映画「境界の彼方」みどころ&ネタバレ紹介! TV版と劇場版2部作はどの順番で観る?

2013年放送のアニメ「境界の彼方」は、2015年に「劇場版 境界の彼方 -I'LL BE HERE-」として映画化されています。TV版の総集編である「過去篇」と、その続編である新作の「未来篇」の2本立てで制作された映画「境界の彼方」のみどころを、ネタバレ込でご紹介します。なお、TV版の説明は省いていますので、あらかじめご了承ください。

総集編と続編の2本立て! 「劇場版 境界の彼方 -I’LL BE HERE-」とは

これまでを描く「過去篇」とその後を描く「未来篇」

2013年に放送された、京都アニメーション制作のアニメ「境界の彼方」。その総集編として2015年3月に「劇場版 境界の彼方 -I’LL BE HERE- 過去篇」が、続編として同年4月に「劇場版 境界の彼方 -I’LL BE HERE- 未来篇」が公開されました。
「過去篇」はTV版で描かれた物語を、時系列を整理した上で要約し再構成したもの。TV版ではヒロイン・栗山未来が隠していたある事実が、この「過去篇」では最初から明かされています。
一方の「未来篇」は完全新作。TV版ラストで一旦消滅し復活を遂げた栗山さんが記憶を失っているというところから始まり、栗山さんや主人公・神原秋人が背負う残酷な運命を乗り越えていく物語が描かれます。
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「境界の彼方」TV版と劇場版はどの順番で観るべき?

素直に公開順で、むしろそれ以外は非推奨

「境界の彼方」シリーズをこれから観ようとする人にオススメの視聴順序は、たいていの作品の例に漏れず公開順。すなわち、特にひねくれることなく、TV版→「過去篇」→「未来篇」と観ていけばいいわけですね。ただ未視聴者が気になるのは、TV版とその総集編である過去篇を両方観る必要があるかどうかでしょう。結論から言えばこれは必要です。
というのも、「過去篇」は確かに総集編ではありますが、大幅に描写を省いており、TV版で境界の彼方を観た人のための2周目のような位置づけで制作されています。TV版でしか楽しめないギミックがひとつの大きなみどころでもあるので、まずはTV版を観て、頭の整理として「過去篇」を観て、その上で「未来篇」に臨むのが最良と思われます。むしろ、それ以外はオススメしません。

映画「境界の彼方」過去篇のあらすじ

栗山さん視点で再構成されたTV版

TV版「境界の彼方」では第10話になって初めて栗山さんが秋人を殺すように言われていたことが明かされますが、「過去篇」ではその事実が冒頭に明かされ、主に栗山さんに寄った視点でTV版の物語が描かれます。
栗山さんが秋人と関わるなかで自身との共通点に気付き惹かれていく過程が、TV版より分かりやすく描かれています。また、ラストには栗山さんの母親らしき人物との思い出が新たに描かれ、「未来篇」への布石となっています。
ちなみに「過去篇」本編とは別に、休憩回であるTV版第6話のダンスシーンで用いられた楽曲「約束の絆のPVが同時上映され。TV版では一部しか見られなかった振り付けを全て見ることができました。

映画「境界の彼方」茅原実里が歌う主題歌を聴こう!

公式に公開されている「会いたかった空」PV

「劇場版 境界の彼方 -I’LL BE HERE- 未来篇」の主題歌、本編にも出演している茅原実里が歌う「会いたかった空」フルバージョンのPVは、「未来篇」公開に先駆けて公式に公開されていました。
「未来篇」ラストでエンディングとして流されるこの曲の歌詞は、記憶を失った栗山さんが再び秋人に惹かれていく気持ちが歌われているように読むことができ、本編の締めくくりとして最高の役割を果たしています。
茅原実里の楽曲には比較的多いようですが、CDや音源を購入することなく公式にフルバージョンを聴けるというのは本来めったにあることではないですから、ぜひ「未来篇」を観る前に、あるいは観た後に、何度も聴いてください。

【ネタバレ】映画「境界の彼方」未来篇の内容を徹底解説!

記憶をなくした栗山さん、彼女を避ける秋人

TV版ラストで復活した栗山さんですが、彼女にはそれまでの記憶が一切ありませんでした。つまり、自身が”呪われた血の一族であること、異界士であること、秋人たちと過ごした日々、それらを全て忘れてしまっていたのです。
逆に言えば、かつてその出自のために苦しんでいた栗山さんがそのまま自分が何者かを知らずにいれば、彼女は「普通の人間」として生きていけるということ。秋人は、栗山さんに何も思い出させないことに決め、彼女を避けるようになりました。
それから数ヵ月経って年度が変わった4月、ここから物語は始まります。秋人が栗山さんを避け続ける一方で、栗山さんのほうは自身の記憶の中で最初に目の前にいた人物である秋人のことが気になっていました。

栗山さんに襲いかかる黒い影

大地主である名瀬家の現当主・名瀬博臣は、最近街中に出没し異界士を次々襲っている、謎の黒い影を追っていました。その正体不明の影は栗山さんにも襲いかかりますが、攻撃を避ける際、栗山さんは自分が超人的な跳躍をしていることに気付きます。また、影の使い手らしきフードを被った”男”が現れ、自分が何者か知りたくないかと栗山さんに問いかけます。
名瀬家と契約してその土地に留まっている人型の妖夢・新堂彩華にも叱られた博臣は、影の襲撃事件の解決に全力で取り組み、ある事実を突き止めます。秋人は栗山さんとふたりで会い、自分と一緒にいたら栗山さんは幸せになれないと話しますが、栗山さんは既に自身の”血”の能力を思い出してしまっていることを明かします。

