【結末ネタバレ】漫画『軍鶏』 完全ストーリーまとめ!

格闘技漫画である「軍鶏」は、「人間の性は悪なり」というテーマで日本の格闘技界や、人間の心の闇を描いたバイオレンスアクションでもあります。そんな軍鶏の主人公「成嶋亮」の単行本全34巻に渡るダークサイドな人生ストーリーを完全ネタバレで解説します!

『軍鶏』ってどんな作品?

人間の闇を描いた格闘漫画

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漫画の「軍鶏」(しゃも)は、「たなか亜希夫」先生の作品です。格闘漫画である本作は、例えば相手を内部から破裂させたり、地球を破壊したりといった荒唐無稽な技などは登場せずに、ひたすらにリアルな戦いを描いています。
しかしこの軍鶏が、他の格闘漫画と一線を画する部分は他にあります。両親を殺害した少年犯罪者を主役に据え、「人間の性は悪なり」ということをテーマに、ひたすら人間の闇を描いている部分です。

昭和の格闘漫画「カラテ地獄変」へのオマージュ

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「性悪説」自体はもともとは荀子が説いたものであり、本来の意味は全く違うのですが、この軍鶏における「人間の性は悪なり」とは、昭和の時代に描かれた漫画「カラテ地獄変」へのオマージュであろうと思います。
「カラテ地獄変シリーズ」は、梶原一騎氏が原作で、中城健氏が描いた空手漫画ですが、エログロありのサディスティックでバイオレンスな内容で、私も中学生の頃に読んでいましたが、エロというより怖かったのを覚えています。
記憶が正しければ、このカラテ地獄変シリーズ中の「牙」という主人公も獄中で空手の技を磨いていました。その作品全体に流れる「人間の性は悪なり」というテーマ。そして人間の闇を描いた暗く淀んだ世界観。

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これは正に「軍鶏」そのものであり、このことから軍鶏は、カラテ地獄変へのオマージュ作品なのであろうと考えることができます。
格闘技の技やスタイルなどを圧倒的な画力で描きながらも、そこに爽やかさは一片もなく、ただただ人間の暗部がある。それが「軍鶏」という格闘漫画であり、「軍鶏」の魅力でもあります。
※原作は橋本以蔵先生ですが、単行本26巻以降は先生の名はクレジットから外されています。

『軍鶏』 ストーリーネタバレ1 主人公は両親を殺害した少年A

少年院で空手と出会うリョウ

物語のはじまりは、16歳の夏。鯵が崎高等少年院へと送られてきた罪を犯した少年たち。その中に他の不良少年たちとは一見して人種が違うと思われる気弱そうな少年がいた。
その少年こそが「成嶋亮(なるしまりょう)」。ナイフで両親を滅多刺しにして殺害した少年Aであった。この気弱で、見るからに貧弱で華奢な体格のリョウは、少年院の先輩たちの情欲を誘い、男たちに犯されてしまう。
その後、相手の陰部を噛み切ったものの、少年たちのリョウへの執拗なイジメは続き、また少年院の所長をはじめ、先生たちもリョウの味方ではなかった。

闇の中で絶望するリョウの前に、ある日ひとりの男が現れる。それは体育の授業の時間であった。特別講師としてやって来たのは終身刑となっている囚人「黒川健児」。
彼こそは、かつて「鬼の黒川」と恐れられた番竜会空手の達人。この黒川との出会いこそが、リョウと空手の出会いでもあった。

ただひたすら牙を研ぐ

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相変わらず続く先輩たちや先生のリョウへのイジメ。しかし黒川の空手に魅せられたリョウは、心を殺されないために、強くなるために、ただひたすら修練を積んだ。
独房の中で、懲罰房の中で、ただひたすらに空手の技を繰り返し、ひたすら牙を研いだ。そして遂には、気弱そうで頼りなさげな少年だったリョウは、少年院の影の番長とも言える「金明勲」を死闘の果てに倒す。

『軍鶏』 ストーリーネタバレ2 番竜会空手との激闘

裏社会で生きるリョウ

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少年院を出所したリョウは、新宿にその身を置いていた。男娼として金で女に買われ、一方で身につけた空手の技で暴力に明け暮れ、完全に裏社会の住人として生きていた。
そんな時に、リョウは番竜会空手の王者である「菅原直人」の姿をテレビで見かける。そこにあったのは、スポットライトと喝采を浴び、輝かしいばかりの世界にいる空手家の姿であった。
少年院の闇の中で生き抜くために身に付けた自分の空手と、現代のショービジネスとして洗練されたスポーツとしての空手に、リョウは衝撃を受け、同時に憎悪を向けるようになる。

