【終末のイゼッタ】軍事あり魔法あり原作なしのオリジナルアニメを語り尽くす!

人気ジャンルのミリタリーとファンタジーを掛け合わせて作られたオリジナルアニメ「終末のイゼッタ」。こだわり抜かれた軍事描写が注目される一方、物語への評価は賛否が分かれています。また、二人のヒロインのただならぬ関係性も話題に。「終末のイゼッタ」にまつわる情報・評価・考察などをまとめました。

ミリタリー×ファンタジー! アニメ「終末のイゼッタ」概要

最近のアニメでは、複数のジャンルを組み合わせることでヒットを図る方策がよく取られています。数あるジャンルのなかでも特に人気の高いミリタリー(近代兵器・軍事・戦争)とファンタジー(中世・異世界・魔法)の二つの要素を掛け合わせた、「GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」や「幼女戦記」といったアニメもありましたね。
そんなミリタリー×ファンタジーアニメのひとつとして本記事で紹介したいのが、2016年秋に放送されたアニメ「終末のイゼッタ」。第二次世界大戦期のヨーロッパを模した世界を舞台に、大国に攻め入られる小国の姫と、彼女とともに戦う魔女の物語が描かれます。特にミリタリーの要素が非常に強く、細部まで手を抜かないこだわり深い描写が魅力です。

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「終末のイゼッタ」は原作を持たないオリジナルアニメとなっており、アニメーション制作を亜細亜堂、監督を藤森雅也、脚本を吉野弘幸が担当しています。また、兵器デザインや軍事設定を監修する軍事ディレクションなる役職が特設されており、戦車を専門に扱う雑誌『月刊PANZER』のスタッフ2名が起用されています。
本記事では、最初に「終末のイゼッタ」基本情報としてあらすじ登場人物を紹介し、「終末のイゼッタ」の一番のみどころである軍事描写を解説、さらに放送当時賛否の分かれた「終末のイゼッタ」最終話の展開を詳しく検証、最後に「終末のイゼッタ」と他の数作品の描写を比較し、いわゆる百合アニメのあり方を考察していきます。

「終末のイゼッタ」ざっくりストーリーまとめ

再会するフィーネとイゼッタ、開かれる戦端

西暦1940年、欧州で勝利を重ね勢力を伸ばす大国・ゲルマニア帝国は、帝国南方の小国・エイルシュタット公国に攻め込もうとしていました。エイルシュタットの公女・フィーネは、北方の島国・ブリタニア王国に援軍を要請しようとしますが、その会談の最中にゲルマニアは侵攻を開始、同時にフィーネは押し入ってきたゲルマニア兵に捕らえられてしまいます。
フィーネの護送中、ゲルマニアに捕らえられ同じ飛行機で輸送されていた世界最後の魔女・イゼッタが覚醒し、フィーネとともに脱走します。実はフィーネとイゼッタは幼少期に出会っており、イゼッタにとってフィーネは窮地を救ってもらった恩人なのでした。再会の喜びを分かつ間もなく戦闘は激化、イゼッタは古い恩を返すためフィーネに協力を申し出ます。

プロパガンダでエイルシュタットを守り抜く

イゼッタの魔力はレイラインと呼ばれる地下の龍脈から供給されているため、場所によっては魔法が使えないという問題がありました。エイルシュタットはこれを誤魔化すために、古くから伝わる救世主・白き魔女(ヴァイスエクセ)の伝説を用いて、列強各国に対してイゼッタのプロパガンダ(誇大喧伝)を実施します。
レイラインのない地点でも裏工作を用いてイゼッタが魔法を使えるように見せかけたり、各国の要人の目の前でイゼッタにゲルマニアの新型空母を撃沈させたりと、たびたび戦果を上げてはゲルマニアをはじめ各国の牽制に成功するエイルシュタット。海外の大国・アトランタ合衆国の協力も確約され、戦況はエイルシュタット優勢でした。

復活した白き魔女に敗北、追い詰められるフィーネとイゼッタ

ところがそんな時、ゲルマニアが開発した白き魔女のクローン・ゾフィーが現れます。かつて白き魔女はエイルシュタットに裏切られており、ゾフィーはその恨みを受け継いでいました。ゾフィーとの戦闘でイゼッタは捕縛され、兵士の尽力により逃走には成功しますが、その時の写真が各国に出回りプロパガンダ作戦は崩壊。さらにゲルマニアの侵攻によりエイルシュタットの首都が陥落します。
負傷し体もまともに動かせなくなったイゼッタですが、エイルシュタットの補佐官・ジークハルトが持つ半分に割れた魔石の力によって、命を削る代わりにどこでも魔法を行使できるようになります。魔女の力で生成されるエクセニウムという物質で開発した新型爆弾を落とそうとするゾフィーを止めるため、イゼッタは身を挺して最後の戦いに挑みます。

