【屍鬼】禁断の名言・名シーン15選。屍鬼と人間との争いの果てに待つ結末は…

小野不由美原作、アニメ化&漫画家した名作『屍鬼』。超美麗な世界観と相反するような残虐性、そして巻き起こる人の死。かかわる人々は精神を徐々に蝕まれてゆくのだった・・・。人間と屍鬼の想いが交錯する名作『屍鬼』の感情を揺さぶる名シーンを一挙公開。

『屍鬼』とは


人口わずか1300人の「外場村」。村を出るための国道も1本しかなく、周囲からも隔離されまさに陸の孤島。ここに「屍鬼」である桐敷家が引っ越してきて以来、この平和だった村に不自然な死が加速していくのでした。結城 夏野(ゆうき なつの)はこの不自然な死の連鎖の原因に気が付きます。
しかしすでに屍鬼となってしまった友人・武藤 徹(むとう とおる)により吸血され屍鬼の眷属的存在である「人狼」にされてしまうのです。村唯一の医者・尾崎 敏夫(おざき としお)、その旧友・室井 静信(むろい せいしん)も異常な死の連鎖をともに食い止めようとします。
しかし屍鬼を駆除するために徐々に手段を択ばなくなっていく尾崎に、室井は決別を決意するのでした。人間の恐怖心は次第に狂気と変わります。助けたい、守りたい・・・誰かを思うはずの心が、村全体を恐怖へと突き落としてしまうのです。

『屍鬼』名言・名シーン第15位

村は死によって包囲されている

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この夏、高齢者の孤独死が相次いでいました。多少不審な点はあるものの、高齢だったこともあり自然死や野犬の仕業・・・とされていたのです。そんな時起こった高校生である清水 恵(しみず めぐみ)の死
元気だった少女が、突然ぼんやりとした様子になりその後まもなく息を引き取ったのです。清水に好意を寄せられることを良く思っていなかった夏野ですが、同級生である清水の死に得体のしれないものを感じます。焦りを感じた時に、夏野はいつも都市につながる国道を走るとか。
この行動はまるでこれから始まる恐怖を予兆し、逃げ出そうとしているようでした。「村は死によって包囲されている」抜けだすことが叶わない自分の境遇を見つめるように、夏野は一人思うのでした。

『屍鬼』名言・名シーン第14位

これ以上俺の村を踏みにじらせない

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清水の診察をし、その様子から貧血を疑う尾崎。念のため血液検査をするも、結果を待たずして清水は帰らぬ人となってしまいます。少なくとも、こんなに早く死んでしまうようには見えなかった・・・尾崎の無念の念が募ります。
立て続けに起こってる村での死は、ほとんどが不審死・・・外場村で何かが起こっている。尾崎は考えるうち、不審死をしている人の共通点に「突然ぼんやりとした様子になる」という症状があると見出します。そして不審死は家族に伝播している傾向も。
疫病か、それともその他の何かか・・・死亡原因は未だ不明のまま。それでも尾崎は「これ以上俺の村を踏みにじらせない」とまだ見ぬ敵に言い放つのでした。

『屍鬼』名言・名シーン第13位

人は手首を切ったくらいじゃ死なないのよ

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夜に出歩く不思議な少女桐敷 沙子(きりしき すなこ)。室井の書く小説のファンだと、夜遅く寺を訪れてきます。室井が書いた小説を読んで、沙子は室井に興味を抱いたのです。「イメージと違ってがっかりしただろう」お道化て室井は訪ねます。
「そうね、案外普通だった。神様から見放された人のお話しばかりだから、角か尻尾が生えているかと思った」そうふざけた後に「でも納得したわ、角はなかったけど傷があったもの」と室井の学生時代に起こした自殺未遂を見抜きます。
「手首を切ったくらいじゃ人は死なないのよ」そう言って去る沙子。幼い外見に、すべてを悟ったようなつかみどころのないミステリアスな雰囲気。屍鬼を統べる存在である沙子の風格と存在感が感じられる強烈なシーンでした。

