映画『聲の形』が日本映画史に残る神作品である5つの理由

数々の賞を受賞し、映画化した『聲の形』。人と人が気持ちを伝え合うのは難しい・・・でも伝えたいことがたくさんある。そんな思いが詰まった感動ストーリーの魅力に迫る!

『聲の形』のあらすじは?


主人公・石田は小6の時転校してきた難聴の少女・硝子をいじめていました。西宮は転校してしまいますが、その後石田に待っていたのはかつての親友からのいじめ。硝子をいじめたことは知れ渡り、石田は孤立した学校生活を過ごすことになります。
自分のしたことの罪の重さを理解した石田は自殺を計画し、いじめの時に壊した補聴器の弁償代170万を母に払い終えた後実行に移そうとします。この時石田は高校生になっていました。しかし筆談ノートを返しに硝子に会った後自殺をやめ、硝子に尽くすことを心に決めます。
踏み出すことで変わる環境、人間関係・・・石田の変化は共鳴しあい、周囲を巻き込んで大きな変化をもたらします。言わないと伝わらないこと、言っても伝わらないこと・・・様々な思いが交錯し合いすれ違い重なり合う感動ストーリー!それが『聲の形』なのです。
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『聲の形』登場人物

石田 将也(いしだ しょうや)


好奇心旺盛で、スリルある遊びが好きなガキ大将タイプ。好奇心から硝子をいじめるも、そのことがクラス裁判のかけられてからは自分がいじめの対象となります。罪の大きさに気がついてからは「もう泣かせたくない」と自分の命ある限り硝子に尽くすことを決めます。
最初は硝子の妹や母から嫌煙される石田でしたが、次第に石田の真摯な気持ちを感じ取り関係は解氷していきます。硝子も次第に石田に惹かれて行きますが、肝心の石田は全く気がつかないのでした・・・。
硝子をいじめたことは石田を孤立させ、このトラウマからかまともに人の顔を見ることができずいつも下を向いて過ごす石田。硝子の小学校時代を取り戻そうとする過程で徐々に人向き合い始めるのでした。
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西宮 硝子(にしみや しょうこ)


笑顔を絶やさない、おっとりとした可愛い少女。生まれつき耳が聞こえず、いじめられることが多く妹の結弦にいつも守られていました。小学6年の時転校した学校でも石田を中心としてクラスぐるみのいじめにあってしまう 硝子・・・。
しかし主犯格であった石田がいじめられる側になった時に、 硝子は落書きされた机をきれいにするなど石田をかばい続けます。転校するまで石田と友達になろうとしていたのでした。
そんな健気で可愛い女の子なのですが、自己評価が低く「自分のせいで周りが不幸になっている」と日頃から感じている様子。時折「死にたい」と口にすることもあり、笑顔の下には苦しみや悲しみが渦巻いているのです。

永束 友宏(ながつか ともひろ)


石田の同級生で、自称石田の「ビッグフレンド」。自転車を盗られそうになっていたところを石田に助けられ、これがきっかけでつるむようになります。裕福な家庭なようで「将来金持ちになる予定だから」と石田のためなら金銭面でも協力も押しみません。
話を誇張してしまう傾向があり、友人は少ないため石田が友達になってくれたことをとても喜んでいる永束。石田にひどいことを言われても「気にするな!あんなこと生きてれば何度でもあるさ!」と涙ながらに許してくれる熱い男なのです!

