【ミスター味っ子】壮絶リアクションTOP10!究極のリアクションはどれ?

『ミスター味っ子』とは1987年、昭和の時代に放映された料理アニメ。いや、その前に『週刊少年マガジン』に連載された寺沢大介氏による漫画作品が原作としてあるのだが、ことこの作品についてはアニメの暴走ぶりの方が印象に残る。何しろアニメ版を監督したのは若き日の今川泰宏氏。そう、『Gガンダム』や『ジャイアントロボ』で有名な、外連味のある演出を得意とする名監督だ。そんなわけで本作も料理アニメでありながら、食べた時のリアクションが非常に派手な見せ場として描かれていた。ここではそんな中でも特にものスゴいものを、TOP10形式で紹介していこう。

料理ギャグアニメの元祖と言えば『ミスター味っ子』!?

出典:https://www.amazon.co.jp

上にも書いたように、『ミスター味っ子』は料理ギャグアニメの決定版だ。最近でも『食戟のソーマ』や『焼きたて!!ジャぱん』など「食べた者があまりのうまさに何かヘンなリアクションを取ってしまう」作品があるが、その元祖こそがこの『味っ子』なのだ。


何しろアニメでは料理の味を表現することができない。『美味しんぼ』のように蘊蓄をメインにする方法もあるが、画としては地味だ(事実、『美味しんぼ』もアニメ化されてはいるものの、ちょっと大人向けという印象だった)。そこに「リアクション」で視聴者を楽しませるという方法論を打ち立てた今川泰宏監督、後にロボットアクションで名を馳せるだけのことはある、天才的な発想という他はない。
本作の主人公は中学生ながら日之出食堂を切り盛りする味吉陽一。「ミスター味っ子」とあだ名される彼がライバルである異常な……あ、いや、どうかしている……でもない、その、つまり、「個性豊かな」料理人と勝負を繰り広げるというのが、本作の概要だ。


そして、その料理勝負の審判とも言えるのが、味皇料理会を率いる日本料理界のトップ、味皇こと村田源二郎。先に書いたように、「味」による勝負となると、アニメで表現することが大変に難しい(スポーツのように数字で明確に勝敗が決まるわけでもないし……)。それを判定する絶対的な権威として用意されたキャラがこの味皇であり、本作の一番の見せ場は彼のリアクション。
とにかくこの老人は叫びまくる。料理を食べて「うまいぞ~~~!!」と叫ぶと、その口からは光線(炎?)が発射される! 即ち、この味皇様こそがある意味で本作の真の主人公とも言えるのだ。
さて、そんなリアクションの数々をいよいよTOP10形式で紹介していこう!

第10位 20話 日本の味・お茶漬け勝負


比較的初期のお話で、ストーリーも味皇料理会日本料理部主任である芝裕之との勝負というオーソドックスなもの。味皇は陽一の作った桜の塩漬けをあしらったお茶漬けを食べ、「春だ! 春だ春だ春だ! 茶漬けに桜が咲き出したぞ!」と叫ぶ。と、茶碗からは桜の樹がにょきにょきと伸び、辺りは一面の桜並木に。味皇はそんな中をあぐらをかいたまま空中浮揚しながら「お茶漬けぽりぽりさ~らさら♪」と歌い、茶漬けを啜り続ける!


……いや、読んでいて意味が判らないかも知れないが、本当にそんなシーンだったのだから仕方ない。本作において、キャラクターたちは料理を食べた瞬間、異次元へとトリップしてあらゆる物理法則を超えたリアクションを取ってしまうのだ。そういう作品なのだから、受け容れる以外に道はない。そして、こんなものスゴいリアクションすら、実のところ『味っ子』の中では10位がせいぜいの、むしろ「通常運転」のものなのである……。

第9位 32話 回転寿司勝負!味将軍をうちやぶれ


味皇料理会の宿敵、日本の味を支配しようと目論む味将軍グループ毛利はそんな味将軍のマネージャーで、一見すると常識人に見えるのだが、どこか狂気をはらんでいて、うまい料理を食べると「落ちてゆく〜、ど〜こまでもどこまでも落ちてゆく〜!」と怪しい幻覚の世界にトリップするのがお約束。


本話では陽一と肉料理の天才小西が味将軍グループとの回転寿司勝負に挑むのだが、スゴいのは(勝負本番でもリアクションを見せるが、それよりも)陽一の下にスパイに行って試作品を出された時のリアクション。上のようなリアクションを、陽一たちの前ではしてはならないとぐっとガマン、日之出食堂を出た後にひとり、往来で「落ちていく」とわめき出すというヤバさに、観る者は感慨を覚えずにはいられない。