『屍鬼』名言・名シーン第12位

これは単なる疫病じゃない・・・疫病じゃなかったのか

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貧血から始まる、止まらない死の連鎖・・・疫病やその感染源、様々なことに可能性を見出していくも、一行に成果が見られず焦りと苛立だちばかりが募ります。そんな時尾崎を訪ねてきた夏野。
「清水が生き返ることは本当にないのか」そう尋ねる夏野に「あの状態で生き返ったらゾンビか吸血鬼」尾崎は冗談交じりに応えると同時に、はっとする尾崎。村で未だ残る土葬の習慣、貧血から始まる不審死、全血の輸血で症状が回復すること・・・。
自分の発した言葉により尾崎は屍鬼の存在についに気が付くのでした。「これは単なる疫病じゃない・・・疫病じゃなかったのか」信じられない気持ちで、屍鬼の存在を認めるのでした。

『屍鬼』名言・名シーン第11位

屍鬼となってなお変わらぬ想い・・・清水と破られた残暑見舞い


電車すらなく、村人はほぼ知人。閉鎖的で個性を出したファッションは笑いもの。都市にあこがれる清水にとって、外場村は大嫌いな場所でした。いつか都会に出て華々しい生活を送る。それが清水の夢。そしてモダンで美しい桐敷家を訪ねたことがきっかけで屍鬼となってしまいます。
そんな清水は、都会から引っ越してきた夏野に強い憧れを抱き、好意を寄せていました。屍鬼となってもその思いは変わりません。そして生前と同じように夏野の家を訪れます。しかし、そこには自分が書いた残暑見舞いが無残に破り捨てられていたのでした。
夏野と親密な徹を殺してしまうほど夏野に強い愛情を持つ清水・・・。破り捨てられた残暑見舞いを泣きながら拾い集めます。歪んでいく好意と、純粋だった好意・・・。そのはざまを感じさせる、不気味さと悲しさが入り混じったシーンです。

『屍鬼』名言・名シーン第10位

死は等価なの


「まだ若い幼馴染とその子供が病気で死ぬかもしれない」室井が気落ちしている理由を伝えると、沙子は「お年寄りなら落ち込まないの?」と語ります。「若くても置いていたも、善人も悪人も同じ、死は等価なの」特別にひどい死はない、だからこそ死は恐ろしいのだと。
一度死に、屍鬼としてよみがえった沙子。長い時を屍鬼として生きてきた沙子は、もしかしたら誰よりも身近に死を感じていたのかもしれません。幼い女の子の外見をした沙子が、まるで草原を翔けるような様子で笑顔さえ浮かべながら死を語る・・・。
不気味とも美しいともいえるこのシーンは、「屍鬼」として生きる沙子を象徴しているようでもあります。人だったころの感覚の大半は失い、屍鬼の価値観を持ち生きる沙子。死の概念をはっきりと持つ沙子が誰よりも死を恐れているのかもしれませんね。

『屍鬼』名言・名シーン第9位

徐々に解き明かされる連続死の謎・・・救えない悔しさを込めた尾崎の雄たけび


村でまことしやかに言い伝えられる、死者がよみがえる現象「起き上がり」。これが屍鬼として連続死を引き起こしていると気が付いた尾崎は、貧血の症状を訴えた節子を入院させることに決めます。
招待されないと入ってくることはできない屍鬼を、尾崎は徹底的に拒絶。室井とともに屍鬼に立ち向かいます。しかし病院は多数の屍鬼により包囲されてしまいます。そして、ついに屍鬼の弱点を克服した稀有な存在である「人狼」の辰巳(たつみ)に侵入を許してしまいます。
輸血により開放に向かっていた節子ですが、多数の屍鬼に血を吸われその場で絶命。助けると約束したのに、助けられなかった・・・尾崎は悔しさからか、雄たけびを上げます。この瞬間から、尾崎は完全に屍鬼を外敵と認識。屍鬼に対して一切の容赦がなくなるのでした

