【結末ネタバレ】映画『悪の教典』完全ストーリーまとめ!

毎回独特のユーモラスと世界観で観客を魅了する映画監督・三池崇史さん。今回は三池さんの作品の一つで、俳優・伊藤英明さんがサイコパスな主人公を演じることでも話題となった映画『悪の教典』のストーリーを余すことなくご紹介していきます。

トラウマ級ホラーミステリー!?映画『悪の教典』とは?

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2012年11月10日に公開されたホラー映画『悪の教典』。監督を務めたのは『着信アリ』や『クローズZERO』などの有名な作品を多く世に出してきた三池崇史さん。主演は『海猿』シリーズの代名詞とも呼べる肉体派俳優・伊藤英明さんです。
舞台はごく普通の私立高校。そこに務める伊藤英明さん演じる英語教師・蓮実聖司はルックスの良さと明るさで生徒や教師から絶大な人気を誇っていました。しかし、実は共感性が欠如したサイコパスという裏の顔を持っていたのです。そのため彼は問題解決のために、裏で巧妙な細工と犯罪を重ねていました。
これまでは『海猿』での正義感溢れる印象があった伊藤英明さん。それを覆す役柄ということで一時期話題になりました。今回は映画『悪の教典』の物語を大きく5つに分けて解説を交えながら紹介いたしましょう。

物語1:カンニングは許さない。蓮実聖司の教育的指導

蓮実聖司の務める高校ではテストでの集団カンニングが深刻視されていました。蓮実聖司は携帯を使ったメール等のやり取りでテスト問題の答えを教えあっていると推測し、職員会議でとある提案をします。それは限定的な妨害電波を使用しテストが行われる時間だけ携帯を圏外にする方法でした。しかし、それは電波法という法律に引っかかる可能性があるということから却下。結局テストの際に携帯を預かるという形になりました。
そうして行われたテスト当日。カンニングの主犯である染谷将太さん演じる早水圭介と共犯のカンニンググループは携帯を取り上げられることを予期し、用意していたもう一つの携帯でいつも通り答えを教えあいます。しかし、携帯の電波はなぜか圏外となっており、結局カンニングは失敗に終わりました。そう。実は蓮実聖司は一度却下されたはずの妨害電波を秘密裏に流していたのです。

テスト中自分たちの携帯に起こった異変から妨害電波が出ていたと推測する早水圭介。そのことから吹越満さんが役を務めたアマチュア無線部顧問の釣井教諭に疑いの矛先を向けます。しかし影で早水圭介の推理を聞いていた釣井教諭は容疑を否認。早水圭介は担任である釣井教諭を通じて蓮実聖司に疑念を抱くようになっていきます。釣井教諭はそんな彼に蓮実に関する情報を開示するようになり、いつしか一種の協力関係を結びます。恐らく最も早くより詳しく蓮実聖司に辿り着いたのはこの二人でしょう。

ココがすごい!蓮実聖司と早水・釣井ペアの攻防

ここの場面で最も見応えがある部分と言えばやはり彼らの攻防でしょうね。早水圭介の推理力。並の高校生はあそこまで頭は働きません。そして、彼に助言という形で蓮実聖司のこれまでの経歴や過去を話す釣井教諭の情報網。蓮実聖司について調べるシーンでは、自宅にて資料と思しき書籍を片手にパソコンを操作したり、学校内でも密かに情報を得たりしていたので彼に対する執着の異常さがうかがえます。
ですが一足遅かった。蓮実はすでに学校中に盗聴器を仕掛けられおり、早水圭介と釣井教諭の会話は筒抜け。蓮実聖司は釣井教諭を自殺に見せかけて殺害。早水圭介もカンニングの件と釣井教諭から得た情報について尋問された挙句殺害されます。ただ、早水圭介は一部の友人たちに蓮実聖司が怪しいと示唆していたのですが、そのことに関しては黙秘し続けました。

物語2:蓮実聖司は正義の味方?悪徳教師から女子生徒を救え!

映画『悪の教典』に出てくる悪人は決して蓮実聖司だけではありません。ある日生徒からのタレコミで彼が受け持つクラスの女子生徒が、山田孝之さん演じる体育教師からセクハラを受けている可能性があることが発覚します。
被害者の女子生徒に確認を取ったところ、なんでも万引きをしているところを見られ、黙認することを条件に脅され言うことを聞いているとのことでした。蓮実聖司は問題解決のためその女子生徒とともに万引きしたお店に謝りに行き、もう脅しは通用しないこととこのままだとそちら側が罪に問われる旨のメールを体育教師宛てに送らせました。
映画でははっきりと描かれていませんでしたが、恐らく問題は解決しそれ以降セクハラも行われていないようです。なんにせよ生徒の模範たる教師がそんなことをしていては目も当てられませんね。

