【響け!ユーフォニアム】田中あすかは特別? 5つの魅力で全てを語る

才色兼備の完璧超人、隙も掴みどころもない"特別"な先輩、田中あすか。しかし彼女は果たして本当に"特別"だったのでしょうか。2015年・2016年のアニメおよび2017年の映画「響け!ユーフォニアム」シリーズに登場するキャラクター・田中あすかの魅力を、5つに分けて解説します。

「響け!ユーフォニアム」田中あすかとは

出典:http://tv2nd.anime-eupho.com

楽器に詳しくない人にとって、ユーフォニアムはその姿を見ることはおろか、名前を聞く機会もほとんどない楽器のひとつでしょう。そんな日の当たりにくい楽器をモチーフに据えたアニメに「響け!ユーフォニアム」シリーズがあります。
その「響け!ユーフォニアム」シリーズで、吹奏楽部に所属する主人公・黄前久美子の先輩としてユーフォニアムを担当しているのが、本記事で紹介するキャラクター・田中あすか。高身長に長い黒髪、赤縁眼鏡が印象的なキャラクターです。
身長:171cm 誕生日:12月25日 星座:山羊座 血液型:AB型 担当楽器:ユーフォニアム

高校3年生。副部長。低音パートのパートリーダー。

普段はおちゃらけたように振る舞っているが、

久美子には冷酷な顔を見せることもある。

何でもそつなくこなす、才色兼備。

そのため、周りからは特別視されている。

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作中でもさまざまな他キャラクターをして”特別“な存在だと言わしめる田中あすかですが、果たして田中あすかは本当に”特別”なのでしょうか。田中あすかが抱える表と裏を、以下でみていきましょう。

「響け!ユーフォニアム」田中あすかの魅力1:普段は軽いノリがかわいい良き先輩

視聴者の第一印象は”ジョイナス先輩”

「響け!ユーフォニアム」第1期ごく序盤での田中あすかの印象は、高いテンションと軽いノリでやたら絡んでくるちょっと面倒な先輩といったところでしょう。例えば初登場となる第1話では、新歓演奏で楽しげに指揮をしたり、体験入部に来た久美子たちにイタズラを仕掛けたり、続く第2話ではユーフォニアムについて時間を無視して延々と語ろうとしたり。
このように序盤から目立つキャラクターだったあすかですが、特に強く田中あすかというキャラクターを視聴者に印象づけたのは、第1話で音楽室を訪れた久美子たちを迎え入れた際の台詞、「カモン、ジョイナス!」。特徴的な身振りも相まって、これ以降一部の視聴者はあすかを”ジョイナス先輩“と呼んでいました。

副部長にして低音パートのパートリーダー

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そんな一面も含め高いカリスマ性を持つ田中あすかはリーダーとしての期待も高く、最高学年ということもあって、吹奏楽部の副部長、およびユーフォニアムを含む低音パートのパートリーダーを担当しています。
副部長でありながら、時には部長の小笠原晴香よりもリーダーシップを発揮することもしばしば。本来は部長に推薦されていたものの、あすか自身がそれを断ったという裏事情もあります。
また、第1期第5話ではマーチング大会でドラムメジャー(マーチングバンドの先頭で列を先導・指揮する役)を担当します。マーチングバンドの花形で特に難しい役どころでもあるドラムメジャーを任されるのも、あすかのカリスマ性あってこそ。

後輩の面倒をみる良き先輩

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基本的に練習の鬼である田中あすか。第1期第6話では、コンクールに向けたオーディションについて、初心者だからと最初から諦め気味なチューバ担当の1年生・加藤葉月に対して、ふざけた調子は保ちつつも厳しい言葉をかけ、その後も葉月のモチベーションを上げようと、他の低音パートのメンバーとともに頭をひねります。
また第2期第1話では、曲中で息継ぎがほとんどなく吹きづらい箇所があるというチューバ担当の2年生・長瀬梨子の相談に対して、同じくチューバ担当の2年生・後藤卓也とすり合わせてカンニングブレス(楽譜の指示と異なるタイミングで、他の人が同一のフレーズを吹いている間にする息継ぎ)をするよう指導するなど、後輩の面倒をよくみる先輩らしい姿が描かれています。