「終末のイゼッタ」主要登場人物

魔女の一族の末裔、イゼッタ(CV:茜屋日海夏)

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「終末のイゼッタ」タイトルにも掲げられている本作の主人公、魔女・イゼッタ。声を演じるのは茜屋日海夏。科学の時代に生き残る魔女の一族の最後の一人で、その力を隠すために、同じく魔女だった祖母と放浪生活をしていました。
幼少期にフィーネと出会い、迫害される身であった魔女にも分け隔てなく接してくれた彼女と深い仲に。時を経てフィーネと再会してからは、フィーネとエイルシュタットを守るために戦います。
魔法はいわゆる念動力タイプで、触れたものに魔力を注ぎ思うままに動かすことができます。この力を用いて、対戦車ライフルに乗って空を飛んだり、槍や剣や爆弾や戦車を飛ばして攻撃したりします。

エイルシュタット公国公女、フィーネ(CV:早見沙織)

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「終末のイゼッタ」もう一人の主人公、エイルシュタット公国の公女、のちに大公となるフィーネ。声優は早見沙織。フルネームはオルトフィーネ・フリーレリカ・フォン・エイルシュタット。なお、フィーネ(fine)はイタリア語で終末を意味します。
自身の命より国の命運と国民の安全を第一に考える良き姫で、兵士や国民からも非常に慕われています。甘いもの好きな一面もあり、お忍びで村のパイを食べに行くことも。ただし臣下や店員にはすっかりバレており、それがまた親しみを増しています。
最初こそイゼッタの参戦に反対していましたが、彼女の熱意に折れて共闘を決意。大公即位の際にはイゼッタから「戦争を終わらせて、全ての国を平和にして下さい」と言われ、最期まで闘い抜くことを誓います。

近衛兵隊長、ビアンカ(CV:内田彩)

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フィーネを護衛する近衛兵の隊長、ビアンカ内田彩が演じています。イゼッタの魔女としての力とフィーネへの献身の理由を最初こそ疑っていましたが、彼女がフィーネに救われたという過去を聞いてからはその態度を改めます。
第5話では、レイラインのない地点での戦闘に際して、イゼッタが魔法を使えると偽装するために近衛兵を率いてさまざまな工作を行いました。第11話では、ジークハルトが差し出した魔石を見て「イゼッタはもう十分戦った」と涙ながらに使用を止める場面も。
また第7話では、ゲルマニアからスパイとして潜入してきたリッケルト少尉と、そうとは知らずに知り合います。一旦知り合った間柄なだけに、彼がスパイと判明し立場上殺害しないといけなくなった際は複雑な表情を浮かべていました。

宮殿のメイド、ロッテ(CV:東山奈央)

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フィーネが住むエイルシュタットの宮殿で仕えているメイドのひとり、ロッテ。声を東山奈央が担当し、たびたびナレーションも行います。イゼッタの身の回りの世話を担当しています。イゼッタが初参加しゲルマニア軍を撃退した戦闘地域の近くに家族が住んでおり、自分の行為が国とフィーネのためになったのかと悩むイゼッタに感謝を伝えました。
人懐っこく、初対面のイゼッタやリッケルトにも遠慮なく接します。おっちょこちょいな面もある一方で芯の強いところもあり、フィーネの父親である先の大公が亡くなった際は、フィーネの「普段通りにせよ」という言いつけを守り、努めて明るい雰囲気を保っていました。イゼッタの最後の出撃の前には、泣きながらイゼッタに抱きついていました。

科学の力で蘇った白き魔女、ゾフィー(CV:雨宮天)

ゲルマニアの科学技術によりクローンとして現世に再臨した白き魔女・ゾフィー雨宮天の狂気の演技がよく映えます。ゲルマニアのスパイがエイルシュタットの古城から盗み出した魔石の片割れを使い、レイラインのない場所でも魔法を行使してイゼッタを追い詰めます。また、エクセニウムを生成し、その強大なエネルギーを爆発させて攻撃することも可能です。
完成したクローン体は自我も魔力も持たなかったのですが、ゲルマニアが以前採取していたイゼッタの血の摂取によって魔女の力が覚醒することが判明。要人が集いイゼッタも参加した仮面舞踏会に忍び込んでイゼッタに近付き、彼女から直接血を吸ったことで完全に自我を取り戻しました。体は魔石の反動ですぐ使い物にならなくなるため、いくつものクローン体が用意されています。