垣間見える『悪の教典』の魅力

しかしこれだけ見ると蓮実聖司はなんて良い先生なのでしょう。まさに教師の鑑です。映画『悪の教典』には彼以外にもこのような悪徳教師も登場するため、蓮実聖司が自分のために行ったことでもそれが良い方向に向かえば視聴者は自然と蓮実聖司という人間に魅了され、惑わされてしまいます。『悪の教典』はそういった部分も高く評価される要因の一つだと思われます。
ですが彼が救った女子生徒はこれがきっかけで蓮実聖司に恋をして、結局教師と生徒の関係を踏み越えてしまいます。彼女のことを素直に受け入れるところを見るとやはり蓮実聖司の行動は自己中心的なものだと分かりますね。でも蓮実聖司のことを決して知ろうとしてはいけない。それを知らない女子生徒もまた彼の裏の顔に気付きだし、のちに起こる大きな事件の最初の犠牲者となってしまいます。

物語3:クレーマー保護者VS蓮実聖司!

どれだけ人望があり親御さんから気に入られていたとしても教師は教師。中にはそんな教師のことや学校が気に入らない人もいるでしょう。蓮実聖司もその例外ではなく、いわゆるモンスターペアレントと呼ばれる存在に悩まされていました。
滝藤賢一さんが演じる女子生徒の父親は自分の娘がイジメにあっていると思い込み、ことあるごとに学校に怒鳴り込んでいました。担当クラスの教師である蓮実はその都度対応し、何度も「イジメはない」と説明していました。
しかしある夜、自宅の火災により偶然自宅にはいなかった娘である女子生徒を除く家族とともに父親は亡くなってしまいます。警察の話によると出火原因は父親本人のタバコの不始末。ただ不審なことに家の周りに設置されていた猫除けのペットボトルの中身が灯油にすり替えられていたようなのです・・・。

ストレスの元凶も自分の敵。蓮実聖司の恐るべき犯行!

お気づきかもしれませんが、この火災も蓮実聖司の犯行です。彼は毎朝のジョギングの際、その女子生徒の家の前を通ってよく観察していました。そして家を囲むように猫除けのペットボトルが置かれているのと、その周りにたくさんのタバコの吸い殻があることに気付きます。女子生徒の父親は怒鳴り込んでくる際いつもタバコを吸っていたので彼のものだとすぐに分かりました。
映画では蓮実の犯行であることを示唆するようにしか描いていませんが、恐らく蓮実は気付かれないようにペットボトルの中身を灯油に少しずつ入れ替えたのでしょう。そうして父親の不始末によって残ったタバコの火が灯油に引火し、炎上。そこまで計算したうえでの犯行だったのでしょう。邪魔者を排除するためにそこまで考えうる蓮実聖司は実に恐ろしい人物だと改めて痛感させられます。

物語4:使えるものは全て使う。蓮実流脅しのテクニック

映画『悪の教典』である意味最もかわいそうだったとすれば、恐らく平岳大さん演じる美術教師でしょうか?彼はいわゆる同性愛者で、林遣都さんが役を務めた同じく同性愛者である男子学生と不適切な関係を結んでいました。
そのことを仕掛けていた盗聴器で知った蓮実聖司は、「あなたの人生は私の手の中にある」と美術教師に告げ、自分のことを棚に上げて脅します。それによって彼の車や自宅を拝借し、恋愛関係にある女子生徒と密会を重ねる蓮実聖司。映画では美術教師の自宅にあるものを自由に使いこなし、その図々しさに感心させられます。
男子生徒と不純な関係を持っていた美術教師も美術教師ですが、そのことを迷いなく利用し、自分の手のうちは一切見せない蓮実聖司の狡猾さ。味方になれば心強いですが、間違っても敵には回したくない人物ですね。

物語5:地獄と化す。学園祭前の一夜・・・

そして訪れるこの映画のメインストーリー。学園祭前のとある一夜。蓮実聖司のクラスの生徒は出し物であるお化け屋敷の準備で学校に集まっていました。まさに青春ですね。そんな折、蓮実聖司は付き合っている女子生徒を屋上に呼び出していました。
呼び出された理由が分からない女子生徒。彼女は少し蓮実聖司と会話を交わした後、突然彼に砂の入ったビニール袋で頭を殴打されます。蓮実聖司はついに自分を探り始めていた彼女の排除に動き出したのです。
頭に強い衝撃を受けた女子生徒は身動きが取れません。その間に彼女の靴を奪い、前もって作っておいた偽物の遺書と一緒に床に置きました。遺書には女子生徒がセクハラを苦にして自殺に至ったことが記されていました。そして蓮実聖司は何の迷いもなく女子生徒を抱えると屋上からそれを落としたのです。