完璧過ぎる”特別”な存在

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容姿端麗・成績優秀、そしてユーフォニアムの腕も抜群となると、本格的に人として一分の隙もないように思えてしまいます。そういう人に対しては往々にして、何だか取っつきにくいと感じるもの。久美子の幼馴染でトロンボーン担当の1年生・塚本秀一は、第1期第7話で「完璧過ぎる」という理由であすかへの苦手意識を表明しています。
それは久美子も同じらしく、「見てるところが全然違う」と壁を感じているようですし、また夏紀や晴香もあすかを評して「あすか(先輩)は特別」と口にしています。「響け!ユーフォニアム」のストーリーが進むにつれ、こうした”特別”な存在である田中あすかが隠し持つ個人主義的な側面が明らかになってきます。

「響け!ユーフォニアム」田中あすかの魅力2:時折飛び出る名言に表れる本性

冷徹にものごとを判断する性格

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第1期第7話。受験を理由に部活を辞めると言い音楽室を出ていく3年生・斎藤葵を追いかけ説得を試みるも失敗した晴香。後から追いついた久美子の励ましは全くの逆効果で、晴香は久美子に突っかかります。そこへ現れたあすかが晴香を諫めようとしますが、晴香は「あすかが部長やればいいでしょ!」とあすかにも噛みつきます。
前述したように、あすかは部長に推されるもそれを断って副部長になっています。あすかが部長を断ったから私がやるハメになったんだ、とでも言いたげな晴香に対し、あすかは「晴香も断ればよかったんだよ。違う?」と言い放ちます。晴香にしてみればあまりにも重い台詞ですが、田中あすかの冷徹な性格が垣間見えます。

徹底した中立の裏にある「どうでもいい」

第1期第2話での部の方向性を決める多数決の際には書記に回って投票を避けたり、第1期第4話で改めて部の方向性を決める会議に参加していた時も「どっちの言ってることも分かるけどねぇ」とお茶を濁したり、また前年度にあったという当時の1年生と3年生のいざこざについても徹底的な中立を貫いていたという田中あすか。
第1期第10話では、トランペットパートの1年生・高坂麗奈と3年生・中世古香織のどちらがソロを吹くべきかという問題について、久美子に意見を求められたあすかが、一旦は「ノーコメント」としつつも「正直言って、心の底からどうでもいいよ。誰がソロとか、そんな下らないこと」と本音らしきものを明かす場面もあります。

寂しそうに語る「ずっとこのまま夏が続けばいいのに」

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第1期第13話。コンクール地区大会の本番を前に、あすかは隣に座る久美子に「何か、ちょっと寂しくない? あんなに楽しかった時間が、終わっちゃうんだよ。ずっとこのまま夏が続けばいいのに」と呟きます。
もちろん久美子は「何言ってるんですか、今日が最後じゃないですよ。私達は全国に行くんですから」と返すのですが、あすかからは「そうだったね。そういえば、それが目標だった」と、やはりひとりでどこか違うところを見ているような台詞が出てきます。
ここから多くを読み取ることは難しいですが、少なくとも、部の方向性や雰囲気とは違い、田中あすかは(この時点では)全国大会出場を全く見据えていないようだということが伺えます。

穿った視点、「人は打算的に動くもの」

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第2期前半。吹奏楽部への復帰を求める2年生・傘木希美と、それを頑なに拒む田中あすか。2年生のオーボエ担当・鎧塚みぞれと希美の不和を知っていたのが直接的な理由でしたが、結局この問題は当事者間で片付きます。
一連の問題が解決した第4話、あすかは久美子を前に「でもズルい性格してるよね、みぞれちゃんも。みぞれちゃんが希美ちゃんに固執してるのって、結局独りが怖いからでしょ?」と辛辣な分析を語ります。
「案外、人って打算的に動くものだと思うな」とまとめるあすかに、騒動を見てきた久美子としては納得がいかないようでしたが、ここでも田中あすか独特の穿った性格が炸裂しています。