一番のみどころ! 「終末のイゼッタ」熱のこもった軍事描写

ミリオタ必見! こだわり抜かれた描写の数々

「終末のイゼッタ」の一番のみどころは、そのこだわり抜かれた軍事描写の数々。各種兵器のデザインはもちろん、兵士の会話や役職、軍の配置など、他の戦争アニメでは作られもしないような設定まで事細かに決められています。
一般的な「軍事監修」といった役割ですと、作品に登場する兵器などの選定や描写に関する情報の監修という範囲で終わると思うのですが、今回はそこに留まらず、組織編成や兵器の運用、さらに遡ると、作中では直接描かれていないエイルシュタット軍の成り立ちなども考えさせて頂きました。

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冒頭でも書きましたが、「終末のイゼッタ」の舞台は第二次世界大戦時のヨーロッパを模しており、エイルシュタットはリヒテンシュタインとオーストリア、ゲルマニアはドイツ、ブリタニアはイギリスと、各国にもそれぞれモデルがあります。
ここからは、「終末のイゼッタ」公式サイトに掲載されている、監督の藤森雅也と軍事ディレクション担当の『月刊PANZER』柘植優介による対談の一部を適宜引用しつつ、「終末のイゼッタ」における軍事描写の妙を紹介していきます。

イゼッタの乗る対戦車ライフルのモデル

魔女といえば箒に乗って空を飛ぶもの。対戦車ライフルは、イゼッタにとっての箒となります。この対戦車ライフルのモデルとなっているのはシモノフPTRS1941。実はソビエト連邦で開発されたものであり、この点は史実より見栄えを優先しているようです。
厳密にはシモノフPTRS1941と異なる箇所も多くあるほか、第5話以降のイゼッタ専用対戦車ライフルにはハンドルやサドルなどが取り付けられ、乗り物として改造されています。実質的にはオリジナルの対戦車ライフルと言うべきかもしれません。
なお、シモノフPTRS1941は「ルパン三世 カリオストロの城」で次元大介が用いているライフルでもあります。上に引用してある「終末のイゼッタ」ツイッター公式アカウントの文言にはそういう理由があるんですね。

ゲルマニア・エイルシュタットの戦車

「終末のイゼッタ」には戦車が多く登場します。アニメで戦車といえばやはり「ガールズ&パンツァー」が代表格だと思われますが、その「ガールズ&パンツァー」での戦車CG制作にも関わっているCGアニメーション制作会社・オレンジが「終末のイゼッタ」でも戦車と後述の爆撃機のCGを制作しており、精巧なCGを楽しむことができます。
第1話からいきなり登場するのは、1941年当時ドイツ軍の主力戦車のひとつだったⅢ号戦車。また、第3話ではエイルシュタットの戦車として、フランス戦車であるルノー FT-17 軽戦車が登場、即座に撃破されます。同じ第3話では、まさに「ガールズ&パンツァー」のあんこうチームでお馴染みⅣ号戦車が登場、イゼッタに魔法で投げられ撃破されていました。

対イゼッタ専用の架空戦車も

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第9話で一瞬だけ写真が出てきた、ゲルマニアが開発しているという対イゼッタ専用の戦車。これはドイツの対戦車自走砲ナースホルンと、対空戦車ヴィルベルヴィント(画像)を連結した架空戦車です。結局これ自体は本編では出撃しませんでしたが、第12話ではヴィルベルヴィントがゾフィーとともにイゼッタ迎撃用に配備されていました。
CGとしてはやはりⅢ号戦車およびⅣ号戦車の隊列や戦闘描写に最も力が込められており、制作者の熱意を感じます。攻撃を受けて履帯が切れた描写もあり、それこそ「ガールズ&パンツァー」に匹敵するこだわりっぷり。一方で、本来オープントップであり乗員が見えるはずのヴィルベルヴィントの砲塔が密閉されているなど、絵的な配慮もみられます。

爆撃機の細かい描写も徹底的に

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「終末のイゼッタ」にはドイツの爆撃機も登場します。画像は作中で描かれたユンカース Ju 87 スツーカで、ドイツが第二次世界大戦中に用いた代表的な爆撃機です。このほか、メッサーシュミット Bf 109も登場しています。
航空機で言えば、1話でゲルマニアのスツーカがエイルシュタットの国境を爆撃する時、ちゃんとアームを伸ばして爆弾をプロペラに当たらない位置まで出し、ダイブブレーキを開いて(減速して)から落とす描写があるんですよね。普通の作品だと、爆弾がラックから落ちるだけだと思うのですが、その細かい描写に感心しました。