表舞台へと上がる元少年A

そんな元少年Aであるリョウに目を付け、番竜会空手王者の菅原との対極する二人の対決を目論んだ者がいた。格闘技大会「リーサルファイト」をプロデュースした「神尾陽子」である。
その神尾のはからいで脚本家の「岡原」が動き、リョウは番竜会空手との対決を決意。番竜会のオープントーナメントに出場することとなった。
リョウ自身の強さもさることながら、対戦相手のプライベートな弱みなどにつけ込む卑怯な戦い方で、リョウは軽量級での優勝を果たす。こうして元少年Aは表舞台へとその姿を表したのであった。

番竜会との戦いリーサルファイト

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公に菅原へと挑戦状を叩きつけるリョウサイドであったが、番竜会側も菅原もそれを無視。その苛立ちと、菅原に対する嫉妬や憎悪から、リョウは菅原の恋人であるタレントの船戸萌美を襲い暴行してしまう。
萌美から「成嶋リョウを殺して」と懇願された菅原は、番竜会が主催するリーサルファイトが行われる東京ドームのメインのリングで、リョウを叩き潰すことを館長である望月健介に告げた。
こうして、リョウは菅原とリーサルファイトで対戦することとなり、軽量級であるリョウは、重量級の菅原の破壊力に耐えるためにステロイド注射を繰り返して筋肉の鎧を纏い、ドームのリングへと上がったのであった。

空手家菅原からの果たし状

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最終ラウンドまで及ぶ激闘の末、残り8秒のところでリョウの左ストレートと菅原の右正拳がクロスし相打ちとなった。その一撃でリョウはスタンディングのまま失神。菅原がKOで試合を制した。
しかしその後、萌美は姿を消し失踪する。萌美の心を救うことができなかった菅原は、リョウとの真の決着をつけるために番竜会を辞し、リョウへ果たし状を出した。

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決着の場は廃寺。それは観客も誰もいない二人だけ、正にルール無用の死合。互いに血を流して傷を負い、激闘は続いたが、最後は菅原の武闘家としての一撃により、リョウは心拍停止となる。
その場を去る菅原。しかしその背後に意識がないままの状態でリョウが襲いかかった。その拳は菅原の脊髄部分を強打。二人はそのまま昏倒する。そして目覚めたリョウの前には、伏して微動だにしない菅原の姿。
この後、菅原は病院のベッドで寝たきりの状態となってしまう。そして二人の決着の真相は分からないまま、成嶋亮は人々の前から姿を消した・・・。

『軍鶏』 ストーリーネタバレ3 流れ着いた中国での敗北

対戦者の哀れな姿は自分

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日本から消えたリョウは中国にいた。秘密裡に行われている地下試合で「東洋鬼」と呼ばれ恐れられ、残虐な試合を繰り広げていた。そしてリングから下りれば、女に体を売る男娼として富裕層の婦人たちの間からも人気を得ていた。
リョウがそこまでして金を稼ぐのは全て妹である夏美のため。
リョウが両親を殺害した後に女一人で生き抜くために風俗嬢に身をやつして、今では薬のせいで廃人同然になっている妹。その妹の生活や介護にかかるお金を送るために、リョウは中国の裏社会で金を稼いでいるのであった。

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その地下試合で、リョウは犬のドーベルマンと戦わされている男を見る。それはかつてリョウと番竜会のリングで戦ったムエタイ王者である「ランガー・ゲッソムリット」の落ちぶれた姿であった。
リョウとの戦いで片目を失い、格闘家として使い物にならなくなったランガーはこの中国に流れ着き、観客に笑われ馬鹿にされながらも、それでも家族を養うために地下の賭け試合で犬と戦っていたのだった。
犬に噛みつかれ逃げ惑うその哀れな姿は、まるでリョウの行く末を暗示しているかのようでもあった。

中国拳法の神技を操る斉天大聖

地下試合で無敵を誇っていたリョウの前に、ある日ひとりの男が立ちふさがった。片腕姿で中国京劇の仮面をかぶった男。「斉天大聖」と呼ばれるその男の名は「劉」
リョウの一方的な強さで試合の賭けが成立しなくなり、そのリョウを倒すために呼ばれた男が劉であった。中国の裏社会でその名を知られた劉が使う中国拳法は正に神技。その圧倒的な強さと常人離れした身体能力の前に、まるで赤子のごとくあしらわれるリョウ。
そこに助けに入ったのは、かつて劉の師匠であった陳という老師だった。

