【クロユリ団地】あらすじ&ネタバレ紹介!Jホラー界最恐の結末に震える…

アイドルから女優へと脱皮しようとする前田敦子が初挑戦した日本のホラー映画『クロユリ団地』は、他のホラーとは一味違った作風に仕上がっている。この夏もう一度見直したい本作を、ネタバレ必至でご紹介する。

映画『クロユリ団地』のあらすじをご紹介【ネタバレ注意】  

男の子の秘密とは

2013年に公開された、映画『クロユリ団地』は、日本のホラー作品『リング』や『仄暗い水の底から』の監督を務めた中田秀夫監督の作品である。アイドルから女優へと転身した、前田敦子と突如芸能界を引退した成宮寛貴のW主演作品だ。早速ネタバレ必至であらすじをご紹介していきたい。
前田敦子演じる二宮明日香が「クロユリ団地」という古い団地に両親と弟と共に引っ越してきたところから物語が始まる。母親に引越のあいさつを頼まれて隣の部屋を訪ねると、ドアは開いたがそこに住む住人は顔さえ見せてはくれなかった。そして、団地周辺に足を向けると、公園で遊ぶ、ミノルという少年に出会う。
この日から、明日香の周りでは不思議なことばかりが起きるようになる。明日香が通う介護学校でも、「クロユリ団地」の不気味な噂が広がっていることを聞き、周囲で起こる様々な現象について不安を募らせていくのであった。

ある日、隣の部屋が気になった明日香が訪ねていくと、住人のおじいさんが孤独死しているのを発見する。そして、翌朝、遺品整理に来ていた業者の一人・笹原忍(成宮寛貴)と出会う。笹原は何故か、その部屋にはできるだけ近づかないようにと明日香に警告するのであった。
ある日、明日香がミノル少年を自宅に招くと、突然壁にひびが入ったり、孤独死したおじいさんが、耳元で「おまえも死ぬ」と囁く夢を見たりという数々の恐怖に遭い、どんどん精神的に追い込まれていく明日香。そんな混乱の中、明日香はあることを思い出す。明日香は団地に家族と引っ越してきたと思い込んでいたが、実は家族は数年前に交通事故で亡くなっており、明日香は一人暮らしをするため引っ越してきたということを。

そこで、唯一の味方となった笹原に相談する。そして、笹原が連れてきた霊媒師によれば、周りで次々に起こる現象は、ミノル少年との出会いが原因だと分かる。ミノル少年には悲しい過去があった。13年前、友だちとかくれんぼをしていた時、ミノル少年はごみステーションに隠れ、誰にも見つからないまま閉じ込められ、焼却場で焼かれて亡くなったという。
ミノル少年を決して中に入れないようにという指示のもと、霊媒師によるお祓いが始まったが、ミノル少年が様々に姿を変えて現れるため、ついに笹原はミノル少年と共に焼却炉の中へと引きずり込まれ、苦しみ悶えながら消滅する。明日香は、唯一の味方だった笹原を失ったショックから、気が触れてしまい、家族を失った時の状態に再び戻り、閉じこもってしまうのであった。

『クロユリ団地』の主要キャストをご紹介

ここで、『クロユリ団地』の主要キャストをご紹介していきたい。主演の一人は、二宮明日香を演じた前田敦子である。前田は、まだAKB48のメンバーだった2007年に女優デビューはしているものの、本作は、2012年に同グループを卒業して、本格的に女優に転身してからの作品となる。ホラー映画での主演は、前田にとって、女優としての大きな挑戦だったに違いない。
もう一人の主演は、明日香の唯一の味方・笹原忍を演じた成宮寛貴である。成宮は、2000年に俳優デビューして以来、数々の作品に出演し、人気を得てきたベテラン俳優だ。本作出演時は、成宮のデビュー13年目にあたる。
成宮が演じた笹原は、前田演じる明日香の相手役とも言える役柄だ。明日香はミノル少年と同じように、悲しい過去を持ち、孤独感に目を反らしながら生きる女の子。そして、笹原もかつて自身が原因で、婚約者を植物状態にしてしまった過去を今も引きずっている。