『屍鬼』名言・名シーン第8位

沙子、君はアベルなのかい


協会を訪ねてきた沙子に、今書いている小説の内容を語る室井。弟を殺した兄が荒野をさまよい、それを死んだ弟が甦り追ってくる・・・その甦った死者を室井は「屍鬼」と名付けます。ゾンビのように単なる死体でもない、かといっても生者でもない異質な存在「屍鬼」。
沙子はすぐに聖書の創世記の「兄のカインが弟のアベルを殺してしまう」エピソードがモデルだと気が付きます。そして屍鬼という名前をいたく気に入り踊りまわります。そんな様子に水を差すように室井は「沙子、君はアベルなのかい」・・・君は屍鬼なのだろうと尋ねます。
正体を見抜いた室井の血を吸おうとするも、思いとどまる沙子。その理由は、情からなのか、死をよしとする室井を恐れたのか、それとも哀れんだのか・・・この決断は、沙子の運命を左右することになるのでした。

『屍鬼』名言・名シーン第7位

友情と食欲の葛藤。涙ながらに夏野の血を吸う徹が切ない・・・


死後、屍鬼となって甦った徹。何度も夏野の元を訪れながらも、血を吸うことなく帰ってきていた徹。屍鬼の存在に気が付いている夏野は辰巳に目をつけられている。他の誰かに殺されるくらいなら・・・と思いはあるものの、かつての友人を襲うことはできませんでした。
しかし、屍鬼を狩る夏野を疎ましく思う辰巳にけしかけられた清水に襲撃を受けてしまうのです。それを見た徹は、涙ながらに夏野に襲い掛かりついに夏野を餌食としてしまうのでした。清水をけしかけたことは徹に血を吸わせるための辰巳の作戦だったのでしょう。
屍鬼として生きる以上は、辰巳に従うほか道がない・・・しかし徹は、血を吸った者の行動を操る能力を夏野に使いませんでした。最期まで夏野に自由を与える、それが徹にできる唯一の抵抗だったのでしょう。

『屍鬼』名言・名シーン第6位

よみがえる夏野・・・徹との再会


人をエサと思う罪に慣れ、徐々に人間ではなくなっていく・・・決して共存できない屍鬼と人。それなのに、ともに生きようとしてくれる夏野に、徹は葛藤を強いられます。しかし、屍鬼の味わう空腹は誰も耐えることができない苦痛な空腹
最期まで徹を信じ続けた夏野が最後に感じたのは、屍鬼の体温のない冷たい涙。徹は耐えることができず吸血により夏野を殺してしまうのでした。夏野の死後も花を添えに部屋を訪れていた徹。そして夏野が死んで8日目の夜、人狼としてよみがえった夏野と徹は再開するのでした。
しかし、夏野は決して「起き上がり」を許さないと徹に伝えます。徹は夏野に求められるままま、辰巳の目論見、起き上がりのこと、そして村で何が起ころうとしているのかを伝えるのでした。起き上がりとしてよみがえった2人ですが、もう人だったころのように親友ではいられなかったのです。

『屍鬼』名言・名シーン第5位

「すまない・・・」妻にわびた尾崎。助けたい気持ちが狂気を生んだ


尾崎は忙しさのあまり、妻である恭子の異変に気が付くことができませんでした。気が付いた時には、屍鬼に血を吸われ衰弱しきってすでに手遅れ。恭子が屍鬼になればデータが取れると考え死体を保管、その後恭子は屍鬼になるのでした。
屍鬼となった恭子に「すまない」そう詫びた尾崎。これまで仕事一筋で家庭を振り返らなかったこと、これからする残虐行為・・・様々な意味が込められた詫びだったのでしょう。尾崎の人間らしさを感じることができたのはここが最後でした。
その後、屍鬼となった恭子を利用し屍鬼の弱点を突き留めます。村を守りたいという正義が生んだ結果でしたが、この出来事は、尾崎と室井の溝を決定的なものにしたのです。こうして、本格的な屍鬼殲滅へと駒が進んでいくのでした。

『屍鬼』名言・名シーン第4位

屍鬼の存在を知らしめる尾崎。それは狂気の始まりだった

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人狼となった夏野と再会した尾崎。「屍鬼を殲滅しなければならない」という気持ちを強く持つ2人は結託し、屍鬼の暗示がかかり計画が頓挫しないよう、夏野は尾崎の血を吸い先手を切って暗示をかけます。「何を言われようと従ってはいけない!自分の意思を強く持て!!」
そして千鶴を外場村の祭事に誘い出すことに成功する尾崎。屍鬼は霊的なものを恐れる性質があるため、本殿が近くなると尾崎に引き返すように命じます。しかし夏野のかけた暗示により千鶴の言いなりにはならない尾崎。嵌められたことに気が付く千鶴ですが、時すでに遅し。
千鶴に脈も呼吸も、体温もないことを確認した村人はついに屍鬼の存在を認識します。千鶴を見せしめのように木の杭で撃ち殺したことを皮切りに、家族を殺された恨みと恐怖、時には嗜虐性をにじませながら屍鬼の大量虐殺が始まるのでした。

