【めだかボックス】球磨川は過負荷の底辺にして最弱!マイナス過ぎる魅力に迫る

『めだかボックス』の底辺にして圧倒的人気を誇るキャラクター・球磨川禊。最弱にして底辺ならではの言動と名言が特徴の球磨川の魅力に5つのポイントから迫る!

『めだかボックス』球磨川禊とは?

『めだかボックス』といえば、暁あきら先生の特徴的な絵柄と、西尾維新先生の巧みな言葉遊びのマッチが魅力的な作品だ。個性派揃いのキャラクターが集う『めだかボックス』において特に異彩を放つのが、負完全・球磨川禊である。
箱庭学園マイナス十三組所属、過負荷(マイナス)のリーダー、底辺にして最弱の敵キャラでありながら、その言動や胸に残る名言の数々、負けっぱなしの人生ならではの生き方が多くの読者の人気を集めた。その人気は何と第2回、第3回の人気投票で圧倒的1位を獲得するほどのものである。そんな『めだかボックス』の球磨川禊の魅力を紹介していこう。

アニメ版の声優は緒方恵美さん

アニメ『めだかボックス』においては第11話の最後と、最終回のみの登場となった球磨川。彼を演じているのは、少年や二面性のあるキャラクターに定評のある緒方恵美さんだ。
顔立ちだけでいえば可愛らしい部類に入る球磨川の、飄々とした面と過負荷らしいゾッとする面を見事に演じてくださっている。台詞に括弧がついた異質のキャラクターだが、わざとらしく癖になる声が過負荷でありながらも人気を博す球磨川の印象とマッチしていた。

『めだかボックス』球磨川の魅力その1:括弧つけた言動と数多くの名言!

球磨川といえば、「人間として終わっている」とまで言わしめたそのマイナスっぷりが特徴である。エリートを憎み、呼吸をするように人を傷つけ、縋りつきたくなるような嘘をつき、敵対するという形でさえ関わりたくないと言われる程の「負完全」球磨川禊。
括弧つける話し方も相まって台詞も白々しく、心が無いように感じられることも多々ある球磨川だが、それでも世の中を常に底辺から見ているその言葉には、ある種の説得力がある。それが球磨川の台詞に名言が多い理由だ。球磨川の言葉は、最弱からの言葉ゆえの真理をついているのだ。


しかし球磨川も、誰も彼もを傷つけて回っているわけではない。球磨川は球磨川なりに仲間を大切にする男だ。江迎に対する、「『きみがどんなに酷いことをしても』『僕がぜーんぶなかったことにしてあげるから!』」という台詞からも分かるとおり、戦挙編までの球磨川にとっての仲間意識とは、底辺の人間を底辺のまま受け入れ、許容し、慈しむことにほかならなかった
そのためめだかが配下であった阿久根を改心させたときはめだかと対立することになり、江迎が善吉の言葉に心を動かされ改心したときには、かつてないほどの動揺を見せたのだ。また、球磨川の仲間であるマイナス十三組の面々も、戦挙編までは「自分よりも底辺にいる存在」という安心感、上からでなく下の立場から自分たちを許容する存在として球磨川を慕っていた

しかし戦挙編後には球磨川は、共に堕落するのではなく、共に底辺から這い上がろうとする者や弱い者に味方し、それを傷つける者を許せないと感じるようになる。めだかと善吉が対立するのを防ごうとするもがなの味方となったり、生徒会で頑張る江迎を強さで蹂躙する潜木を螺子伏せたりしたのもそのためだ。
「『僕は悪くない』」「『きみは悪くない』」という名言を持つ球磨川は、弱者は弱いから負けるのであって悪いから負けるわけではないと知っている。そんな弱者たちのために、球磨川は勝てなくとも戦い続けるのだ。
また、マイナス十三組も、球磨川が改心しようとしているのを見てからは、「自分よりも最低だった球磨川が頑張るのなら」と自分たちの改心を決意している。改心する前もした後も、球磨川の存在は弱い立場の者たちの希望なのだ