過去に闇を抱えた者同士だからこそ、明日香と笹原は互いを必要としたのだろう。女優として飛躍しようとする前田と、それを相手役として支え、リードしながら主演を演じる成宮がオーバーラップするのは私だけだろうか。ベテラン俳優としての成宮の演技は圧巻であった。本当に惜しい役者を失ったと思う。
この映画のキーパーソンとなったミノル少年を演じたのは、子役の田中奏生である。映画、ドラマ、CMなど数多くの作品に出演する、いわばベテラン子役なのだ。本作では、悲しい過去を引きずりながら、孤独に生きる大人たちを次から次へと巻き込みながら、自分の悲しみを訴えるという重要な役柄を見事に演じた。子役ながら、実はベテラン中のベテラン役者なのである。

スピンオフドラマ『クロユリ団地~序章~』とは?

映画『クロユリ団地』に先駆けて制作された、スピンオフドラマが『クロユリ団地~序章~』である。映画本編の舞台となった「クロユリ団地」で過去に起きた恐怖を、12話にわたるオリジナルストーリーとして描いている。中田秀夫、豊島圭介、久保朝洋、三宅隆太ら各監督が、それぞれ自分のテイストでドラマを制作していて、違いを比べながら見るのも楽しみ方の一つかもしれない。

ドラマのある場面で、成宮寛貴や前田敦子がちょっとだけ登場したり、ミノル少年と亡くなった原因などが出てくる点では、映画本編への序章としての役割もあるのだろうが、実際は全くの別のドラマとして見た方が入りやすいという声もあるようだ。
「ホラーなのに怖くない。」「役者の演技力不足で入り込めない。」「脚本が陳腐」などといった酷評もあるようであるが、その一方で、「おもしろい」「怖い」という好評もある。何を見るにしても、見る前の期待感が大きければ大きいほど、がっかりすることが多いものだ。気楽に普通のドラマとして見てみるのもいいのではないだろうか。

『クロユリ団地』の評価とは  

本当に怖い?『クロユリ団地』はホラー映画なのか?

くり返しになるが、本作は、日本のホラー作品『リング』『仄暗い水の底から』を制作した中田秀夫監督による作品である。日本のホラー映画界を代表する『リング』シリーズを世に送り出した人物である。そうでありながら、監督自身はホラーやサスペンスを専門としていないという。本当に撮りたいのは、「メロドラマ」だというから驚きだ。
一応、本作は「戦慄のホラー」と謳われているのだが、見た人の感想を調べてみると、「あまり怖くなかった。」との声が多く聞かれた。日本のホラーと言えば、洋画にあるような、映像で直接的に怖がらせるものよりも、精神的にぞっとする怖がらせ方をするもののほうが多いように思う。

本作は、そのどちらの要素も薄いように感じる。中田秀夫監督は、本当にホラーとして制作したのかさえ疑いたくなる。監督が撮りたいというメロドラマの方がよっぽど近いのではなかろうか。ミノルという悲しい死に方をした少年、事故で家族を失い孤独に苦しむ明日香、婚約者を植物人間に至らしめた過去を引きずる笹原。どの人物も共通して過去の悲しみから逃れられない。
監督は、本当は「ホラー」としてではなく、「人間の悲しみ」や「孤独感」を描きたかったのではないかと思う。そういった意味でも、改めてもう一度見てみたい作品である。

また、前田敦子の演技には賞賛の声が上がっていた。ホラー映画では、心の描写を表情で巧みに表現しなければならない。そのため、役者の演技力が非常に問われることとなる。おそらくアイドル上がりの前田に対して、世間はあまり期待を持っていなかっただろう。
ところが、前田は恐怖におののく心の描写を見事に熱演したのだ。違った意味で、私たちの期待を裏切った形となった。本作が、前田の女優出世作といっても過言ではないだろう。今後の前田の活躍を大いに期待したいところだ。
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