『屍鬼』名言・名シーン第3位

自分を嫌いになりたくない。屍鬼になっても断固として食事を拒否した律子


国広 律子(くにひろ りつこ)は尾崎の病院で働く看護師でした。彼女もまた屍鬼の手にかかり、その後屍鬼となります。生前から心優しい性格だった律子。強烈な飢餓に襲われながらも、吸血することを拒否します。
律子に思いを寄せていた徹は、苦しむ律子を見て血を吸うように説得します。しかし律子は屍鬼狩りが始まった後も頑としてそれを受け入れませんでした。最期を悟った徹は、最後の瞬間を2人で迎えることを決めたのでしょう。
「車の免許が取れたら、2人でドライブに行こう」人間だったころに言えなかった言葉を律子に告げて、静かに眠りにつくのでした。

『屍鬼』名言・名シーン第2位

沙子を頼みます


屍鬼狩りが始まり、村は狂気に包まれていました。辰巳は沙子を逃がすため、室井に沙子を託し屍鬼狩りの渦中へと一人飛び出します。「沙子を頼みます」それが2人が辰巳を見た最後の姿となりました。そして、夏野との因縁の対決を迎える辰巳。
沙子が計画していた屍鬼の村を作ることを邪魔した夏野。しかし貴重である人狼となった夏野を最後まで辰巳は仲間に引き入れようとします。それがあだとなりました。夏野は辰巳の隙をつき、自らとともに辰巳を崖下への道連れにするのです。
虚無主義者であった辰巳は、滅びの象徴である沙子を美しく、愉しいと思っていました。死ぬことが望みだった辰巳は、自分を楽しませてくれた沙子にすべてをささげて命の灯を燃やし尽くしたのでした。

『屍鬼』名言・名シーン第1位

もうためらいはない・・・人狼となった室井が選んだのは沙子と生きること

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屍鬼狩りは時を増すごとにエスカレートしていきます。そしてついに室井の寺にも屍鬼狩りの手が伸びます。その時、村人はすでに正気を失っていたのでしょう。「狩りの手伝いをしないから、屍鬼の仲間だ」と言って人間である室井の母をはじめ寺の人間を殺害していくのです。
そして室井も彼らによって傷を負うも、沙子を逃がすために森へ逃げ込みます。しかし沙子に血を与え、さらに傷を負った室井の肉体は限界を迎えていました。室井は沙子を隠した後ゆっくりと死を迎え、そして「起き上がり」としてよみがえるのです。
神から見捨てられたような恐怖を味わった沙子は、死を望みます。しかし室井はそれを拒否。「ぼくたちには絶望しかない。虚しさを抱えて生きるために生きるしかない」・・・そういって沙子とともに生きる道を選ぶのでした。

正義と生死がぶつかり合う漫画『屍鬼』。生き残った村人たちのその後は・・・


一度死を選んだことのある室井は、自分の死を良しとしたように心のどこかで村が死に絶えてもいいと思っていました。その一方で、若いころは自分の望むように生きる権利があるとも。屍鬼を徹底的に排除しようとした尾崎と夏野に相反して、室井が選んだのは沙子と生きていく道。
外場村に関わった人間たちの思いはどのような未来へとつながっていくのでしょう。人狼となった夏野は死を選び、夏野と同じく屍鬼の存在に気が付いていた田中かおりとその弟・昭は夏野に助けられむらを抜け出し外の世界へ。
室井は小説「屍鬼」で外場村で起こったことを執筆した後、沙子とともに雲隠れします。人も屍鬼も、生きていたかっただけ。絶望や希望、虚無や幸福・・・これから何が待っていようと「生きてほしい」と願って戦った者たちの思いを背負って未来へ向かうのでした。