タイトルからは想像できないストーリーの映画「桐島、部活やめるってよ」。高校生の青春映画なんですが、大人が見ても感情移入してしまうストーリーです。映画のあらすじや逃してはならない見どころを解説します。
目次
朝井リョウ原作!映画『桐島、部活やめるってよ』とは
「桐島部活やめるってよ」鑑賞 282本目
登場人物が全員主人公で1人1人の物語が丁寧に描かれていて良かった!笑笑
マニアックな前田の演技に惹かれたなぁ笑笑
映画館出た後の前田と東原の2人の会話が本当に面白かった笑笑
本当に良い映画見れて良かった!笑
ラストやばいよ!笑笑 pic.twitter.com/8jlVRwJ55X— RYO (@1203Hollywood) 2017年8月15日
「桐島、部活やめるってよ」は、朝井リョウのデビュー小説です。処女作が映画化なんてすごい才能ですよね。その後も年に数冊出版し、「何者」も映画化されるという今をときめく作家の1人です。
タイトルから考えると主人公は桐島です。そう、神木隆之介さんが桐島役なんだなって普通は思いますよね。ところが桐島は登場しないんですよ。いつになったら登場するんだろうと思っていましたが、最後まで噂の人でした。
桐島を取り巻く人たちの話なんです。同じ高校の生徒が何人か登場するのですが、その中の誰の視点で見るかということなんです。桐島が部活をやめる理由も最後まで明かされませんが、そこがテーマのストーリーではないんですよね。
映画『桐島、部活やめるってよ』 ストーリー① バレー部のキャプテン桐島が部活をやめた?
みんなが進路に悩む頃、バレー部のキャプテンで成績優秀、みんなから一目置かれる桐島が部活をやめたという噂が、学校じゅうにひろがります。「桐島部活やめたんだって~!」と、あちらこちらではなしています。
原作を読んでいない私は、そんな桐島って誰がキャスティングされてるんだろう?って思いました。桐島が登場するのを心待ちにしてたんですが、最後まで出てこなかったですね。
でも、桐島が部活をやめることを誰も事前に知らなかったんです。桐島の彼女で学校一もてるといわれる梨沙(山本美月さん)も、何も聞いていなかったので、周りの人に「なんで桐島部活やめたの?」と聞かれても返答することが出来ずイラ立っていました。
明日はバレー部の試合なのに桐島がいない・・・
『桐島、部活やめるってよ』を今観るとカースト上位の女子4人組の内3人が、アニメオタク、アイドルオタク、映画オタクなのでなかなか映画に集中出来ない pic.twitter.com/hemuKIZBLh
— ハンス (@hans2230) 2017年7月31日
梨紗の親友・沙奈(松岡茉優さん)は、一生懸命梨紗をフォローします。華やかな梨沙、沙奈と一緒にいる地味めの実果(清水くるみさん)とかすみ(橋本愛さん)。こんな4人の構図も学生時代にはありがちでしたね。
桐島とは誰も連絡が付かず、バレー部員たちは「明日の試合はどうするんだ?」と大騒ぎです。副キャプテンの久保(鈴木伸之さん)は代役として風助(太賀さん)をメンバーにしますが、桐島の代わりを務められるとは思えません。
更に、桐島の親友・宏樹(東出昌大さん)も、桐島が部活をやめたことにショックを受けます。宏樹は野球部に所属しているものの幽霊部員。彼女は沙奈で、桐島と同様なんでもできる男子ですが、なんとなく満たされず何事にも冷めています。
映画『桐島、部活やめるってよ』ストーリー②通称:キミフケが映画甲子園の一次予選通過
映画『桐島、部活やめるってよ』予告編 動画はこちら⇒ https://t.co/Zsq7L6jymv pic.twitter.com/SJZ1OhD0AA