第8位 44話 荒磯勝負・陽一式石焼き魚の秘密


海の料理人、味船敏八との勝負の品目は焼き魚。一口食べた味皇は「口の中で波が渦巻いておるわ!」と叫び、口から「波」を吐く。そして魚にかぶりつきつつふんどし一丁で海上、海中を全力疾走、「因幡の白ウサギ」ならぬ「因幡のアワビ飛び」と叫んでアワビの上を飛んでいく(食材にアワビがあるため)。
食べてみたいな海の幸♪」と歌い上げ、最後に「地球の面積の2/3は海です」とテロップが出る辺りになると、もはや演出意図を推し量ることも不可能である。

第7位 23話 激突!超豪華シーフードカレー&24話 一馬と決戦ピザパイ勝負


実のところ、料理人は料理を作る側で食べる側ではないため、リアクション芸人としてはそこまで目立つヤツは少ない。ラーメン屋の甲山は興奮すると「どどんがど~~~ん!!」と頭を火山にして噴火させ、お好み焼きの岡田屋は大ダコに変身するが、これも必ずしも食べた時のリアクションではない。そんなふたりが審査員を務め、たっぷりとリアクションが楽しめるのがこの前後編だ。


カレーの天才と呼ばれる少年料理人、堺一馬は陽一にとって宿命のライバル。この前後編は、そんなふたりの対決がメイン。23話ではシーフードカレーを食すや甲山たちが上のようなリアクションを披露、さらに南町奉行として現れた味皇と共にお白州へとワープ、その味について吟味を始める。味皇は隠し味はこれだと、サザエの入れ墨を見せつける!
一方、24話ではピザを食した甲山と岡田、そして料理研究家の江川女史があまりのうまさに穢れない子供に戻り、全裸で食材と戯れる! いい歳の男性声優さんが赤ちゃん言葉で料理を語るのが可愛いようなキモいような……いろんな意味で、ぶっちゃけこれは再放送不可能か!?

第6位 56話 決戦ラーメン勝負!白いスープ対黒いスープ


香港は料林寺で修行する少年料理人、劉虎峰(りゅうこほう)の作った黒スープのラーメンに対抗し、陽一は白スープのラーメンで勝負。それをひと啜りし、味皇は「う~ま~い~ぞ~!」と吠えて空中浮遊。
いや、まあ、それくらいは既にもう「通常運転」なのだが、あっと言う間に完食してしまった味皇様、「いつまでもあると思うなスープと麺」と嘆き、一本だけ残った麺を大事そうに箸で摘む。と、それはするすると空中へと伸び、味皇はそれを伝って天へと登っていく!『ジャックと豆の木』をモチーフにしたシーンなのだろうけど、何だか『蜘蛛の糸』にも見えてしまうぞ!
もっと食べたい」と目を潤ませる味皇様が何だか可愛いので、このランクに。

第5位 78話 高野山で大決戦!豆腐ステーキ対ゴマ豆腐


豆腐を使った味勝負に挑んだ陽一と一馬(後半では一馬がレギュラー入りし、ふたりはコンビを組む)。勝負の相手、大門屋はゴマ豆腐を、陽一たちは豆腐ステーキを作る。
それを見つけたお遍路さんの母子がそれぞれを口にする……と! お母さんの顔がにょろろ~~~んと数十メートル伸び、食べた豆腐が口の中で弾け、顔面中がびょんびょんと隆起する(……と言われても、想像しにくいかも知れませんが、本当にそうなるんです!)。一方、豆腐ステーキを食べると……クルミが食材に使われていたため、母子共々リスになって空を飛んでしまうのだ!
実はこの母子、うなぎ勝負、ちまき・柏餅勝負でも登場し、同じくぶっとんだトリップを見せつけてくれた、隠れた名脇役なのである。

第4位 39話 包丁一本!茶碗蒸し勝負


今回、リアクションを取るのは京都の刀鍛冶、滝沢彦之介。彼が数年に一本だけ作るという包丁を懸けて、陽一と男装の少女料理人、章吉とが勝負するのだが……一見してこの厳格で高潔な佇まいの老人は、一口食べるや叫ぶのである。
「ウルトラスペシャルグレートラブリーぢゃあ~~~~!!」


メチャクチャである。勝敗に物言いをつけようとして章吉のおつきが乱入すると、茶碗蒸しを光弾にして(……?)相手にぶつけ、そのうまさを納得させるという荒技。何しろ前哨戦の冷やし中華勝負では金魚に乗って京都中を駆け巡るというリアクションをしているくらいで、やはりこの老人も普通じゃないのである。

