【妄想代理人】少年バットは現代社会の闇を現している?作品紹介まとめ【今敏作品】

46歳の若さで亡くなった、今敏監督によるサイコ・サスペンス【妄想代理人】。10年以上前のアニメだっていうのに、今見ても時代を感じさせない新しさがあります!現代社会の闇が浮き彫りになった世界で、成敗されるは我が心…

【妄想代理人】少年バットは実在する?それとも妄想?傑作サイコサスペンス


鬼才、今敏監督の「初TVアニメ作」でも知られる【妄想代理人】懐かしいですね~!今、視聴しても2004年に放送されたアニメとは思えないほど作り込まれた世界観と映像美は、流石!今敏作品!と思わずにはいられないほど…!
制作はマッドハウス、全13話で展開される本作ですが、タイトルだけ見ると一体どんな話なのかさっぱりではないでしょうか?ただ、タイトルロゴや赤背景をバックに折れたバットを持つ、ローラーブレードを履いた少年…めちゃくちゃ不穏な雰囲気を感じる!
ジャンルとしてはサイコ・サスペンスになるであろう【妄想代理人】。2016年に放送されたミステリーアニメ【迷家-マヨイガ-】などが好きな方は、きっと本作も好きになる…はず!

OPは個性派ミュージシャンの平沢進!意味深な歌詞が注目を浴びる!

まるで戦争を思わせるような内容の歌詞だが…


一度聞いたら忘れられない、歌詞の意味よりもメロディが頭から離れない…そんなキラーチューンなOP/EDを担当したのは、平沢進さんでした。平沢さんと言えば天才ではなく“奇才”と評価されるミュージシャンの1人!ファンの層もコアな方が多いイメージです!
OPは「夢の島思念公園」そしてEDは「白ヶ丘-マロミのテーマ」となっており、今回触れたいのは狂気を感じると当時話題になったOP映像と「夢の島思念公園」の歌詞について!歌詞の中に登場するワードで気になる…と、いうよりも「え?」と驚いてしまうものがいくつかありますが…
その中でも「キノコの雲」「炎の雨」「『万事に休す』の声も風がかき消す」などなど…キノコの雲と言われたら、思い出すのはアレしかないでしょう。

OPには吹っ切れたように笑顔で登場するキャラクター達…映像の謎を考察してみた!


主人公の女性、月子がビルから飛び降りてしまうんじゃないかと思うような、ハラハラした姿が映し出されて始まるOP…なんていうか、とても不安になります…。大雨の中、笑顔で佇む少年たち、その背景は津波にでも流れされてしまったような町並み…また、ある女性の体は水中深く沈みながらも泡を吐きながら笑顔を浮かべていました。
荒んだ背景をバックにしながら、声をあげて笑っているキャラクター達!不安と不気味となんとも言えない恐怖を感じる…!しかも、なんとなく目に輝きがない…。怖いというよりも「ヤバいやつ」といった方がしっくりくるかもしれませんね~…。
様々な考察・解釈がされるOPですが…個人的に思うのは、歌詞の内容からも一瞬にして切り取られてしまった日常を感じます。


OPのラストは「被害者」たちが「襲われた」順番に映し出されていくのも気になる…そして、ただただヤバい雰囲気を出すのではなく“遊び心”も含まれているんです!それは一体どこ?と、いうアナタ!是非、今監督の他の作品もごらんください!
さて、OP映像の謎ですが…深く考えれば考えるほど、一体どういう意味なのかと混乱する…しかしここで、やや残念なことをお伝えしないといけないのです。制作スタッフのおまけこぼれ話で(BD/限定版)“実は特に意味がない”と語っていたのです…!意味ないの!?あんなに意味深なのに!?
と、見事に視聴者に衝撃を与え、そして歌+映像を同時にトラウマとして残すことに成功した…結果につながっていたんですね…ただ、平沢進さんの歌う「夢の島思念公園」の歌詞には、物語の半ばに通じる伏線などは含まれていると思います。

主人公「鷺月子」はちょっと不思議系なアニメキャラデザイナー


いわゆる“不思議ちゃん”な主人公、鷺月子(さぎ つきこ)はアニメキャラデザイナーの職に就く若い女性です。積極的というよりも消極的、内向的な彼女が生み出した「マロミ」という名の犬のキャラクターが大ヒット!一躍、有名人となるのですが…
月子にとっては、マロミのヒットは嬉しい反面、続く新作へのプレッシャーにもつながっていました。上司からは「先生」と呼ばれ、次のヒット作を!新作を!と精神的に圧をかけられており、はっきりと意見を言えない月子は流されるように、自身も民衆からみると「マスコット」のような存在に。


そして、そんな月子を襲ったのが折れたバットに金色のローラーブレード、そして野球帽を被った「少年バット」という通り魔。月子が襲われ、事件の匂いを嗅ぎつけたルポライターの川津、そして事件発生現場の近くに住んでいた小学生たち…。
折れた金属バットで殴られるという事件が次々と起こり、被害者が増える中で「自身を少年バットと思い込む少年」や少年バットに「殺してほしい」と願う人達、そして死亡者までも出てしまうのです。正体不明の「少年バット」彼は一体何者なのか…?
それにしても…私には「マロミ」はあまり可愛いと思えないのですが、皆さんどうですか?潰れた犬のようで、やや不気味にも感じるような…?

