【アオイホノオ】ドラマ版5つの魅力!キャストの高過ぎる再現度に驚愕!

君は「アオイホノオ」を知っているか!? 目下も「ゲッサン」で好評連載中の島本和彦による半・自伝漫画。若き日の島本の姿と思しき「焔燃」を主人公とした、80年代のオタク業界を舞台とした一大叙事詩だ! さて、しかしそんな本作が2014年にドラマ化され、快哉をもって迎えられたことは記憶に新しい。以下にそんなドラマ版「アオイホノオ」の見どころを、紹介していくことにしよう!

監督は福田雄一! ドラマ版「アオイホノオ」とは

監督はヒットメーカー・福田雄一

ドラマ版の監督・脚本は福田雄一。福田監督は「勇者ヨシヒコ」シリーズや「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」を手掛けたヒットメーカー。また、同じく島本先生の作品である「逆境ナイン」劇場版の脚本も担当し、元から本作には縁があったとは言える。
そんな福田監督が「アオイホノオ」を原作に勝るとも劣らぬ完成度の作品に仕上げてくれたわけだが、果たしてその見どころとは……?

アオイホノオの魅力①柳楽優弥の秀逸な顔芸!

「アオイホノオ」は熱血漫画家、島本先生の半・自伝漫画。
主人公の焔燃は当然、漫画家目指して努力を続けるのだが、「私はこんなに頑張りました」と描くとイヤらしくなってしまう。そんなわけで、焔は常に道化役を演じることになる。
同時に本作は、オタク業界黎明期に強豪ひしめきあう様子を描く、剣豪小説の様相を呈しているのだ(というより「スパロボ」のようなヒーローが群雄割拠する世界観……といった方がいいか?)。

そんなわけで焔は常に自分の先を行っているプロの漫画家の、また同じ芸大に通う仲間たちの活躍ぶりにショックを受け、煩悶とする、ある意味でカッコ悪い描かれ方がなされているわけだ。
そんな焔の一人相撲こそが本作の本質なのだが、それを支えるのが柳楽優弥の演技。天才クリエイターたちの作品を見る度に激しく衝撃を受け、ひたすら暑苦しく狼狽し、苦悩し、慟哭する柳楽の演技はもう本当に暑苦しい!
しかし、それこそが本作の一番の見どころでもあるのだ。

アオイホノオの魅力②天然可愛い山本美月!

さて、「アオイホノオ」は一方で、焔の恋愛模様の描かれる青春漫画でもある。その中でもメインヒロインと言っていいのが森永とんこ(原作では年上トンコだったのが、変更された)。
性格的には「天然なお姉さん」といった風で、いつも気さくに焔の話につきあい、また近視なのに裸眼でいるため、何かというと顔を近づけて話し、その度に焔をドギマギさせる。演じる山本美月の大阪弁がたまらなく可愛いくて、こりゃ焔もその気になるな……と思わずにはおれないのだが……。
他にもスポーティな後輩である津田ヒロミ、自主制作映画でワンダーマスミを演じた凩ますみと魅力的なヒロインが登場し、本作では焔の「これ、なんてギャルゲ?」と言いたくなるほどのリア充ぶりが描かれる。
チクショウ、羨ましい!

アオイホノオの魅力③キャスト大好演!ガイナックスの面々の変人ぶり!

魅力的なキャラは女性陣に留まらない。本作が舞台としている、大阪芸術大学(原作では大作家芸術大学)には後のガイナックスのメンバーが多数、在籍していた。みなさんご存知かと思うが、ガイナックスといえば『エヴァンゲリオン』を初めとする名作アニメを次々と産み出した、オタク世代のクリエイター集団だ。

庵野ヒデアキ山賀ヒロユキ赤井タカミ岡田トシオといったガイナックス勢のやり取りは、まさに本作のもう一つの見せ場として大いにドラマを盛り上げる。
銭湯でいきなりウルトラマンごっこを始めてしまう庵野、周囲の天才たちを見る度に彼らといっしょにいれば「俺は一生、食いっぱぐれない」と叫ぶ山賀、「岡田トシオです~~~!」と両手を振り上げながら自己紹介する度に「俺ってすごいやろ」オーラを放つ(CGで本当に文字が浮かび上がる!)岡田とまさに奇人変人の集団。
さすがにドラマと言うことで少々の誇張はあるのだろうが……いや、きっと全部実話なのだろう!(筆者個人の感想です)

アオイホノオの魅力④元ネタを生かしたスペシャルキャスティング&BGM

OPもオマージュ全開!

