火の鳥未来編は手塚治虫の最高傑作!衝撃のあらすじを紹介

手塚治虫先生のライフワークでもあった漫画「火の鳥」は宇宙をも含んだ壮大なスケールの物語です。様々な時代設定の中で進んでいくこの火の鳥の物語の中から、本記事では「未来編」へ焦点を当て、そのストーリーをネタバレでご紹介していきます!

『火の鳥』ってどんな作品?

巨匠手塚治虫のライフワークとなった漫画

出典:https://www.amazon.co.jp

「火の鳥」は、漫画の神様とも言われる手塚治虫大先生の作品です。初出は1954年。つまり昭和29年となります。様々な時代を舞台とした本作は、その後も紆余曲折を経てあらゆる雑誌を渡り歩きながら連載が続けられ、手塚先生の晩年となる1988年まで、実に34年もの間描かれ続けた正に手塚先生のライフワークと言える漫画なのです。
この「火の鳥」という作品は、未来や古代、はては宇宙など、あらゆる時代、あらゆる場所においての火の鳥という不死の存在を巡った人間たちや宇宙の生命体、生きとし生けるもの(ロボットも)の壮大なヒューマンドラマです。


「火の鳥」はその舞台となる時代設定ごとに「編」で区切られており、例えば卑弥呼や邪馬台国が登場する「黎明編」、源平の物語をテーマとして平安時代を描いた「乱世編」などがあります。また、日本だけではなく「ギリシャ・ローマ編」、宇宙を舞台にした「宇宙編」などなど、たくさんの火の鳥の物語があり、そして本記事にてご紹介するのが、西暦3404年の世界を描いた「未来編」となります。

火の鳥は永遠の命を持った宇宙生命体


「火の鳥」の作品全編を通して物語の根幹を担い、時には外から、時にはその世界に干渉して物語の牽引役となるのが作品タイトルにも冠されている「火の鳥」という存在です。
これはいわゆる私達の現実世界において、「火の鳥」「フェニックス」「鳳凰」などといった名で呼ばれる伝説上の生き物です。様々なRPGゲームやファンタジー作品などにも登場しているので、みなさんもよくご存知だと思います。
そして伝説上の言い伝えと同じく、この作品の火の鳥は不死の生命で、高度な知識を持ち合わせており、その血を飲んだ人間は不老不死になるとされています。また、この未来編では自ら「地球の分身」であり、「宇宙生命体(コスモゾーン)」という存在なのだと語っています。

『火の鳥 未来編』ストーリーネタバレ1:西暦3404年のメガロポリス・ヤマト

美少女タマミの正体は宇宙の不定形生物


未来編の舞台は西暦3404年の地球。人々が巨大な地下都市に住んでいる世界です。世界には五つの地下都市があり、そのひとつメガロポリス・ヤマトにいるのが未来編の主人公である人類戦士の山之辺マサト。
そしてマサトには愛し合っている彼女がいます。その名はタマミ。一見してとても美しい人間の女性ですが、実はその正体は「ムーピー」という不定形生命体。


このムーピーは、過去に地球人のペットとしてもてはやされましたが、その高い感応力を使ったムーピーゲームという一種の催眠による娯楽が人間を堕落させるとして、中央本部により全て殺されたのです。
しかしそのムーピーを匿っているとして、マサトはタマミを殺すように上司であるロックから命令されてしまいます。

地上で生命の謎を探求する猿田博士


所は変わり、もはや人類が住める環境ではなくなった地上に、ある偏屈な変わり者の科学者が住んでいました。生命の探求を続けている猿田博士です。しかし博士の研究は行き詰まっていました。
既に地上では滅んでしまった様々な動物たちを人造生命として産み出し、培養カプセルで成長させることはできても、そのカプセルから一歩外に出ればその生命体は泡となり消えてしまうのです。

『火の鳥 未来編』ストーリーネタバレ2:タマミとマサトの愛の逃避行

猿田博士に予言をする火の鳥


ある日、猿田博士の研究所に光り輝く火の鳥がやって来て、博士にテレパシーで語りかけました。自分は地球の分身であること、地球や宇宙は宇宙生命体(コスモゾーン)という命あるものだということ、そして地球は病んでおり、このままでは死んでしまうということ。
そしてその地球を治すことができるただ一人の人間が、やがてここにやって来ると告げました。そこへ現れたのが、タマミを連れ中央本部の狩猟隊から逃れてきたマサトだったのです。

助手ロボットのロビタは復活編のあの二人


ところで、猿田博士のもとには「ロビタ」という助手ロボットがいます。博士の研究などを手伝っているのですが、このロビタがロボットなのになぜか人間じみた部分を持ち合わせています。


その理由が明かされるのが火の鳥の復活編です。実はロビタは復活編に登場する男性「レオナ」とロボットである「チヒロ2545号」の子孫であり、また同時にレオナとチヒロでもあるのです。
これがどういうことなのか?それはご自身の目で復活編を確かめてみてください。それでは未来編へと話を戻しましょう。

『火の鳥 未来編』ストーリーネタバレ3:電子頭脳ハレルヤと聖母機械ダニューバー

ハレルヤとダニューバーによる戦争と人類の滅亡


マサトとタマミが猿田博士と出会い、かくまわれていた一方で、メガロポリス・ヤマトでは大変な騒ぎになっていました。このメガロポリス・ヤマトを支配しているのが「電子頭脳ハレルヤ」という巨大なマザーコンピューターです。
そしてこのハレルヤと、メガロポリス・レングードのマザーコンピューターである「聖母機械ダニューバー」が対立し、ハレルヤとダニューバーは二つの都市の間での戦争を決定してしまったのです。