月子が生み出した「マロミ」が物語の鍵を握る


子供から大人にまで大人気!社会現象にまでなった「マロミ」は、月子が子供の頃に飼っていた犬がモデルになっているそう。色はピンク色で、少しタレ気味でボテッとしている「マロミ」は仕事・学校・生活に疲れた人々の癒やしとなりグッズ化はもちろんのことプリ機にもなっているんです!
凄まじいほどの人気っぷり…「マロミ」の癒やし効果、半端ないですね~物語後半ではアニメ化の話も進みタイトルは【マロミまどろみ】と決定していました。アニメ制作現場にスポットを当てられた回がありましたが、なんとも悲惨な事に…アニメ業界、疲れている人多すぎます。
本作では、少年バットという通り魔に襲われた人々の心には闇を抱えた人物が多く、月子自身にも幼少期の「事故」による闇があり「マロミ」は事件の渦中に立たされた月子にアドバイスをするようになりますが、これは妄想なのか現実なのか…?

月子が1人になると、マロミは起き上がり当たり前のように話しかけてくる…


『月ちゃんは悪くないよ!』間の抜けた可愛らしい声で、月子を全肯定してくれる「マロミ」の存在って、疲れ切った心を癒やす…もとい自分に都合のいい世界に書き換えてくれる存在なのかもしれません。
月子が少年バットに襲われ、仕事もうまく進まない…そんな時、いつも一緒にいる(持ち歩いている?)「マロミ」が急に動き出しアドバイスをする場面。『このマロミは生きてるの!?』とびっくりしました(笑)それまで、マロミが動くなんてないないと思っていたので余計に!
最終話まで、必死に月子を守っていた「マロミ」でしたが、どうしてそんなに必死なのか?それには月子に向き合わせたくない「真実と現実」が関係していました。

携わった声優陣がめちゃくちゃ豪華!月子を演じたのは能登麻美子さん

他にも山口眞弓さん、桃井はるこさん、関俊彦さん、内海賢二さんなどなど!


『いっぺん、死んでみる?』の、決め台詞でお馴染みの「閻魔あい」の声優で知られる、能登麻美子さんが主人公の月子を演じました!掴みどころのない、不思議ちゃん月子にピッタリすぎる能登麻美子さんの声、とても響きます。
そして事件を追う2人の刑事、猪狩を飯塚昭三さんが馬庭を関俊彦さん、マロミは桃井はるこさん、少年バットは阪口大助さんがそれぞれ担当しています。そして、マロミに続いて重要なキャラクターとして登場する「謎の老人」を内海賢二さん!
本編ではなく番外編としての9話では、おしゃべり好きな主婦たちが少年バットにまつわる噂話で盛り上がりますが、ここでは能登麻美子さんは「別の人物」を担当。そして2話の被害者鯛良優一くんを担当した山口眞弓さんも、主婦の1人を演じていました。
なんとも錚々たる声優陣ですね…!

日本よりも“海外”で人気が高く、もちろん評価も高い!その理由とは?


狂気のOPからの本格的なサイコ・サスペンスな内容…これは海外には受け入れられるのか!?と、思う方もいらっしゃると思います。しかし、海外の声や評価を調べてみると、予想以上に大好評!いったい、どこに惹かれているのか…?
様々な評価をたどってみると、国内では「怖い・狂気」と思われがちなOP映像や歌が意外な事に絶賛されているんです…多かった理由としては『みんな笑顔でいい』『歌の出だしの叫び声が気持ちいい』また、スッキリすると言った意見も。国によって印象がここまで違うOPもすごい…!
また、内容に関しては『これほど素晴らしいアニメをしらない』など、海外の方の心に刺さるものがあったようですね。これぞクール・ジャパン!今敏監督、最高!

真実と向き合うことで、少年バットは消える…ラストは意外にも感動系

物語中盤から、狂気は本編にまで押し寄せ、一体何が真実で妄想なのか見ているこちらも気がおかしくなってしまいそうな不安に襲われた【妄想代理人】でしたが、誰が予想できたか…そのラストはちょっと切なくて…やや感動的な締めくくり。
本作のキャッチコピーは、「人々の内側で蠢く不安と弱さが最大限に増幅されたとき、少年バットは現れる。」だそうですが、猪狩刑事の奥さんが決して諦めない心で少年バットに立ち向かった時、謎の老人の死を看取った馬庭(レーダーマン)そして…トラウマと向き合った月子は、少年バットに対峙することができました。
クライマックスで明かされる月子の幼少期の記憶…お父さんに叱られるのが怖くて本当の事を心の奥底にしまいこみ、そして生まれたのが「少年バット」だった…というオチは、その前後のストーリーも相まってすこし切ない後味です。…マロミが可哀想で泣けてきます。


謎の老人による次回予告は「???」というものも多く、登場人物が良い意味で全員「おかしい」し、レーダーマンと名乗る元刑事の姿はどうみても月光仮面だし、彼が唱えていた呪文「イモロダミモラム」をローマ字読みにして反対から読み直すと…
と、色々おもしろいポイントが本当に山のように積まれた作品なんです。レーダーマンの元ネタは戸川純さんの楽曲だったりと、知っている人には「お!」と思わせる部分も多い!こんなに面白い、深いアニメは今監督にしか、創る事はできないのではないでしょうか…。
まだ本作を見たことがない方、是非!今敏監督の「初TVアニメ作品」である【妄想代理人】をごらんください、昨今のアニメにはない尖った内容、狂気のOPには魅了されちゃいます!