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急降下爆撃では、速度超過による機体の空中分解を防ぐために、ダイブブレーキと呼ばれる特殊なブレーキを用いて減速を行います。また、ほぼ垂直に降下しながら爆弾を投下するため、機体からそのまま爆弾を出すと爆弾がプロペラに直撃する恐れがあります。
こういった点は気になる人には気になるものですが、他作品でそこまでこだわっているものは決して多くありません。「終末のイゼッタ」では、そうした細かい描写も怠らずに作り込んであるんですね。

塹壕のつくりや兵士の会話にもこだわりが

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第3話でゲルマニアとの国境付近の要衝を守るエイルシュタット軍が描かれますが、ここにもこだわりがみられます。例えば、兵士が隠れている塹壕のつくりが、第一線の陣地と第二線の陣地で異なっています。
第一線の方は急造ぽく土を掘っただけにして、第二線の方は丸太で固めてあります。

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壁を丸太で固めるほうが手間がかかる代わりに頑丈ですから、第二線の塹壕はあらかじめ作ってあったものであり、同時にそこが重要な防衛ラインでもあるということが分かります。
また、参謀や通信手、観測手や伝令などといった兵士の役割がしっかり定められていたり、「効力射」「衛生兵」のような軍事専門用語が兵士の台詞にあったりといった点も見逃せません。

拳銃、阻塞気球、空母・・・まだまだたくさん!

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「終末のイゼッタ」では多くのキャラクターが拳銃を使いますが、これらにも一つひとつモデルがあります。例えば、上の画像でゲルマニア兵が持っているのは、ルガー P08というドイツで開発された拳銃です。
また、作中で終始エイルシュタットの首都に浮かんでいる気球(ロッテの画像の背景を参照)は阻塞気球(そさいききゅう)といい、急降下爆撃機の接近を妨げるために設置されています。決して飾りではありません。
第7話で登場したドイツの空母は、史実では完成に至らなかったグラーフ・ツェッペリンとほぼ同じデザインです。このように「終末のイゼッタ」の軍事描写は、まだまだ紹介しきれていないほど数多く存在します。

賛否両論? 「終末のイゼッタ」最終回の是非を問う

「終末のイゼッタ」最終回の展開

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フィーネはゲルマニアと連合国による首脳会議の場に突入し、そこで各国の首脳に対し、各国の脅威となっている魔女の力そのものを世界からなくすため、イゼッタがレイラインから全ての魔力を吸い上げ、命を懸けてゾフィーを倒そうとしていることを告げます。
一旦は打ち上げられた新型爆弾も、魔力の枯渇により速力を失います。イゼッタは吸い上げた魔力を放出してゾフィーを倒し、それをきっかけに連合国が反撃を開始。ゲルマニアの敗北で戦争は幕を閉じます。
それから3年後、どこかの森の奥にある湖のほとりに建つ家に向かうフィーネ。そこにはロッテと、車椅子に乗ったイゼッタの姿がありました。物語はここまでで終わっています。

ご都合展開か、感動物語か

そもそも魔石関連をはじめどうにも後付けのように感じられる設定や展開が目につく「終末のイゼッタ」ですが、物語としてイゼッタ生存の必然性に欠けるのは確かであり、無意味に生き残っていることに違和感を覚えずにはいられない視聴者が多かった模様。
一方で、「終末のイゼッタ」では全体を通してフィーネとイゼッタをはじめとしたエイルシュタットの人々の固い絆が美しく描かれており、こうした描写に感動できればそれで良いと考える視聴者もまた多くいます。
あくまで筆者が主張したいのはこの展開の是非そのものではなく、このように作品のさまざまな側面をみる視点を持つことが大事であるということ。感動したか、納得いかないか、その感想は個々人それぞれが確固として持っていればそれでいいのです。