— 映画・アニメの予告 ※相互フォロー募集※ (@eigayokoku00) 2017年9月1日
映画部の監督を務める前田(神木隆之介さん)は、桐島とはほとんど接点がありません。前田は顧問の片山先生(岩井秀人さん)と部員との間に挟まれて悩んでいました。先生は自分が脚本を書いた「君よふけ、僕の熱い涙を(キミフケ)」が、映画甲子園の一次予選を通過した栄光が忘れられません。
次も”キミフケ”の続編を出品するつもりで、すでに脚本を書き始めています。ところが部員たちは、ゾンビ映画が撮りたいんです。前田が脚本を書いた「生徒会オブ・ザ・デッド」が撮りたいんですね。
この手の賞レースって先生が書いた脚本でいいんですね。脚本も生徒が書かなければいけないのかと思っていました。結局、先生の脚本を却下して「生徒会オブ・ザ・デッド」を取り始めます。
劇場で偶然かすみに会う前田
日曜日、マイナーな映画「鉄男」を観に行った前田は、映画館の中にかすみがいることに気が付いて驚きます。この手の映画は自分くらいしか見ないだろうな~と思っていたところに、同じ学校の子がいると驚きますよね。
映画館を出て、なんとなく二人はベンチに座ります。前田はかすみに缶ジュースを買ってあげるんですね。かすみは前田が座れるように、少し横に移動するんですが、前田は座らないんですよ。
というか座れないんですかね。立ったまま話す前田のドキドキが、こちらまで伝わってきそうです。どんな役をやっても神木さんは上手いですね。同じ趣味だと分かって、前田はかすみに対して親近感が湧いていて、すっかり好きになってしまっているのが分かります。
映画『桐島、部活やめるってよ』ストーリー③月曜日になっても学校に来ない桐島
シネマ速報 : 『桐島、部活やめるってよ』とかいう陰キャのトラウマを彷彿とさせる映画www https://t.co/MyyXBT7w4c #eiga #映画 pic.twitter.com/Drbx0lWDbv
— しねそく (@cinesoku) 2017年7月18日
月曜日になっても桐島は学校に来ません。梨紗はメールを送り続けますが、全く返信がありません。未だに桐島が部活をやめた理由が分からないので、みんなに梨紗は問い詰められてイライラしています。
彼女なのに大事なことを教えてもらえないのは淋しいですし、いい加減みんなに聞かれることにうんざりしますね。ところが、そのイライラが友情にも響いてきます。「梨紗&沙奈」と「かすみ&実果」という、今まで底辺に沈んでいた、女の問題が浮き上がります。
もともと派手で帰宅部、いつも遊んでいる梨紗と沙奈。バトミントン部で一生懸命活動するかすみと実果では、タイプが違いますよね。派手な二人に地味な二人が付いていっているような感じでしょうから、溝があってもおかしくありません。
風太に親近感を覚える実果
今日桐島部活やめるってよの映画空きコマ見てたけど山本美月と橋本愛かわいすぎた?(笑) pic.twitter.com/hg8tJvUjVB
— Morita Rikuto (@moritan_EG) 2015年5月19日
バレー部の試合は結局負けてしまいます。バトミントン部で体育館で練習している実果は、バレー部で練習している風太のことが気になります。実果は姉がいたのですが、亡くなってしまったのです。
家の中では今でも姉の存在が大きく、姉を超えられないことに悩んでいました。姉の代役のように感じていたんですね。風太もできる桐島の代役として苦しんでいる姿を見て、自分を見ているような気がしてしまったんでしょう。
誰かの代わりっていう存在は苦しいです。でも、ほんとは誰かの代役の人なんていないんですけどね。自分は一人しかいませんから・・・
映画『桐島、部活やめるってよ』ストーリー④前田がかすみに失恋?