中国拳法の奥義「発勁」

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老師の助けでその場は事なきを得たリョウだが、斉天大聖を倒すために老師の下で修行をすることを誓い、老師の後について人里離れた深い々々山の中へと旅立った。
陳老師は、自分が育てた劉が悪の道に入ったことを憂い、片を付けるために里に降りて地下試合の場に表れたのだが、そこでリョウと出会い、老いた自分の代わりに劉を倒してもらうべくリョウに修行を許したのだ。
陳老師に育てられ、修行を積んでいた娘「燕」と共に修行を続けるリョウは、やがて中国拳法の奥義とも言える「発勁」を習得する。

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そんな折に、老師とのかつての因縁に決着をつけるために、斉天大聖が部下を引き連れて乗り込んできた。病んでいた陳老師は劉に惨殺されてしまう。そして燕もまた追い詰められ自決してその若き命を散らした。
発勁を体得したとはいうものの、斉天大聖との圧倒的な実力差に苦戦を強いられるリョウ。しかしその一撃が劉の仮面をとらえた。
割れた仮面の下からは、焼けただれた劉の醜い素顔が表れた。一瞬の隙を突かれた劉は、リョウの発勁をくらい喀血する。そして敗北を悟った劉は、切り立った高い深山の崖の上からその身を空に投げ、自ら命を絶った。

『軍鶏』 ストーリーネタバレ4 光と闇の戦いグランドクロス

輝ける天才ダンサー東馬

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時は遡り、物語の舞台は日本に戻る。
「高原東馬」は日本が世界に誇る天才バレエダンサー。東馬は実力があるだけではなく、優しき心と人を癒やす不思議な力を持っていた。
そんな東馬がある日、リョウと菅原のリーサルファイトの試合をテレビで目撃する。その日から東馬には、まるで悪霊のようにリョウの幻影が付きまとうようになっていた。

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次第にリョウに興味を持ち、闇の中に埋もれて苦しんでいるリョウを救いたいと考えるようになった東馬は、リョウがいる闇の中へ降り立つ決意をする。そしてバレエを断つ意思の表示として自らの足首の腱をナイフで切り裂き、東馬はバレエとの決別を果たした。
若き実業家として成功していた東馬の腹違いの兄である「二階堂仁」は、格闘家としての東馬を育てるために、その財力と持てる限りのコネを使った。そして東馬の人柄に惹きつけられて集まってくる格闘家たちは、誰もが一線で活躍する名の通った男たちであった。

東馬の下に集った一流の格闘家たち

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「平成の三四郎」と呼ばれる日本柔道界の至宝「吉岡大吾」。サンボ世界選手権で三連覇、更に柔道世界選手権でも優勝したロシアのコマンドサンボの使い手、「ロシアの白虎」こと「イリューヒン・ヴァレリ」
決して表に出ることはなかった伝説とも言える日本の古武術「八紘流合気柔術」の若き当主「上杉静」。ブラジリアン柔道の大家の孫であり「最凶のおじいちゃん子」である「ファビオ・マルコス・サンシロオ」
この一流の格闘家たちが東馬を鍛え、その技を伝授し、共に戦うこととなった。

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東馬を中心とした新たなる格闘技団体を起ち上げた仁は、東馬とリョウとの戦いを実現するために、番竜会空手の館長である望月と会合し、リーサルファイトとの対抗戦を提案した。
しかもリーサルファイト側の大将役に成嶋亮を推したのだ。仁のその言葉に激昂した望月であったが、既にリーサルファイトの関係者やプロデューサーの神尾への根回しはできており、望月の意に反してリーサルファイトとの対抗戦は実現する運びとなる。

闇に生きる黒道着衆とリョウ

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吉岡大吾などの一流の名を目にした望月は、番竜会空手の危機を感じて番竜会創始者の「大東鉄心」の弟である「大東烈心」に助けを求める。ここで影から番竜会空手を支え、人知れず敵を闇に葬ってきた「影番竜空手黒道着衆」がその対抗戦へ出場することとなった。
その頃、リョウは新宿の歌舞伎町で、かつてのように女に体を売り、クラブ「シスル」の賭博試合で金を稼ぐ日々を送っていた。

