【どろろ】孤高の修羅・百鬼丸の全て!身体探しの旅を続ける少年の秘密とは?

手塚治虫が残した未完の名作『どろろ』。そこには人間の憎悪と闇が渦巻いていた! 『どろろ』の主人公にして妖怪を退治して旅をする百鬼丸の秘密とは? その魅力をたっぷりと紹介します。

【どろろ】百鬼丸とは?

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百鬼丸は手塚治虫の漫画『どろろ』に登場する主人公のひとりです。身なりは汚く、妖怪を退治しながら旅を続けています。途中でこそ泥のどろろを助けたことにより彼(?)につきまとわれますが、そのおかげで百鬼丸の秘密が明かされていくのです。
百鬼丸の年齢は明言されていませんが、生まれて14年が経っていることがわかっています。両親に捨ててられており、医術を生業としている寿海によって拾われ、旅に出るまで育てられてきました。生まれ持った体の特性のため、心で会話する超能力のようなものまで持ったキャラクターです。

アニメ版の声優は野沢那智


アニメ版『どろろ』で百鬼丸の声を担当したのは声優の野沢那智です。『スペースコブラ』のコブラ役声優として知られています。洋画の吹き替えを多く担当しており、『スターウォーズ』のC-3POの声を担当したことでも有名です。姪に野沢直子がいます。

実写版を演じたのは妻夫木聡

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実写版の『どろろ』では妻夫木聡が百鬼丸役を演じました。漫画では14歳だった百鬼丸は映画版では20歳の設定になっています。妻夫木は『池袋ウエストゲートパーク』に出演して知名度をあげ、『ウォーターボーイズ』で一躍人気になりました。
実写版ではどろろ役で柴咲コウ、百鬼丸の父・醍醐景光役で中井貴一が出演し、主題歌にMr.Childrenの「フェイク」を起用するなど豪華スタッフが集結し話題になりました。
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百鬼丸は体の48箇所も欠損した異色のヒーロー

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百鬼丸は人体の48箇所をも欠損しているという秘密を抱えています。両手両足はもちろん、目玉や耳に至るまで、人間が満足に生きるうえで必要な機能があらかたありません。それを百鬼丸は義足や義眼などのパーツで補っています。
これらを百鬼丸に与え、彼がまともに人間として活動できるようにしたのは医術を生業としている寿海です。映画版では失った手足を元に戻す術を研究する呪医師でした。代わりのパーツは木や陶器などを主原料としています。
映画版では戦争で死んだ子供の体が使われていました(よりショッキングな設定です)。手足だけでなく体のほとんどのパーツが欠けており、自分の物でない手足を自在に動かすのは大変なことです。それをやってのける百鬼丸からは力強い生命を感じられます

百鬼丸は体を取り戻すために妖怪退治の旅を続ける


『どろろ』は百鬼丸が妖怪を退治して旅をする物語です。百鬼丸の欠損している48箇所を妖怪たちが持っており、その妖怪を倒すごとに体が元に戻ります。百鬼丸が倒すべく妖怪の数も48体。その妖怪を探して日本全国を駆け回る旅は壮絶です。
冒険王版の設定では、百鬼丸の奪われたパーツで作られた肉体がどろろであり、妖怪を48対倒さなくても、どろろを殺すことで肉体が元通りにもどるというものがあります。こちらは百鬼丸の葛藤が見る者の胸にせまる設定です。

百鬼丸の壮絶な生い立ち、その体に隠された秘密


百鬼丸の体が48箇所も欠損しており、妖怪たちが失われた部位を持っているのには壮絶な生い立ちに関する秘密があります。百鬼丸の父親は冷酷な野心家である醍醐景光です。彼がこそが百鬼丸の壮大な運命の元凶でした。
醍醐景光は天下を取る力を48の魔物から授かる代わりに、3日後に生まれてくる自分の子供のパーツを供物として捧げました。故に百鬼丸は48箇所もの体を欠損しているのです。さらに生まれてきた赤子を天下取りの邪魔だと捨ててしまいます。
その赤子が寿海に拾われ、義手や義眼などの偽物のパーツを与えられ、普通の人間と遜色ないほどまでに暮らせるようになりました。それが百鬼丸です。自分の体を取り戻すために妖怪退治するという壮絶な過去を持つ主人公の壮絶な物語になっています。