第3位 30話 味試し!味っ子対ミスター鍋っ子


先にも書いたように、料理人はあまりリアクションを取らないものなのだが、中江兵太だけは例外として紹介したい。彼はミスター鍋っ子と呼ばれる博多の天才少年料理人。
素材にこだわる野生児で、自ら食材の野菜を栽培する……のはいいんだが、育てている野菜に語りかけては「野菜の歌が聞こえる!」と叫び、「ぼくらはみんな生きている、生きているから歌うんだ~~♪」と歌い出す。食材を求めて山を駆け巡り、きのこを見つけるや「ぼくと話をしないかぁ!?」と声をかけるというアブない……あ、いや、ヘンタイの……あ、いや、だからその、純粋な少年だ。


自作の鍋を試食する時もトリップしては「聞こえる、イカの声、アナゴの声、そして俺の野菜たちの声が! みんな仲よくなれたんだな、よかった!!」と叫ぶ始末である。普段は温厚で天然な好青年(好少年?)なのだが、いざ料理をし出すや聞こえてはならない声が聞こえ出す、はっきり言って作中でも一、二位を争うヤバいヤツであり、陽一と引き分ける実力の主であるのも頷ける。

第2位 72話 対決ハンバーガー勝負!最強の七包丁・阿部一郎登場


病に倒れ、入院した味皇。病院の中庭で陽一のハンバーガーを食べた瞬間、車椅子に乗ったまま辺りを駆け回り、病院の廊下を駆け抜け、階段を駆け上がる! さらには危うく轢きかけた医師と共にレントゲン室に乱入、写真を撮らせる! そしてレントゲンでハンバーガーの構造を明らかにして、うんちくを叫びまくる! 寿司のうまさを探るためCTスキャンにかけてみせた山岡士郎の、これは上位互換的リアクションといえる(そうか……?)。


最後は「これぞまさしく復活の味!」と車椅子から立ち上がり、手術室の患者に、新生児に、看護婦に変身、「う・ま・い・ぞ~~~~~!!」とダメ押し。お話としては味将軍グループ七包丁の中でも最強、東大出身の天才料理人、阿部一郎とのハンバーガー勝負の、ホンの前振りといえるのだが、もうここまででおなかいっぱいだ。

第1位 28話 激闘!大阪城・カレー丼春の陣


先にも登場した、陽一のライバル一馬。浪花のどんぶり兄弟・太郎次郎と戦うため、ふたりはタッグを組むことに。そして大阪城で行われるカレー丼勝負。鎧甲をまとい(何故?)審査に臨んだ味皇は陽一、一馬の作った料理を食べると巨大化! 大阪城を突き破りつつ叫ぶ!


「やあやあ遠からん者は音にも聞け。近くば寄って目にも見よ。これこそが料理の心だ、聞こえるか! 通天閣も道頓堀も大阪中がうまいうまいといっておるわ!」
え~と、どうして巨大化したのかとか聞かれても困ります。ただ、本人の供述によると、料理を作るために協力した陽一と一馬の熱い想いが、味皇をここまで感激させた模様。そう、この話は対立していた陽一と一馬がライバルとしての意地を超え、手を取りあった様子が描かれる、シリーズの中でもターニングポイントとなる回。味皇様の叫びはそんなふたりの友情へのエールでもあったのだ。

『ミスター味っ子』は料理ギャグアニメじゃない……?


……さすがに書いていて疲れました。読んでいたみなさんはどうだったでしょうか? さて、しかし最後にここで、肝心なことをお伝えしておかなければならない。冒頭で、『ミスター味っ子』は料理ギャグアニメの決定版だと書いたけれど、これは本当の本当は違う。当時から今川監督は本作について繰り返し、「マジメに作っている」と述べていたのだから。


そう、監督はただ、料理人たちの情熱をマジメに描いていただけだったのだ! それは味皇様の決めゼリフ「精進せえよ」が何よりも如実に伝えている。彼のオーバーなリアクションもそれはただ、あくまで料理人たちの精進、味に妥協せず創意工夫を重ねる姿への、素直な賞賛に過ぎなかったのだ。上の大阪城でのリアクションの後、味皇様はこんな言葉で場を締める。
「ワシはふたりに言おう。手を合わせ、ごちそうさま~~!!」

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そう、彼のリアクションは料理人への感謝の想いがただ、ほとばしり出たものなのだ。これはちょうど、島本和彦作品が「ギャグに見せかけてその中で熱血を描く」ものであるのと、同じだといえる。今川監督のもうひとつの代表作『Gガンダム』のキャラクター原案が島本氏であるのも、そう考えれば納得だ。
もちろん、そのオーバーなリアクションを観ていて、思わず笑いがこぼれてしまうのも事実。大いに笑い、そして感動しつつ観る。それが『ミスター味っ子』の正しい鑑賞法だ。
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