佐藤Pです。『桐島、部活やめるってよ』Hulu絶賛配信中!今再びの見どころ②:橋本愛ちゃん演じるかすみのトラウマ級の美しさはもうご存知かと思うので改めてのオススメは身体能力の高さ!バドミントンはモチロン、火曜日の廊下ダッシュは激速!松岡茉優ちゃんも着いていけなかったと告白w pic.twitter.com/IiVwVIRGzF
— kirishima_movie (@kirishima_movie) 2017年2月25日
ゾンビの扮装をして撮影をしていると、「楽しそうだね。完成したらいってよ。見に行くから」とかすみは前田にいいます。こんなことを言われて前田はすっかりその気になってしまうんです。
二人だけの秘密のようなこともありましたしねぇ~。映画館で一緒になった時の帰り際に「じゃぁ、またね~。」っていわれたことも、ちょっとどぎまぎしていたところをみると、前田は勘違いしている可能性もあります。
がぜん撮影に張り切る前田ですが、片岡先生に撮影を中止されてしまいます。血はダメだという理由です。部員はどうしても納得することができなくて、このまま撮り続けようといいます。
かすみのラブラブ現場を目撃!!
塾おわったー!
塾前に友達の家で桐島、部活やめるってよ みた!橋本愛可愛かった笑 pic.twitter.com/EdlV0adHR6— たけちゃん@ののののーねん2 (@touketumen) 2014年2月20日
映画の撮影を中止だといわれて落ち込んでいた前田がクラスに戻ると、かすみが竜汰(落合モトキさん)の手首にミサンガをまいてあげている現場を見てしまいます。ミサンガは当然かすみが作ったんでしょうね。
前田かわいそうです。泣きたくなる気持ちがひしひしと伝わってきます。実は竜汰とかすみは付き合っているんです。竜汰は二人のなかを隠したくはないのですが、かすみは黙っていてほしいというのです。
女子同士の関係が崩れてしまうことを気にしているんすね。特に彼氏のいない実果に気を使っているようです。かすみが気を使うのも分かりますが、実果にしてみたら親友だと思っている人に、陰でコソコソされたら余計に傷つくんじゃないですかね?
映画『桐島、部活やめるってよ』ストーリー⑤前田VS亜矢の場所取り合戦勃発!
神木くんと大後さんは5回目共演になりますよね?
「愛くるしい」、「桐島部活やめるってよ」、「遠くの空に消えた」、「刑事ゆがみ」、もう1つは??#神木隆之介 #大後寿々花 pic.twitter.com/KxnJfZ4ijL— 神木シンティア (@CynthiaKamiki) 2017年10月4日
ゾンビ映画を撮影することになった映画部ですが、屋上で撮影することを決めていました。しかし、撮影に行くと吹奏楽部の亜矢(大後寿々花さん)がいました。運動部だったらそのまま何も言えずにいるところですが、同じ文化部ならいいだろうと「場所変わってもらえませんか?」と前田は交渉しました。
すると、亜矢は「ごめんなさい。練習するので・・・」と断られてしまいます。変わってもらえると思った前田は、「練習してなかったでしょ!」とつっかかります。「今から練習するところ!!」とさらに言い返されてしまいます。
「もう10Mずれてもらえませんか?」といってもそれすら断られてしまうのですが、実は亜矢はその場所から宏樹を見ていたんです。かわいいですよねぇ。10Mずれたら宏樹が見えなくなっちゃうんですよ。
亜矢はバスケをする宏樹を見ている
後半急激にメロドラマに傾斜して後出しの設定が連打される作劇に思うところはありますが、それでも、精華女子吹奏楽部の皆さんを「桐島、部活やめるってよ」の吹奏楽部部長にオーバーラップさせて見ていたので、ラストの練習量が滲み出るような音の確かさに胸を打たれました。 pic.twitter.com/fnx5HTxwav
— Mann Co. Ltd (@malalamanziel) 2017年3月4日
放課後、野球部員の宏樹は練習に参加せず、バスケをして遊んでいます。亜矢はサックスの練習をしながら、その宏樹を屋上からいつも見ているんです。もちろん宏樹に沙奈という彼女がいることを知っていますが、諦められないんですね。
”好きになるのやめた”っていってやめられれば苦労しないですけどね。宏樹は友弘(浅香航大さん)、竜汰とバスケで遊んでいますが、宏樹にとってはこのバスケでさえ単なる暇つぶしなんです。
それに対して友弘は楽しみにしていたので、この温度差が分かった時に結構傷つきます。宏樹は、これだけなんにでも冷めていると、毎日がつまらないでしょうから、それはそれで辛いと思いますよ。
校舎裏手で再び前田と亜矢が場所取り合戦!
