「まおゆう 魔王勇者」を知る4つのポイント!驚愕の誕生裏話も紹介!

ファンタジーのクライマックスである勇者が魔王城で魔王と対峙することから始まる物語「まおゆう 魔王勇者」。原作の誕生方法や、意外と現代社会の問題に通じるストーリーなど異色ファンタジーの魅力を4つのポイントから紹介します。

異色のファンタジー「まおゆう 魔王勇者」とは?


「まおゆう 魔王勇者」は、ログ・ホライズンでも有名な橙乃ままれ原作のファンタジーです。詳細は後程記載しますが、元々は2chから発生した投稿を元にした即興小説で、原題は『魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」』です。

2010年に2chの投稿をまとめて「まおゆう 魔王勇者」の名で書籍化され、その書籍版小説をもとに漫画化・アニメ化・ドラマCDなど幅広く展開されました。

「まおゆう 魔王勇者」の世界観

舞台は中世ヨーロッパ風で、剣と魔法の王道ファンタジーの世界観を持ち、人間魔族共に一定以上の文明にならないように、永遠に人間と魔族が戦い続けることを運命づけられた世界です。魔王と勇者は表裏一体の存在で、人間の文明レベルが上がると、強力な魔王が出現し、人間世界を破壊し文明レベルを下げ、強力な勇者が魔王を倒すことで世界のバランスを保ってきました。

「まおゆう 魔王勇者」は、戦争・経済・教育と現在社会にも通じるキーワードがあり、勇者と魔王、人間と魔族が協力し、経済や教育などを通じて戦争の終結の先にあるもの、魔王の言葉で表すと「あの丘の向こうに何があるんだろう」というテーマがあります。

「まおゆう 魔王勇者」あらすじ紹介

出典:https://images-na.ssl-images-amazon.com

人間と魔族の戦争は長く膠着状態が続いていました。勇者は単身魔王を倒すべく魔王の城へ乗り込みます。そこで待っていたのは、見た目がほぼ人間の女魔王でした。魔王は勇者に自分の物となるよう求めますが、当然勇者は断ります。しかし魔王は、戦争をすることで人間と魔族共に、社会の秩序や経済活動を維持していることを説明します。魔王を倒しても根本的な解決にはならないことを理解した勇者は契約を受け入れます。

魔王は学士として、勇者はその護衛の剣士として身分を隠し、冬越し村を舞台とし、農業改革を皮切りに、教会や商人、南部王国や魔族を巻き込みながら、世界の改革に進んでいきます。

ポイント1:2chから誕生!原作は投稿型即興小説!

原作誕生までの経緯

出典:http://maouyusya2828.web.fc2.com

2ちゃんねるのニュース速報(VIP)板に、『魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」』というスレッドが立ち上がり、スレ主は「勇者が男だと想像した? 女だと想像した?」とだけ書いてどこかへ行ってしまったようです。2chでは特に珍しくもないことで、通常であればいくつかやり取りがあってそのまま終わるのですが、立ち上がりから15分後、魔王「どーしてもか?」 勇者「アホ云うな。お前のせいでいくつの国が滅んだと思ってるんだ」という書き出しで作者が投稿を開始します。

3時間ほど投稿が続けられ、続きを希望する声が多かったため、その後約3ヶ月13スレッドにわたって連載されました。過去ログを有志の手でまとめられ愛読者も増え、延べ100万人が閲覧したと言われる前代未聞の驚異の作品となりました。

書籍化・・・さらなる展開へ!

出典:https://images-na.ssl-images-amazon.com

魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」に注目したゲームデザイナーで自身も執筆家である桝田省治がTwitterで作者に接触を図り、書籍化プロジェクトを設立しました。そして、総監修を桝田省治が、設定監修を山北篤と細江ひろみが、イラストをtoi8と水玉螢之丞が手がけることとなりました。

累計発行部数も200万部以上とも言われ、ほぼ内容の変わらない無料の原作がネット上で読めるにもかかわらず異例の大ヒットとなりました。そして漫画化、アニメ化へと続いていきます。

ポイント2:名前がない!?登場人物紹介

「まおゆう 魔王勇者」の特徴の一つに、登場人物の名前がないということです。主人公の2人は、魔王勇者、魔王は紅玉の瞳という字(あざな)がありますが、本名ではなくやはり登場人物には名前がないと言えます。

他の登場人物として、勇者の仲間は、女戦士・女魔法使い・執事(老弓兵)、魔王の配下や弟子も、メイド長・メイド姉・メイド妹・商人子弟・貴族子弟・軍人子弟などなど、立場や肩書きがそのまま名前の代わりになっています。

魔王

主人公である第四十三代魔王。歴代魔王の中で戦闘力は低いが、その代わり「外なる図書館」で得た経済学などの知識を持っており、人間と魔族の間にある多くの問題や矛盾に気付き、問題を解決するために勇者に協力を求めるという変わった魔王です。

人間界では、「紅の学士」と名乗って、農業、教育、経済と多岐にわたり革命を起こしていきます。見た目は巨乳ですが、メイド長からは「駄肉」と呼ばれてきたため、自分の体形に自信を持てずにいます。また、魔族らしい2本の角がありますが、実は飾りで外すとほぼ人間との違いはないようです。