普段は括弧をつけて(格好つけて)話す球磨川だが、戦挙の会長戦にて括弧をつけずに本音を吐露した後からは、ここぞというときに括弧を外すことがままある。そのときの言葉ほど、読者の心に残るものはない。
括弧をつけていてもつけていなくても名言の多い球磨川だが、括弧をつけていない言葉は心からの本音ということもあり、胸にくるものが多い。たとえば、上の画像にある「それでもへらへら笑うのが過負荷(ぼくたち)だ!!」
負けても痛くても馬鹿でも卑しくても正しくなくても、底辺でも、球磨川を始めとした過負荷たちは笑う。不幸であり負け続けていても、それを決して恥じずある種の誇りを持って球磨川たちは生きているのだ。

生徒会に入ってからの球磨川は、女子中学生にも「裸エプロン先輩」の愛称で親しまれている。自らが蹂躙されようと弱者を決して痛めつけず、「また勝てなかった」と勝ちを譲ったり、普段はおどけてマイナスらしい言動をするも、いざというときは頼りがいのある味方となってくれたりする球磨川のことを、女子中学生たちは慕っているのだ。
安心院さんの端末ではあるが、れっきとした普通(ノーマル)である彼女たちに好かれていることは、人外や過負荷以外誰も好もうとしなかった球磨川が様々な人に受け入れられつつあることを証明しているようにみえる。

戦挙編後から確実に丸くなっていく球磨川ではあるが、そうはいってもそのマイナスっぷりが変わったわけではない。上の場面は、断ち切れない学園や善吉たちへの思いを隠して善吉たちの前から去ろうとする不知火に対し、球磨川が善吉を『大嘘憑き』で「なかったこと」にした場面である。
久しぶりに球磨川の「人間として終わっている」感が垣間見れたシーンだ。もちろんこれは『大嘘憑き』によるものではなく、実は『安心大嘘憑き』によるものであり、結果として善吉の存在は元に戻るわけだが、それにしたって不知火にとってはトラウマものの一瞬だろう。見る者をゾクッとさせるマイナスっぷりは健在というわけだ。

『めだかボックス』球磨川の魅力その2:武器は螺子?恐るべき過負荷の正体

大嘘憑き(オールフィクション)

続いて球磨川のスキルについて見ていこう。生徒会戦挙編で主に使用していたのが、『大嘘憑き(オールフィクション)』対象を「なかったこと」にできるとんでもないスキルだ。善吉の視力、鍵穴、自分の気配から、世界そのものまで何でも「なかったこと」にできるという恐ろしく不気味な過負荷である。
因果に関係するスキルであるために、自身の死さえなかったことにできる『大嘘憑き』。実は安心院なじみのスキル『手のひら孵し(ハンドレッド・ガントレッド)』を下地に球磨川が独自に形成したものだ
強力である分、乱発すると世界そのものをなかったことにしてしまう危険性を孕む上に、「なかったことにしたという現実」を「なかったこと」にはできない、つまり一度「なかったこと」にしたものは元に戻すことはできない不可逆性を持つ、危険なスキルだ。

却本作り(ブックメーカー)

球磨川の固有の過負荷『却本作り(ブックメーカー)』マイナス螺子を刺し貫いた相手のステータスを、過負荷と同じ、球磨川と同じ、つまりは底辺にまで落としてしまうスキルだ。史上唯一、人外である安心院さんに効いたスキルであり、球磨川はこのスキルと『大嘘憑き』によって安心院さんの封印に成功した。
そんな恐ろしい過負荷には、意外な弱点がある。それは不幸なままで幸せな奴に勝つという誇り、マイナス十三組への仲間意識を持つ球磨川の心は、実は決して弱くはないということだ。
それに加え、「球磨川と同じレベル」にまで落とすこのスキルは、球磨川が幸せになるほど効力が弱くなる。作中でこの過負荷の効力が弱まっていくのを見ると、球磨川が学園生活で幸せを感じていることがわかる。球磨川の心や幸福といった内面を顕にする過負荷なのだ。

劣化大嘘憑き(マイナスオールフィクション)