鋭利過ぎる言葉のトゲ

「みそれちゃんと希美ちゃんの時も黄前ちゃん、結局最後は見守るだけだった。境界線引いて、踏み込むことは絶対にしなかった。気になって近付くくせに、傷つくのも傷つけるのも怖いからなあなあにして、安全な場所から見守る。そんな人間に、相手が本音を見せてくれてると思う?」
第2期第10話。コンクールに出ないという意志を変えようとしないあすかを説得すべく、久美子が最後の挑戦をするシーン。ここであすかの口から飛び出たのが、それまでの久美子の態度に対してクリティカルに突き刺さるこの一言でした。突き放すにしても尖り過ぎているこの台詞に、久美子も言葉が続きません。

徹底的に追求された個人主義

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田中あすかのこうした台詞群の何が魅力的なのかといえば、その基盤にあるのが徹底的な個人主義だという点でしょう。特に「響け!ユーフォニアム」第1期で強調して描かれたのは、主体性なく周りと同調する”普通”と、“普通”でないことを強く求める”特別”の対比でした。この観点で考えれば、田中あすかは究極的に”特別”な存在だったといえます。
自分の意見を押し殺して周囲の人間に合わせることを優先する風潮がすっかり定着している現状で、田中あすかほど自分のためだけに動ける人間は少ないでしょう。やりたくないことはやらない、自分のこと以外はどうでもいい。そして誰もがそういう姿勢でありたいと多かれ少なかれ思っていて、でも傷つくのが怖くてそうはしていない。それを田中あすかはよく理解しているのです。

「響け!ユーフォニアム」田中あすかの魅力3:退部の危機にも隙を見せない鉄仮面

母親との摩擦、退部の危機

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第2期第7話では、あすかの母親が学校にやってきて、滝先生に対し受験を理由にあすかの退部を求めます。この場は保留になり、この翌日にあすかは学校を休みながらも部活には顔を出しましたが、それ以降ほとんど部活に来なくなります。
もともとあすかの母親はあすかがユーフォニアムを吹くこと自体にもあまり肯定的ではなく、地区大会でのあすかの言葉は、自身が部活を続けられる可能性が高くないことの示唆なのでした。
休み休みながら部活に来ていたあすかもやがて全く出てこなくなり、滝先生もついに夏紀の代理出演を検討し始めます。この危機に際し、久美子たちは何とかしてあすかを呼び戻そうとしていきます。

繰り返される「迷惑はかけない」、周到な保険

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あすかの母親が来た日の翌日に部活に顔を出した際、あすかは低音パートのメンバーに対して「大丈夫! みんなに迷惑かけるようなことはしないから」、晴香と香織に対しても「みんなに迷惑はかけないから」とだけ話します。
この「迷惑はかけない」という台詞を、あすかはこの後何度も言い続けます。辞めるとも続けるとも言わず、部活にも出ず、それ自体が迷惑なのも恐らくは重々承知で、あすかは誰にも何も言いません。
さらにあすかは、夏紀にだけあらかじめコンクールに出演できなくなる可能性を話しておき、もしそうなったとしても夏紀が代理で出演できるよう、早々と保険をかけています。

久美子の前でだけは少し剥がれる仮面

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そんなガードの堅いあすかも、久美子に対してだけは胸の内を明かす場面があり、第1期第10話でもその仮面は一瞬剥がれたように見えました。これは第2期第9話や第10話でもみられ、特に第10話における久美子の説得には、コンクール出演をほとんど諦めていたあすかも心を打たれたようで、その時の顔は久美子には見せられませんでした。
この直後に判明した全国30位の模試結果を盾に、あすかは母親を説き伏せて無事部活に復帰します。部員の追及を誤魔化しながら独りで勉強し続け、久美子からかけがえのない説得を受け、窮地を乗り切ったあすか。孤高を貫くところがかっこいい田中あすかですが、久美子だけは少し”特別”な存在だったようです。