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しかしある日、リョウはそのリング上で素人に打ちのめされダウンを喫してしまう。
その男は番竜会のオープントーナメントの決勝でリョウに破れ、空手の道を諦めた「板垣陽介」であった。こうして素人に敗北したリョウは、もはや試合に出ることはできず、妹のための金を稼げない状況に陥ってしまっていた。
そこで東亜テレビがプロデュースする優勝賞金300万円のワンデイトーナメントに出場することを計画する。

東馬の光とリョウの闇の対決

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あの少年Aである成嶋亮をトーナメントに出場させることに反対するプロデューサーも、謎の覆面空手家として出場する案には賛成し、こうしてワンデイトーナメントに出場が決まったリョウ。
決勝で当たった相手は、格闘技を始めたばかりでそれまでは引きこもりだった「久能真」。その久能が戦う理由は薬師如来を守るためという理解しがたいもの。
その不思議キャラで引きこもりの久能にリョウは苦戦し、辛くも勝利を手にするも、弱くなった自分に恐怖していた。そしてその後、望月館長から対抗戦への出場を要請されたリョウは、久能を短期間で鍛えた「天原寺ゴサク」のもとを訪れ、総合の技を磨いていく。
こうして東馬とリョウの戦いの場「グランドクロス」が開催されることとなった。

チームトーマとリーサルファイトの対抗戦グランドクロスは、激戦につぐ激戦で混迷を極め、いよいよ最終決戦となる東馬とリョウの戦いが幕を上げた。
そこでリョウが東馬のセコンドに見たのは、あの鬼の黒川こと黒川健児の姿であった。黒川は自分が生み出してしまった鬼の子を成仏させるため、東馬のコーチを務め、セコンドに立ったのだ。
一点の染みもなく、ただ屠ることができるのは東馬だけであると信じて。

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東馬は生まれてから一度も人を殴ったことがなく、戦いにおいても相手を殴ることができずに投技や組技のみを使っていた。しかしリョウとの激しい戦いの中で、ついに恐怖や憎しみでその拳を繰り出した。
一点の染みはアッという間に心を闇で覆い尽くす。黒川は東馬の変化を察知し、一人会場の外へと足を運ぶと、そこで血を吐き鬼の黒川は絶命した。
その頃、雷による停電で試合会場は暗闇に包まれ、その暗闇の中で二人は戦い続けていた。稲光に照らし出されたリング上ではリョウが倒れていたがレフリーは試合を中断。リョウは救急搬送され、東馬は精神を病み、グランドクロスは後味の悪さを残してその幕を閉じたのだった。

『軍鶏』 ストーリーネタバレ5 最凶の素人「どぶ組」

少年Aのひとときの安らぎ

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グランドクロスの戦いの後、リョウは妹のもとを訪れていた。
今まで妹の世話をしてくれていたのはリョウのかつての相棒であり親友とも言える藤吉公平。通称は「トーキチ」。リョウのために片腕を切り落とした経緯がある親友とも言うべき信頼できる男である。
そんなトーキチと妹とともに過ごして、束の間の休息を味わっていたリョウが偶然出会った捨て犬。その捨て犬が廃人同然だった妹の心を癒やし、妹の症状は安定し、犬は「ペロ」と名付けられた。

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トーキチとペロに妹を託し、東京へと戻ったリョウは、新宿の街中で「影筆」と称する画を売っている少女と出会う。その少女の名は「ワクイサキコ」。一本の線だけが描かれたその画は、サキコから見た人間の姿だという。
そんな風変わりな少女サキコはリョウに懐き、帰る場所がないと言ってリョウの部屋へ転がり込んできた。
そしてそのお礼にと朝食を作ろうとするサキコは、鍋を焦がしてあわや火事となる大惨事に、リョウは怒ってサキコを部屋から追い出す。しかし荷物を置いたまま取りに来ないサキコのことが気になり、リョウは新宿の街へ向かう。
そこには出会った時と同じ、大都会の中で一人ぽつりとしゃがみ込むサキコの姿があった。

恐るべき闇の便利屋兄弟

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再びリョウの家に訪れたサキコだが、高熱で倒れ、リョウが救急車を呼び病院に搬送した。そこに現れたのがサキコの父親。リョウに礼を言う父親は、一見して優しげな普通の父親であるが、サキコは父親に対して異常な恐怖心をあらわにしていた。
そして翌日、父親から逃げるために、嫌がるリョウを無理やり連れて長距離バスに乗り込んだサキコ。
父親はもぬけの殻になった病室を見て愕然とする。そしてリョウが、あの少年Aである成嶋亮だと気付き、サキコをリョウから取り戻すために、ある便利屋に依頼をした。
それがリョウの最後の相手となる「どぶ組」の二人である。