西宮 結絃(にしみや ゆづる)


 硝子の妹で、美少女ながら男勝りでおてんばなところが目立つ結弦。普段はジャージでいることが多く、いつもカメラを持ち歩き「死体」を被写体として写真を撮っています。死体を被写体とするのは「これを見たら 硝子が死にたくなくなると思ったから」。
幼い頃からいじめを受け、思いつめていた硝子を守ろうと結弦は常に気を張って生きてきたのです。短く切りそろえた髪の毛は、 硝子を守るという決意の表れ。幼い頃はストレートのロングヘアーでしたが、硝子ために自ら短く切りそろえたのでした。
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真柴 智(ましば さとし)


太い眉毛が特徴の、石田のクラスメイト。眉が原因でいじめられていたことがあり、いじめに対して強い嫌悪感を示します。基本的に優しくジェントルマンな性格ですが少し変わったところがあり、石田が飛び込み禁止の川に飛び込んだスキャンダルをきっかけに石田に興味を持ったのでした。

川井 みき(かわい みき)


川井は率先してクラスの先頭に立つ委員長タイプの優等生の女の子!三つ編みにメガネというスタイルだったけれど、ある日突然イメチェンをしてクラスメイトの注目を集めます。天然の雰囲気を出しながらも、計算高い一面が垣間見える小悪魔女子なのです!
石田とは小学校の頃からの知り合いで、 硝子いじめに間接的に関わりながらも涙を武器に責任を逃れた過去が・・・。
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植野 直花(うえの なおか)

植野は猫カフェでバイトをする、勝気で思ったことははっきり口に出すタイプの女の子。デザイン学科に所属し、コンテストで1位を取るほどのセンスを持ってます。石田とは小学校の頃からの知り合いで、密かに思いを寄せていました。
しかし、 硝子いじめの主犯格として裁かれ、その後いじめの対象となった石田をいじめる側にまわってしまいます。「 硝子のせいで関係が壊れた」と思っており、その思いを直接 硝子にぶつけたことも。
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佐原 みよこ(さはら みよこ)


上野と同じ高校のデザイン学科に通う女の子。小学校の頃、「手話を覚えるのは面倒」というクラスの空気の中、硝子のために手話を覚えると名乗り出る優しい性格の持ち主!
しかしこの行動は「点数稼ぎ」と植野に称され、やがて不登校となってしまいます。高校3年の時石田の協力のもと硝子と再会するのでした。

島田 一旗(しまだ かずき)


小学校のときは広瀬とともに石田とつるんでいたが、西宮いじめが発覚してからは石田をいじめる側に回ってしまいます。常に周りの状況を見る冷静で賢い性格で、自分に火の粉が降りかからないよう立ち回ります。
塾とピアノと習い事も忙しく、大人との折り合いを付けることがうまい島田。石田とは絶縁状態でしたが、硝子を助けようとして4階から落下した石田を助けます。しかしこのことを秘密にしたため、再び石田と関わりを持つことはないのでした。
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神作品である理由1 罪は消えない・・・改心する主人公石田の成長ストーリー


 硝子を好奇心からいじめたことで、自分がいじめられる側となった石田。かつての親友から受けるいじめは石田の心を深くえぐり、自分が硝子にしてしまったことの罪の重さを噛みしめるのでした。 硝子に再会後、自殺を予定していいた石田ですが「またね」と言われたことで自殺を思いとどまります。
その代わり、自分の命を使って出来ることはなんでもしようと心に決める石田。自分がいじめていたという負い目がある人間に会いに行き、折々に浴びせられる言葉すら受け入れ、それでも逃げずに過去と向きあう姿勢に「自分は同じことができるだろうか」身が引き締まる思いです。
その真摯な思いは次第に周りに電波し、徐々に硝子やその家族との距離が縮まっていきます。他人との距離を極端にとっていた石田ですが、硝子との関係が解氷するのに比例して友達が増えていくのでした。

神作品である理由2 気持ちを伝えたい!!手話での会話


聲の形を象徴する手話は「友達」と「またね」の2つで決まりです!両手をギュッと握った「友達」と、手をピースにして横にする「またね」という日常的で何気ない言葉ですが場面により様々な思いが織り込まれています。
小学生の硝子がどんなに意地悪をされても繰り返し使った「友達」の手話と、高校3年になった石田が硝子に「友達になってくれないか」といったときに使った「友達」という手話。時を超えて2人の思いが重なったようにも感じますね!
「またね」という何気ない言葉でも、再会を楽しみにする気持ちや寂しさ、その日の別れのシチュエーションによって感じる心情は様々。花火大会の帰り、何があっても「またね」と言う硝子が「ありがとう」と伝えた時は永遠の別れを連想させるのでした。

