトです。まずは、そのドッグファイトの主役となる可変戦闘機をご紹介しましょう。

VF-31 ジークフリード

『F』終了後、マクロスシリーズ30周年記念作品として製作されたプレイステーション3用ゲームソフト『マクロス30 銀河を繋ぐ歌声』に登場したYF-30 クロノスの制式採用機であり、本作の主人公機
YF-30で採用されていた多目的武装コンテナ=マルチパーパス・コンテナユニットを継承し、このコンテナを変更することで増加武装やフォールド波を利用したスピーカー、プロジェクションユニットなどを搭載可能。前作『F』のVF-25のオプション装備に相当するものの多くを、外見上の大きな変化無く搭載できます。

また、ワルキューレメンバーが乗って飛行したり、照明、立体ホログラム投影などのライブ演出に使用されたり、ワルキューレや観客を護るピンポイントバリア展開器としても機能するマルチプレートドローンを脚部に搭載。ワルキューレの戦術ライブを護衛、支援するという役割に特化した機体となっています。
その役割の為に、一般機より大型で純度の高いフォールドクォーツを搭載しており、フォールドウェーブシステムの稼動が可能。F劇場版に登場したYF-29 デュランダルには遠く及ばないものの、ワルキューレの歌声に乗った生体フォールド波を増幅、中継しながら共振することで機体性能を一時的に向上させるオーバードライブが可能になっています。

ちなみに、ジークフリードと呼称されるのはデルタ小隊に配属された機種のみで、その他に配備されたA型、B型はカイロスと呼ばれ、YF-30のクロースカップルドデルタ翼をそのまま継承。性能もジークフリードより劣り、フォールドクォーツより純度の劣るフォールドカーボンしか搭載していません。

メタ的な裏話をすると、本機のデザインでは、河森正治がバルキリーをデザインする際に恒例だったレゴブロックでの可変検証モデルは製作されていません。これは、ライバル機であるSv-262ドラケンIIIをデザインする時間を確保する為に、VF-31の可変機構などの大まかなデザインをYF-30から流用した為です。結果的に、Sv-262との差異をハッキリさせる為、YF-30とは翼の形が変わり、他にも機首の折り畳み方や手脚の収納など、細かい部分で変更が加えられた為、VF-30ではなくVF-31としたそうです。
YF-30が「玩具として変形させやすく遊びやすいデザイン」をテーマに、初のバトロイド時に腰が捻れる機構を搭載したのを継承し、VF-31も腰が捻れるなど、玩具の面から見てもYF-30との共通項が感じられる部分の多い機体です。

Sv-262 ドラケンIII

本作の敵陣営である辺境の惑星国家=ウィンダミア王国の主力可変戦闘機。『マクロスゼロ』に登場した反統合同盟の主力機=SV-51から連なる型式番号の通り、60年前の統合戦争時の技術者達が関わり、本作の10数年前に結成された「SV・ワークス」によって設計された為。何故、純地球設計の期待がウィンダミアで使われているのかというと、本機を生産しているディアン・ケヒト社を率いる巨大財閥イプシロン財団がウィンダミアに武器を供与しているからです。
一応、この世代の可変機らしく、ウィンダミアで採掘されるフォールドクォーツを積んでおり、YF-29、VF-31のオーバードライブに類する「リヒート・システム」も搭載。性能でも近似することで、VF-31とのドッグファイトが更に加熱するわけです。

本機は、マクロスシリーズに登場する可変戦闘機としては初めて単発機を模したデザインとなっており、その可変パターンは、番組の製作発表以降、作品の公開まで秘匿されてきました。更に、第4話終盤までその変形の全貌を公開しないという勿体付けぶりで、このSv-262の変形シーンこそ、マクロスデルタの作品の大きな見所の一つであったのは間違いありません。
VF-31とは対照的に独創的で非常に複雑かつ難解な変形パターンは、玩具として触れてみるとより顕著で、Sv-262のDX超合金を購入したユーザーからは、パーツ移動のタイトさからくる変形難度の高さで、「パーツが擦れて塗装が剥げた(涙)」「無理に力をかけてしまってプラスチック製のパーツが白化した(号泣)」など、玩具者のマクロスファンを阿鼻叫喚の地獄絵図へと叩き落しました。(筆者はプラモ作った時点で怖くなって買いませんでしたよ……)