腕には仕込み刀など、全身が兵器な百鬼丸

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百鬼丸の体のパーツは生活を支えるだけでなく、武器の仕込まれた暗器となっています。例えば両腕に仕込まれているのは刀です。義手が外れると、腕に取り付けられた刀身が露わになります。左腕に仕込まれたのが無銘の名刀で、右腕に仕込まれたのが寿海から授かった名刀です。
この右腕の名刀の柄と鞘の部分は腰に下げられています。鼻には強力な爆薬が仕込まれており、九尾の狐との戦いに使用されました。脚からは焼水と呼ばれる強酸を噴出することができ、たちどころに妖怪たちの肉体を溶かします。
人体の48箇所もを欠損して生まれてきたという壮絶な過去を持つ百鬼丸ですが、その肉体を全身武器として活用する姿がかっこいいです。欲望渦巻く人の世を描くダークな作品のダークヒーローとなっています。

漫画版の最後が未完のため、広がる世界観

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漫画版の『どろろ』は未完に終わっています。百鬼丸は父親である醍醐景光を追い詰め、弟の多宝丸を決闘で殺してしまいます。悪政に反旗を翻した民によって景光は妻と共に領地から追い出され、百鬼丸はどろろと別れて残りの妖怪を退治する旅にでるのでした。
原作のラストはここで終わっていますが、アニメ版では48体の妖怪をすべて倒し切ります。最後の妖怪は父親である醍醐景光でした。ゲーム版ではどろろの中の妖怪を倒さなくてはならず、みごとに中の妖怪だけを倒しどろろも生存しています。
原作が未完に終わっているがゆえに、結末に多くの可能性が残されており、面白いです。PS2版に『無限の住人』の沙村広明や『GARO』の雨宮慶太などが参加するほど人気がります。

百鬼丸はあの『ブラック・ジャック』にも登場


手塚治虫の作品には多くの脇役キャラが別人物として別の作品に登場する手塚スターシステムというものがあります。ヒゲおやじなどがそれを代表するキャラクターです。百鬼丸も『ブラック・ジャック』に登場しています。
「ミユキとベン」では不良少年のベンとして百鬼丸のキャラクターが使われました。「灰とダイヤモンド」では百鬼という名の医者として登場し、ブラック・ジャックと対決する良心的な医者として描かれています。
多くの漫画化が参加した『ブラック・ジャックALIVE』では永井豪の描く「嵐の夜に」にてどろろと共に現れて、ブラック・ジャックに武器の改造を頼みました。『ヤング・ブラック・ジャック』では有望な若い医師・百樹丸雄(CV宮野真守)として登場しています。

どろろは実写映画版・小説版も成功!

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原作では戦国時代周辺の日本が舞台となっています。実写版での舞台設定は日本に似た架空の世界でした。これにより実写版『どろろ』はジャパニーズファンタジーのジャンルとして世界各国で成功を収めました。
『どろろ』はノベライズも豊富に出版されています。連載当時から辻真先によって小説版が書かれ、最も原作に忠実な小説版として有名です。2001年には鳥海尽三によって新たに小説化されています。
辻版よりも多くの改変がみられますが、原作の章に沿った内容です。映画版のノベライズでは、映画本編では描かれなかった場面など多くのことが補足されました。多くの観点から書かれた小説版はどれも『どろろ』の世界を深めるものです。

人体欠損に戦争批判。『どろろ』百鬼丸はダークな作品に登場するダークヒーロー


手塚治虫の残した未完の名作『どろろ』は人体欠損や戦争など、暗い部分を突き詰めた作品です。そのダークな内容が当時はウケが悪く、奇しくも未完に終わってしまいました。しかし、そのダークさ故に今でも根強いファンを持つ人気作です。
『どろろ』はただ単にダークさにこだわった作品ではなく、それが我々人間が誰しも持つ闇の部分であることが多くの人を惹きつける要因となっています。主人公の百鬼丸は権力に固執する父親を持ち、百鬼丸自身はその真逆の性質を持った主人公です。
身なりが悪く、行く先々で悪政に苦しむ人々と出会います。そして妖怪たちは苦しむ人々や権力をに固執する人たちの闇の部分につけ込むのです。そんな暗い作品を映し出す百鬼丸はまさにダークなヒーローです。