映画「パンズ・ラビリンス」あらすじ&結末ネタバレ!悲壮なラストはトラウマor感動?

ダークファンタジー映画『パンズ・ラビリンス』。日本公開時のポスターから夢のようなファンタジーを想定した方も多いのではないでしょうか。そんな『パンズ・ラビリンス』のネタバレストーリー紹介で、深く心に残るトラウマものの実態に迫ります。

映画『パンズ・ラビリンス』ってどんな作品?

ダークファンタジーとして名高い『パンズ・ラビリンス』は、アカデミー賞をはじめとし、67もの賞を受賞した人気作です。

監督・脚本を務めたのは、ギレルモ・デル・トロ。『パシフィック・リム』ではロボット好きにはたまらない熱い作品を生み出しましたが、やはり監督の神髄は『パンズ・ラビリンス』や『ダーク・フェアリー』のようなダークファンタジーではないでしょうか。

日本でのポスターイメージは、明るい神殿のような舞台の真ん中に立ち微笑む少女の姿が描かれています。このイメージから映画を見た観客からは、当時「騙された……」「ファンタジーだと思ったらとんだトラウマ作品だった」等の声が多く上がりました。いったいどういったストーリーなのか?気になるけれど見るのが怖いといった方のために、ネタバレ満載でストーリーを紹介します!

『パンズ・ラビリンス』ストーリーネタバレ①

母の再婚、激化する内戦。憂鬱で残酷な世界に現れた守護神パン

血を流す少女、悲しげに響くメロディ。開始早々、この映画はポスターからイメージできる心躍るファンタジーではないと観客に突きつけます。この少女こそ『パンズ・ラビリンス』の主人公オフェリア。地下の王国から地上へと飛び出した王女の物語へとシーンは流れ、そのまま母と共に車に揺られながら本を抱くオフェリアへ。冒頭より過去の物語が始まります。

オフェリアの母は体が弱いながらも子を身ごもっており、それは新しい父・独裁政権軍のヴィダル大尉との間の子だという事がこのシーンでは語られます。具合が悪いと車を止めさせる母。オフェリアは不安げながらも、見知らぬ土地への興味から周辺を軽く探索します。そこで見つけた石像は、異形の化物のような造形をしていました。

不穏な空気が蔓延する新生活は、ゲリラとの内戦の最中にある制圧基地で始まります。医者は母に眠り薬を処方し、家政婦メルセデスと何かを隠すように会話を交わします。

夜、眠れずにいるオフェリアの元に現れるのは大きなナナフシ。森の中で見かけた姿に「あなた妖精?」と語りかけると、物語上の妖精の姿を見せるオフェリアに応えるように姿を変えて見せます。妖精は不思議な模様が刻まれた岩壁の奥、迷宮の中へとオフェリアを導きます。

そこで待ち受けるのは守護神パン。オフェリアを魔法の国の王女と呼び、「ただの人間になっていないか確かめたい、満月までに3つの試練を与える」と告げ、何も書かれていない本と石を渡して姿を消すのでした。

『パンズ・ラビリンス』ストーリーネタバレ②

魔法の王国に戻るための三つの試練

晩餐会の準備に追われる人々を他所に、オフェリアは一人風呂場に隠した本を開きます。白いページにじわじわと浮かび上がる文字で、最初の試練を知るオフェリア。母が用意した手縫いのドレスを着るオフェリアをメルセデスは姉のように可愛がりますが、妖精やパンの話を信じることはありません。

オフェリアに与えられた第一の試練は、大蛙に魔法の石を食べさせ、腹から黄金の鍵を取り出す事でした。ドレスだけは汚さないようにと、大切に枝にかけ、木の根へと進みます。

一方、煙を見つけ馬を走らせるヴィダル大尉率いる軍隊は、焚火痕に見つけた抗生物質により、ゲリラに手を貸す人物がいる事に勘付きます。制圧を宣言し、立ち去る背を隠れていたゲリラ達は見つめています。

奥へと進んだ木の根元には、オフェリアを丸のみ出来そうな程の大蛙が。怯む事なく、木が枯れるのも厭わずに太り続けていくのは恥ずかしくないの、と問うオフェリアは自らをモアナ王女と名乗ります。「これが食べたいんでしょ」と、泥を這う虫と魔法の石をひとまとめにして突き出した物をまんまと一飲みにした蛙は、内臓と鍵を吐き出して萎んでしまいました。試練を果たしふらつきながら外へと戻ったオフェリアを待つのは、地面に落ち酷く汚れたドレスでした。