勇者

出典:https://images-fe.ssl-images-amazon.com

もう一人の主人公である勇者。3人の仲間たちと魔王討伐の旅をしていたが、とある理由で単身魔王城に乗り込み、魔王と運命の出会いをします。魔王を倒すことが事態の解決にならないことをなんとなく理解したことで、世界を変えるための計画に協力することとなります。

勇者であることを隠し、人間界では「白の剣士」、魔界では「黒騎士」と名乗りますが、特に「白の剣士」は変装しているわけではないので、女戦士などにすぐにばれます。元々正義感が強いが人間界の現状などまでは深く考えない性格でしたが、魔王と一緒に行動するうちに世界のありかたについて理解を深めていきます。

女戦士・女魔法使い・執事



勇者の3人の仲間は女戦士女魔法使い執事(老弓兵)です。勇者が単身魔王城に乗り込んだ後、女戦士は湖畔修道会へ、女魔法使いは魔界へ、執事は冬の国へと行くことになりました。

女戦士は、魔王と勇者を巡る恋のライバル兼友達になるとともに、卓越した戦闘力を持って魔王と勇者に協力していきます。女魔法使いは、複数の人格を持つ人工勇者で、最強の魔道士であり世界の秘密に最も近づいた人物と言えます。執事は、冬寂王の執事兼諜報員として活躍します。

メイド長・メイド姉・メイド妹

魔王の配下の代表格は、メイド長メイド姉メイド妹です。メイド長は魔王が魔王になる前から魔王に従っている魔族で、家事など身の回りの世話だけでなく、高い戦闘能力を持ち護衛も務めます。

メイド姉妹は、紅の学士(魔王)の屋敷に逃げ込んできた元々農奴の姉妹です。メイド姉は、物語のキーパーソンの一人で、魔王の身代わりとして中央聖光教会に捕まった際には、農奴の人権を説く演説を行い南部諸国の農奴解放運動の起点となりました。その後も第三次聖鍵遠征軍と開門都市の停戦交渉を行うなど、今一人の勇者として活躍します。メイド妹は、料理を誉められたことをきっかけに料理人になることを決意し、後に冬の国の宮廷料理長に就任します。

ポイント3:前代未聞?同時期に多数漫画化

出典:https://images-fe.ssl-images-amazon.com

「まおゆう 魔王勇者」は、なんと同時期に複数の出版社から漫画化されたことも特徴と言えます。

角川書店月刊コンプエース2011年6月号で、まおゆう魔王勇者「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」のタイトルで、秋田書店チャンピオンRED2011年7月号では、まおゆう魔王勇者-丘の向こうへ-のタイトルで、エンターブレインファミ通コミッククリア2011年6月では、まおゆう魔王勇者のタイトルで連載が開始されました。

他にも、4コマ漫画や外伝なども多くの出版社で連載されました。

ポイント4:まおゆうアニメ版の特徴とは

https://youtu.be/TNCk07_c810

「まおゆう 魔王勇者」のアニメ版は、2013年1月より3月まで全13回(12話+総集編)が放映されました。アニメ版の大きな特徴は、監督が高橋丈夫、シリーズ構成は荒川稔久とそれぞれアニメ版「狼と香辛料」と同じ組み合わせで、それだけでなく、主役の声優も小清水亜美福山潤のコンビによるものです。他にも美術監督の小濱俊裕、色彩設計の佐野ひとみ、製作のポニーキャニオン、ムービック、フライングドッグも共通しています。

アニメ版の内容は、小説版のおおむね1巻2巻に相当します。やや駆け足ですので、説明不足や物語の背景がわかりにくい部分もありますので、やはり小説もアニメも両方見ることをお勧めします。

https://youtu.be/orM_kVt5FIU?t=48アニメ版のオープニングテーマは、YOHKO「向かい風」。テンポの良いポップスで、歌詞はややわかりにくいですが魔王と勇者の目指すものなど原作を表現しているように感じます。

エンディングテーマは、新居昭乃「Unknown Vision」です。こちらはよりファンタジーっぽい大人の曲です。どちらもオープニングエンディングにふさわしい楽曲となっています。

「まおゆう 魔王勇者」のもたらしたもの



「まおゆう 魔王勇者」は、魔王と勇者というファンタジーの世界を舞台にしながら、戦争・経済・教育と現代社会の抱える問題と共通のテーマを持ち、2chという匿名性の高い仮想現実の空間という現代社会のもう一つの現実世界から生まれた作品です。また、2chやtwitterからの創作作品の代表作であり、今後こういった分野から作品が誕生する道を大きく切り拓いた作品ともいえます。

このように、現代社会に一石を投じた社会派の作品として、また2ch発信から様々なメディア展開をしたエンターテイメント作品として、こういった視点からあらためて本作を楽しんでいただければと思います。

まおゆう魔王勇者 (1) 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」
橙乃 ままれ
KADOKAWA/エンターブレイン (2010-12-29)
売り上げランキング: 207,515

まおゆう魔王勇者 Blu-ray BOX 完全初回限定生産
ポニーキャニオン (2015-03-18)
売り上げランキング: 63,334