それで終わりのはずでした。が、なんと呼び出した女子生徒の後を別の生徒がつけていたのです。その生徒と屋上で鉢合わせになった蓮実。生徒は蓮実が残した自殺の痕跡に気付き、蓮実は咄嗟にその生徒の首を折って殺害してしまいます。予定外の殺人でした。ですが蓮実は取り乱すことなく考えました。そして一つの答えに辿り着きます。今学校にいる教師、生徒全員を殺害して証拠を隠蔽しよう、と・・・。
まず最初に男子生徒と不純な関係を持っていた美術教師を呼び出しました。蓮実は「生徒との恋愛を反対され、それに逆上しての犯行」という形で全ての罪を美術教師に擦り付けることにしたのです。あとはとても単純。出席をとるように生徒たちを殺害していくだけ。蓮実は美術教師が学校に到着する前に一度自宅に戻り、猟銃とその他の準備を整えました。

ついに本性を見せる蓮実聖司!

学校に到着した美術教師を職員室で拘束した蓮実。それから猟銃片手にまず一階にいた生徒と宿直の教師を殺害しました。銃声は蓮実のクラスの生徒の耳にまで響き、不安を募らせます。すると校内放送で蓮実は「猟銃を所持した不審者が侵入した」と嘘をつき、生徒たちを屋上へと誘導しました。この時すでに蓮実は妨害電波を発しており携帯による外との連絡が不可能となっています。
生徒たちは、指示に従う者、その場にとどまる者、学校備え付けの電話で助けを求めに行く者の大きく3つに分裂。蓮実はまず下の階に来た電話組を片付けました。次に屋上に逃げようとするも外への扉が開かず立ち往生する者たちをまとめて。続いて校内を徘徊し孤立した生徒を一人ずつ。そして校内の一部に火をつけ、逃げ場をなくした生徒を次々と容赦なく殺害していきました。

惨劇の終わり。衝撃の結末・・・

生徒たちを始末した蓮実は拘束している美術教師を自殺に見せかけて殺害。自らも被害者であるように見せるため机などに頭をぶつけて怪我をし、床に寝転がって事件の発覚と終息を待ちました。それと同時期に学校から密かに抜け出し、通りすがりの人に助けを求めた生徒により呼ばれた警察が学校に到着。シナリオ通りにいけば蓮実は被害者として片づけられるはずでした。
しかしあの惨劇を生き抜いた生存者が2名いたのです。でも決して焦らない蓮実はあくまでも被害者を演じ続けます。生存者のうち1人は激昂。ですがいくら事件を体験し、言葉に表しても蓮実の犯行という確たる証拠にはなりません。決定的な証拠となったのは保健室に置かれているAEDの録音機能。偶然それが作動し事件の一部分を録音しており、結局蓮実は逮捕され事件は終息しました。

一番怖いのは、やはり人間だった・・・

いかがでしたでしょうか?筆者である私が思うに、これほどまでに現実味を帯びたホラー映画はそうそうないと思います。幽霊や超常現象などは結局空想の域を脱することが難しく、どうしても現実味に欠けてしまいます。しかし人間の場合は実在しているため幽霊などに比べれば現実味があります。伊藤英明さんの演技も長けているせいか、映画の蓮実聖司には不気味な生々しさがありました。
特にゾッとさせられたのはラストシーンでの蓮実聖司の行動。彼は40人近くの人間を殺害しておいて、「あれは神からの命令だった。クラスの生徒は一人残らず悪魔にとり憑かれていた」と言い始めたのです。ですがこの行動すらも計算の一つ。蓮実聖司は心神喪失による減刑を狙っていました。そう。彼の中ではもう次のゲームが始まっていたのです。

このような物語を描く原作者・貴志祐介さんにも驚愕ですが、それを映画化しようとする三池崇史さんもある意味恐ろしい。でも三池さんだからこそ映像化できたといえるかもしれません。この映画のシーンでオススメするとすれば、生徒を銃殺していくシーンで、東大を目指している生徒に「東大、行かないと・・・」と呟かれた時、「ん?to dⅰeトゥ ダイ)?」と蓮実聖司が返し、その生徒を殺害する場面です。シリアスにマッチするブラックジョークに思わず笑ってしまいました。
そのシーンも含めて、興味のある方はぜひ映画『悪の教典』をご覧になってはいかがでしょうか?この学園祭前の惨劇の前日譚が描かれたスペシャルドラマ『悪の教典 序章』も見ていただければ、映画をより一層楽しむことができるとか思います。
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