「桐島、部活やめるってよ」を観ました。
肝心の桐島が一切登場せず完璧な人間像としてだけ存在し、そんな彼が欠けた事による人間関係の破綻を、周りの人間のみで表現するという展開が面白かった。
しかもそれだけではなく、自分自身の存在意義を見失っていた少年の救済の映画でもあった。
(続) pic.twitter.com/N8lpOi968Z— きあ?ルーのうた円盤10/18⛱ (@Rorschach_japan) 2017年5月4日
片山先生に撮影中止を言い渡された映画部は、それでも映画を撮ろうとして校舎裏手に行き撮影しようとします。するとまたそこに亜矢がいるんですね。前田はそれを嫌がらせだと思います。
亜矢は、放課後沙奈と宏樹が会うことをしって追いかけてきたんです。前田は、かすみに失恋し撮影も中止といわれたことも手伝って、「なに?どういうこと?ここで撮影しなきゃならない!!」といいますが、「ごめん、今日で終わりだから・・・」とまたしても亜矢は譲ろうとしません。
なぜか必死な亜矢の様子に、前田は屋上で撮影することにします。亜矢は宏樹と沙奈がキスをするところを見てしまい、もう宏樹を追いかけることはやめようと決意します。心の中ではまだまだ宏樹を思い続けるでしょうね。
映画『桐島、部活やめるってよ』ストーリー⑥桐島が屋上に来てる?
沙奈と行動を別にした宏樹は、野球部のキャプテンに3年なのになんで引退しないのか?と聞きます。キャプテンは「ドラフトが終わるまでは・・・スカウトきてないけど・・・」と返答するのでした。
これには感動しました。一つの夢をただ追いかけている姿はかっこいいですね。そんなとき桐島が屋上に来ているという噂がはいって、宏樹やバレー部員は慌てて屋上に向かいます。
しかし、桐島はいなくて、映画部が撮影をしているだけでした。がっかりしたバレー部員は映画部がつくった隕石を蹴ります。これをみた前田を含む映画部は怒りだします。ゾンビになった映画部員は”謝れ!”と口々に叫びます。
前田と宏樹の名シーン
#映画にハマるきっかけの1本
『桐島、部活やめるってよ』で映画を楽しさを知った。 pic.twitter.com/KRzTxn49s1— 洋 (@toiezi) 2017年7月25日
前田が「こいつら全部食い殺せ!!」とゾンビに支持をあたえ、バレー部を襲っている様子を撮影します。カメラが壊れてしまい、宏樹がカメラの部品を前田に渡し、8mmカメラについて聞きます。
すると、画像は汚いけどフィルムにはフィルムのよさがあるといいます。カメラを受け取ると宏樹は、ファインダーを前田に向けて「将来は映画監督ですか?」とインタビューし、「映画監督は・・・無理」と前田は答えます。
そして前田がカメラを受け取り、宏樹をファインダーで覗きます。「やっぱりかっこいい!」って宏樹を褒めるのですが、ここからが驚きで、宏樹が泣くんです。何でもそつなくやってのける宏樹ですが、野球部キャプテンや前田の一生懸命さが羨ましかったんでしょうね。
学校生活のリアルな人間関係にシンクロする映画
最期に宏樹が桐島に電話します。桐島につながるんですがそこで終わりで、宏樹が何を話すのかは分かりません。でも、前向きな言葉であることは確かですね。この映画で成長したのは宏樹と、おそらく亜矢。
たくさんの生徒が登場してきて、それぞれのストーリーがしっかりあります。多くの人が、この中に”自分と似ているなぁ”と思える人がいるんじゃないですかね。意外と多いのが宏樹ですかね。
かっこよくて何でもできるというのではなく、一生懸命になれるものが見つからず、毎日を惰性で過ごしているという人は多いのではないでしょうか?それにしても、桐島が最後まで出てこないなんて、常識を超えたストーリーで、大人が見てもインパクトがあって面白い映画ですよ。
集英社 (2012-04-20)
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