晩餐会の最中、一人現場を離れるメルセデス。泥だらけのオフェリアの姿に、母は新生活に協力的ではない、父も同じ気持ちだと怒りをぶつけます。それでもオフェリアは試練を果たした事を妖精へと告げ、満足気にほほ笑むのでした。

『パンズ・ラビリンス』ストーリーネタバレ③

誘惑に負け、迫る怪物!試練の行方は?

試練を果たした事を喜ぶパンから、オフェリアは魔法のチョークを受け取ります。日に日に悪化する母の体調を案じ、これからどうなるの、と一人本に尋ねると、血のような赤でみるみると染まる本。途端、助けを呼ぶ声に駆け付けると、そこには大量の血を流し呻く母の姿が。ショックを受けたオフェリアは、子を産む行為に怯えます。そっと寄り添うメルセデスに「ゲリラを助けているでしょ」と囁くオフェリア。「誰にも話してない、貴女の事が心配なの」と甘えるオフェリアをメルセデスは優しく抱きしめます。

ゲリラを助けていた内通者は、メルセデスと軍医でした。ゲリラで戦う弟を救うため、立場を利用して物資を届け、傷を治し、彼らを陰ながら支えていたのです。

向かう第二の試練は砂時計が落ちる前に化物の部屋から短剣を持ち出すというもので、そこでは何も口にはするな、と忠告があります。チョークで描いた扉を開くと、ご馳走が並ぶ部屋が現れます。静かに座る、皿に目玉を乗せた怪物に警戒しながらも、妖精の導きであっけなく短剣を手に入れる事が出来ました。

しかし、魔法の力か意思の弱さか、オフェリアは引き寄せられるように果物を頬張ってしまいます。途端、動き出す怪物。オフェリアを守ろうと立ちはだかる妖精は食い千切られ、オフェリアは迫りくる怪物から逃げますが、残り時間を示す砂時計は全て落ち切り、扉は閉じてしまいます。チョークで新たな扉を作り出す事により、ギリギリで逃げ切ることができました。

『パンズ・ラビリンス』ストーリーネタバレ④

母の死、襲い掛かるゲリラ。物語は佳境へ

パンに教えられた呪術により、母の体調は安定を見せますが、「もしもの時は息子を救え」と言う大尉に傷付くオフェリアは、眠る母の腹に話しかけます。「生まれてくる時はママを苦しめないで。言う通りにしてくれたら王国の王子様にしてあげる、約束するわ」と。悲しい出来事が多い世界を生きるオフェリアに取って、王国の存在は救いとなっているのでした。

そんな中、貯蔵庫を狙ったゲリラの攻撃が制圧基地を襲います。激しい撃ち合いに次々と倒れるゲリラ勢。自白のためゲリラの一人が捉えられてしまいます。弟の生き残りを信じ駆け付けるメルセデスでしたが、捉えられたのは弟ではなく吃音の男でした。

眠るオフェリアの元を訪れるパン。第二の試練の際、掟を守らずに妖精を失った事実をオフェリアは「あれは事故だった」と弁解しますが、生き残った妖精によりパンはそれがだと知ります。試練に負けた、もう王国へは戻れないと激昂するパン。希望としていた王国への道が閉ざされた事でオフェリアは深く絶望します。

一方、苦しい拷問を受けた男を救うため、軍医は安楽死の注射を打ちその命を終わらせます。ゲリラの野営に残されていた抗生物質と同じ瓶を軍医が持っている事を知ったヴィダルは、内通者が軍医と知り「従う方が身のための筈なのに」と軍医に尋ねます。「何も疑問に思わずに従うのは、あんたのような人間にしか出来ない」と言い残し、去ろうとする軍医をヴィダルは撃ち殺します。