どぶ組は実の兄弟の二人組である。バカ兄弟とも呼ばれる一般常識とは、かけ離れた性格の二人は、死体の後始末なども請け負う完全にアンダーグラウンドの住人。普通の世界に暮らす人間が関わって良い存在ではなかった。
しかし、妄執に取り憑かれたサキコの父は、娘を成嶋亮から取り戻して欲しいとこの二人に依頼する。
相手があの成嶋亮だと知った兄は、リョウの強さを測るために弟に番竜会狩りをやらせることにした。兄の言うままに、番竜会空手の道場を持つ師範に喧嘩を売る弟。
弟は格闘技においては全くの素人。しかし生まれ備えた強靭さで師範の攻撃に耐え抜き、最後には車に跳ね飛ばされるも、歩いて帰っていったその姿は、正に人間離れした化け物。

そしてリョウのアパートで、リョウに襲いかかる弟。相変わらずのタフネスさでリョウの攻撃にも耐えるが、他の住人の目などもあり、ここでは一旦退却する。
その後、兄の提案によってリョウの妹を人質とすることに決めた二人は、夏美のもとへと向かった。
夏美をさらいに現れた二人の前にトーキチが銃を持って立ちふさがる。しかしそのトーキチも耳を削ぎ落とされ、腹を刺されてしまう。そこへ父親の元を去ったサキコとともにリョウがやって来た。これ以上の巻き添えが増えないように、リョウは二人と改めて対決することを約束し、兄弟も弟が銃で撃たれていることからそれに同意した。

そして廃墟となった工場跡でリョウとどぶ組の戦いが始まる。
弟はその手に巨大な斬馬刀を持ち武器としていた。リョウは鉄製のトンファーでそれを迎え撃つ。幾度となく打たれ、何度倒されても、いつも通りの展開で何度でも起き上がってくる不死身の弟。
そしてリョウと弟の二人が組み合った瞬間、兄が工場に仕掛けておいた爆弾を爆破した。
そのあまりの火力に自らも傷つき倒れた兄、そして弟の腹部には爆破によって折れた鉄柱が深々と突き刺さっていた。こうしてリョウとどぶ組の戦いは終わりを告げた。

少年Aの人生の最期

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工場跡から立ち去るリョウも瀕死の状態で、家に帰る途上の山中で力尽き倒れてしまった。それでもみんなが待つ家に帰ろうと這いつくばりながらも進むリョウ。やがて自らの死を悟ったリョウは、薄れ行く意識の中でこれまでの自分の人生を自問自答していた。
その頃、サキコと夏美、そして退院したトーキチが待つ家では、ペロが何かに気付いたように遠吠えを上げた。
リョウは人知れない山中で、ひとり孤独に野垂れ死んでいた・・・。

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そして季節は巡る。
山には雪が降り積もり、やがて雪は溶け春が訪れる。新緑がまばゆい夏となり、木の葉が色づく秋となる。そして再び静寂の死の冬が訪れ、生命が息吹く春になる。いつしかリョウの死骸は山の一部となり、衣服の残骸だけが、その痕跡を残しているだけであった。
そしてその傍らに、ひっそりと佇むように一本の植物がその芽を開いていた。

ダークサイドに生きた主人公の結末

主人公である成嶋亮は、両親を殺害してしまった重い罪を背負っています。ストーリーとしては、そんな少年Aがどのように罪を償い、更生し、人生を歩んでいくのか?という展開が一般的でしょう。
しかしこの成嶋亮は性的暴行や暴力行為などを繰り返し、悪の道から更生するような素振りは見られませんでした。
エンディングに関しては賛否も多い本作ですが、そんな主人公だからこそ辿った結末とも言えるこのラストの展開は、これはこれでダークサイドに生きた主人公の人生の哀れな末路として、アリなのではないでしょうか。
確かにラストに向かう行程でページ数を割きすぎて蛇足感がありますが、その辺は大人の事情があったのかもしれません。ということで、エンディングは賛否両論ありますが、この軍鶏は異色の格闘技漫画としてなかなかか面白い作品だと思います。
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