『却本作り』を取り戻す代わりに『大嘘憑き』を『手のひら孵し』として安心院さんに回収されたはずの球磨川。しかし、彼は宗像との戦いのなかで『大嘘憑き』を復活させる。実は球磨川は、『手のひら孵し』を『大嘘憑き』に改造したときのパーツを集めてむりやりそれっぽいスキルをでっちあげたのである。
そのため、『大嘘憑き』ほどの威力はない劣化版、通称『劣化大嘘憑き(マイナスオールフィクション)』となった。「強い心のこもった行動」はなかったことにできなくなっている。球磨川が「心」というものを学んだ、あるいは自覚したともとれる劣化の仕方である。

安心大嘘憑き(エイプリルフィクション)

安心院さんの遺産『手のひら孵し』と『実力勝負(アンスキルド)』を『劣化大嘘憑き』に組み合わせてできたのが、『安心大嘘憑き(エイプリルフィクション)』。『手のひら孵し』によって完全な『大嘘憑き』に戻し、3分間スキルを禁止するスキル『実力勝負』を新たに加えることで、なかったことにした現実が3分で戻るスキルとなった。
「完全版負完全」という謳い文句にたがわず、『大嘘憑き』や『劣化大嘘憑き』よりも使い勝手が悪くなったともいえる『安心大嘘憑き』。改心とまではいかなくとも、学園生活で「幸せ」や「心」を感じてきた球磨川にとって、もはや完全にこの世から「なかったこと」にできるものは無いということなのかもしれない。

虚数大嘘憑き(ノンフィクション)

本編最終回後、球磨川が主役の番外編「グッドルーザー球磨川」の最終回にて登場したスキルが『虚数大嘘憑き(ノンフィクション)』「なかったことにした現実」をさらに「なかったこと」にはできないという大嘘憑きの欠点を失くしたものである。
おそらく不知火が持つ「スキルを喰い改めるスキル」、『正喰者』によって『安心大嘘憑き』を改造したのだと思われる。取り返しのつかないスキルから完全に取り返しのつくスキルへと変わった球磨川の過負荷。過負荷の変化は、間違いなく彼の心の成長を表している

『めだかボックス』球磨川の魅力その3:アニメでも活躍!最終回を占拠!?

アニメ2期本編では初登場シーンのみの登場となった球磨川。しかしアニメ2期の最終回は何と番外編として、球磨川が主役の「グッドルーザー球磨川」のオリジナルストーリーが放送されたのだ。
「グッドルーザー球磨川」はジャンプNEXTでの連載や小説といった形で不定期で展開されていた。箱庭学園に転校してくる前、水槽学園での球磨川が描かれており、球磨川のマイナスっぷり全盛期が見られる番外編である。
アニメ本編では十分な登場が果たせなかった球磨川。動く球磨川を見ることができるのはこの話だけであり、緒方さんが演じる、球磨川のおどけた声や過負荷らしく澱んだ低い声が聞けるのもこの話だけなのだ。アニメならではのオリジナルストーリーのため、漫画や小説では見られない球磨川を見ることができるぞ!

『めだかボックス』球磨川の魅力その4:因縁の仲?安心院なじみとの関係

球磨川を語る上で欠かせないのが安心院なじみである。かつて球磨川に好かれ、顔を剥がされた少女だ。「自分は彼女の顔が好きなだけなのでは」と思顔面を剥がしてみた挙句、「彼女への思いは少しも変わらなかった」と恋が本物であることを確信する球磨川はまさしく人として終わっている。
その際球磨川は安心院さんを前述のとおり封印している。封印後に意地悪な本性を見せたからであろうか、球磨川は中学時代に恋していたはずの安心院さんについて、戦挙編でははっきりと「大嫌いな奴」と評している
球磨川が箱庭学園に来るまでに全国の高校を転々としていた理由は、人外である安心院さんを倒せるスキルを探すためであった。倒そうと思っている相手に死ぬたびにおちょくられては、球磨川といえど恋心は冷めてしまうのかもしれない。