まあしかし、デザインした河森正治氏本人が「VF-1以来、最も革新的な変形機構」と言っちゃうぐらいすごい変形なので、機会があればその変形パターンに触れてもらいたいものです。一度触ると二度と触りたくなくなるぐらいすごいんですけどね……。
さて、ご紹介したこの2機種が激しいドッグファイトを見せてくれるのが、マクロスデルタの大きな魅力の一つ。性能が似通った2機のドッグファイトは、正に死闘と呼ぶに相応しい激しさを見せ、時に残酷な結末で決着を着けます。
特にオススメしたいのが、第9話「限界 アンコントロール」と続く第10話の「閃光のAXIA」第18話「感覚 エマージェンス」第22話「極限 ブレイブ」。どのドッグファイトもなかなかの名勝負ばかりなので、皆さん必見ですよ。

魅力⑥最終回近くは展開も過酷に!【ネタバレ注意】

コミカルな印象で始まる『デルタ』ですが、ウィンダミアと新統合軍の戦争は深く静かに激化の一途を辿り、ハヤテたちを否応も無くシビアな戦場へと導いていきます。クライマックスに向かって悪化していくハヤテたちを取り囲む環境。物語を通して伝えられてきた情報は、どうにも希望を感じられず、視聴者の心まで苦しくなるほどです。
今回は、クライマックスの話の流れを軽くご紹介します。ネタバレがどうしても嫌な方は、この項を読み飛ばして下さい。では、下の画像の下からネタバレスタートです!

西暦2060年、新統合政府との不平等条約に不満を抱き、独立戦争を起こしたウィンダミア。王都ダーウェンのある惑星ウィンダミアIVの地表で次元兵器が炸裂、後に「カーライルの黒い嵐」と呼ばれるこの事件を切欠に、事実上の休戦状態となっていた新統合政府とウィンダミアですが、ヴァール症候群の流行に乗じ、ウィンダミアは再び独立戦争を挑みます
「プロトカルチャーの正統なる末裔」を自称するウィンダミアは、「風の歌い手」ハインツ2世風の歌でヴァール患者はおろかフォールド細菌の保菌者までをもマインドコントロール。ブリージンガル球状星団全体に絶対制風圏(フォールドテクノロジー全般の掌握)を確立し、駆けつけた新統合軍艦隊もヴァール化させて撃退してしまいます。

ラグナのプロトカルチャー遺跡を巡る戦いでウィンダミアに惨敗し、逃げ延びた住民と共にラグナを追われることになったワルキューレとデルタ小隊ですが、フレイアの歌と同調し過ぎたハヤテのヴァール化フレイアの急速な老化など、良くないことが次々と起こります。
地球人類と同じく、プロトカルチャーによって生み出されたウィンダミア人は、フォールド波を感じ取れる「ルン」という感覚器を持ちます。マクロス世界では、人類がサブ・ユニバースに干渉できる唯一の手段が歌であり、時空間やフォールド波にまで影響を及ぼすことができるとされています。つまり、ルンのようなフォールド波を感じる感覚器官を持つということは、サブ・ユニバースへの干渉を容易にできるということでもあるのです。
その代わり、平均寿命は30歳と短く、ルンを経由してフォールド波に干渉することで生命力を膨大に消費するようで、歌うことで酷使したハインツ2世とフレイアは、年齢に対して早過ぎる老化が起こっていたのです。

戦いの最中、ハヤテのヴァール化を心配して歌うことを躊躇う様になったフレイアですが、ハヤテとワルキューレの仲間たちの説得で勇気を取り戻し、命を削って再び歌い始めます。ハヤテもフレイアの歌声とミラージュの決死の行動でヴァール化を克服。遺跡の一つを暴走させることに成功し、ウィンダミアへと侵攻することに成功します。
しかし、デルタ小隊とワルキューレだけでの潜入作戦は失敗。美雲が捕らえられてしまいます。今まで謎だった美雲の出自ですが、ウィンダミアの遺跡から採取された細胞を素に作られた「星の歌い手」のクローンであったことが判明します。
プロトカルチャーの遺跡は「風の歌」により起動させ、「星の歌」により制御しなくてはなりません。ウィンダミアは、美雲を手に入れたことで遺跡の制御を完璧なものにしたということです。