「響け!ユーフォニアム」田中あすかの魅力4:ユーフォニアムを吹くことに抱く”特別”観

人一倍ユーフォニアムに情熱をかけている

「私の恋人はユーフォニ・アムさんただひとり!」などと言い出すシーンもある田中あすかですが、ユーフォニアムにかける情熱は人一倍。誰よりも練習をしていますし、放課後や休憩など、少しでも時間があれば吹こうとします。
それほどまでにユーフォニアムにこだわるのには、あすかがユーフォニアムを吹くようになった経緯が関係しており、その根底には同じくユーフォニアム奏者である父親の存在があります。
また、ユーフォニアムを吹くということに対してあすかが抱える”特別”観は、物語現在の個人主義的な田中あすかという人物が出来上がるに至った大きな要素のひとつでもあります。

あすかが急に全国大会に意欲を見せた理由

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「響け!ユーフォニアム」第2期前半でみられる、田中あすかの不可解な言動の数々。第1期では自分が吹ければそれでよいくらいの意識でいたはずでしたが、部が乱れるからと希美の復帰を拒んだり、全国大会に出たいと部員の前で演説したりと、スタンスが急に反転します。その変わりようには久美子も「あすか先輩は分かんないよ」とぼやくほど。
こうしてあすかが全国大会に意欲を見せたのは、元父親でありユーフォニアム奏者の進藤正和の名前を全国大会の審査員の中に見つけ、父親に自分の演奏を聴いてほしいという欲が出たことが理由でした。第2期第9話では、自身の家に久美子を呼んだあすかがそのことを話し、同時に自分がユーフォニアムを吹くようになった経緯を語ります。

遊びでやっているわけではないという意識=”特別”

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あすかが2歳の時に離婚したあすかの両親。以来あすかは母親に育てられ、父親とは全く会えずにいました。小学1年生の時、父親からいきなり届いたユーフォニアムを吹いてみたところそれが楽しく、あすかはユーフォニアムを吹きたいと思うようになります。しかしあすかの母親はこれに反対。喧嘩の末、成績が悪くなったら辞める約束で、あすかはユーフォニアムを始めました。
それ以来あすかの中には、「私は遊びで(ユーフォニアムを)やってるわけじゃない」という思いが常にあったといいます。自分は他の人たちと違って”特別“なんだと思い続けた結果、誰よりも上手く、誰のことも気にせず、ただ自分のためだけにユーフォニアムを吹く田中あすかが出来上がったというわけです。

「響け!ユーフォニアム」田中あすかの魅力5:難解なキャラクターを見事に演じた声優

寿美菜子の演技あってこその田中あすか

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以上のように、外面では上手く取り繕いつつ、その内側では徹底して”特別”の意識を持ち続けていた田中あすか。ほとんど常に一定ながら時々見え隠れする本音を語る時だけ異なる声色は、あすかの持つミステリアスな雰囲気を強固なものにしています。
そんな難しい役どころを見事に演じたのが、かつて「響け!ユーフォニアム」と同じ京都アニメーション制作のアニメ「けいおん!」シリーズで琴吹紬役を演じた声優・寿美菜子。声優歴10年以上のベテランです。
あすかのことを「ドライななかに熱さがある」キャラクターだと思って演じたという寿美菜子。彼女の演技力あってこその田中あすかだと言っても過言ではないでしょう。

田中あすかこそ物語のキーパーソン!

“特別”になろうと常に努力する存在

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田中あすかの言動の全ての動機は、ユーフォニアムを吹くことにあります。成績が良いのも、部長をやらないのも、他人のことを「どうでもいい」と言うのも、全てユーフォニアムを吹くため。田中あすかは、ユーフォニアムを吹くことで”特別”になれるのです。それはちょうど、高坂麗奈がトランペットを吹く理由と一致します。
“特別”と”普通”の対比が重要な「響け!ユーフォニアム」では、田中あすかもまた、物語の鍵を握る重要人物だと言えるでしょう。次に「響け!ユーフォニアム」を観る際は、是非あすかに注目して観てください。・・・特にもう1周する気はない? 時間がなくて観れない? 「お前なんか、お化けに取り憑かれて呪われてしまえー!」