“男”の正体は名瀬泉、現れる藤真弥勒

そんなふたりの前に再び”男”が現れ、ヌンチャクのような薙刀で攻撃を仕掛けてきます。逃げる途中で秋人は足首を切断され、動けない秋人を守るため栗山さんはとっさに”血”の剣を使い防御します。”血”の力で溶けたフードの中から出てきたのは男ではなく、博臣の姉・名瀬泉でした。駆けつけた博臣が泉に追跡のための呪詛を埋め込みますが、確保には至りません。
不死身の特性で足首が再生した秋人は家に帰りますが、そこに秋人の母親・神原弥生が現れます。彼女は一連の事件を聞きつけて、様子を見にやってきたのでした。もう一度栗山さんと話そうと決心し電話をかける秋人でしたが、栗山さんの家には”境界の彼方”討伐で暗躍し消息を絶っていた藤真弥勒が現れ、栗山さんに人の心の闇を引きずり出す妖夢を取り憑かせます。

“境界の彼方”を殺す使命を思い出す

妖夢によって失っていたはずの記憶を呼び覚まされ、”境界の彼方を殺すという使命を思い出す栗山さん。力が暴走し、栗山さんは駆けつけた秋人に我を忘れて襲いかかります。同じ頃、名瀬泉もまた同じ妖夢に苦しめられていました。実は、泉の強い力はこの妖夢を利用して生み出していたものであり、それはかつて藤真弥勒にそそのかされて埋め込んだものなのでした。
泉を追う博臣の前には彩華さんが現れ、博臣を栗山さんのもとに転移させた上で、自身が泉を相手取ります。一方秋人は、遅れて駆けつけた博臣の妹・名瀬美月や異界士・二ノ宮雫とともに栗山さんを追いますが、誘導されて入った廃屋の中で急に藤真弥勒の映る映像が流され、彼が既に死んでいること、先の妖夢はそれを見た人に取り憑くことが判明します。

いなければよかった、それは違う

次々見せられる記憶のなかで、栗山さんは昔母親に言われた「境界の彼方を殺す、そのために私たちは生まれてきたの」という言葉を思い出します。”呪われた血”の一族が迫害されるなかで抱いた憎しみは”境界の彼方“という妖夢の世界と人間の世界を繋ぐ扉を開いてしまい、一族はその贖罪として”境界の彼方”を倒さなければならないのでした。
暴走を続ける栗山さんと、取り憑いた妖夢が見せる記憶に苦しむ秋人たち。さらにそこへ彩華さんを打倒した泉が現れますが、こちらは博臣が相手取り、秋人と美月が栗山さんを止めにかかります。栗山さんの”血”の剣に秋人が体を貫かれた時”境界の彼方”の能力が発現、秋人は栗山さんの精神世界に潜り込みます。「わたしなんかいなければよかった」と言う栗山さんに、秋人はそれを否定します。

絆と愛の力で”境界の彼方”は封じられる

泉を止めた博臣、先に引き上げた美月。彼らのもとには神原弥生が駆けつけており、気を失った泉たちの処置をしていました。自身を「二つの世界の門番」だと仄めかす神原弥生は、憎しみを超える愛情なら境界の彼方を封じられると話します。
ウィンターコスモスの花畑の中で目を覚ました秋人たち。ふたりは互いに言います。「ずっと一緒に生きてくれますか」  ――かくして平穏な日常が戻り、栗山さんは秋人の横で「不愉快です」と笑うのでした。
ちなみに、ウィンターコスモスの花言葉には「もう一度愛します」というものが。記憶を失った栗山さんがこの物語を通して再び秋人を愛するようになった、ということが表されています。

余談:冒頭の秋人と美月の会話

TV版「境界の彼方」の第1話にもあった秋人と美月の会話。TV版では「読者にとって大切なのは行動と意味」という旨が語られましたが、「未来篇」の冒頭では、『桃太郎』の最初の文章を読み上げる秋人と、それに待ったをかけて解釈を求める美月が描かれます。
山へ芝刈りに行ったのは「家畜の餌」のためと決着がつきましたが、川へ洗濯に行ったのを「専業主婦」だからだと秋人が推定すると、美月は「前時代的価値観」だとして否定、さらに物語の舞台背景について強引な解釈を述べます。
推測の域を出ませんが、わざわざこんなシーンが入っているのは、解釈を放棄してTV版の展開を「投げっぱなし」などと非難した視聴者への揶揄とも考えられます。せっかく深く作り込んだのだからもう少し読み解いてほしい、そう言いたいのかもしれません。

今だからこそ「境界の彼方」を観直そう!

明言されていない部分まで含めて、深層まで読み解くことで面白くなる「境界の彼方」。もちろんそうした文学的読解にも挑戦してほしいのですが、今だからこそ映像作品として境界の彼方を観てほしい理由があります。
実は2018年1月に放送されるアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の監督は、「境界の彼方」シリーズで監督を務めた石立太一であり、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が監督2作目となります。
同じ人物が監督を務める場合、主にカット割りカメラワークといった映像面での共通性が出てきます。石立太一の描き出す映像表現を、「境界の彼方」で今のうちに予習しておくと良いでしょう。
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