戦挙編の途中までは険悪かと思われたふたりだが、実はふたりだけの特別な関係性を持っている。球磨川が封印の際安心院さんに預けた『却本作り』を取りに死んだとき、安心院さんは球磨川を焚きつけて彼の括弧を外させた
めだかや善吉も聞いたことがなかった球磨川の本音を引き出したのは他でもない安心院さんなのである。球磨川にとって安心院さんは、他の人間とは違う立ち位置にいるのだ。球磨川が戦挙会長戦にて、ちゃんと戦ってちゃんと負けることができたのは、安心院さんのおかげということもあるだろう。

安心院さんは死んだ折、球磨川に対してメッセージを残している。自らを「悪平等(ノットイコール)」だと名乗り、誰に対しても平等を貫いていた安心院さんが、球磨川にだけスキルを贈呈するという不平等を行うのである。
言彦に心を折られ、昏い瞳をした球磨川の弱音を、安心院さんは「残像だから聞こえない」とばっさり切り捨てる。そして呆れた調子で、球磨川を抱きしめ「絶望を知る者にとってきみは希望の星なんだぜ」「きみの勝利が弱者にどれほど勇気を与えるかちゃんと考えたまえ」とエールを送る。
球磨川のことが弟のように可愛かったという安心院さんから贈られたスキルによって、『安心大嘘憑き』は生まれた。球磨川のスキルを最初に取り返しのつくものにしてくれたのは安心院さんなのだ。まるで手のかかる弟に世話を焼く姉のようである。

『めだかボックス』球磨川の魅力その5:過負荷らしさを失わない最後!

安心院さんを喪い、めだかも消えた状態で卒業式を迎えた球磨川。受験した大学にはすべて落ち、就職も決まっていない球磨川だが、答辞で彼は人生でどうしようもなく苦しくなったときは、最底辺の自分が逆境のどこかでへらへら笑っていることを思い出せ、という言葉を送る。
「『大丈夫』『僕がこの世にいる限り』『きみ達の人生は最低なんかじゃないから』」という台詞は、底辺の頂点である球磨川が言うからこそ胸に響く言葉だ。世の中の不条理を感じたときに思い出したい台詞ナンバーワンである。
もちろんそんな名言の後には、上のコマのように悪態をついて壇上に螺子を螺子こみ、「高校は卒業してもジャンプは卒業しないからよろしくね」とお茶を濁した。改心はしても「らしさ」を失わない球磨川らしい答辞だ。

そんな答辞の後、球磨川に驚きの出来事が!何と、落下してくる月から地球を救うため、月を破壊しに行っためだかが帰還したのである。めだかが月を破壊しに行くとき、めだかは死にに行く覚悟でいたのだが、球磨川はめだかのことだからどうせ生き残るに決まっている、賭けてもいいと発言していたのだ。
つまりこの賭けは「球磨川の勝ち」となる。めだかの登場に括弧を外して「やっと勝てた。」と涙を流す球磨川には、球磨川のちゃんとした勝利を願っていた読者も涙を禁じ得なかった。


ちゃんと勝利した球磨川は卒業後、過去に「なかったこと」にした現実を『虚数大嘘憑き』を使って元に戻す旅に出た。番外編「グッドルーザー球磨川」の最終回には、その旅の一環として、アイドルとなった咲に会いに来た球磨川が描かれている。
咲は、今まで負け続けても負け続けても勝負に挑んできた球磨川が、やっと手にした勝利に満足して勝負から降りてしまうことのないようにと、球磨川に向けての応援歌「GOOD LOSER GOOD LUCK」を捧げる
それを聞いた球磨川は、水槽学園の学ランと螺子で出来た花束を咲に残し、その後一切の消息を絶つ全てが記録される時代に勝ち目のない勝負を挑んだかのように消えた球磨川。敗北を続けても戦い続けてきた球磨川らしいラストであり、最終回を迎えてもこの勝負は決着を見ていないのである。

『めだかボックス』随一の過負荷!球磨川禊の魅力は永遠!

最弱にして底辺、混沌よりも這い寄る過負荷、球磨川禊。「めだかボックス」どころか漫画界でも異質のキャラクターである彼の名言や活躍は、今でも読者の心を捉え続けている。衰えることのない球磨川の魅力は、是非とも語り継いでいきたいものだ。
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