神作品である理由3 響きあう心・・・石田の踏み出す一歩がみんなの運命を変えた


小学校の頃、耳の聞こえない硝子に戸惑うしか出来なかった石田達。それどころか硝子をいじめるという最悪の結果となった小学生時代。心のどこかで硝子を気にかけても、実際に会いに行ったのは石田だけでした。小学校時代の思い出を取り戻すように佐原と硝子を再会させた石田。
友人が増え石田だけでなく硝子も一気に世界が広くなりました。再会して改めて友人になった佐原に対し、向き合う事が出来ない苛立ちをぶつける植野・・・。楽しい時間を過ごすのと同時に、世界が広がった分、硝子の葛藤も増えてしまったのでしょう。
石田が友人と距離を置いたのをきっかけに、硝子には再び死を思うようになります。飛び降りた硝子を助けようにも引き上げることができない石田は「明日からみんなの声をちゃんと聞く。ちゃんとするからもうひとふり力をください」と神に祈るのでした。

神作品である理由4 共感するキャラクターによって感想が変わる!


『聲の形』は登場人物それぞれにストーリーがあり、共感するキャラクターによって大きく心情が変わってきます。石田に共感すれば、罪と向き合う苦しみと葛藤を感じますし、硝子の立場を想像すると「してもらう」しかできず周りが不幸になっているように感じる罪悪感や無力感・・・。
そして自分を助けようと4階から落下し意識が戻らない石田を目の当たりにした硝子の苦悩。しかし硝子は悲観してばかりの自分を変えようと、石田の壊れた友人関係を取り戻すため友人たちのもとを訪ねるのでした。悲観してばかりでなく、力強く歩み始める硝子に勇気づけられます。
その他にも「点数稼ぎ」と言われて途中で逃げた佐原や、硝子のいじめを知っても否定せず周りに流されて過ごした川井たち。「無責任!」と感じてしまいますが、自分が同じ立場だったら正しい行動ができるでしょうか?リアルな人間性を持つ人物描写に様々なことを考えさせられます。

神作品である理由5 未来は未知数のラスト!それぞれが向かうのは光ある未来!?


目を覚ました石田は、相変わらず他人の顔を見ることができませんでした。硝子に手を引かれ、下を向いて歩く石田・・・しかし待っていたのは友人たちの温かい言葉でした。文化祭をめぐるうち、他人の顔を見ることができ、声も聞こえるようになる石田。
顔をあげた石田は一気に世界が広がります。その輝く様子は、石田に「生きていてもいい」と肯定しているようでした。その瞬間石田は長年の苦しみから解放されたのではないでしょうか。
過去に起こったことは消えなくても、気持ちを通じ合わせようとすることで前に進んだ石田をはじめ硝子とかかわった人々・・・。今後もしぶつかることがあっても「伝えたい」「理解したい」という気持ちを変わらなければ何も怖いものはないのでしょう。

映画『聲の形』は踏み出す勇気をあなたに。映像美と心に染み入る感動ストーリー


誰しも辛い記憶と向き合うことは辛いこと。向き合ったとしてもうまくかなかったり、傷が深くなることもあるでしょう。忘れてしまいたい過去と向き合い、前に進んだ石田を見ていると勇気が湧いてきますね。石田の踏み出した一歩は周囲に影響を与え、関わる人々の運命を変えていきました。
原作ではそれぞれのキャラクターのバックグラウンドが詳細に語られており、読めばより映画を楽しむことができます!変わるきっかけは勇気ある一歩だと教えてくれる『聲の形』。柔らかな映像とともに優しいストーリーが心に染み入ります。
声に出さないと伝わらないことはあるけれど、声に出しても伝わらないこともある・・・映画『聲の形』は伝え合うことの大切さ、響きあう心の切なさを感じさせてくれる感動ストーリーなのです!