さて、オタク文化をテーマにした「アオイホノオ」、となれば全編に渡ってオタク文化へのリスペクトが溢れているのは、言うまでもないこと。
本作ではハーロックメーテル鉄郎、そして沖田十三といった松本零士キャラたちが登場し、それぞれ井上真樹夫池田晶子野沢雅子といったのアニメのオリジナル声優が出演(沖田だけは山寺宏一が担当)。他にも「ナイン」の新見克也中尾百合、「みゆき」の若松真人、「あしたのジョー」の矢吹丈などもオリジナル声優が出演、ドラマを盛り上げた。
一方、BGMもまた「スペシャルゲスト出演」するのがこのドラマのすごいところ。先の庵野のウルトラマンごっこでは「ウルトラマン」』における戦闘シーンのBGMが(ただ、厳密には庵野がしていたのはウルトラセブン対キングジョーごっこであるため、そこはちょっと残念)、また矢野ケンタローが焔を叱咤するシーンでは「ガンダム」のBGMが流れた。これは矢野がシャアの名セリフを意識したセリフを吐くからなのだが、同時に彼が焔のライバルであることを表した演出でもあった。

そんな「アオイホノオ」のアニメ、漫画へのオマージュはOP映像にも現れている。「あーだこーだそーだ!」にあわせ、メインキャラたちが様々な動きをしていくこのOP、不思議に思ってみていた方もいるかも知れないが、実はそれぞれ、アニメアクションの忠実な再現になっている。
例えば疾走する焔はやはり島本先生作の「アニメ店長」の主人公、兄沢命斗の、空を飛ぶ庵野はロボットアニメ「ガイキングNEO」の動きをのまま踏襲している、といった具合だ。

アオイホノオの魅力⑤最終回に見るオリジナル展開!

そんな「アオイホノオ」だが、原作はいまだ連載中。しかし、ドラマ版は11話しかなく、先にドラマ版なりのオチをつけなければならない。こうした場合、なかなかスマートにまとまらないものだが、本作では「原作の最終回の時はどうするんだ……?」と心配してしまうほどに見事なエンディングを見せてくれた。

少年ジャンプ」の編集者に見捨てられたと思い込み、自暴自棄に陥る焔。漫画のことを忘れ、青春を謳歌しようとヒロインたちに声をかけまくるものの、こうした時に限って何もかもうまく行かない。そんな失意のどん底のホノオだが、「少年サンデー」への投稿が新人編集者の目に止まり、とうとうデビュー!
そんな彼に庵野が声をかけ、激励の言葉と共にサインを求めてくる。綺羅星の如き天才たちに憧憬し、嫉妬し、コンプレックスを感じ続けて来た、ある意味では一方通行の感情を相手に募らせて、一人「顔芸」を続けていた焔だが、相手もまた自分を認めていた――焔の想いが報われた瞬間!
ちなみにこの、庵野監督がデビューした島本和彦にサインをねだったというのは、実話だというのだ!!

ドラマ版「アオイホノオ」はファンも納得の面白さ!

以上、駆け足だがドラマ版「アオイホノオ」の魅力は伝えられたのではないだろうか。
上の最終回が象徴しているが、ドラマ版は意外にオリジナル展開が多い。矢野ケンタローもそうで、実のところ原作では「ナレーション」として語られている部分を、ドラマ版では矢野が焔に語る形式になっていたりする。これは「焔の状況を客観視する語り手」をキャラクターに演じさせることで、より作品テーマを判りやすくした名演出であると言える。
ただでも難しい漫画の実写化、並みの監督ならばなるべく原作に忠実にするところだろうが、そこを怖れず大胆なアレンジを加えることで、ドラマ版「アオイホノオ」は原作以上に「アオイホノオ」らしくなった。

そしてまた、最後の最後、「焔燃」が「炎尾燃」になったかのような未来の姿が描かれ、ドラマは終わる。炎尾燃は島本和彦の別の漫画、「燃えよペン」、「吼えろペン」、「新吼えろペン」の主人公である、やはり島本先生自身をモデルにしたと思しいキャラ。焔は後の炎尾では……とかつてからファンの間で噂されていたのだが、本作ではそれを示すような演出が、最後でなされたのだ。
更には、この最終回では島本先生自身が、焔を激励し、指針を与えるバイク店の店長役で出演している。原作を十二分にリスペクトし、その上でアレンジをも怖れない福田監督、そしてそうしたアレンジを受け容れ、むしろ積極的に協力していく島本先生。両者の度量のデカさこそが、本作を成功に導いた、とは言えないだろうか?
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