パンに教えられた呪術は、母のベッドの下にマンドラゴラを隠し、ミルクと自らの血を捧げるというものでした。儀式の途中、ベッドの下に潜むオフェリアに気付いたヴィダルは理解出来ない行為をして見せるオフェリアに怒りを見せます。それはまた母も同じで、「子どもじゃないのよ、人生はお伽話ではなく残酷なの」と、マンドラゴラを火にくべてしまいます。「魔法なんて存在しない、貴女にも私にも存在しない!」と叫ぶ母は、オフェリアと同じく救いを求めながらも魔法を信じる心は既に無くしていたのかもしれません。火の中で叫ぶマンドラゴラと同調するよう、母はその場に崩れ落ちてしまいます。

取り出された子は無事でしたが、母はオフェリアの願いも届かずに、その命を落としてしまいました。

『パンズ・ラビリンス』ストーリーネタバレ⑤

王国への扉を開く最後の試練。オフェリアが選ぶ道は?

もう一人の内通者メルセデスは危険を感じ逃亡を図ります。一緒に連れていってと縋るオフェリア。共に雨の中逃げ出そうとしますが、すぐに捕まり、オフェリアは自室へと閉じ込められてしまいます。「侵入者が来たらこいつを殺せ」と慈悲もなく言い放つヴィダルに、家族への愛はありません。拷問部屋へと捉えられたメルセデスは、隙をつきヴィダルの顔を切り裂いて今度こそ逃げ出しますが、あっという間に追い詰められてしまいます。諦めかけたその時、弟を含む生き残りのゲリラ達に間一髪助けられます。

部屋の中で泣き崩れるオフェリアの元に再びパンが現れます。「最後のチャンスです、何も尋ねずに従えますか」と確認をし、弟を連れて迷宮を訪れる事を命じるのでした。

ヴィダルの寝室へ忍び込み、オフェリアは母の睡眠薬をヴィダルの酒に注ぎ込みます。気付かず煽り呑むヴィダルに隠れ、そっと弟を抱くオフェリア。その時、爆発音に振り返ったヴィダルは息子を抱いて逃げるオフェリアの姿を捉えました。

よろつき発砲する大尉から逃げ切った迷宮の奥、オフェリアを待ち受けるパンはナイフを手に弟の血を捧げろと告げます。一滴だけだ、時間が無いと焦るパン。傷を負いながらも追いついた大尉は、一人何も無い場所へ向かって喋るオフェリアを見つけます。拒むオフェリアにパンは「貴女の母上の命を奪った、何も知らない弟の為に王の権利を手放すのか」と詰め寄りますが、それでもオフェリアは拒み続けます。「王女様の御心のままに」と今度こそパンは姿を消してしまいました。

息子を奪うヴィダル。ダメよ、と尚も弟を守ろうとするオフェリアを銃声が撃ち抜きます。そうして迷宮から出たヴィダルを待ち受けるのは、基地を制圧したゲリラ達でした。最期を悟り、メルセデスに息子を託すヴィダル。メルセデスの放つ銃によって、ゲリラ勢はようやくヴィダルから勝利を得る事が出来ました。

メルセデスは、赤ん坊を抱いたままオフェリアの元へ駆け付けますが、オフェリアは既に虫の息です。ふ、と光と優しい声がオフェリアを包み、気が付けば光り輝く神殿に立つオフェリア。本当の試練は無垢なる者のために血を流す事だったと、両親、それにパンから告げられます。

それらが全て夢であるかのように、現実で静かに息絶えるオフェリア。しかし、枯れたイチヂクの木からは一輪の花が確かに芽吹くのでした。

王国へと救いを求めた少女。それは夢か、現実か。


『パンズ・ラビリンス』は、その衝撃的なラストから、さまざまな捉え方が出来る作品です。

パンを筆頭としたファンタジーな出来事は、母やメルセデスの言う通り、物語でしか無いのかもしれません。その場合、ラストシーンはオフェリアの最後の心の防衛手段と見る事も出来ます。また、ファンタジーな出来事も全て実際に起こった事だと仮定した場合、人間の体から解き放たれる事により、ようやく魔法の国に戻る事が出来たと考える事も出来ます。

いずれにせよ、オフェリアにとって現実は苦しく生きるには辛い事ばかりで、王国の存在がオフェリアの心を支えていたのは事実です。こうして作品を見終わった後にも考察を楽しめる作品なので、まだ見ていないという方は是非ご覧になった上で、オフェリアに起こった出来事について考えてみてはいかがでしょうか。