【コラム】「終末のイゼッタ」で考える百合アニメ論

百合アニメ? そうじゃない? 百合アニメのあり方を考える

「終末のイゼッタ」で欠かせないのが、フィーネとイゼッタのただならぬ関係性を思わせる描写の数々。キービジュアルでも手を取り合っていますし、手を繋ぐ描写、くすぐり合うシーンなど、たびたび濃厚な絡みをみせています。
こうした描写が含まれることから一部の視聴者は「終末のイゼッタ」を百合アニメだと主張しますが、一方でそうではないと言う人もいます。なぜこのような意見の相違が起こるのでしょうか。そもそも、百合アニメとはどのように定義されているのでしょうか。
おまけと言えばおまけになりますが、ここでは「終末のイゼッタ」と他の百合アニメと呼ばれるいくつかの作品の描写や視聴者の反応を比較し、百合アニメのあり方を考察していきます。

そもそも百合とは何なのか

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そもそも百合とは何のことなのでしょうか。簡単に言えば女性同士の恋愛を指し、ガールズラブ(GL)と呼ばれることもあります。ただし、どこからを恋愛とするかの線引きが不明瞭で、必ずしも男女間の恋愛と同じようなものばかりを指すわけではありません。
百合ブームの火付け役となっているのが、2000年代前半に流行した作品『マリア様がみてる』。1998年が初出の小説が原作ですが、2003年から漫画化、2004年からはアニメ化もなされ、この作品の流行をきっかけに百合文化が広く浸透し始めました。
それから今に至るまで安定的に存続している百合ブームですが、現在では百合アニメと言うと大きく2つのタイプに分けられるのではないでしょうか。以下ではそのタイプを考え、それぞれの特徴を挙げていきます。

タイプA:明らかに女性同士の恋愛を描いているもの

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ひとつは明らかに女性同士の恋愛が描かれ、それを主題に物語が構成されているもの。これを仮にタイプAと呼ぶことにしましょう。上述した「マリア様がみてる」もこちらのタイプに該当します。
ここ最近の作品だと、有名かつ顕著なのはやはり、タイトルからして明らかな「ゆるゆり」。他に話題になったものとしては「桜Trick」「ストロベリー・パニック」「青い花」、部分的にですが「クズの本懐」などが挙げられます。
女性キャラクター同士の告白シーンやキスシーンが盛り込まれ、誰が見ても必ず恋愛であると認めざるを得ないような描写がなされているのがタイプAの特徴。ゆえにこちらの場合は、百合アニメかそうでないかという議論は発生しません。

タイプB:明確に恋愛ではないが女性同士の深い絆を描くもの

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一方、明確に恋愛であると一概には言いにくいけれども、女性同士の友情・友愛・深い絆が描かれ、結果的に女性キャラクター同士が寄り添う描写がなされるものもあります。これはタイプBとしておきましょう。
こちらのほうが当然数が多く、「響け!ユーフォニアム」や「ご注文はうさぎですか?」、「艦隊これくしょん -艦これ-」や「とある科学の超電磁砲」など、挙げればキリがありません。
共通項としては、女性が女性を慕う描写や、手を繋ぐ、抱き合うといった描写はあれども、タイプAのような過激な描写は盛り込まれない点。こうした描写を百合と呼ぶかどうかによって視聴者の間で意見が分かれることが多々あります。

「終末のイゼッタ」はタイプBに該当

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ここで改めて「終末のイゼッタ」を考えると、確かにフィーネとイゼッタは互いに互いを大事に思っているようですが、そこにあるのはあくまで友愛。明らかな恋愛は描かれません。つまり、「終末のイゼッタはタイプBに含まれることになります。
百合という言葉の定義が甘いために、女性キャラクター同士がほんの少しでも絡んでいれば百合アニメとする人から、明確な恋愛描写がないと百合アニメではないとする人までさまざまで、この曖昧さこそが意見の相違の原因になっているんですね。
主張が重複しますが、やはりここで言いたいのも、多角的な視点を確保するのが大事だということ。百合アニメであるかどうかはあくまで個々人で定義するに留め、それを意見の異なる相手に押し付けないことが大切です。

好きも嫌いもまずは「終末のイゼッタ」を観てから!

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戦争モノは例外なく嫌だとか、百合描写は絶対見たくないとか、そういう明確な判断基準がある人にまで押し付けるつもりはありませんが、基本的にはアニメの好き嫌いを観る前から判断するのはもったいないのではないかと筆者は思っています。事実、嫌々観始めたのに最終的には気に入ったというアニメもいくつかあります。
もちろん、全部観た結果として嫌いというのであればそれはそれで全然構いません。ご紹介してきたようにさまざまな視点から賛否両論が分かれる「終末のイゼッタ」ですが、もし未視聴という人がいれば是非観ていただき、ご自身の目でその物語や描写を確認し、それから好き嫌いを判断しても遅くはないのではないでしょうか。
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