絶望的な状況の中、始まる最終決戦。美雲の歌が銀河中に轟き、知性体が自我を喪失していく中、初めて明かされるロイドの野望。フレイアとハインツの歌で自我喪失を間逃れたデルタ小隊と空中騎士団は、美雲を取り戻し、ロイドの野望を阻止する。
銀河全域にまで影響を及ぼしたウィンダミアの第二次独立戦争は、ウィンダミア軍の撤退で再び休戦に。惑星ラグナは、再び平和な空を取り戻したのでした。

最後に、マクロスデルタを全力で肯定してみる!

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テレビシリーズも好評の内に幕を閉じ、劇場版も大成功を収めた前作『F』。その続編として期待された『デルタ』ですが、視聴者からの評価はワルキューレの評価と反比例して低く、良くて凡作、悪くて駄作とまで言われています。そんなワケで、筆者としては、全力で『デルタ』を肯定してみようと思うのです。
まず、『デルタ』を肯定する上で避けては通れないのがマクロスのシリーズ展開です。マクロスシリーズは、全ての作品が「マクロス世界で起こった事実を基にして製作されたフィクション」という体をとっており、アニメ、ゲーム、マンガなど、表現媒体の違いは本編、外伝、番外編の様な主従関係にありません全ての作品はマクロス世界を構成する重要なファクターであり、作品としての関係性は平等なのです。

実際、『デルタ』で登場した生体フォールド波は、『7』で登場した「歌エネルギー理論」の発展系とも理解できますし、『F』以降登場するフォールドクォーツも、プレイステーション用ソフト『MACROSS VF-X2』に登場する「超空間共振水晶体」と同一のものであると『F』の小説版で明言されていたりするのです。
今回の『デルタ』では、マクロス世界の「歌」がサブ・ユニバースに干渉できる理由を、生体フォールド波とフォールドクォーツ、フォールド細菌とその受容体の関係で説明しようと試みられています。また、怪しい人物の発言ではありますが、「歌は古代兵器」という発言によって、作品世界における「歌」の持つ意味を一段深く考えさせることにもなっています。

そういう意味では、『7』の様にマクロス世界における「歌の力」を理屈として説明する設定を盛り込んだり、世界観を拡げる為の設定を組み込んだテレビシリーズというのは、継続視聴するだけで作品世界をより深く知れるという意味で貴重な存在だと筆者は思うのです。
放映終了から1年近く経って、やっと劇場版の製作が正式に発表された『デルタ』。劇場版がどんな作品に仕上がるか、本記事を執筆している時点ではまだ不明です。しかし、『デルタ』に続くマクロスシリーズのゲーム、アニメ作品をより面白いものにする為、傑作にする為には、『デルタ』の様な設定解説寄りの、作品考察で愉しむスタイルの作品も必要かと思います。

玩具面から見て、YF-30を経て一つの様式の完成形に至ったVF-31と、VF-1以来の革新的な変形機構を持ちながら、その複雑さ故に遊び難いものになってしまったSv-262。音楽面から見て、作品世界が許容できるジャンルの多様性を更に押し広げたワルキューレの楽曲。そして、プロトカルチャーやフォールド技術について、従来より一歩深いところまで掘り下げた物語。『マクロスデルタ』は、1回観ただけではその魅力が判り難いかもしれません。しかし、『7』がそうであったように、『デルタ』もまた、噛めば噛むほど味が出る、スルメの様な作品なのだと、筆者は断言します。
「マクロス、こう在るべき」、「今の時代のアニメなら、こう在るべき」という既成概念を取っ払い、角度を変えて見直すことで、その魅力は輝きを増して我々を魅了してくれるはずです。『歌マクロス スマホDeカルチャー』もリリースされたことですし、この記事をご覧になった皆さんが改めて『デルタ』に興味を持ち、愉しんでいただけたなら幸いです。