死を恐れたロックは一人で地上へと逃げ出し、猿田博士の研究所へとたどり着きました。
やがてメガロポリス・ヤマトとメガロポリス・レングードは巨大な火柱を上げ大爆発を起こします。しかし何とその時に、他の三つの都市も全て大爆発し、五つの全ての地下都市は滅び、人類は滅亡してしまったのです。

ロビタと猿田博士とロックの死


爆発による放射能汚染から逃れようと猿田博士のロケットを盗もうとしたロックは、ロビタと争いロビタを破壊します。しかし既にその体は放射能に蝕まれており、それを知ったロックはメガロポリス・ヤマトの爆発跡を眺めながら死することを選びました。
そして同じく、放射能によって蝕まれた猿田博士もまたマサトに看取られながら死の床につきました。

『火の鳥 未来編』ストーリーネタバレ4:火の鳥によって不死となったマサト

ムーピーとなりマサトと生きるタマミ


猿田博士やロックが放射能に侵されて死亡してしまったと中、たった一人残されてしまったマサト。そう、病んでいる地球を治せるただ一人の人間として、火の鳥によってマサトは死ねない身体になってしまったのです。
そしてタマミはと言うと、ムーピーの細胞を調べて生命の謎を解き明かすという猿田博士の研究実験によって、人間の姿を保てなくなり、ムーピー本来の姿に戻ってしまっていました。
こうしてただ一人生き残ったマサトは、ムーピーの姿となったタマミと共に長い年月を生きていくこととなるのです。


もはや銃で頭を撃ち抜いても死ねなくなったマサトは、生き残った人間を探し、ある時に冷凍ポットのようなものを発見します。そこには書き置きがあり、放射能が消え去った五千年後に目覚めるからそれまでは開けないでくれというものでした。そしてマサトは五千年後に再び訪れることを誓い、研究所へと戻ります。
幾歳月も過ぎ去り、マサトはムーピーとなったタマミとムーピーゲームをして、かつて愛し合っていた二人の姿の世界に浸る毎日を送っていました。しかし長寿であるムーピーも、五百年が過ぎた頃に遂にマサトを残して死んでしまいます。
こうしてマサトは本当にただ一人きりとなってしまったのです。

孤独に一万年を生きるマサト


やがて千年、二千年と過ぎ、五千年が経った時にマサトは、あの書き置きがあった冷凍ポットのもとを訪れます。しかし待てども待てどもポットが開く様子はなく、やがて三百年が過ぎ去りました。決心をしたマサトがポットをこじ開けてみると、中にいたであろう人物は既に粉々になってしまっていたのです。
そして一万年が経った時にマサトの前に再びあの火の鳥が現れたのです。

『火の鳥 未来編』ストーリーネタバレ5:生命の誕生

高等生物となったナメクジが支配する世界


マサトの夢に現れた火の鳥は、人類が生まれ変わるための役割を果すように、そしてそれを見守るようにマサトへ告げます。そうしてマサトは、数千年をかけて、かつての猿田博士のように人造の生物を創り出しますが、やはり培養液のポットから外に出ると、その生命体は泡となり、溶けてしまうのでした。
最後にマサトは母なる海へと炭素と酸素と水素とを混ぜ合わせたものを流します。更に月日は経ち、とうとうマサトのその肉体も朽ち果ててしまいました。しかしその意識は残り、生命の進化を見守り続けていました。
そうしている内に、海に原子生命が産まれ、やがて植物と動物に分かれ、遂には恐竜が登場しました。あとは哺乳類の登場を待つばかりでしたが、恐竜が何かに襲われて絶滅してしまったのです。
その何かとは、何とナメクジの大群でした。


そして地上を征服したナメクジは脳が発達し、やがては直立し繁栄をはじめました。法や道徳、乗り物までも登場してナメクジ文明は栄華を極めましたが、干ばつが続いたことでナメクジたちは絶滅の一途を辿ります。
やがて最後のナメクジも死に絶え、更に数千年。マサトが待ちに待った哺乳類が登場します。そしてピテカントロプス・エレクトスが現れ、ついに人類が誕生したのです。

三十億年目にして役目を終えたマサト


三十億年目にしてようやく辿り着いた新たなる人類の誕生。そして三十億年ぶりに現れた火の鳥によって、マサトは自分がコスモゾーンとなっていたことを知り、コスモゾーンそのものである火の鳥の中へ取り込まれます。そこで待っていたのはコスモゾーンとなったタマミでした。
こうして二人は一つに溶け合い、そのタマミとマサトを内に宿した火の鳥は、新たなる人類を見守るために輝かしい光を放ちながら空へと飛び立っていくのでした。

黎明編へと続く無限に連鎖する小宇宙


火の鳥は未来編の後もお話は続きますが、この未来編がその後にも続く一連の火の鳥の物語のエンディング的な位置づけにもなっています。そして同時に、未来編のラストは黎明編へと続く形も取られています。
つまり未来の話でありながらも、それは卑弥呼や邪馬台国といった古代日本へと続く話なのです。こうして無限に連鎖していく火の鳥は、正に小宇宙のような壮大なドラマなのです。
まだ読んだことが無い方は、是非ともその手にとって読んでみてください。